おすすめの無料の労務管理システム3選|機能や受ける制限を解説

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  • 無料で使える労務管理システムには、無期限のものと期間限定で無料のものがある
  • 労務管理システムの基本機能は、無料の労務管理システムでも提供されている
  • 無料の労務管理システムを選ぶ際は、機能だけでなく、セキュリティ面にも気を付ける

労務管理システムは、給与計算や福利厚生など、従業員が働きやすい職場環境を整備するための業務を自動化・効率化してくれます。本記事では、無料で使える労務管理システムの機能や制限について解説し、無料で使える労務管理システムの選び方、おすすめのシステムを紹介します。

目次

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  1. 労務管理の課題
  2. 無料の労務管理システムと有料の労務管理システムの違い
  3. 無料で使える労務管理システムの種類
  4. 無料の労務管理システムで使える主な機能
  5. 無料の労務管理システムに設けられている制限
  6. 無料の労務管理システム導入時のポイント
  7. おすすめの無料で使える労務管理システム3選
  8. 労務管理システムの選び方
  9. まとめ
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労務管理の課題

労務管理は企業経営における重要な役割を担っていますが、日本国内では特有の課題もあります。ここでは、労務管理の課題をいくつか解説します。

多様な就労形態に対応したトラブルの回避

現代では、少子高齢化に伴って労働人口が低下しているだけでなく、新型感染症の影響で働き方改革が浸透しており、在宅勤務やフレックスタイム制などの多様な就労形態が一般化している傾向にあります。

そのため、現状の需要に対応できない企業と労働者との間に食い違いが生じ、労務上のトラブルが個別化・多様化している状況にあります。これらのトラブルを回避するためにも、労務管理が担う役割が重要です。

情報管理におけるセキュリティ対策の徹底

働き方改革を意識したテレワーク・在宅勤務への対応などにより、企業内だけでなく個人のインターネット環境に関しても、セキュリティ対策を行う必要性が高まっています。経営者・管理者の目が届かない場所で作業を行う場合、情報漏洩などのリスクも高まります。

つまり、紙ベースでのやり取り・保管を削減し、クラウド・データ間での業務で作業は効率化されるものの、厳重なセキュリティ対策の徹底も行わなければなりません。このように、労務管理では情報管理におけるセキュリティ強化・対策が求められるのも課題の1つです。

無料の労務管理システムと有料の労務管理システムの違い

労務管理システムの多くは有料ですが、中には無料で利用できるものもあります。フリーソフトとして提供されるものでも、従業員情報の管理や入退社の手続きなどの基本的な機能を利用できます。

しかし、有料版との違いとして、利用人数に制限があることや、高度な機能は利用できないことが挙げられます。他にも、無料版ではサポートを受けられないことや、データの保存期間も限られていることもあります。

多くの場合、他のシステムとの連携も難しいですが、労務管理の基本的なニーズを満たすことは可能であり、小規模な事業者の業務効率化やトライアルとしておすすめできます。本記事では、無料の労務管理システムの種類・機能・制限などについて解説します。

無料で使える労務管理システムの種類

無料で利用できる労務管理システムにも、無期限で利用できるものと、期間限定で利用できるものがあります。各ツールによって、利用できる機能の詳細には違いがありますが、ここでは、各タイプのおおまかな特徴を解説します。

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無料で使える労務管理システムの種類

  1. 無期限で無料のタイプ
  2. 期間限定で無料のタイプ

無期限で無料のタイプ

無期限で利用できる労務管理システムは、将来的にビジネスが拡大したり、より高度な機能が必要になった時に、有料プランに移行できるように設計されているものが多くあります。有料プランに変更する際のデータ移行はスムーズに行え、利用環境の切り替えも容易です

永年無料で利用し続けることも可能ですが、利用できる機能には制限があるため、資金が限られている小規模な企業であれば、将来的な成長の可能性も踏まえて無料版を使い続けるのも1つの選択です。

無料であるため、導入コストが大幅に低減できるメリットがあります。従業員数や事業規模が大きい場合でも、有料版の本格的な導入に向けて、使い勝手や機能性を確認するためにお試しとして利用することも可能です。

期間限定で無料のタイプ

期間限定で利用できる労務管理システムは、トライアル期間中は無料で利用できますが、期間終了までに有料プランに切り替えるか、そのシステムをやめるか選ぶ必要があります。そのため、小規模な企業が長期的に利用するのには向きません。

前述の無期限タイプでは機能が制限されていることが多いですが、期間限定タイプの場合は、トライアル期間中は機能の制限なく使えるものもあります。システムの本格的な導入に向けて、全機能を確認しておきたい場合に役立ちます。

無料の労務管理システムで使える主な機能

労務管理システムは、無料版でも基本的な機能が利用できます。具体的な機能については、各ベンダーが提供するツールによりますが、一般的な基本機能は以下の通りです。ここでは、労務管理システムの基本的な機能について解説します。

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従業員情報の管理

従業員情報を管理する機能では、従業員の基本的な個人情報を始め、扶養家族やマイナンバー情報なども管理できます。基本的な個人情報には、氏名・住所・電話番号などがあり、入社時や変更時には即座に変更可能です。

扶養家族の情報は、人数・関係性・年齢を含み、これらは社会保険や給与計算において重要な情報となります。

これらの従業員情報は、さまざまな書類作成時に必要な情報であり、正確性が求められます。労務管理システムにおける従業員情報は一元的に管理されるため、一貫性があり、書類作成を容易にします。

入退社の手続き

新規従業員の入社手続きや従業員の退職時の手続きのサポートも、労務管理システムの基本機能の1つです。帳票のテンプレートが豊富に用意されており、入退社における必要書類の作成や情報入力を支援します。

無料の労務管理システムでも入退社に伴う書類作成から提出までのプロセスを一元管理できるため、ハローワーク・役所などの機関への書類提出の事務負担を軽減することが可能です。

雇用契約書の作成・締結

雇用契約の締結や書類作成に関する機能では、テンプレートを使用して、企業のポリシーや法的要件に基づいて契約書を自動的に生成することができます。給与・労働時間・福利厚生・勤務地などの契約条件は、企業のニーズに合わせて柔軟に設定可能です。

また、契約の期限や自動更新の設定もでき、契約管理も容易に行えます。秘密保持契約書や競業避止義務を規定する契約書など、雇用契約に関連する他の契約書の作成もでき、システム上で統合的に管理することができます。

一部の労務管理システムにおいては、電子著名の機能を備えている場合もあり、デジタル契約も可能です。

Web給与明細

Web給与明細は、従業員が自分の給与明細をWeb上で確認できる機能で、労務管理システムが提供する主な機能の1つに含まれます。従業員がいつでも自身の給与情報にアクセスでき、紙の発行や配布の手間とコストの削減が同時に図れます。

また、一部の労務管理システムには、給与計算機能が含まれることもあり、従業員情報や勤怠情報に基づき給与計算を行います。手動の計算よりも正確ですが、効率性を向上させるためには、必要な情報の取り込みが鍵となり、場合によってはシステム連携が必要です。

Web給与明細は、従業員にとっても可視性や利便性が高く、システム上で行うメリットが大きい機能といえます。

休日・休暇管理

労務管理システムの中には、休暇に関する情報を管理する機能を備えているケースもあります。有給休暇や特別休暇など各種休暇を管理し、残りの休暇日数や利用状況などを確認できるため、適切な休暇取得が促進されます。

また、休暇の申請や承認のプロセスもシステム上で可能であり、紙の書類を作成・保管する手間がなく、システム上ですべて処理できます。

休日・休暇管理は、勤怠管理との関連性も高いため、勤怠管理機能の一部に含まれていることもあります。その場合は、タイムカードや自動計算などの勤怠管理の基本機能があるかも確認しましょう。

年末調整

労務管理システムには、年末調整に関するサポート機能もあります。年間を通じて従業員の給与から差し引かれた源泉徴収税額・社会保険料・雇用保険料などの情報をまとめ、源泉徴収票を自動的に生成することができます。

また、扶養控除申告書や保険料控除申告書も、必要情報に基づき自動的に作成できます。これらのサポート機能は、年末調整に関する書類を従業員に提供し、必要な機関への提出をスムーズにします。一部のシステムでは電子提出に対応している場合もあります。

無料の労務管理システムに設けられている制限

無料の労務管理システムでも、前述で解説した基本的な機能を利用することができますが、制限もあります。代表的なものに、利用人数・データ容量・サポートなどがあり、ここでは、無料版の利用制限について解説します。

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利用人数に制限がある

無料版の制限の代表的なものとして、利用人数の制限があります。有料の労務管理システムは、一般的に利用人数に応じたプランが用意されており、利用料金が1人単価×利用人数に設定されていることが多いです。

利用人数が多いほど費用もかかりますが、有料版では基本的に利用人数に制限はありません。しかし、無料版では利用人数に上限が設定されていることが多いです。

労務管理システムでは、管理者以外の従業員もシステムに登録・アクセスするため、従業員数が増える可能性がある場合は、有料プランへの移行が求められます。

データの保存期間や容量に制限がある

無料版の労務管理システムでは、データの保存期間や容量に制限が設けられているケースもあります。保存期間は1ヶ月〜1年間と、各サービスによってばらつきがありますが、この制限は、必要な情報をデータとして出力・保存する手間が増えることを意味します。

労務管理システムで扱う書類や帳票類は、法令で保存期間が定められていることがあります。そのため、オンライン上で利用するシステムでは、データ保存しておかないと、保存期間を過ぎた場合に法令を違反するリスクが高くなります。

ただし、どの無料版でもシステムでも、必ずしもデータ出力ができるとは限らないため、利用前に必ず確認しておきましょう。また、データの容量制限においては、大量のデータを扱う可能性が高いかどうかを踏まえて、利用を検討する必要があります。

有料版ではこれらの制限はないケースが多いため、保存期間や容量制限によって不都合が生じた際は、最初から有料版を検討するのも一つの選択です。

サポートに制限がある

労務管理システムの無料版は、有料版よりもサポートが手薄なことが多いです。有料のみサポートが充実している場合もあれば、有料無用問わずサポートが手薄なケースもあるため、無料版だからサポートが少ないのか、それともベンダーの特徴なのかを見極めましょう。

制限の代表例としては、問い合わせ方法やメールのみという限定的な受付が多く見られます。また、対応時間や対応日数にも制約が設けられているケースもありますが、これはもともと有料版でも365日24時間対応ではない場合もあります。

そもそもサポート自体が受けられない場合もあるため、トラブル発生時は、ヘルプページやサポートページなどを見て、自力解決することが求められます。

広告が表示されることがある

労務管理システムに限った話ではありませんが、無料版のシステムでは、運営や開発コストを賄うために広告を表示させていることがあります。基本的に広告は無料版のみで表示され、有料版には表示されません。

広告の表示の仕方は各サービスによって異なり、場合によっては画面上のスペースを占有し、操作の妨げになることもあります。

内容についても利用者にとって望ましくないケースがあり、「無料で利用できるから仕方ない」と軽視せずに、適切なビジネス環境を意識して検討することが大切です。

セキュリティ対策は基本レベル

セキュリティにおいても無料版は注意が必要です。有料版では、暗号化アルゴリズム・セキュリティプロトコルなどが利用されたり、多層認証に対応したりと、高度な技術を採用しています。アクセス制御や権限管理も柔軟な調整が可能な場合が多いです。

一方で、無料版においては、サービスによって採用している技術は異なり、SSL暗号化技術やアクセス制御を提供していることもあります。しかし、あくまでも基本的な対策のみで、セキュリティ性を確保するには不十分な可能性があります。

セキュリティアップデートの頻度や対応も限定的な場合が多く、通常は、無料提供の範囲内でしか行われません。

無料の労務管理システム導入時のポイント

無料の労務管理システムは利用人数や機能に制限があることから、導入時は有料の労務管理システムとは異なるポイントを押さえなくてはなりません。ここでは、無料の労務管理システムを導入する際のポイントを解説します。

一時的であることを前提に利用する

無料の労務管理システムはデータの保存期間や容量の観点から長期間の使用には向いておらず、本格導入のためのお試しなど、一時的であることを前提に活用しましょう。

基本的に労務管理業務で扱うデータの保存期間は短いものでも2年以上であり、年末調整に関するデータは7年間の保存が義務付けられています。無料の労務管理システムの多くは1年間のデータしか保存できず、データ出力などの手間が増えます。

長期的に使用するとデータの扱いが複雑化するため、労務管理に初めて取り組むスタートアップ企業や、システムでの労務管理を検討している企業がお試しとして導入するのに適しています。

参考:No.2503 給与所得者の扶養控除等申告書等の保存期間|国税庁

有料のシステムへの移行を視野に入れておく

前述の通り、無料の労務管理システムは長期間の使用に向いていないため、将来的には有料のシステムに移行するということを視野に入れて導入しましょう。

業務フローや体制を見直してデータに関しての懸念点をクリアしたとしても、自社が成長して従業員が増えるとシステムの利用人数の上限を超えてしまい、一部の従業員しかシステムで管理できないといった状況になってしまいます。

導入後の成長が見込まれる、もしくは成長を目標としている場合はいずれ有料システムに移行しなければならない点ということを把握した上で無料の労務管理システムを導入しましょう。

おすすめの無料で使える労務管理システム3選

無期限で無料で使える労務管理システム

株式会社DONUTS

ジョブカン労務HR

経費や勤怠との連携も◎ジョブカン既存ユーザーにおすすめ

GOOD
ここがおすすめ!

  • ジョブカン経費精算・勤怠管理との連携が可能で、必要なサービスを無駄なく活用できる
  • 社会保険・労働保険の手続きは帳票の作成から提出までサポート
  • 従業員の管理は自動化し効率よく、かつ可視化で分かりやすい

MORE
ここが少し気になる…

  • 1つのサービスだけでバックオフィスの一元化をしたい方には不向き

期間限定で無料で使える労務管理システム2選

freee株式会社

freee人事労務

新プランでより使いやすく◎従業員が多い企業におすすめ

GOOD
ここがおすすめ!

  • 従業員が増えても業務量を抑えて余裕を持たせた業務フローを作れる
  • 最新のセキュリティ技術を採用し、最新の法令と税制にも対応
  • 共通する必要な情報の入力は1度で済み、給与計算や年末調整も効率よく行える

MORE
ここが少し気になる…

  • スマホからの出退勤が使いにくく、全体的に持て余してしまう機能もある

株式会社マネーフォワード

マネーフォワード クラウド人事管理

入退社と人事異動の手続きをメインにしたい方におすすめ

GOOD
ここがおすすめ!

  • 収集や管理がペーパーレスででき、情報収集も手軽に行える
  • 散らばりがちな社員情報を1つのデータベースに集約できる
  • 勤怠や給与などの連携もしやすく、転記の必要がない

MORE
ここが少し気になる…

  • 入退社や人事異動メインの場合はいいが、その他の機能を使用したい場合は別途サービスに加入する必要がある

労務管理システムの選び方

労務管理システムを選ぶ際は、有料・無料問わず対応している業務範囲を確認し、操作性に優れた使いやすいシステムを選びましょう。人事管理ソフトなど他のシステムと連携することでより労務管理業務の効率化が図れるため、導入済みのシステムとの連携性も重要です。

労務管理は、勤怠管理や給与計算などとも関連性が高いため、システム間で連携することで、データの一貫性を保ちやすく、業務の効率性が向上します。その他、以下のポイントを押さえて選ぶことが推奨されます。

【重要なポイント3つ】

  1. 対応している業務範囲を確認
  2. 従業員が使いやすいか
  3. 他システムと連携できるか

【その他の比較ポイント】

  1. 電子申請に対応しているか
  2. 利用料金が見合っているか

まとめ

無料の労務管理システムでは、従業員情報の管理・入退社の手続きを始め、基本的な労務管理をサポートする機能を利用できます。無料期間の制限がない場合は、小規模な企業での利用もおすすめできますが、有料版も見据え、トライアルとして利用する姿勢が大切です。

無料の労務管理システムは機能や利用人数に制限があるため、自社が成長するにつれ無料のシステムでは管理しきれなくなり、有料のシステムへの移行が必要になります。

無料版の労務管理システムを選ぶ際には、各サービスを比べながら、有料版に移行する可能性を踏まえることが重要になります。有料版における機能やサービスの違いも確認してスムーズな移行に備えつつ、低コストで業務効率化を実現しましょう。

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