上場準備における反社チェック｜必要性・リスク・チェック方法を解説

上場会社ほど、利益を得られる可能性が高いという理由で、反社会的勢力の介入を受けやすくなります。そのため、上場（IPO）準備の際、反社会的勢力との関係の有無は、上場審査の重要な確認事項になります。本記事は、上場準備における反社チェックの必要性や方法を解説します。

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目次

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1. 反社チェックの手間を削減するなら高精度のツールがおすすめ
2. 反社チェックとは
3. IPOに反社チェックが必要な理由
4. 上場準備企業が反社と関わるリスク
5. 反社チェックの対象
6. 反社チェックと合わせて事前に行うべき対応
7. 反社チェックの方法
8. まとめ

反社チェックの手間を削減するなら高精度のツールがおすすめ

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反社チェックとは

反社とは「反社会的勢力」の略で、暴力団や暴力団と関係のある企業や、総会屋などの団体や個人を指します。反社会的勢力の定義は、「暴力・威力と詐欺的手法を駆使して掲載的利益を追求する集団または個人」とされています。

その多くは資金を得るために、組織の実態を隠して経営を行ったり、一般企業と接触を行ったりして収益を得ています。政府は「企業が反社による被害を防止するための指針」を示しており、反社会的勢力との関係遮断のために取り組みを強化しています。

そのため、企業では契約書や誓約書などにおいて「反社会的勢力排除に関する誓約書」を相互に示すことが必要になりました。取引開始を行う前に、相手が反社会的勢力との関係がないか確認をする意味でも「反社チェック」を行うことが推奨されています。

参考：企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針｜法務省

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IPOに反社チェックが必要な理由

上場準備企業は取引先や関係者が複雑化するため、反社会的勢力との接触の機会が高まりやすい傾向があります。IPO引受の段階から厳密な審査が始まっているため、反社チェックを必ず事前に実施しなければなりません。

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取引先や関係者が複雑化するため

上場準備企業は、取引先や関係者が複雑化するため、反社会的勢力との接触や取引の可能性

が高まります。反社会的勢力とはまったく関わりがないように見えても、中には裏で取引をしていたり、社員の中に紛れ込んでいたりする可能性も少なくありません。

取引先や関係者数が多く、反社会的勢力に対しての対策を強化していない上場準備企業はターゲットになりやすいためリスクが高まります。反社会的勢力と関わりがあった場合上場審査に影響するため、上場準備段階での反社チェックは非常に重要です。

上場申請時に証券取引所から確認されるため

上場を行う際は、証券取引所から上場申請企業と反社会的勢力の関係性を確認されるため、上場準備企業の状態でも反社チェックを行う必要があります。万が一、反社会的勢力との関わりが発覚した場合、上場に大きな悪影響を及ぼします。

確認される項目は「当法人・当社・当法人及び当社の役員・主な投資主又は株主並びに主な取引先等」とされ、関係者すべてが反社会的勢力と一切関わりがないことを「反社会的勢力との関係がないことを示す確認書」にて示します。

反社会的勢力への資金提供を断つため

反社は、資金を調達するために企業に近づき、経済取引を行おうとする傾向があります。もし、相手が反社であることに気付かず取引をしてしまえば、犯罪行為を行うために資金が活用されてしまうでしょう。

また、上場企業ほど反社にとっては利益を得やすいため、狙われやすい傾向にあります。そのため、反社に資金を調達させず、犯罪行為を防止・排除するためには、定期的な反社チェックの実施が必要不可欠です。

上場準備企業が反社と関わるリスク

上場準備企業が反社と関わるリスクは、上場廃止の可能性や企業存続に危険が及ぶケースが考えられます。反社との関りはコンプライアンスリスクにもなり、企業イメージに大きく影響します。以下で上場準備企業が反社と関わるリスクについて解説します。

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上場廃止になる可能性がある

上記で解説したとおり、上場申請時には証券取引所に「反社会的勢力との関係がないことを示す確認書」を提出し、反社会勢力と一切の関係がないことを示す必要があります。しかし、審査中に反社との関わりが発覚した場合大きな問題となります。

上場審査の基準の中には、反社会的勢力を排除するための体制が整備されているかという点も重視されます。そのため、審査中に反社とのつながりが発覚すれば、上場の申請が通らなくなる可能性が高いです。

企業存続が危ぶまれる

反社会的勢力との関係排除の取り組みは、コンプライアンスとして企業に求められるものです。そのため、反社との関係性が発覚した場合、企業の信頼が失墜しブランド価値の下落にも繋がります。

社会的に信頼を失った企業は、融資の停止・行政処分などを受ける可能性があり、経営存続の危機に追い込まれる結果となりかねません。顧客の信用だけでなく、経営に関わるすべての信用を失うため、徹底した反社チェックの実施が必要です。

反社チェックの対象

反社チェックはIPOのためだけでなく、上場後も継続的に実施する必要があります。上場企業ほど反社の介入を受けるケースが多い傾向があるため、取引先企業をはじめとし、自社の従業員や役員もチェック対象に含めましょう。

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取引先企業

取引先企業の反社チェックは、取引開始前に必ず実施しましょう。取引先企業の大株主・顧問弁護士をはじめとした外部の関係者、従業員・役員・株主など、企業内部の関係者を対象に反社との関わりがないか確認します。

取引先企業への反社チェックは定期的に継続して行う必要があります。また、取引先の企業だけでなく、自社に関係する個人事業主に対しても反社チェックが必要です。

新規取引先は特に注意が必要

新規取引先への反社チェックは、特に慎重に行う必要があります。まずは、インターネットや新聞記事・調査会社などを活用して、新規取引先の基本的なチェックを行いましょう。特に、どのような取引先と関係があるのかを入念にチェックします。

また、取引を開始する際には、地方自治体ごとに定められている「暴力団排除条例」の契約書に合意を求めることが効果的です。相手がスムーズに合意するかや、不審な動きがないかを確認することで、反社会的勢力である可能性を探れます。

参考：東京都暴力団排除条例について｜警視庁

従業員・役員

従業員・役員の反社チェックは、入社前・役員就任前に実施します。従業員は正社員のみならず、アルバイト・パートも対象です。学生のアルバイトでも反社会勢力と接触がある可能性は充分に考えられるため、必ず実施しなければなりません。

役員の場合、企業の中で重要なポジションとなり、就任後に反社との関わりが発覚すると大きな問題となるため、より慎重なチェックが必要です。本人だけでなく、親族や本人と関係のある企業などもチェックすることが重要なポイントとなります。

自社の株主

自社の株主の反社チェックは、株主を増やしたり変更したりする際に実施します。新規の株主になろうとする前に、大株主・顧問弁護士をはじめとした外部の関係者、代表者・従業員・役員・株主など企業内部の関係者を対象に反社との関わりがないか確認します。

広範囲を対象としたチェックを行うことで、株主からの信頼性も維持することが可能です。

反社チェックと合わせて事前に行うべき対応

IPO前に反社チェックと合わせて行うべき対応について解説します。社内規定で既に盛り込んでいる内容でも、IPOに向けこれを機に厳重な見直しを図りましょう。

不当要求への規定を明文化する

社内規定をはじめとした行動規範などで、経営トップが自ら反社会的勢力に対し倫理規定を宣言することは大前提にあります。反社会的勢力からの不当要求に備え、明文化された規定・規範を設けることは、長い企業生活で見たとしても非常に重要な対応です。

反社排除条項の記載を徹底

契約書など取引約款においても、反社排除条項を盛り込んでおくことが大切です。万が一、反社チェックをすり抜けた相手と取引成立まで進んだとしても、事前に契約書に記載していることで法的手段を用い、安全に関係を断ち切ることができるでしょう。

社内体制の整備を行う

IPOに向けて社内体制を整備することで、上場後も安心感のある連携体制を維持できるでしょう。不当要求への対応を統括的に管理する部署の設置をはじめとし、定期的な反社チェックと共に調査情報を一元管理・蓄積できます。

蓄積した情報をもとに対応マニュアルを設けることで、業務の属人化も防げ、チェックツールを導入することでより効率的な環境が整います。一時の反社チェックのためでなく、企業成長の未来を見据え整備するのが望ましいです。

反社チェックの方法

上場準備に必要な反社チェックの方法はいくつかあります。行政機関などで公的情報を検索したり、専門調査機関に依頼したりする方法があります。また、効率よくチェックを行うなら反社チェックツールを導入する方法もおすすめです。

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公的情報を検索する

反社チェックは公的情報を検索して行うことが可能です。行政機関への照会は、反社会勢力に関するデータベースを多く保有しているため、反社に関係する人物・団体に関して非常に信頼性の高い情報が得られます。

公的情報が検索できる行政機関は、警視庁の組織犯罪対策第三課や、暴力追放運動推進センター、または最寄りの警察にて可能な限りの情報を提供してくれます。検索したい取引先情報の資料を持参のうえ、検索を依頼すると良いでしょう。

専門調査機関に依頼する

反社チェックは専門調査機関へ依頼することが可能です。専門機関への依頼は、信用調査会社や興信所などが挙げられます。調査は、専門調査機関による精査の高い方法によって行われるため、信頼性の高い情報が得られます。

しかし、調査費用には多くのコストが必要になるため、依頼する際は調査方法などを確認し、顧問弁護士がいれば相談の上検討すると良いでしょう。または、反社との関わりがグレーゾーンである場合に利用するのもひとつの手段です。

反社チェックツールを導入する

自社で効率よく反社チェックを実施したい場合は、反社チェックツールの導入がおすすめです。反社チェックツールは、データベースの更新頻度の高いベンダーを選定することにより、信頼性の高い情報が得られます。

チェックしたい企業情報を入力するだけで簡単に検索することができるため、行政機関に出向いたり、専門調査機関に高い費用をかけて依頼したりする必要がありません。しかし、反社チェックツールは万能ではないため、人の手によるダブルチェックが必須です。

反社チェックツールは、導入・運用費用などコストがかかります。しかし、中には無料で利用できる期間を設けているベンダーもあるため、信頼性や操作性を試してから導入することも可能です。最新データが得られるかどうか必ず確認しましょう。

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まとめ

上場会社は反社会的勢力の介入を受けやすいリスクが高く、特に上場準備企業の場合は取引先や関係者が複雑化するため、反社との接触の機会や取引の可能性が高まるリスクがあります。

反社との接触や関係が明るみになった場合、上場廃止や企業存続が危ぶまれるため、反社チェックの必要性が高まっています。上場後も取引先企業や従業員、自社の株主に対して定期的な反社チェックを実施することが重要です。

反社チェックの方法は公的情報を検索したり、専門調査機関に依頼したりする方法があります。自社で反社チェックを効率よく行いたい場合は、反社チェックツールの導入がおすすめです。

更新頻度が高く、最新データを照会できる反社チェックツールを導入し、適切な反社チェックを行って反社会的勢力との関わりを防ぎましょう。