エクセルで請求書を発行するときの注意点|インボイス制度も解説

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  • 請求書はエクセルでも作成できるが、国税庁が定める必須項目を記載する必要がある
  • インボイス制度の開始で、適格請求書発行事業者の登録番号などが必須項目になった
  • 請求書を電子データで保存する場合は、電子帳簿保存法の要件を満たす必要がある

請求書はエクセル(Excel)でも作成できますが、国税庁により定められている必須項目を記載する必要があります。またインボイス制度の開始に伴い、その必須項目が変わったため注意しましょう。この記事では、エクセルで請求書を作る際の注意点について詳しく解説します。

目次

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  1. 請求書発行システムを検討するならこのサービスがおすすめ
  2. エクセル(表計算ソフト)で請求書を作る際の必須項目
  3. インボイス制度で必須になる項目
  4. その他の記載が推奨される項目
  5. エクセルでの請求書作成に関するポイントと注意点
  6. 請求書管理は請求書発行システムで効率化できる
  7. まとめ
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エクセル(表計算ソフト)で請求書を作る際の必須項目

請求書は、自社が提供したサービスや商品の代金を通知するために必要な書類です。請求書は単なる代金回収の手段に限らず、支払いが不履行になった場合などの証明書としての役割や、仕入れ税額控除を受けるための書類としての機能も備えている大切な文書です。

請求書を作成する手段は法的に定められていないため、昔ながらの手書きやエクセルなどの表計算ソフトでも作成できます。しかし、請求書の記載項目や保存方法は国税庁により定められており、内容を遵守する必要があります。

請求書への記載が必須となる項目は以下の通りです。

  1. 請求元の氏名または名称
  2. 取引年月日
  3. 取引内容
  4. 合計税込金額
  5. 取引先の氏名または名称

参考:請求書等の記載事項や発行のしかた|国税庁

インボイス制度で必須になる項目

インボイス制度とは「適格請求書等保存方式」を指し、2023年10月から新たに開始される制度です。売り手が買い手に対して請求書を発行する際、複数の税率に対応した税額や税率などを正確に把握することを目的としています。

適格登録事業者から仕入れの買い付けを行った買い手側は、その額に応じて仕入れ税額控除を受けることができます。

インボイスを発行するためには、売り手側が適格登録事業者となる必要があり、適格登録事業者はインボイスを交付する義務および交付したインボイスの写しを保管する義務が発生します。

インボイスには、適格事業者登録番号など記載が必須となる項目がいくつかあり、既存の請求書に追加する必要があります。それぞれの項目について、詳しく取り上げます。

参考:インボイス制度の概要|国税庁

参考:適格請求書等保存方式の概要|国税庁

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DMのインボイス制度で必須になる項目

  1. 適格請求書発行事業者の登録番号
  2. 税率ごとの金額・消費税額

適格請求書発行事業者の登録番号

まず、適格請求書に記載しなければならないのが、新たに導入された適格請求書発行事業者の登録番号です。ここでの注意点は、登録番号を取得するためには事前に適格請求書発行事業者の登録申請手続きが必要だという点です。

登録を受けるためには申請手続きを行い、税務署による審査を受けます。審査が完了し、認定されてから登録番号が発行されるため、インボイスを発行するまでに登録を完了させておく必要があります。

この登録申請手続きはすでに令和3年より受付が開始されており、インボイス制度が開始する令和5年10月1日から登録を受けたい場合は、令和5年3月31日までに登録申請手続きが必要であるとされていました。

参考:知っていますか?インボイス制度|国税庁

税率ごとの金額・消費税額

登録番号に加えて、請求書に適用税率および消費税額を税率ごとに区分して記載することが義務付けられます。例えば、軽減税率8%の商品と10%の商品が混在している場合、それぞれの税率と消費税額の合計を計算した上で請求書に明記しなければなりません。

適用税率と消費税額は記載されている税率が1種類しかない場合でも必須となるため、10%または8%のみでも必ず内訳表示が必要です。

参考:4 適格請求書の記載事項|国税庁

インボイス制度では端数計算の方法が変わる

インボイス制度においては、商品ごとにそれぞれ消費税額を算出した上で合算することが認められていません。また、1円未満の端数計算を行う際は、個々の商品ごとに行うのではなく、税率ごとの合計額に対し1回だけ端数処理を行うことになります。

端数処理の計算方法は、四捨五入・切り上げ・切り捨てを任意で行います。商品ごとの消費税額を参考のために記載しておくことは問題ありませんが、計算は個別に行わないよう注意が必要です。

その他の記載が推奨される項目

消費税における仕入税額控除を受けるためには、適格請求書に必須となる記載事項を遵守する必要があります。一方で、法的に定められていなくても、記載しておいた方が売り手側・買い手側の双方にとってメリットのある項目があります。

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その他の記載が推奨される項目

  1. 税抜金額・消費税額
  2. 請求書番号
  3. 支払期限
  4. 振込先口座

税抜金額・消費税額

一般的に、請求書には請求の内容と金額がわかりやすく記載されていることが望ましいです。必須項目としては、税込金額の記載があれば基本的に問題はありませんが、内訳として税抜金額と消費税額を記載しておけば、買い手側は内容を把握しやすくなります。

なお、請求金額とその内訳をわかりやすく表記することによって、計算や支払いに係るミスの防止にもつながります。買い手側が確認しやすい丁寧な請求書を発行するためにも、税抜金額と消費税額の記載が推奨されます。

請求書番号

請求書番号を付番することで、社内における取引内容や請求金額の確認が容易になります。また、すでに発行された請求書のデータ管理が容易になり、請求書の重複発行や経理処理の漏れなどを防ぐ効果も得られます。

付番した請求書番号を請求書に記載しておくと、番号を基に請求内容を特定しやすくなるため、買い手側から問い合わせがあった場合にもスムーズに対応できます。

さらに、見積書や納品書と請求書番号をリンクさせたり、再発行時の付番ルールなどを統一しておくと、より利便性が向上します。

支払期限

契約時に支払期限に関する合意が取れている場合は、請求書にも支払期限を記載しておきましょう。支払期限を記載することで、支払うタイミングについて認識の相違があった場合などに速やかに確認をとることができます。

また、売り手側・買い手側の双方が入金や支払いの時期を把握でき、経理処理がスムーズになるなど、支払期限の記載にはメリットが多くあります。支払に関するトラブルは信用問題にも影響を及ぼすため、リスクを避ける意味でも支払期限を記載しておく方が無難です。

振込先口座

多くの場合、代金の支払いは銀行口座への振込によって行われます。請求書に振込先口座の情報を記載しておくことで、買い手側の支払い処理がやりやすくなります。仮に、記載されていないと支払いが滞る要因にもなり得るため、実務的には必須項目と言えます。

振込に必要な、金融機関名・支店名・口座番号・口座種類・口座名義などは、正しい情報を明記しておきましょう。

銀行コードや支店コードは、必須項目ではありませんが、買い手側がインターネットバンキングを使用していれば必要になる場合があるため、記載しておくと親切です。

また、振込手数料をどちらが負担するかを併せて記載しておくと、認識の相違によるトラブルを防止できます。

エクセルでの請求書作成に関するポイントと注意点

エクセルで請求書を作成する場合、意識しておくべきポイントや作成上の注意点があります。特に重要な4つのポイントについて解説していきます。

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用途別にテンプレートを用意すると便利

エクセルで請求書を発行する際、テンプレートをダウンロードして用意しておくと、フォーマットが統一されて管理しやすくなります。

取引先が個人事業主の場合、源泉徴収の有無を確認した上で請求書に記載する必要がありますが、取引先の種類別にテンプレートを設定すれば、スムーズに請求書を作成できます。

請求書の発行状況を管理する

エクセルによって請求書を作成する場合、取引先の数に比例してファイルの数が増えていきます。そのため、PCの容量を圧迫するだけでなく、発行状況がわかりにくくなるなどのデメリットがあります。

取引先別に請求書の管理を徹底する場合は、請求書の作成や送付に加え、フォルダの分類やファイル名のルールを定め、系統立てて管理することが必要になります。

メールなどで送るときはPDFに変換する

エクセルファイルは、簡単に記載内容や金額を変更できてしまうため、思わぬ誤操作による金額の変更や改ざんなどのリスクがあります。セキュリティ面での不安もあるため、作成者以外は書き換えができないように設定をする必要があります。

対策として、エクセルで作成した請求書を、メールやクラウドサービスへのアップロードによって送付する際は、必ずPDFに変換して転送するようにしましょう。

電子帳簿保存法の要件を確認

電子帳簿保存法とは、国税関係帳簿書類の電子データによる保存を認める法律のことです。紙ベースでの書類保管は、物理的な管理スペースを圧迫し、ファイリングやリスト作成などの管理的なコストがかかることから、文書管理の効率化などを目的として制定されました。

電子帳簿保存法では保管する全ての書類を電子データで統一することが定められており、紙での書類保存とは併用できません。その際、保存するデータには一定のルールに則った検索機能をつけることや改ざん防止対策を講じることが義務付けられます。

電子データでの保管を行う場合は、電子帳簿保存法の要件を確実に満たす必要があり、大きく分けて「真実性の確保」と「可視性の確保」が定められています。電子データでの書類保存を導入する前には、必ず要件を確認してください。

参考:電子帳簿保存法の概要|国税庁

参考:電子帳簿保存時の要件|国税庁

参考:適用要件【基本的事項】|国税庁

請求書管理は請求書発行システムで効率化できる

請求書は、必要な記載事項を確認してテンプレートなどを活用することで、エクセルでも作成可能です。しかし、エクセルは計算式やフォーマットの設定などが、閲覧者に容易に変更されてしまい、思わぬミスが発生するリスクを抱えています。

そこで、請求書発行システムを使用することによって、エクセルで起こりがちな誤入力・誤操作・計算漏れなどの人為的なミスを防ぎ、リスクを軽減させることができます。

また、常に最新の法改正に対応しているものを選ぶことで、定期的な更新・対応に関するコストも抑えられます。請求書管理をさらに効率化したい場合は、請求書発行システムの導入も検討してみましょう。

まとめ

請求書はビジネスにおいて必要不可欠な書類であり、取引先との信頼関係にも大きな影響を及ぼします。インボイス制度の開始や電子帳簿保存法の施行によって、請求書を取り巻く環境にも変化が起こり、作成や保存などに新たな対応が求められています。

インボイス制度の開始前と比べ、請求書の作成時に記載が必須となる項目が増えたため、業務の負担も大きくなりました。従来のエクセルでの請求書作成も便利ですが、管理体制・セキュリティを強化したい場合は、請求書発行システムの導入もおすすめです。

請求書の発行や保存に係るさまざまなコストを削減し、社内業務の効率化を目指すためにも、作成方法や管理について今一度検討してみてください。

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