パスポート発行費用は経費になる?勘定科目・精算時の注意点も解説

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  • 海外出張が目的でパスポートを発行した場合、その費用は経費として計上できる
  • パスポート発行費用の勘定科目は「租税公課」もしくは「旅費交通費」である
  • 役員以外の従業員、個人事業主のパスポートは按分計上するのが一般的である

海外出張が目的でパスポートを発行する場合、その費用は経費として計上することができます。この記事ではパスポート発行費用を経費にするために気をつけたいポイントや仕訳時の勘定科目、経費にならないケースなどについて解説します。

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経費精算システムは、経費申請・承認業務を効率化してくれるツールです。しかし、さまざまな製品があるため、どのシステムを選べばよいのかわからないというケースも多いでしょう。この記事では、経費精算システム選びのポイントやおすすめのシステムを紹介します。

目次

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  1. 海外出張のパスポート発行費用は経費になる
  2. パスポート発行にかかる費用(東京都の例)
  3. パスポート発行費用の勘定科目
  4. パスポート発行費用が経費にならないケース
  5. パスポート発行費用を経費にするための注意点
  6. 個人事業主のパスポート発行は経費になるか
  7. 経費精算ソフト導入で複雑な仕訳もスムーズに
  8. 経費精算を効率化できるおすすめの経費精算システム
  9. まとめ
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海外出張のパスポート発行費用は経費になる

現代のグローバル社会において、仕事での出張は日本国内に留まらず、隣国の中国・韓国をはじめ東南アジアや欧米諸国など、海外へと渡る企業も増えてきました。

国外へ出る際に、まず必要となるのがパスポートです。パスポートを申請するには、手数料や印紙代など、ある程度まとまった額を支払わなければなりません。そのため、パスポートの発行費用が経費になるか否かは気になるポイントです。

結論から言うと、海外出張を目的としたパスポートの発行費用は、経費として計上することが可能です。ただし、経費にするにはいくつか条件があり、なかには経費として認められないケースもあります。

パスポート発行にかかる費用(東京都の例)

パスポートを発行するのにかかる費用は、有効期間や年齢によって区分されています。有効期間には5年用と10年用の二種類があり、どちらかを選ぶことができます。

ただし、未成年者には5年用のみの発行となります。パスポートには本人確認のための顔写真が載りますが、未成年は経年による顔の変化が大きいためです。

成人年齢の20歳から18歳への引き下げにより、2022年4月からは18歳以上であれば10年間有効のパスポートを申請することが可能になりました。また、5年間有効のパスポートは、申請時の年齢が12歳以上か未満かで異なります。

下記は、東京都においてパスポートを新規申請または切替や訂正の申請をした場合にかかる料金の一覧表です。収入印紙代は全国一律ですが、その他にかかる申請手数料は都道府県などの自治体によって異なる場合があります。

有効期間手数料収入印紙合計
10年間有効2,000円14,000円16,000円
5年間有効
(12歳以上)
2,000円9,000円11,000円
5年間有効
(12歳未満)
2,000円4,000円6,000円

参考:パスポート手数料一覧|東京都生活文化スポーツ局

パスポート発行費用は非課税

パスポートの発行費用を経費として計上する際は、非課税扱いとなります。パスポートの申請費用には、収入印紙代が含まれています。そのため、パスポートが発行された時には既に、税金が支払われていることになるからです。

申請時に必要な書類と費用

パスポートを申請する際には、まず戸籍謄本や住民票の写しなどの書類を取得します。戸籍謄本の発行手数料は、全国ほぼ一律で450円程度です。住民票の発行手数料は、300〜400円と自治体によって多少の差があります。

また、証明写真も必要です。無人写真機のスピード写真を利用すれば700円くらいから撮影できます。パスポート用の写真設定が付いている機械が多いので、サイズを合わせるのに便利です。

プロの写真家にスタジオで本格撮影してもらう場合は数千円から10,000円近くかかることもあります。綺麗に写るためのアドバイスや、目を閉じてしまったなどの場合にも対処してもらえるのが魅力です。

お手持ちのデジカメで撮影して安く済ませることも可能ですが、顔の位置や大きさを含め既定サイズに合わせるのはなかなか難しいです。また、プリントが不鮮明だと受け付けてもらえないので、専用のスピード写真機またはスタジオでの撮影が無難です。

必要な書類費用
戸籍謄本450円
住民票の写し300~400円
証明写真700~10,000円

パスポート発行費用の勘定科目

パスポートの発行費用を仕訳する際の勘定科目には、主に「租税公課」と「旅費交通費」とがあります。それぞれの勘定科目の特徴や、写真代などの仕訳について解説します。

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「租税公課」もしくは「旅費交通費」、写真代は「雑費」

勘定科目「租税公課」には、国や都道府県・市町村へ納める税金(租税)と公共団体へ支払う会費など(公課)があります。

パスポートの発行代金には、国へ支払う税金としての収入印紙代や、地方自治体へ支払う発行手数料を含んでいるため、仕訳の際は「租税公課」の科目で処理するのが一般的です。また、申請時に必要な戸籍謄本や住民票などの書類発行手数料も、租税公課に該当します。

もしくは、パスポートの発行にかかる代金を、海外出張先への往復に必要な費用として「旅費交通費」に含めて勘定することもできます。証明写真の撮影代金については、「雑費」または「消耗品」の科目で計上します。

条件を満たせば「福利厚生費」にできる

パスポートの発行費用は、他に「福利厚生費」として勘定することもできます。福利厚生費は会社が従業員のために支払う費用を指しますが、仕事用に取得したパスポートは、プライベートで海外へ行く際にも有効だからです。

ただし、福利厚生費として認められるのは、「賃金とは別」「対象範囲は全従業員」「社会通念上、妥当な金額」である場合のみです。これらの条件を満たすことで、福利厚生費としての計上が可能になります。

パスポート発行費用を経費計上する際に使用できる、主な勘定科目とその内容

勘定科目内容
租税公課国や都道府県・市町村へ納める税金・公共団体へ支払う会費など
旅費交通費出張の際に利用する交通機関や宿泊先などへ支払う費用
福利厚生費会社が従業員のために支払う、賃金以外の費用

パスポート発行費用が経費にならないケース

出張のためのパスポート発行費用は、基本的には経費としての計上が可能ですが、私用目的で取得した場合や仕事に必要であったことを証明できない場合など、経費として認められないケースもあります。

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プライベートで取得した

出張の予定がないにも関わらずパスポートを申請した場合は、私用目的での取得とみなされます。仕事とは無関係なため、経費にすることは当然できません。

元々プライベート用に取得してあったパスポートを、海外出張に使用する場合にも経費としての計上は難しいです。ただ、同じ出張をするのに、パスポートを既に持っている従業員とこれから取得する従業員とで差がつくことになってしまうのも問題です。

このような不公平感をなくすには、パスポートの取得時期に関わらず、発行に必要な費用の一部を出張準備金として一律に支給するなど、旅費に関する規定を設けておくのも一つの方法です。

仕事に必要であったことを証明できない

パスポートの発行費用を経費として計上するには、パスポートが仕事上必要であったことの証明がいります。

海外出張で利用した宿泊先の資料や取引先で交換した名刺などは、きちんと保管しておきましょう。このような証拠を残しておくことで、税務署への説明もスムーズに行うことができます。

社員旅行が目的

社員旅行は海外へという企業も少なくありません。会社のイベントなので、仕事での出張と同様に考えて良いようにも思えます。

しかし、社員旅行を目的としたパスポートの発行費用は、経費とはみなされません。経費計上の対象になるのは、あくまでビジネスで使うために取得した場合です。

パスポート発行費用を経費にするための注意点

仕事上必要なパスポート発行費用を確実に経費として計上するために、注意しておきたい点があります。渡航の証拠・旅費規程などについて、詳しく解説します。

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海外渡航した証拠を残しておく

海外渡航した証拠になるものを残しておくことは、パスポートの発行費用を経費計上する上で最も大切な事柄といえます。宿泊先の領収書はもちろん、海外の取引先と交わした資料ややり取りの記録などを整理しておきましょう。

役員以外のパスポートは半額負担が基本

パスポートの有効期間は5~10年ですが、その間に従業員が退職する可能性もあります。代わりに入った従業員に海外出張を依頼する場合は、パスポートの発行費用を再度会社が負担することになります。

このような事態を想定して、殊に役員以外の従業員には半額負担と定めている企業も多いです。発行されたパスポートはプライベートで使うこともできるので、按分計上を基本とした考え方でもあります。

あらかじめ旅費規程を定めておく

旅費規程とは、交通費・宿泊費など出張に関する経費を精算する時の基準となるものです。内容は、企業によって異なりますが、出張中の通信費や食費の補助を含む日当を定めている企業も多くあります。

海外出張の際のパスポート申請費用についても、あらかじめ旅費規程に組み込んでおくことをおすすめします。また、旅費規程の内容を全従業員に周知しておくことで、出張経費の精算を巡るトラブルを避けることができます。

個人事業主のパスポート発行は経費になるか

企業に勤める会社員ではなく、個人事業主がパスポートを発行した際の費用はどのような扱いになるかも、気になるポイントです。

この場合にも、パスポートの取得が仕事に必要なものと証明できれば、経費にすることができます。ただし、会社員とは異なり、仕事先への訪問に個人の旅行を兼ねることが可能な場合も多いです。

そのため、個人事業主のパスポート発行費用は、仕事とプライベートとの使用割合に応じた按分計上をするのが一般的です。

経費精算ソフト導入で複雑な仕訳もスムーズに

パスポート発行にかかる費用の複雑な仕訳を含め、経費の精算をよりスムーズに行うには、経費清算ソフトを取り入れるのも一つの方法です。

経費精算ソフトはさまざまなメーカーから販売されているので、自社の処理方法に合ったソフトを選びましょう。また、機能は限られますが、無料で使用できるものもあります。まずは気軽に試してみることをおすすめします。

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経費精算システムは、経費申請・承認業務を効率化してくれるツールです。しかし、さまざまな製品があるため、どのシステムを選べばよいのかわからないというケースも多いでしょう。この記事では、経費精算システム選びのポイントやおすすめのシステムを紹介します。

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まとめ

海外へ出張する際に必要となるパスポートの発行費用は、経費として計上することができます。しかし、取得したパスポートは個人的に使用することも可能なため、一般的には按分計上が基本です。

経費として計上するには、パスポートが仕事上必要であることを証明しなければなりません。宿泊先や取引先の資料など、海外で仕事を行った記録を確実に残しておきましょう。

また、あらかじめ旅費規程を定めておくことで、経費の支払いに関するトラブルを避けることができます。経費の精算をよりスムーズにするために、経費精算ソフトの導入がおすすめです。

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