KPIとは?KGIとの違いや設定するメリット、設定方法を解説

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  • KPIは「重要業績評価指標」を意味し、目標の達成度合いを計測するために用いられる
  • KGIは最終的に達成するべき目標であり、KPIはKGIの中間的指標に使われる
  • KPIを設定することで、評価基準が統一され、公平な評価ができる点がメリット

KPIとは「重要業績評価指標」を意味し、目標の達成度合いを計測するために用いられます。KPIを定期的に確認することで、目標に対する進捗が把握できます。本記事では、KPIとKGIの違いやKPIを設定するメリット、設定方法、管理のポイントをわかりやすく解説します。

目次

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  1. KPIとは
  2. KPIを設定するメリット
  3. KPIの設定方法
  4. KPIの具体例
  5. KPIを管理するポイント
  6. まとめ

KPIとは

KPIとは、「Key Performance Indicator」の略称で、日本語では「重要業績評価指標」と訳されます。プロジェクトの各プロセスにおける中間目標を定量的に表したものがKPIです。

プロジェクト達成に至るまでには、複数のプロセスが組まれることが一般的です。中間目標であるKPIは、各プロセスの進行状況や達成度を計測するために設定されます。

なお、プロジェクトの達成状況を表わす用語には、KPIの他にも、「KGI」「KSF」「OKR」などがあります。用語の正しい使い分けのためにも、それぞれの意味やKPIとの違いを理解しておきましょう。

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KPIとKGIの違い

KGI(Key Goal Indicator)とは、「重要目標達成指標」のことで、プロジェクト全体の最終目標を表す用語です。「何を」「どれくらいの期間で」「どのように」という事柄を数値で設定したものが、KGIに当たります。

一方、KPIは前述の通り、中間目標を指します。仮にKGIを「年間売上1億円」と設定したとしましょう。KPIはこの最終目標を見据えて、「月間の新規商談を100件達成」のように定量的な数値で設定するのが一般的です。

つまりKPIとは、最終目標であるKGIを達成するために、通過すべきポイントを表したものといえます。

KPIとKGIの違いとは|OKRとの違いもわかりやすく解説

KPIは具体的な目標の達成を測定する指標である一方、KGIは全体的な目標や戦略の進捗を示す指標です。本記事では、KPIとKGIの違いや、KSF・OKRといった関連用語について、KPI・KGIを設定するメリットと設定方法・注意点に関しても解説します。

KPIとKSFの違い

KSFとは、「Key Success Factor」の略称で、日本語では「重要成功要因」または「主要成功要因」と訳されます。「CSF(Critical Success Factor)」と呼ばれることもあります。

KSFとは、目標達成のために優先して取り組むべき事柄を表したものです。簡潔にいえば、KPIが達成すべき目標であるのに対し、KSFはその目標達成のための手段や方向性にあたります。

KSFの例としては、「顧客満足度の向上」「ブランドの認知度アップ」などがあります。KPIと異なり、定性的な内容を含むのもKSFの特徴です。

KPIとOKRの違い

OKRは、正式には「Objectives and Key Results」といい、日本語では「目標と主要な成果」と訳されることが一般的です。

OKRは設定した目標の達成状況を図るための指標であり、この点ではKPIと似ています。ただし、KPIは組織・プロジェクトごとの長期的な目標測定を目的とするのに対し、OKRは個人の短期的な目標測定に利用される傾向があります。

また、KPIは達成率100%を前提とする一方、OKRは達成率60~70%を見込んで設定されるのが一般的です。メンバー各自にやや難易度の高い目標を設定し、全力のパフォーマンスを促すことで、組織全体のプロジェクト達成に貢献させるのがOKRの目的です。

OKRとは|KPI・MBOとの違い、導入手順やポイントを解説

OKRとは、目標と成果指標を達成するための目標設定フレームワークです。有名企業も取り入れていることから、近年注目を集めています。本記事では、OKRを導入するメリットや導入手順・効果的な運用ポイントを解説します。OKRの類語や関連語についても紹介します。

KPIを設定するメリット

KPIの設定により、プロジェクトの進行がスムーズになるメリットがあります。どのような点が、プロジェクトのスムーズな進行につながるのか、具体的にご紹介していきます。

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個人目標が明確になる

KPIの導入により、チームメンバーの個人目標が明確になるメリットがあります。KPIは、「売上率○%アップ」のように定量的に設定するためです。

プロジェクトの目標が漠然としたままでは、その目標達成のための手段や方向性が曖昧になる恐れがあります。特に目標の規模が大きいほど、道のりが遠く感じられるため、メンバーは不安を感じやすくなります。

一方、KPIとは、最終目標に至るまでの小さなゴールです。KPIを設定することで、最終目標の達成に向けて、メンバー各自が今やるべきことを明確にできるでしょう。

また、目の前の小さなゴールに集中することで、目標達成のための心理的なハードルが下がりやすくなる点もメリットです。

目標達成までのプロセスが可視化される

KPIにより、目標達成のためのプロセスを可視化できるメリットがあります。KPIは、KGI達成のために通過すべきポイントであるためです。

KGIに至るまでの道筋を具体化することで、チームがやるべきことを明確にできます。また、プロジェクトの進行に問題が生じた場合でも、プロセスをあらかじめ可視化しておくことで、迅速な原因究明や軌道修正が可能になります。

会社全体の生産性・モチベーションの向上

KPIにより、会社全体での生産性やモチベーションの向上が期待できます。KPIの設定により、進むべき方向性や達成すべき目標を組織全体で共有できるためです。

目標達成までのプロセスが共有できていない場合、従業員が個人の意志で行動する恐れがあります。組織としての統制が取れなくなるため、目標達成が遅れる可能性や、達成できなくなる恐れがあるでしょう。

一方、KPIの設定により、達成すべき目標と、そのための手段・プロセスを組織全体で見える化できます。従業員各自が組織の意思に沿って行動できるため、効率のよいプロジェクトの進行に繋がります。

会社内で評価基準が統一される

KPIは会社内での評価基準の統一の面でもメリットがあります。人事評価基準は、評価担当者個人の主観に依存しやすく、社内全体での公平化が難しい課題があります。

一方、KPIは具体的な数値を設定します。この達成率を評価基準とすることで、個人の主観を排した客観的な人事評価が可能になり、社内基準の標準化を実現できます。これにより、人事評価の透明性を保てるため、従業員の不満の解消を期待できる点もメリットです。

また、目標達成の可否が即座に判断できるため、上司・人事担当者の人事評価業務における負担軽減も期待できます。

PDCAが回りやすくなる

PDCAの最適化が図れる点も、KPI設定のメリットの1つです。KPIを設定することで、その時点でのプロセスの達成率・進行速度などを可視化できます。これにより、プロセス上の問題点や改善点が洗い出しやすくなり、結果としてPDCAサイクルの最適化が期待できます。

一方、KPIが設定されていない場合、プロセスの進行状況を知るための基準が存在しません。そのため、課題や改善すべき点の発見が遅れてしまい、プロジェクトの達成が難しくなる恐れがあります。

課題や改善点を迅速に発見・対応し、PDCAサイクルを効率的に回すためにも、適切なKPIの設定が必要です。

KPIの設定方法

プロジェクトの円滑な進行のためには、適切なKPIの設定が重要です。ここからは、KPI設定の流れについて、ご紹介していきます。

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KGIを設定する

プロジェクトの着手にKPIの設定にあたり、まずKGIの設定が必要です。KGIを設定し、組織全体で共有することで、目標達成に向けたプロセスの構築すなわち、KPIの設定が可能になります。

KGIの設定内容は、企業によって異なりますが、指標には「売上高」「成約件数」「粗利益」「営業利益」などが用いられるのが一般的です。

KSFを洗い出す

KGIの達成に向けて、自社が取り組むべき領域をKSFとして設定します。たとえばKGIを「年間売上1億円達成」と設定した場合、KSFは「顧客単価の向上」「新規顧客の開拓」などと定性的に定めるのが一般的です。

KSFは簡潔にいえば、プロジェクト達成のために、自社に不足している領域を強化するための施策です。具体的には、次のような方法でKSFを洗い出しましょう。

  1. KGI達成に至るまでのプロセスの明確化
  2. プロセスの数値化
  3. プロセスの分類
  4. KFSの選定

なお、プロジェクト達成のために注力すべき分野は、その時の市場の動向や顧客ニーズなどによって、絶え間なく変動していきます。

そのため、KSFは、自社状況などの「内的環境」と、市場の動向・ターゲットのニーズなどの「外的環境」の2つを常に分析し、プロジェクトの進行中であっても、状況にあわせて柔軟に変化させていく必要があります。

KPIを設定する

KGI・KSFの設定に基づき、KPIを設定します。たとえばKGIが「年間売上1億円」、KSFが「新規顧客の開拓」であれば、KPIはこの内容を落とし込んだものになります。たとえば、「月間の新規商談件数50件」が例です。

適切なKPIを設定するには、「SMARTの法則」を意識するのがおすすめです。

SMARTとは

SMARTとは、次の5つの要素の頭文字をとったものです。

  1. Specific:明確な
  2. Measurable:測定可能な
  3. Achievable :達成可能な
  4. Relevant:関連性がある
  5. Time-bounded:期限のある

上記のような5つの要素を盛り込むことで、適切なKPIを設定しやすくなります。KPIは組織全体で共有するものであるため、特に「Specific(明確な)」は重要なポイントです。「5W1H」を心がけ、誰が見ても分りやすく、具体性のある内容を設定しましょう。

KPIツリーを作成する

KPIの達成状況を可視化するには、KPIツリーの作成がおすすめです。KPIツリーとは、KGIを頂点に置き、複数のKPIをプロセスごとに樹状にまとめた図で、最下層のKPIから頂点のKGIを目指します。

KPIツリーは、KPIの進め方を視覚的に把握できるほか、ボトルネックを早期発見できる点がメリットです。チーム全体での意思統一や、プロセスの抜け漏れの防止にも役立ちます。

KPIの具体例

KPIは様々な業種・職種で活用できます。業種・職種ごとにKPIの具体例をご紹介します。

業種具体例
経営・財務売上高・自己資本利益率(ROE)・総資産利益率(ROA)・棚卸資産回転率・固定資産回転率・当座比率・固定比率・負債比率
営業商談数・受注数・成約率・平均受注単価・新規顧客獲得人数・新規売上・リピート率・解約件数
マーケティングWebサイト閲覧数・Webサイト訪問者数・クリック率(CTR)・コンバージョン率(CV)・エンゲージメント率・メール開封率
カスタマーサポート応答率・応答までの平均時間・平均処理時間(AHT)・クレーム件数・解決率・解約率・顧客生涯価値(LTV)・顧客満足度
製造・開発稼働率・生産量・不良率・廃棄率・工程効率性・機械能力指数
物流実車率・実働率・積載率・保管効率・倉庫内作業の人時生産性・物流コスト・日次収支
人事説明会参加者人数・応募人数・面接設定数・面接人数・内定率・内定承諾率・1人あたりの採用コスト・定着率・社員満足度・平均残業時間・有休消化率・非正規職員比率

KPIを管理するポイント

不適切なKPIは、かえって業務効率や生産性の低下を招く恐れがあります。ここからは、適切なKPIの管理方法をご紹介していきます。

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KPIはシンプルに設計する

KPIの内容は、シンプルで分かりやすいものを心がけましょう。KPIは複数の従業員で共有するため、複雑な内容にすると、各自で解釈にばらつきが出る恐れがあるためです。

たとえば、項目名は、難しい言葉・長い言葉の使用は避けるのが無難です。併せて、具体的な数字を用いることで、解釈の齟齬が生まれにくくなります。

目標管理ツールを活用する

KPI管理には、目標管理ツールの活用がおすすめです。目標管理ツールとは、組織・チーム・メンバー個人の目標の設定のほか、目標達成率の把握や人事評価などを一元的に行えるツールです。

導入により、煩雑なKPI管理の効率化や、プロジェクトのスムーズな進行が期待できます。目標管理ツールは、SFA/CRMのようなITツールを併用することで、さらなる利便性の向上が見込めます。

目標管理ツールとは?メリット・デメリット、機能や選び方も解説

目標管理ツールとは、社内で設定している目標や進捗状況を管理・評価できるツールです。社員のモチベーション向上や業務効率化に繋がるとされ、多くの企業で導入しています。この記事では目標管理ツールのメリット・デメリットや機能、選び方を解説します。

KPIの整合性が取れているかを確認する

KPIは、KGIやKSFとの整合性が取れているか確認する必要があります。簡潔にいえば、KPIの達成により、本当にKGIやKSFが達成されるかどうか計測しましょう。

たとえば、KPIを変更すると、KGIも変化するのが正常です。もしKGIが変化しない場合は、両者の整合が取れていない可能性が高いです。迅速に原因を究明し、正しいKPIを設定する必要があります。

定期的に進捗確認や軌道修正を行う

KPIは、定期的に観測し、プロジェクトやプロセスの進捗状況を確認することが大切です。KPIと進捗状況が大きく乖離している場合、プロセスの進め方に問題・課題がある可能性が高く、放置すればプロジェクトの進行に支障をきたすでしょう。

課題の迅速な発見と軌道修正のためにも、KPIの達成状況を定期的に確認しなければなりません。1ヶ月ごと・四半期ごとのように、観測のタイミングをあらかじめ決めておくことが望ましいです。

まとめ

KPIとは「Key Performance Indicator」の略称で、プロジェクト進行における中間目標にあたります。KGI・KSFとあわせてプロジェクト成功の可否を左右する重要なポイントであるため、適切な設定が必要です。

KPIの設定により目標達成までの道筋を明確化できるほか、達成状況の可視化が可能になります。また、社内の評価基準の統一やPDCAサイクルの最適化のためにも、KPIの設定が必要です。

KPI管理の際は、シンプルな内容設計・KGIやKSFとの整合性の確認・定期的な観測が大切です。やや煩雑な作業であるため、目標管理ツールやSFA/CRMなどを活用するのがおすすめです。

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