請求書の電子化のメリット・デメリット|注意点や導入のコツも解説

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  • 請求書の電子化により、請求書をPDFなどの電子データで作成して取引先に送付できる
  • 請求書の電子化を行うことで、業務負担が減り、テレワークの推進にも繋がる
  • 請求書の電子化を進める際には、取引先への周知・合意や、業務フローの見直しが必要

請求書の電子化は、請求書をPDFなどの電子データで作成して取引先に送付できるため、発行にかかるコストや業務負担が軽減されます。本記事では、請求書の電子化が進む制度や法律や電子化された請求の種類の他、メリット・デメリット、導入時の注意点やコツについて解説します。

目次

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  1. 請求書発行システムを検討するならこのサービスがおすすめ
  2. 請求書の電子化とは
  3. 請求書の電子化を後押しする制度や法律
  4. 電子化した請求書も法的に有効
  5. 電子化された請求書の種類
  6. 請求書の電子化のメリット
  7. 請求書の電子化のデメリット
  8. 電子請求書を送付する方法
  9. 電子化された請求書をやり取りする際のコツと注意点
  10. 電子請求書発行システムを選ぶ際のポイント
  11. まとめ
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請求書の電子化とは

請求書の電子化とは、電子的に作成した請求書を電子的にやりとりすることです。具体的には、PDF・請求書作成ソフト・クラウドツールなどを利用して作成した請求書をWebやメールなどで取引先に送ることを指します。

請求書は従来、紙でやりとりすることが一般的でしたがWeb化が進み、電子請求書は法的にも有効であり、作成や送付も効率的なため、近年は電子請求書へと移行する企業が増えています。また、作成用のソフトウェアやクラウドツールも充実しています。

デジタル化との違い

電子化とデジタル化は、どちらも似た意味で用いられますが、請求書を決まったデータ形式や標準化された構造で作成することを「デジタル化」と言って区別する場合があります。

具体的には、ある規格に準拠した請求書を指しますが、国際的に広く利用される規格には欧州規格の「Peppol」・XMLベースの「UBL」・電子請求書規格の「CII」などがあります。

一方で「電子化」は、電子的に作られること全般を指し、より広い概念として使われる言葉です。しかし、明確に定義されているわけではなく、「電子化」「デジタル化」の用語は混同されることもしばしばあります。

請求書の電子化を後押しする制度や法律

国は経済社会のデジタル化を推進しており、請求書の電子化は法律によっても後押しされています。ここでは、請求書の電子化に関わる制度や法律として、「電子帳簿保存法」「インボイス制度」「e-文書法」について、概要を紹介します。

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請求書の電子化を後押しする制度や法律

  1. 電子帳簿保存法
  2. インボイス制度
  3. e-文書法

電子帳簿保存法

電子帳簿保存法(電帳法)は、税法で義務付けられた帳簿や書類を電子データで保存するための法律です。1998年から施行され、複数回改正されてきましたが、2022年1月から施行された改正電帳法では、「電子取引」に関するデータ保存の義務化が含まれています。

これにより、電子で受け取った請求書は電子で保存することが義務付けられました。2年間の猶予期間はあるものの、2024年1月にはこの義務に則らなくてはなりません。電子帳簿保存法では、3つの保存方法が定められており、その方法は以下の通りです。

  1. 電子帳簿等保存:自分が作成した帳簿や決算関係書類などをデータのまま保存
  2. スキャナ保存:紙で受領・作成した書類を画像データで保存
  3. 電子取引データ保存:電子的にやりとりした取引情報をデータで保存

参考:国税庁「電子帳簿保存法が改正されました」

インボイス制度

インボイス制度とは、2023年10月1日から導入された複数の税率に対応した消費税の仕入税額控除の方式です。制度上、仕入税額控除を受けるためには、特定の要件を満たした適格請求書(インボイス)の発行と保存が必要になります。

軽減税率制度への対応や益税の排除を目的としているインボイス制度ですが、請求業務の煩雑化が予想される点で、電子化の観点からも注目を集めています。請求業務を効率的に進めるためにも、請求書の電子化が推奨されます。

参考:国税庁「インボイス制度の概要」

e-文書法

e-文書法とは、日本において紙での保存が義務付けられている文書について、電子的な記録による保存を原則的に容認する法律です。電子帳簿保存法が国税に関わる書類の保存について定めているのに対し、e-文書法は民間分野における書類の保存について定めています。

紙での保存義務が民間の企業活動の阻害の要因となっていることを受け、2004年に制定されました。この法律では、電子的な保存を原則的に認めるため、電子的な作成や保存によって効率的に業務を進めることができるようになっています。

電子化した請求書も法的に有効

電子化した請求書は法的に有効です。ただし、そのためには真実性や可視性を確保しなければいけません。真実性・可視性とは「改ざんできないこと」「見やすい状態で保存すること」などを指し、具体的にはタイムスタンプの付与や検索機能などがあります。

また、電子化した請求書の保存義務については、紙の場合と同じで7年間の保存義務があります。もちろん正しい税率や税額など税法上の要件も遵守しなければ有効とみなされません。

電子請求書に印鑑は不要

電子請求書に印鑑は不要ですが、そもそも法律上、請求書に押印の義務はないため、紙・電子に関わらず請求書に印鑑は本来必要ありません。

ただし、請求書への押印は、取引先との関係において発行者の真正性を確保し、改ざんしにくくするための一つの手段です。法的効力はなくても、取引において信頼性を確保する一環として角印や認印などが押印される場合があります。

電子請求書の場合は、電子印鑑や印鑑の画像データを代用的に使用することもあります。

電子化された請求書の種類

電子請求書は通常オンライン上でやりとりしますが、送信や閲覧などの方法の違いによって主に3種類に分けられます。ここでは「メール型」「ダウンロード型」「システム型」のそれぞれの方法の違いについて解説します。

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電子化された請求書の種類

  1. メール型
  2. ダウンロード型
  3. システム型

メール型

メール型の請求書とは、PDFを始めとするファイルを添付する方法です。メール本文に請求内容の詳細を記載しても成立しますが、効率性や取引先の手間も考慮すると、ファイル添付が一般的です。

メール型は手軽な電子化の方法ですが、電子帳簿保存法上、取引先は受け取った請求書を電子的に保存しなければいけません。そのため、ビジネスマナーとして事前に承諾を得ることが推奨されます。

また、情報漏洩のリスクがないかにも気をつけなければならず、メールアドレスに間違いがないかも注意する必要があります。

ダウンロード型

ダウンロード型の請求書とは、ウェブサイトからダウンロードして入手する形式です。一般的には、ダウンロードリンクをメールなどで取引先に送り、取引先はリンク先からダウンロードして請求書を確認します。

特定の権限を持つ人しかダウンロードできないように、パスワードでロックをかけることも可能です。ビジネス向けのサービスは、一定期間が経過するとアップロードした請求書が自動的に削除されるようになっている場合が多いです。

システム型

システム型の請求書とは、請求書の作成から取引先への送付をシステム上で行う方法です。システムは、取引先がアクセスするためにクラウド型のシステムが基本であり、取引先はクラウド上で請求書を閲覧・ダウンロードします。

システムによりますが、取引先の基本情報や取引データを取り込んで自動的に請求書を生成できるシステムや、自動送信するシステムもあります。請求業務を一元管理できるシステムの場合は、過去のデータも閲覧可能です。

請求書の電子化のメリット

請求書の電子化にはコスト削減や迅速な送受信などのさまざまなメリットがあります。ここからは、請求書の発行側と受領側から見た電子請求書のメリットについて解説します。

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請求書の電子化のメリット

  1. 発行側のメリット
  2. 受領側のメリット

発行側のメリット

請求書を発行する側から見たメリットには、業務効率化・テレワークやグローバルな取引対応・DX推進などがあります。企業だけでなく、より広い視野では環境への負荷低減なども挙げられますが、ここでは代表的な電子化のメリットを紹介します。

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業務が効率化する

紙での請求書の作成や送付は、入力・印刷・封入・切手の貼付・郵送の手続きなどの作業を経て完了します。これは取引先業者ごとに同様の作業をする必要があるため、請求業務に時間や労力がかかり非効率です。

しかし請求書を電子化することにより、作成から送信までの作業は大幅に簡略化されます。システムやソフトウェアを活用すれば、手入力による間違いのリスクも軽減でき、また、関連するファイルを追加することも可能です。

在宅勤務などのテレワークを促進できる

従来の紙の請求書は、オフィスにいなければアクセスできませんでしたが、電子化された請求書をクラウド上に保存すれば、インターネット経由でアクセスできます。そのため、在宅勤務やリモートワークの環境でも、必要な請求書にアクセスして共有が可能です。

また、電子化した請求書は、オンライン上の承認プロセスやワークフローに組み入れることも可能で、担当者の居場所に関わらず、請求業務をスムーズに進められます。これらの利点から、請求書の電子化はテレワークの促進に寄与する側面を持っています。

コスト削減

紙の請求書発行では、請求書用の用紙・封筒などのコストに加え、印刷コスト・郵送コストがかかります。電子請求書においてはこれらのコストはかかりません。保管スペースを大幅に節約でき、ファイルキャビネットや保管スペースのコストも削減可能です。

また、管理や監査にかかる時間・労力を人件費と捉える場合は、請求書の検索・分析・監査のコストも紙の場合より大幅に抑えられます。保管期限を過ぎた請求書を廃棄する際のコストもかからず、環境負荷の低減に寄与する側面もあります。

請求書送受信の確認が簡単に行える

電子化された請求書は、デジタル形式で保存され、送信や受信の日時や開封日時などの情報も残るため、履歴と追跡が簡単に行えます。また、メールや専用プラットフォームの仕様によっては、配信確認や既読通知なども可能です。

請求書はデータベースやアーカイブとして保存されるため、検索やフィルタリングも可能で、紙の請求書のように大量の書類から探す手間はありません。メモやコメントの追加もでき、関連情報や問題点の共有も容易に行えます。

DX推進に対応できる

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、企業・組織がデジタル技術を活用してビジネスモデル・ビジネスプロセス・顧客体験を革新して競争力を高める取り組みのことです。

請求書の電子化は、作業をシステムやソフトウェア上で行うデジタルワークフローの構築と相性が良く、業務を効率化できます。単に請求書の作成・承認・送信などをシステム上で行えるだけでなく、他のシステムと連携させて一元的な管理や分析も可能にします。

クラウド上でアクセス可能な場合は、モバイルデバイスからも閲覧や操作ができ、リモートワーク・モバイルワーカーなど、どんな条件でも業務の継続性を維持できます。これらの利点により請求書の電子化はDX推進に貢献します。

グローバルな取引ができる

インターネット経由でアクセスできる電子請求書の利点は、単にリモートワークに有利な点にとどまらず、国境を越えた取引においても遅延や時間差を最小限に抑えられます。国際規格に準拠したフォーマットで作成しやすく、データの互換性を確保できるのも利点です。

また、請求書はテキストデータとして扱えるため、必要な言語に翻訳することも容易です。さらに、電子請求書はオンライン決済システムとの連携もしやすいため、支払いを迅速に行うこともできます。これらの利点はグローバルな取引において大きな利益をもたらします。

受領側のメリット

請求書の受領側のメリットには、迅速な受領・返送の手間やコスト削減・保存や管理の容易さなどが挙げられます。ここではそれぞれのメリットについて具体的に解説します。

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請求書の発行日に受領できる

メールや専用のプラットフォームを通じて請求書が送信されると、受領者はすぐに通知を受け取れるため、即座に請求書の内容を確認可能です。請求書の発行日に受領できることは、支払い処理の迅速化による円滑な取引や信頼関係構築に寄与します。

紙の請求書のような紛失や配送遅延のリスクもほぼありません。また、インターネット経由でアクセスできるため、時間・場所の制限なく受領できるようになり、ビジネスプロセスの迅速化・効率化が促進されます。

返送の手間やコストが削減される

電子請求書は、紙の請求書のように返送に伴う郵送手続きや手渡しの手間などが不要です。受領者は請求書受信の通知を受け取ることができるため、迅速に対応でき、遅延のリスクも抑えられます。郵送費や手続きにかかる時間や労力も削減できるのも大きな利点です。

請求書の保存や管理がしやすい

電子請求書は、デジタル形式で保存されるため、コンピュータやクラウド上での保存が可能です。バックアップも容易なため、データ紛失のリスクも軽減できます。データベースに統合的に管理すれば、検索やフィルタリングで簡単に見つけられるのも利点です。

紙の請求書のように物理的な保管スペースを確保する必要がないのはもちろん、ソフトウェアやシステムによっては支払いステータスの管理もできます。未処理の請求書や支払期限などをリアルタイムに把握でき、効率的な管理が可能になります。

請求書の電子化のデメリット

請求書の電子化は多くのメリットがありますが、少なからずデメリットもあります。代表的なものとしてシステムの導入コストがかかる点や、紙の請求書発行を希望する取引先への対応があります。

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コストがかかる

紙の請求書では、印刷コスト・資材コスト・郵送コストなどがかかり、電子請求書ではこれらのコストはかからないものの、別のコストがかかります。代表的なものは、ソフトウェアやシステムの導入コストです。

また、電子請求書の保存や管理には、バックアップのためのインフラコストとして、データセンターやクラウドストレージなどの利用料がかかります。セキュリティ対策も必要なため、データの暗号化やアクセス制御などに費用がかかる場合も考えられます。

ただし、これらのコストは一時的なものであり、長期的には効率化やコスト削減のメリットを得られる可能性もあるため、費用対効果を考慮して検討しましょう。

従来の方法を希望する取引先もある

電子帳簿保存法では、電子取引された請求書を電子保管することを義務付けていますが、紙の請求書発行自体を制限しているわけではありません。企業や個人事業主によっては、従来の方法を希望する場合もあります。

その背景として、デジタル非対応の取引先・作業習慣・好みなどさまざまありますが、いずれにしても紙での発行を希望する取引先には柔軟に対応しなければいけません。電子化のための環境整備とは別に、従来の方法での対応も引き続き可能にしておく必要があります。

電子請求書を送付する方法

ここでは電子請求書の具体的な送付方法について解説します。手軽でも法的要件の確認やリスク対策が必要なメールでの送付と、導入コストはかかるものの法的対策が簡単にできるシステムでの送付があります。

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メールに添付して送付する

最も簡単な方法の一つとして、PDFを始めとする電子フォーマットで保存した請求書をメールに添付して送信する方法があります。身近なソフトではMicrosoftのExcelでPDFに出力可能です。

メールに添付する際には、件名や本文に請求書を添付していることを明示するようにしましょう。メールでの請求書の送付は手軽な一方で、電子帳簿保存法の要件を満たす場合には、改ざんできないような規定を設け、規定に基づく運用を徹底しなければいけません。

また、可視性の確保として、規則性のあるファイル名を付けたり、索引簿を用意するなど、データを検索できる仕組みも必要です。他にも、メールアカウントへの不正アクセス・誤送信・迷惑メールフィルターなどのリスクへの対策も必要です。

専用システムで配信

電子帳簿保存法に対応しやすい送付方法としては、電子請求書システム(電子取引システム)を利用する方法があり、これは請求書の作成・送信・管理を効率的に行うツールです。ソフトウェアやクラウドベースのプラットフォームがあります。

その中でも、電子帳簿保存法の要件を満たすソフトウェアは「JIIMA認証」を獲得しています。JIIMA認証を受けているシステムなら、電子帳簿保存法の要件について確認や検証をする手間もなく、適正な請求書管理ができます。

機能面は、作業を効率化する自動計算・テンプレート機能を始め、法的要件を満たすための検索機能・タイムスタンプ機能・証跡管理機能などが備わっています。導入コストはかかりますが、迅速な対応・作業負担軽減・罰則リスクの低減など多くのメリットを得られます。

電子化された請求書をやり取りする際のコツと注意点

電子請求書のやりとりは、自社のニーズだけでなく、取引先の事情も考慮する必要があります。ここでは請求書の電子化に伴う注意点、あるいは電子請求書をやりとりする際のコツや注意点について解説します。

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切り替える際に双方の合意を得る

従来の方法から請求書の電子化に切り替える場合には、事前に取引先との間で十分なコミュニケーションを重ねる必要があります。電子化のメリットを説明し、取引先の意見や懸念点に耳を傾ける姿勢も重要です。

効率性・正確性・コスト削減などの利点を共有し、実際の操作手順のデモンストレーションなども行えば合意を得やすくなります。また、一度にすべてのプロセスを変更するのではなく、段階的に進めていくのもトラブルの最小化を図る上では有効です。

取引先の要望に応じた柔軟なカスタマイズや設定の検討、サポート体制の確認などもしておくと、紙での請求書発行に慣れ親しんだ取引先の不安が軽減されます。いずれにしても、一方的に電子化を進めるのではなく、理解を促進するための努力が求められます。

従来の運用が並行するケースを想定する

企業によっては、すぐには請求書の電子化には応じられない可能性も十分に考えられます。そのため、電子請求書と紙での請求書の両方の運用方法が並行することについて、社内の関係者は、明確な手順・ルールを理解する必要性が生じます。

もちろん、電子化を導入する範囲・条件も明確に定義することも重要です。特定の取引先・特定の種類の請求書など、電子化の適用範囲を限定することで運用の混乱を最小限に抑えられます。これらは関係者がすぐに確認できるよう文書化しておくことが推奨されます。

また、運用上の問題や課題を特定して改善するために、継続的に監視することも大切です。

業務フローを見直す

電子請求書に適した業務フローを設計しておくことも重要なポイントです。必要な手順・役割・承認フローなどを明確にし、必要に応じてトレーニングを行いスムーズに運用できるようにしておきます。

新しい業務フローは、実際に運用を開始すると計画段階で見落としていた点や、不慣れから生じるミスなどのリスクが発生しやすくなります。これらのリスクを最小限に抑えるためにも、事前に関係者の意見や懸念点の聞き取りを行うことも大切です。

運用の開始と共に業務フローの設計が完了するわけではなく、運用後も関係者からのフィードバックを受け入れて、問題点や改善点を把握して適切な修正・調整を行いましょう。

複製・改ざんができない方法を選ぶ

複製や改ざんが簡単にできてしまう電子請求書は、電子帳簿保存法の要件を満たしていることにはなりません。例えば、Excelで作成した請求書をそのままExcelのデータで送ることは簡単に数値やテキストを編集できてしまうため好ましくありません

Excelの場合は、編集できないPDFフォーマットに出力するのが一般的です。また、真実性を高める方法として、電子署名を使用したり、暗号化を行ったりするなどの対策が挙げられます。タイムスタンプも不変性を保証するものとして改ざん防止対策に有効です。

ファイル名をわかりやすくする

請求書は、7年間保管することが法人税法により義務付けられています。毎月の請求が7年分は膨大な量になるため、保管しやすいファイル名で提供しましょう。毎月バラバラで統一性のないファイル名では、管理や保管が難しいです。

わかりやすいファイル名は請求する側も管理がしやすくなるので、自社と取引先のどちらから見てもわかりやすいものを採用しましょう。

参考:No.5930 帳簿書類等の保存期間|国税庁

エラーやセキュリティに注意する

メールで電子請求書を送付する場合は、送信前に添付ファイルの内容や宛先の確認を行いましょう。ファイルサイズの制限・欠損したデータ・宛先間違いなどによる送信エラーや誤送信で取引先に迷惑がかからないようにします。

また、セキュリティ確保のために、アンチウイルスソフト・ファイアウォールの利用・アクセス制御やユーザー認証など、適切な対策を導入するようにします。データの損失や破損に備え、定期的なバックアップを実施することも大切です。

送信する請求書データにパスワードを設定したり、アクセスできる人数を制限したりなど、実践しやすい方法もあります。また、従業員の意識向上を図る取り組みも軽視してはいけません。ルールの周知やダブルチェックなど、セキュリティに対する意識を高めましょう。

専用システムを導入する

Excelで請求書を管理したり、メールで送信する方法は一時的な対応としては有効ですが、規模が大きくなるほど作業効率が低下し、限界が訪れます。容易に編集やコピーができるExcelの特性上、データの整合性や機密性を確保したり、更新を追跡するのも困難です。

電子請求書システムでは、請求書の作成・管理・送信・保存が一元化され、規模が大きくなるほど効率性が向上します。一元管理のため、複数人が同時に作業を行っても整合性・正確性を維持でき、セキュリティ機能も備わっています。

今はExcelでの管理で十分でも、事業規模が大きくなる見通しがある場合は、スムーズな移行のために早期に専用システムを検討するのも一つの選択です。

電子請求書発行システムを選ぶ際のポイント

請求書の電子化は電子請求書発行システムを活用すると効率的ですが、選び方にはポイントがあります。ここでは自社に合ったシステムの選び方を解説します。

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自動化したい請求フローを決める

電子請求書発行システムには、請求業務を効率化できるさまざまな機能が備わっていますが、機能が増えるほどコストも上昇する傾向があります。自社の業務範囲に合わせて必要最低限の機能をもつシステムを選ぶようにしましょう。

請求書の作成や送付だけができればいいのか、入金消込や督促までできた方がいいのかを事前にしっかり検討します。送付数が少ない場合は作成に特化したシステムでも十分です。定期的な発行がある場合は、案件単位での管理や自動入力機能があると便利です。

他システムとの連携ができるか

電子請求書発行システムを他のシステムと連携させれば、請求業務だけでなく、社内の他の業務も効率化できる可能性が高いです。例えば、会計システムとの連携では入金処理や売掛金の管理に必要なデータを一元管理でき、互いのシステムに反映させられます。

営業支援システム(SFA)・顧客管理システム(CRM)との連携では、請求書作成時に顧客情報を反映させたり、支払いステータスを顧客管理に反映させたりできます。連携方法は出力したデータファイルの取り込みやAPI連携などがあります。

郵送代行やフォーマット変更ができるか

郵送代行やフォーマット変更ができるかどうかは、取引先が電子化に対応していない場合に重要です。システムのベンダーで郵送代行をサポートしていれば、取引先から郵送を求められた場合でも効率的に送付できます。

また、取引先から請求書のフォーマットを指定されるケースに対応するには、柔軟にフォーマットをカスタマイズできると便利です。取引先との関係を良好に保ちつつシステムの利便性を最大限活用できます。

コストは適切か

便利な機能が揃っていても、コストの高さに対して効果の低いシステムはおすすめできません。システムの導入コスト・カスタマイズの費用・トレーニングにどれくらいの時間がかかるかなど、予算に対する初期費用を評価する必要があります。

運用コストには、システムの月額利用料金やサポート費用があります。利用する機能や取引件数などによって料金が変わる場合もあり、また、基本機能以外のオプションを後から追加する場合は、その際にも費用がかかります。

コストの判断は、単純な費用の比較だけでなく、自社のニーズ・予算・システムの品質・信頼性などを総合的に評価すること、かつ長期的な視点で評価することが大切です。

法改正に対応しているか

電子請求書発行システムの選び方として、電子帳簿保存法に準じていることが大前提となりますが、法律は改正されることがあります。そのためシステムベンダーが法改正に迅速に対応し、適切にアップデートしているかを確認することが重要です。

法改正に対応しているかどうかを見極めるポイントとして、法改正に関する情報提供やサポートを行っているか、ベンダーの実績やユーザーの満足度も確認しておくのを推奨します。

インボイス制度に対応しているか

電子請求書発行システムを新たに導入する場合、インボイス制度に対応しているか確認しましょう。2023年10月から運用が開始された新しい制度のため、非対応のシステムがある可能性があります。

ほとんどのシステムがインボイス制度に対応していますが、万が一対応していなかった場合、導入が無駄となってしまうため、必ず導入前に確認してください。

参考:インボイス制度の概要|国税庁

セキュリティは問題ないか

セキュリティに関するポイントとして、大半のシステムがデータ通信の暗号化に対応していますが、アクセス制御や認証機能が備わっているかも確認しておきましょう。定期的なデータバックアップや災害対策を行っているかどうかもポイントです。

ベンダーからの十分なサポートがあるか

ベンダーが適切な技術サポートを提供している場合、システムの導入や運用時に問題が発生しても迅速な対応が期待できます。また、365日対応なら土日に稼働している企業にとって不安要素が軽減されます。

定期的なアップデートやメンテナンスを行っている場合は、アップデートに伴う影響について情報提供があるかも重要です。システムを利用する取引先に対してもサポートが適用できるのかどうかも確認しておきましょう。

まとめ

請求書の電子化により、紙の使用や郵送費用を削減できます。また、請求フローの効率化が図られ、請求書の発行から支払いまでのプロセスが迅速化します。

システムを活用すればデータの正確性とセキュリティを高め、人的ミスやデータの紛失を軽減でき、検索や管理が容易です。電子化を機にぜひ業務の効率化を図ってください。

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