※2024年5月自社調査。調査方法はこちら
読売新聞は、昨年10月20日の「新聞広告の日」にあわせ、4人の人気モデルの写真を全15段×4面で、47都道府県ごとに違うカットで掲載する広告展開を実施。特設サイトでは、4人のすべての広告写真を一挙に公開するとともに、モデルごとに広告写真を収めた写真集もそれぞれ発売した。新聞広告とウェブサイトを融合させ、新聞広告の新たな可能性を提示した取り組みとして注目を集めた。
「シンブンテイメント」ウェブサイト ほか三つ。4人のモデルごとにドメインを設定した 10月20日の読売新聞に人気女性誌モデルを起用した全15段×4面の広告を展開。ウェブサイトでは、この試みが47都道府県すべて別のカットで行われ、後に写真集が発売されることが分かるという仕組み。
昨年10月20日、読売新聞の朝刊紙面に、女性誌等で活躍する4人の人気モデルの全面広告が、1ページずつ、計4ページ掲載された。ただし、紙面には写真以外に情報はなく、手がかりは下部に記載されたURLのみ。そのURLにアクセスして初めて、実は47都道府県ごとに異なる広告写真が掲載されており、その全写真をウェブサイトで閲覧できること、また、それらを収録した写真集が後日発売されることが明らかになった。つまり、新聞広告とウェブサイトを結んだこの一連の展開は、モデルの写真集のプロモーションだったのである(写真集は11月27日に発売された)。 これは、新聞広告とエンターテインメントを融合した「シンブンテイメント」と呼ばれる新たな試みの一環。同社広告局企画開発部次長 宮川 功氏は、「新聞広告を見ただけでは広告に見えないが、ウェブサイトにアクセスすることですべてが明らかになる。その驚きが話題となって、ウェブを介し口コミで広がっていくことを期待しました」と仕掛けの狙いを語る。
11月27日に発売された写真集4冊。サイトのアクセスも、広告掲載時と写真集発売時に高まった。
誘導先のURLには、「nishiyama-maki-shimbun.com」のように、モデル名と「shimbun」を組み合わせて印象に残るドメイン名を採用した。紙面上に記載されたURLが強力な誘引動線となり、スタート時には約6万/日のアクセスを数えた。その後、時間の経過とともにアクセス数は若干減少したが、約1カ月後の写真集発売時には、再びスタート時と同等にまで戻り、盛り上がりを見せた。写真集はアマゾンなどのネットショップで好調に売れているようだ。 「新聞広告が『実はこんなに面白いんだ』ということを伝えたい」と語る宮川氏。今回の試みは、特に広告主や広告会社に大きなインパクトを与えたようで、「新聞広告がプロモーションの起爆剤になり得ることを提示できたのでは」と手応えを感じている。今後については、「若年層の取り込みを強化するために、モバイルサイトの展開も検討していくとともに、世の中によりインパクトを与えられるような新聞広告のあり方を模索していきたい」と宮川氏。ウェブサイトとの効果的な連携によって新聞広告など他メディアを活性化するという、新たな取り組みとして今後も期待が高まる。