おすすめの連結会計システム3選|選び方や導入時の注意点を解説

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  • 連結会計システムは、対象事業・自社に必要な機能・サポート体制を比較検討して選ぶ
  • 導入形態や対応OS、操作性なども確認しておくとより選びやすい
  • 連結会計システムを導入する際は、導入目的とシステムのタイプが合っているか確認する

連結会計システムとは、連結会計に伴う決算処理を効率化するためのシステムのことです。連結会計システムを導入したくても数が多くてどれを選べばいいか分からない企業もあるでしょう。本記事では、おすすめの連結会計システムとその選び方などを解説しています。

目次

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  1. 連結会計システムで決算処理を効率化
  2. 連結会計システムは対象事業・機能・サポート体制で選ぶ
  3. 連結会計システム選びに重要な3つのポイント
  4. 連結会計システム選びのその他の比較ポイント
  5. おすすめの連結会計システム3選
  6. 連結会計システムの導入の仕方と注意点
  7. まとめ
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連結会計システムで決算処理を効率化

連結会計システムとは、複数の企業や子会社がグループを形成している場合に、グループ全体の財務情報を統合して管理するための会計システムです。グループ全体の財務状況を把握する連結会計では、親会社とグループ会社の財務諸表を合算した連結財務諸表を作成します。

連結会計の代表的な方法には、ERPシステムでグループ全体を統一する方法があります。しかし、ERPを導入していない場合は、各子会社からデータを収集・集約して連結会計を行うためのシステムとして連結会計システムが活用されます。

連結会計システムには、財務諸表の作成(年度決算・四半期決算・中間決算など)や予算策定・予実管理・レポートと分析などの機能が備わっています。海外拠点とのスムーズな連結会計を可能にする国際財務報告基準「IFRS」に対応したものもあります。

連結会計システムとは|機能と必要性・メリットデメリットを解説

連結会計システムは、子会社の決算データを収集することができ、連結会計にともなう決算処理を効率化することができます。本記事では、連結会計システムの必要性と主な機能、メリットデメリットの他、連結会計システムを選ぶときの比較ポイントを解説します。

連結会計システムのメリット

連結会計システムを導入することで、企業の信用性に寄与したり、決算の早期化に繋がったりするなど、さまざまなメリットを得られます。ここでは、連結会計システムを導入する主なメリットについて解説します。

グループ企業間の取引の透明性確保

連結会計システムを用いることで、グループ企業間の取引の透明性を確保できます。グループ企業間では、黒字と赤字の付け替えが容易であり、不正が起こるリスクが高いです。

連結会計システムの導入によって、こうした不正を防止することができ、経営情報の透明性にも寄与します。経営情報の透明性が高いと、銀行での融資が受けやすくなるなど企業の信頼性の向上にも繋がります。

連結会計業務の効率化

連結会計の際は、子会社の資産の時事評価や為替レートの計算など行わなければならない作業が多く、担当者に大きな負担がかかります。そこで、連結会計システムを導入することで、子会社の財務データを素早く収集・管理ができ、為替レートの自動計算も行います。

これにより、担当者の業務負担が軽減されて、コア業務に集中することができます。また、連結会計業務の効率化によって決算の早期化にも繋がるため、連結会計システムは多くの企業で導入されています。

連結会計システムは対象事業・機能・サポート体制で選ぶ

連結会計システムは、自社の事業に合った機能やサポート範囲を確認しておくことが重要です。次の章からは、システム選びの重要ポイント3つに加え、さまざまなシステムがある中でどのようなポイントに着目して比較すべきかについても解説します。

【重要な3つのポイント】

  1. 自社の事業に合っているか
  2. 自社に必要な機能が備わっているか
  3. サポート体制が充実しているか

【その他の比較ポイント】

  1. 導入形態を確認
  2. 対応OSを確認
  3. Excelに近い操作性か
  4. アプリと連動できるか
  5. 無料トライアルがあるか

連結会計システム選びに重要な3つのポイント

連結会計システムを選ぶ上で大切なのは、今の自社の状況を把握するだけでなく、将来的な展望や変化の可能性も見据えることです。自社に必要な機能やサポートについて、長期的な視野で検討しましょう。以下に具体的なポイントを解説します。

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自社の事業に合っているか

連結会計システムの機能はシステムによって異なるため、自社のニーズに対応した機能を備えたシステムを選ぶ必要があります。特に企業規模を考慮せずに選んでしまうと、機能不足で業務効率化への大きな効果を得られなくなってしまいます。

個人事業主や従業員の少ない中小企業などは、必要最低限の機能に絞りコストを重視する方向性でも問題ない場合が多く、クラウド型のサービスが推奨されます。ただし、インターフェースの使いやすさや将来的な成長を見越して拡張できるかは重要なポイントです。

大企業においては、部門別管理・連結決算など高度な機能が求められ、リアルタイムにグループ全体の財務状況を把握できることが大切です。複数ユーザーのアクセスが想定される場合にはアクセス制御やセキュリティ対策も考慮する必要があります。

自社に必要な機能が備わっているか

自社に必要な機能が標準搭載されていると、業務プロセスや要件に合わせてシステムをカスタマイズする必要が少なくなり、既存の機能を最大限活用できます。その場合、導入期間も短く済み、運用コストを抑えられます。

また、必要な機能が十分に備わっていれば作業の手間やミスを減らすことができ、業務効率化にも大きく貢献します。データ入力や処理が統一化され、一貫性のあるデータを保持しやすいのも利点です。

業務効率化に寄与する代表的な機能には、エラーチェック機能や海外拠点に対応した機能があります。以下に各機能について解説します。

エラーチェック機能

エラーチェック機能は、グループの経理担当者がシステムに直接データ入力する場合に便利です。複数企業のデータを統合して連結財務諸表を作成する際に、入力ミスが起こりやすい点を考慮して、エラーチェック機能を確認してからシステムを選ぶことを推奨します。

エラーチェック機能では、異常の値はないか、正しいフォーマットで入力されているかなどのデータの整合性チェックを始め、重複データの検出やデータ欠損の検出などを行います。

システムによっては、600項目以上のエラーチェックが可能なものや、エラーの重要度を管理画面から確認できるものもあります。エラーチェック機能があることでデータの正確性が向上し、エラー対応の時間と手間も軽減できます。

海外拠点に対応した機能

海外に拠点がある企業において連結会計を行う場合は、多言語・多通貨に対応した機能が重要です。多言語に対応した連結会計システムなら、情報共有や報告書作成において全ての拠点のスタッフが理解しやすい環境を作ることができます。

また、多通貨に対応した機能があると、正確な通貨変換が行われ、連結財務諸表に反映されるデータの信頼性を保つことができます。これらの機能が備わっていることにより、異なる国・地域の経営成績を比較・分析しやすく、グローバル展望をサポートします。

さらに、多くの国で採用されているIFRS(国際会計基準)に対応しているシステムなら、海外拠点と親会社の経理データの統合が容易です。IFRSに準拠した連結財務諸表は、国際投資家やビジネスパートナーの信頼性を向上させるメリットもあります。

サポート体制は充実しているか

連結会計制度は頻繁に改正され、企業のグループ再編やM&A(合併・買収)などによってグループ構造が変化することもあります。これらの変化に対応するためには、連結会計システムのサポート体制の充実が重要です。

国内外の法規制や制度の改正に対する新たな要件の導入に対応するには、システムのベンダーが迅速にアップデートを行ってくれるかがポイントです。また、グループ再編へのサポートやシステムの導入・運用におけるコンサルティングの可否も確認しておきましょう。

ベンダーによっては、導入後のトレーニングから会計制度や法規制の変更によるアップデート、問題発生時の対応などサポート範囲が広い場合もあります。

連結会計システム選びのその他の比較ポイント

ここでは、連結会計システムを選ぶ上でのより具体的なポイントを挙げて解説します。導入形態や対応OSなど基本にして重要なことを始め、操作性や便利機能など、複数のシステムを比較する際の基準を押さえておきましょう。

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導入形態を確認

システムの導入形態には、インストール型とクラウド型があります。インストール型は自社のサーバーにソフトをインストールして利用します。ソフト購入の初期費用はかかるものの追加料金はかからず、企業独自のニーズに合わせてカスタマイズしやすいのが利点です。

ただし、データ管理・セキュリティ対策・アップデートなども企業自身が行う必要があり、運用には専門知識を要する場合もあります。一方、クラウド型なら保守業務はベンダーが行ってくれるため、専門知識がない場合でも扱いやすいです。

クラウド型は、ベンダーに料金を払ってサービスを利用します。定期的にサービス利用料を払う必要がありますが、初期費用を抑えられて途中解約も容易です。柔軟な拡張ができる場合も多いですが、システム選びでは信頼できるベンダーか慎重に判断することが重要です。

対応OSを確認

対応OSの確認は、システムを導入する際の基本ステップです。連結会計システムは多くの場合Windowsに対応していますが、Macを利用している場合は、システムに推奨されるOS環境を事前に確認しておきましょう。

推奨されていないOSを使用すると、システムの互換性が損なわれ、システムが正常に動作せずエラーやバグを引き起こすリスクがあります。また、動作が安定しないことで、クラッシュやデータ損失の原因にもなります。

連結会計システムは財務データを扱う重要な業務を担うため、システムの安定性を確保するために推奨されるOSで利用するようにしましょう。

Excelに近い操作性か

Excelは広く普及しており、多くの経理担当者が使い慣れていることに加え、システム導入前の企業においてもExcelでの決算業務は珍しくありません。そのため、Excelに近い操作性を持つシステムならスムーズな移行が可能です。

Excel自体が直感的に操作しやすく、柔軟なデータ入力を可能にするため、システムの使いやすさの点でもExcelに近い操作性のシステムはおすすめです。データの集計や分析もしやすく、多くの場合はグラフやレポートを生成する機能も備わっています。

アプリと連動できるか

連結会計システムの中には、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末からアクセスできるものもあります。アプリ連動が可能な場合、時間や場所を問わず業務を遂行でき、リアルタイムな会計情報の更新・閲覧が可能です。

モバイルアプリを通じて簡単なデータ入力ができると作業効率も上がります。アプリ連動は、オフィスで業務を行う場合は必須の機能ではありません。しかし、働き方が多様化しタイムパフォーマンスが重視される現代においては、効率性向上を支援する機能です。

無料トライアルがあるか

連結会計システムを選ぶ上では、無料トライアルの利用を推奨します。トライアルを活用することで、実際の使用感・操作性・システムの機能・パフォーマンスを評価できます。必要な機能が含まれ、スムーズに動作し、ユーザーサポートが適切かどうかの確認も可能です。

また、実際の環境でテスト運用を行うと、経理担当者や経営者などの意見も収集でき、リスクやコストを削減できます。トライアルを通じて最適なシステムを選ぶことで、効率的な連結会計業務が実現できます。

特にインストール型の商品を検討している場合は、初期投資が大きいため、コストを抑えるためにも無料トライアルは積極的に利用することをおすすめします。

おすすめの連結会計システム3選

株式会社インプレス

連結決算システム iCAS

データ収集力◎ソフト不要で手軽な操作を求める方におすすめ

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ここがおすすめ!

  • Webを経由してデータ収集するため、子会社は専用ソフトのインストールが不要
  • 会計システムとの連携ができ、無駄なミスの防止にも
  • 独自のエラーチェック機能を搭載

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ここが少し気になる…

  • 中国語にも対応しているがオプションとなる

クラウド上で企業会計基準・実務指針に準拠した連結処理を行うなら、Excelのインターフェースを利用して作業できる、連結決算システム「iCAS」の導入がおすすめです。

株式会社マネーフォワード

マネーフォワード クラウド連結会計

短期間かつ低コストで導入したい中堅から上場企業におすすめ

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ここがおすすめ!

  • クラウドなので経営状況を「リアルタイム」で確認でき、同時操作も行える
  • シンプルで誰でも扱いやすい設計により、コミュニケーションコストを削減
  • WindowsはもちろんMacにも対応し、最短1ヶ月での導入が可能

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ここが少し気になる…

  • 「マネーフォワード クラウド会計」及び「マネーフォワード クラウド会計Plus」以外の会計システムは今後API連携の予定

株式会社電通国際情報サービス

STRAVIS

導入実績がありグローバル対応で探している方におすすめ

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ここがおすすめ!

  • 「月次連結」「連結予定表」といった管理連結業務にも標準対応している
  • 「グループ経営データ収集基盤」が充実しており、グループ経営に必要なデータを一元管理できる

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ここが少し気になる…

  • サポートが手厚く導入実績もある反面、料金表示がなく問い合わせの手間がかかる

連結会計システムの導入の仕方と注意点

連結会計システムを導入する際には、事前に導入目的を明確にし、システムのタイプと自社の目的に合っているかを確かめることが大切です。その他、費用対効果の検討やテスト運用も重要です。ここでは、それらの重要性やポイントについて解説します。

1. 導入目的とシステムのタイプが合っているか確認

連結会計システムには、スタンドアロンタイプ・システム連結タイプ・システム統合タイプの3つのタイプがあります。システムの導入目的に合わせて、適切なタイプを選択することが重要です。

「スタンドアロンタイプ」は、親会社が子会社の財務データを集約して連結財務諸表を作成します。子会社の負担は少ないものの、連結資料の収集やデータ入力は手作業です。連結会計を主目的とする場合に適しています。

「システム連結タイプ」は、子会社の会計システムと連結して動作します。データ収集は自動で行われ、グループ全体の統一性を保ちやすく子会社への負担も抑えられます。各子会社の独立性を保ちつつ、会計情報を迅速かつ正確に集約したい企業におすすめです。

「システム統合タイプ」は、親会社と子会社のシステムを統合するため連結資料の作成は不要です。ただし、導入コストが高くなりやすいです。情報を一元管理して、効率的な情報共有と統合管理を行う目的に向いています。

2. 費用対効果を確認

連結会計システムの比較検討では、システムの導入・運用にかかるコストを考慮します。ライセンス料や導入費用・カスタマイズ・アップグレード・サポート・メンテナンス費用・トレーニング費用などを事前に把握し、機能とコストのバランスを確認しましょう。

無駄なコスト(不要な機能)を避けつつ必要な機能を備えたシステムを選ぶことで、経済的な観点からも費用対効果の高い導入を目指すことができます。将来の拡張性や業務の要件も視野に入れ、組織のニーズに合った連結会計システムを選定することが重要です。

3. テスト運用をしてから導入を検討

テスト運用は非常に重要なフェーズです。これによって、システムの操作性や細かい機能を評価し、実際の業務に適したシステムかどうかを確認します。テスト運用の際にはシステムの操作性やユーザビリティを評価し、従業員が快適に利用できるかを確認します。

また、テストデータを用いて正確性と信頼性を評価し、正確な財務情報が得られるか確認することも重要です。連結会計に必要な機能がきちんと備わっているかも確認しましょう。連結財務諸表やレポート・分析機能もテストし、情報提供が十分に行えるかを評価します。

テスト運用をしないと、業務に適合しないシステムを導入してしまうリスクが高まります。効率性やデータの正確性に影響を与え、システム導入後に問題が発生した場合に手戻りが生じる可能性があります。コスト増加のリスクも大きいため、必ずテストを実施しましょう。

まとめ

連結会計システムは、効率的な連結会計業務と正確な財務情報の提供により、子会社やグループ会社の経営成績や財政状態を把握するための重要なツールです。システムの導入によって、グループ企業間の取引の透明性確保や、業務の効率化を図ることができます。

連結会計システムを選ぶ際には、自社の業務に適合しているかや、自社に必要な機能が備わっているかを確認しましょう。また、テスト運用を積極的に活用しながら、操作性や費用対効果も評価して、組織に最適な連結会計システムを選定しましょう。

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