※2024年5月自社調査。調査方法はこちら
殿様と町人が大広間で踊り出す「消臭プラグ」や、クマのぬいぐるみを乗せたアメ車が疾走する「ムシューダ」など、ユニークなテレビCMが話題のエステー。同社宣伝部では、CM関連のトピックスを紹介するウェブサイト「エステー宣伝部ドットコム」を独自に展開し、消費者との良好な関係構築に一役買っている。
エステー「エステー宣伝部ドットコム」 「ムシューダ」、「消臭プラグ」をはじめ、好感度の高い同社のテレビCMのメイキングムービーや製作秘話といった細かな情報が網羅されたサイト。視聴者との最適な距離感を保つための様々な工夫がなされている。
2004年からスタートした「エステー宣伝部ドットコム」は、同社宣伝部が主体となり、CMに関する話題を紹介するウェブサイト。企業ウェブサイト内にCM関連情報を掲載している企業は多いが、宣伝部が独自のメディアを持って情報発信している例は珍しい。同社宣伝部長兼クリエイティブ・ディレクターの鹿毛康司氏は、「企業ウェブサイトは、株主や取引先といった様々なステークホルダーに対しても情報発信する役割を担うので、ともすると情報が整理されていないように感じられることもある。そこでこのサイトは、我々宣伝部のステークホルダーである視聴者のみに対して、情報を分かりやすく発信している。特に、20代〜30代の女性にファンになってもらいたい」と話す。“自分たちのメディア”であることから、「エステー宣伝部ドットコム」(st-sendenbu.com)という独自ドメインで展開している。
宣伝部長兼クリエイティブ・ディレクター 鹿毛康司氏
CMのメイキング映像や制作エピソードのほか、「トカゲ編集長」がつづるブログで構成されるこのサイトからは、CM制作現場の和気あいあいとした雰囲気が伝わってくる。一見、「こんなことまで公開するの?」と思うような裏話も披露されているが、「手の内をすべて見せているわけではなく、視聴者が疑問に感じることはあえて書ないでおくことで、ブログで話題になり、さらにそれがメディアで取り上げられるという道筋を狙うこともある」と鹿毛氏。商品紹介や単なるCM紹介といった“企業の宣伝色”を徹底して排していることも特徴。「視聴者に親しみを感じてもらえる、ちょうどいい湯加減を計算しながら視聴者との距離を縮める」ことで、CMのGRP(延べ視聴率)以上の効果を狙っているのである。鹿毛氏によると、同社は長年、CM総合研究所の「CM好感度ランキング」において200位台(88〜03年)だったが、04年からは一気に上昇し、30位台をキープ。「クリエイティブの質の向上もさることながら、当サイトでの情報発信が功を奏している」と鹿毛氏は分析する。 このサイトはまた、視聴者の興味関心の傾向を測る格好のツールにもなっている。「アクセス数からは視聴者がCMにどの程度興味を持ってくれたのか、また検索キーワードからは視聴者が頭の中で思い付くキーワードの傾向が見える」(鹿毛氏)。10月からの月9枠では、毎回内容が異なる「消臭プラグ」のCMを11回シリーズで放映中。「視聴者の皆さんの気になる情報を発信しつつ、話題を喚起していきたい」と鹿毛氏は話している。