派遣社員の交通費精算は?インボイスの影響は?経費精算や勘定科目も解説

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  • 派遣社員の交通費は原則として派遣元が払う
  • 派遣社員の交通費は、派遣元が派遣社員に支払い→派遣先に請求という流れで精算する
  • 派遣社員に支払う給与の勘定科目は「人材派遣費」である

派遣社員の交通費は、原則として雇用主である派遣元が支払うことになっています。ただし出張の旅費は派遣先が払うなど派遣社員の経費精算は混乱しがちです。この記事では派遣社員の交通費精算の流れや知っておきたいポイント、給与の勘定科目などについて詳しく解説します。

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経費精算システムは、経費申請・承認業務を効率化してくれるツールです。しかし、さまざまな製品があるため、どのシステムを選べばよいのかわからないというケースも多いでしょう。この記事では、経費精算システム選びのポイントやおすすめのシステムを紹介します。

目次

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  1. 交通費規定が適用されるのは原則「社員」
  2. 派遣社員の交通費精算の流れ
  3. 派遣社員へのインボイス制度の影響
  4. 派遣社員の経費精算で知っておきたいポイント
  5. 派遣社員も確定申告は必要か
  6. 経費精算システムを活用すれば交通費精算がスムーズに
  7. まとめ
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交通費規定が適用されるのは原則「社員」

交通費は会社規定によって異なりますが、原則として派遣元が支払います。また、交通費は勘定項目の観点から大きく分けて出張費と通勤手当の2つがあります。

一方は派遣先が支払う必要があり、もう1つは派遣元が支払う決まりになっています。そのため、外注先が派遣社員に交通費を支払った場合、労働法令に鑑みると好ましくないという点から罰則を受ける可能性があります。

また、経費が派遣社員に支払う流れとして、大きく分けて3つの項目があり、派遣社員の交通経路の確認や経理精算に時間がかかる場合があります。会社によっては勘定項目が異なる場合があり、金額は変動しませんが明細をよく確認することが必要です。

その他にも日当での勤務の場合に、どのような経費の申請方法になるのかなど、この記事を参考にすることで業務効率化や、交通費の支給に関する不安を解消することができます。

参考:労働者派遣事業関係|よく聞かれるご質問集 – 東京労働局

参考:労働基準法 | e-Gov法令検索

派遣社員の交通費精算の流れ

派遣社員の交通費の支給には会社規定によって異なります。そのため、基本的には派遣社員が派遣元の交通費申請書に従って記入し、派遣元から派遣先に書式が送付されて請求になります。

派遣社員が派遣元に書類を申請後には、経理担当が勤務経路や金額の確認等の確認に時間がかかる点から、負担になることがあります。

そのため経理担当の負担にならないように、派遣社員は交通費の領収書を保管しておき、実際に支払った金額と領収書との差異がないようにしておく必要があります。一方で、会社によっては業務効率化の為にプリペイドカードや回数券を支給される場合もあります。

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派遣社員が派遣元に申請する

まずは、経費を申請するために交通費を申請する書式領収書を準備する必要があります。書式には、自宅からの経路を記入し、領収書は定期券やタクシーなど利用交通機関の明細書を保管しておきます。

経路の記入に関しては、不必要に迂回する経路を記入して交通費を割り増しすると、手続きに時間がかかることや、払い戻しを要求されますので、最短経路を記入しなければなりません。

最近では、定期券の明細のみで申請可能な派遣先もあるため、利用する度に記載や明細を発行する手間を省くことができます。

また、定期券で得をするほど利用回数が少ない場合には、回数券を購入されることをおすすめします。加えて、事前に経理担当が回数券を準備しておくことで、派遣社員に素早く支給できます。

日当の場合は、出張旅費計画規定に正しく明記しなければ、課税対象になる可能性があるので、漏れの無いように書類を作成しなければなりません。

派遣元から派遣社員に交通費を支払う

派遣社員から書類の提出を受けた後、会社の経費を使用するため経理部門が申請内容を確認します。最近では、経費精算システムを導入する企業も多くあるため、比較的早く交通費を受け取れる可能性もあります。

書類の確認作業では、派遣社員の定期利用の有無、最短距離を記入しているか、等のチェック項目があります。

仮に、不必要な経路を含んでいる場合には再度、提出を派遣社員にお願いしなければならないので、支給に時間がかかります。

派遣先が賃金を派遣社員に直接払いすると労働基準法違反となり、又、労働者供給事業に当たる事となるため職業安定法違反に該当します。そのため、法律面にも注意しながら交通費の申請・支払いを行う必要があります。

派遣元から勤務先に請求をかける

契約社員が記入し、派遣元がチェックした書類を勤務先に送付します。そこでも、出勤経路の確認や交通費と通勤の二重払いが無いかのチェックを行います。その後、問題がなければ勤務先から派遣元に請求金額を振り込みます。

交通費を請求する際は消費税を課税する

派遣元から勤務先へ交通費を請求する際は、消費税を課税します。派遣社員の場合、交通費も給与と同じように雇用主である派遣元から支払われます。そのため、交通費も派遣料、つまり派遣サービスの売上の一部として扱われ、消費税の課税対象となります

勤務先が、派遣社員への交通費を派遣料金の一部ではなく、単なる「交通費」として消費税非課税で処理してしまうと、派遣社員に直接交通費を支払ってしまうことになります。これは、「賃金は雇用主から労働者へ直接支払われる」という原則に反することになります。

参考:労働基準法 第二十四条|e-Gov法令検索

参考:労働者派遣事業関係|よく聞かれるご質問集 – 東京労働局

出張旅費等を派遣元が立て替える場合は非課税となる

これまで説明してきたように、派遣社員への交通費は派遣料の一部として派遣元から勤務先へ請求されますが、出張旅費など業務上必要な「経費」については扱いが異なります。

出張旅費等の経費に関しては、派遣先・勤務先双方合意のもと、勤務先が支払うことになっていることがあります。その場合、一旦派遣元がその経費を立て替え、あとから勤務先に請求するとしても、単なる「立替金」の扱いになるため、消費税は課税されません。

参考:労働者派遣事業関係|よく聞かれるご質問集 – 東京労働局

派遣社員へのインボイス制度の影響

そもそもインボイス制度とは

インボイス制度とは「適格請求書保存方式」のことです。買手は仕入税額控除を適用するために、売手から一定の要件を満たし交付を受けた適格証明書を保存する必要があります。売手は、事前に適格請求書発行事業者の登録を受け、課税事業者として消費税を申告する必要があります

参考:インボイス制度の概要|国税庁

インボイス制度とは?概要から影響までわかりやすく簡単に解説

インボイス制度とは、複数税率に対応した消費税の仕入税額控除の方式のことで、取引の正確な消費税額と消費税率を把握するためのものです。本記事では、インボイス制度によって変わることや影響することの他、導入にあたって準備すること・個人事業主への影響について解説します。

派遣社員側のポイント

派遣会社と雇用関係がある場合、派遣社員へのインボイス制度の影響はありません。給与は課税取引にあたらず、適格請求書を発行する必要がないためです。

しかし、派遣会社と雇用関係がない場合は注意が必要です。給与が実際は外注費として支払われているのなら、個人事業主として扱われていることになります。収入が1,000万円未満の免税事業者の場合でも、適格請求書の発行を派遣会社に求められるおそれがあるため、雇用関係の有無を確認しましょう。

派遣社員としての契約以外にも仕事をしており、個人事業主として業務委託を受けている場合も、適格請求書の発行を求められる可能性があります。給与以外に受け取っている報酬がある場合は、契約内容を今一度確認してみましょう。

受け入れ側のポイント①人材派遣料は仕入税額控除の対象

企業側が人材派遣会社に支払う人材派遣料は、仕入税額控除の対象となります。人材派遣会社の派遣先への役務の提供は、人材派遣会社には人材派遣による課税売上となり、派遣先にとっては課税仕入となるためです。企業側は「支払った人材派遣料」+「支払った消費税」を仕入税額控除に含むことができます。

受け入れ側のポイント②会社に求められる対応

取引している人材派遣会社が、課税事業者か免税事業者なのかで対応が異なるだけではなく、大きく損をすることも考えられます。今後の取引についても見直しの可能性が出てくる重要なポイントです。

人材派遣会社が課税事業者の場合

取引している人材派遣会社が課税事業者の場合は、その人材派遣会社が適格請求書発行事業者として登録しているか確認が必要です。適格請求書発行事業者かは、国税庁の公表サイトにて確認ができます。登録事業者であれば適格請求書を発行してもらえるので、仕入税額控除が受けられます。

参考:国税庁インボイス制度適格請求書発行事業者公表サイト

人材派遣会社が免税事業者の場合

令和5年10月1日から令和8年9月30日まで仕入税額相当額の80%
令和8年10月1日から令和11年9月30日まで仕入税額相当額の50%

人材派遣会社が免税事業者の場合は適格請求書を発行できないため、派遣会社に支払った消費税などの仕入税額控除を受けられません

ですが、インボイス制度開始後6年間は、一定割合を控除できる経過措置が設けられています。経過措置期間を利用し、課税事業者になるかどうかを検討する企業も少なくはないので、人材派遣会社との契約内容もあわせて確認しましょう。

参考:5 経過措置 (免税事業者等からの仕入れに係る経過措置) 【答】 適格請求書等保存方

派遣社員の経費精算で知っておきたいポイント

企業に勤めていると、経費で落とせる項目と落とせない項目が分からないことがあるでしょう。休日出勤やイレギュラー対応によって出勤日数も変動するため、効率的に精算できないこともあります。

加えて、派遣先から出張を依頼されたが、交通費は派遣元か派遣先かどちらに請求すれば良いか、新たに契約が必要なのか分からない場合があります。

また、会社によっては経費申請をする際に、「人材派遣費」または「外注費」・「外注工賃」と3つの項目があり、業務内容によっても異なる場合があります。

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派遣社員の給与の勘定科目は「人材派遣費」

人材派遣費は、派遣元に支払う派遣社員の派遣費用を管理するための勘定項目です。また、派遣されてきた派遣社員に直接報酬を支払う場合は、給与扱いになります。

人材派遣費に関連して、会社や作業内容等によっては外注費・外注工賃として勘定項目が適応される場合があります。そのため、項目が会社によってことなる場合がありますが、金額が変動することはありません。

派遣社員を出張させる場合は派遣先が旅費を負担する

基本的に派遣社員の出張はありませんが、稀に出張する場合があります。その際に、経費で落とせるのか気になりますよね。派遣元は派遣先までの交通費計算を前提として契約しているため、イレギュラー対応での出張は、派遣先の対応となります。

そのため事前に求人広告の記載事項を確認、または派遣先に出張の有無を問い合わせておくことで、不安を解消できます。

派遣社員を出張させるには契約書が必要

基本的には、派遣先での勤務のためあまり契約される方も多くないかもしれませんが、仮に出張を月に数回する派遣先であれば、労働者派遣事業関係の観点からその旨を契約書に明記しなければなりません。

派遣先の出張の有無について気になる方は、求人広告をよく読み、それでも不安や不明な点がある場合には派遣元までに問合せを行うことをおすすめします。

参考:労働者派遣事業関係|よく聞かれるご質問集 – 東京労働局

派遣社員も確定申告は必要か

基本的には会社が行うので、派遣社員は確定申告する必要はありません。また、複数の派遣会社を1年間で勤務した場合でも、その時点で勤務している企業に退職時に渡される源泉徴収票を提出することで、派遣社員は確定申告不要になります。

しかし、副業や雑所得として年間20万円以上の収益がある場合には、個人で確定申告しなければなりません。

経費精算システムを活用すれば交通費精算がスムーズに

昨今の効率化や生産性を上げることが求められている中で、経費精算システムの導入によって作業効率が各段に向上します。具体的には、クラウド上で経費をまとめて管理するシステムが多く導入されています。

これにより、エクセルで管理するよりも見やすく、経費精算に特化しているため、改めて書式を作成する必要がありません。また、ファイルを探す手間も省けるため、作業効率化にもなります。

最近では、経費の支払いをプリペイドカードで行えるサービスも提供されています。これによって、領収書を発行する手間が省け、リアルタイムで経理担当だけでなく利用者も金額を確認できるため、経費の申請をする必要がありません。

各企業の事情に合わせて、費用面を重視するのか、サービス面を重視するのかを考慮しながら経費精算システムの導入をおすすめします。

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経費精算システムは、経費申請・承認業務を効率化してくれるツールです。しかし、さまざまな製品があるため、どのシステムを選べばよいのかわからないというケースも多いでしょう。この記事では、経費精算システム選びのポイントやおすすめのシステムを紹介します。

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  • 導入前のサポートを受けたい場合は有償での対応となる

まとめ

派遣社員は原則、労働基準法違反となり、又、労働者供給事業の観点から派遣元が交通費を支払う決まりになっています。

支給までの流れとして、派遣社員の交通経路を書式に記入し、領収書と合わせて派遣元に提出します。そこから経理部門が内容をチェックし、派遣先に書類を送付すると共に、費用を請求します。

仮に、派遣先から出張を依頼された場合は、契約を交わして派遣先が出張費を支払います。もし派遣先から出張したくない場合には、事前に求人広告や派遣元に問い合わせておくことをおすすめします。

経費精算に関しては、勘定項目は「人材派遣費」または、会社の規定や状況によっては「外注費」や「外注工賃」に当たります。しかし、これらの項目は経費精算システムを導入することで、その都度振り分ける必要がなく効率的な業務が可能になります。

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