おすすめのSCMシステム9選|選び方・導入時の注意点も解説
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- SCMシステムは、導入範囲・既存システムとの連携性・サポート体制を確認して選ぶ
- 自社業界に特化した機能があるか、需要予測の精度は高いかなどもチェックする
- SCMシステムを導入する際は、運用体制を整えて意思決定プロセスも確立しておく
SCMシステムとは、製造業や小売業などにおいて、原料の調達から商品販売までの流通プロセスを最適化するためのシステムです。需要予測・生産管理・在庫管理などの機能を持ちます。この記事では、おすすめのSCMシステムや選ぶ際のポイント、導入時の注意点などを解説します。
目次
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SCMシステムでサプライチェーンを最適化
SCM(サプライチェーンマネジメント)システムとは、製品やサービスの原材料調達から、製造・在庫管理・配送・販売までの全過程を統合的に管理するシステムです。各段階のプロセスを効率化でき、全体的なコスト削減や生産性向上に寄与します。
SCMシステムを活用することで、需要予測に基づく在庫管理ができ、過剰在庫や欠品による無駄なコストを削減することができます。また、生産から配送までのプロセスを効率化することで、商品の納期短縮や生産性向上に期待できる点もメリットです。
SCMとは?仕事内容や導入のメリット・デメリットをわかりやすく解説
SCMとは、原材料の調達から製品の配送に至るまでの製品やデータなどを管理することです。本記事では、SCMをよく知らない方や導入を検討している方のために、SCMのメリット・デメリットや仕事内容、SCMシステムの選び方などをわかりやすく解説しています。
SCMシステムは導入範囲・連携性・サポート体制で選ぶ
SCMシステムの選定では、導入範囲・システム連携・サポート体制の3つのポイントを確認して選ぶことが重要です。他にも業界特有の要件や需要予測など、比較すべきポイントもあります。次の章でそれぞれのポイントを解説します。
【重要なポイント3つ】
- 導入したい範囲に合わせて選ぶ
- 既存システムと連携できるか
- サポート体制は充実しているか
【その他の比較ポイント】
- 自社業界に適した機能があるか
- 需要予測の精度をチェック
- 多言語・多通貨に対応しているか
SCMシステムの選び方で重要な3つのポイント
SCMシステムには、さまざまなシステムがあるため、自社のニーズやシステム環境を踏まえて選ぶことが大切です。ここでは、SCMシステムの選び方で重要な3つのポイントについて解説します。
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SCMシステムの選び方で重要な3つのポイント
導入したい範囲に合わせて選ぶ
SCMシステムを選ぶ際には、導入する範囲に合わせて選ぶことが重要です。会社全体で導入するのか、特定の工場や部門のみで導入するのかによって、必要な機能が大きく異なります。
例えば、会社全体での導入を考えている場合、全社的な在庫管理や物流の最適化など、広範囲にわたる機能が必要になります。特定の工場や部門だけに導入する場合、その部門に特化した機能(特定の製造プロセスや在庫管理機能など)が求められます。
自社の業務に最適な機能を選定するためには、自社のサプライチェーンの課題を洗い出し、その課題に対応できる機能を明確にしましょう。
既存システムと連携できるか
SCMシステムが、現在使用している生産管理システムや販売管理システムなどの既存システムと連携できると、業務の効率化に大きく貢献できる可能性があります。
例えば、システム連携によって、業務プロセスが一貫して管理されるため、データの重複入力や手動でのデータ移行の手間を省くことができます。これは、入力ミスの減少や業務の正確性とスピード向上にも繋がります。
また、システム連携によって、システム間でデータを共有できることにより、生産部門や販売部門など異なる部門で同じデータをリアルタイムに参照できるようになります。これは、部門間のコミュニケーションが円滑になる効果にも期待できます。
SCMシステム選定の際には、既存のシステムとの連携に対応しているか確認することが大切です。具体的には、APIの提供や対応するデータ形式(CSVやXMLなど)、インポートやエクスポート機能の有無などが確認のポイントです。
サポート体制は充実しているか
SCMシステムを提供するベンダーがどのようなサポートを提供しているかを確認することも、システム選定の重要なポイントです。
例えば、物流や製造業では、システムトラブルが発生すると短時間でも大きな損失につながる可能性があります。そのため、サポート面では、24時間365日対応可能であるかを確認することが大切です。
また、システムトラブル時にリモートでのサポートだけでなく、現地での復旧作業が可能かどうかも確認しておきたいポイントです。サポートが有料の場合は、その費用がどの程度かかるのかを事前に把握しておきましょう。
サポート内容にシステム連携の支援が含まれる場合、既存システムとの統合がスムーズに行われ、業務が中断されるリスクを最小限に抑えることができます。
SCMシステムのその他の比較ポイント
SCMシステムは、システムによって機能性や需要予測の精度などが異なります。そのため、自社にとって最適なシステムを選ぶためには、さまざまなシステムを比較検討することが求められます。ここでは、SCMシステムのその他の比較ポイントを解説します。
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SCMシステムのその他の比較ポイント
自社業界に適した機能があるか
SCMシステムの中には、小売業や食品業など特定の業界に特化した製品もあります。そのため、システムを比較する際は、自社の業界に適した機能があるかを確認することが重要です。
業界によってサプライチェーンの課題は異なります。例えば、食品業界ではトレーサビリティ(製品の追跡)が重要であり、製品の生産・流通・消費者への提供までの全プロセスを詳細に管理する必要があります。
特定の業界に特化したシステムなら、その業界特有の業務プロセスや課題に対応するための機能を持っており、より業務効率化を実現しやすくなります。
具体的には、小売業なら強力な在庫最適化機能を持つシステムや、医薬品業界なら規制に対応する機能を持つシステムなどがあります。自社の業務プロセスの課題に対応した機能があるシステムを選びましょう。
需要予測の精度をチェック
SCMシステムにおける需要予測は、過去の販売実績データを基に将来の需要を予測します。そのため、システムがどの程度正確に過去データを分析し、需要予測を行うか、その制度を確認することがシステムを比較する際の重要なポイントです。
需要予測の精度は、使用されている予測アルゴリズムの種類や、過去の実績からどの程度の精度で予測が行われているかを調べることで確認できます。システムによって、具体的な精度(例えば、予測誤差が何%以内か)を示している場合もあります。
他にも自社と同様の業界や企業規模における導入事例や、無料トライアルで実際のデータを用いる確認方法もあります。近年、一部のSCMシステムはAIを活用して、需要予測の精度を向上させています。
AIは膨大なデータを迅速に分析し、パターンを見つけ出して高精度な予測を行うことが可能です。需要予測の精度は、在庫管理・生産計画・販売計画の効率化に直接影響を与えるため、自社のニーズに合ったシステムを選定することが求められます。
多言語・多通貨に対応しているか
海外拠点を持つ企業や海外企業との取引が多い企業にとっては、グローバルなビジネス展開に対応するために多言語・多通貨対応は必須となる機能です。
多言語対応により、異なる言語を話す従業員やパートナー企業とのコミュニケーションがスムーズになります。これにより、誤解やコミュニケーションミスを減らし、業務効率を向上させます。
多通貨対応は、異なる通貨での取引を管理するために不可欠です。為替レートの自動計算や複数通貨でのレポート生成が可能になることで、財務管理が容易になります。
システムを比較する際には、システムが複数の言語に対応しているか、異なる通貨での取引を管理できるかを確認しましょう。
おすすめのSCMシステム9選
GOOD
ここがおすすめ!
- 「多通貨処理」「多言語」に対応しており、国内外問わず利用可能
- 見込生産・半見込生産・受注生産など、あらゆる生産形態に対応し、さまざまな製造業を支援
- タブレットやスマホを使って、気付いた点をタイムラインで共有できる
MORE
ここが少し気になる…
- 承認ワークフローや自動仕訳などは別サービスの範囲
住友電工情報システム株式会社
楽々ProcurementII
GOOD
ここがおすすめ!
- クラウドとオンプレミスのどちらにも対応し、自社ニーズにあわせて導入可能
- 「パンチアウト連携」や「WEB-EDI機能」を標準装備
- 購入依頼から検収まで機能が豊富で、さまざまな品目に対応
MORE
ここが少し気になる…
- 初期費用が必要で、価格は問い合わせで確認
GOOD
ここがおすすめ!
- 「分散購買」「集中購買」に対応しているため、本社だけでなく各工場・事業部での利用が可能
- カタログサイトだけでなく、会計ソフトや予算管理ソフトとの連携が行える
MORE
ここが少し気になる…
- 多言語・多通貨の対応や導入後のサポート内容については資料請求や問い合わせで確認
日本オラクル株式会社
Oracle SupplyChainManagement
GOOD
ここがおすすめ!
- 「サプライチェーン分析」を備え、効率向上・収益増加にも効果的
- 在庫レベルと運転資本を最適化できる「在庫管理」機能
- 市場投入までの時間やコストを削減
MORE
ここが少し気になる…
- 海外展開している分、日本人には操作や画面が分かりにくい
ロジスティードソリューションズ株式会社
ONEsLOGI/WMS Cloud
GOOD
ここがおすすめ!
- 最低月額7万円から利用でき、自社ニーズにあわせて定額制が従量課金制が選べる
- 専用のヘルプデスクがあり、稼働後のサポートも手厚い
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ここが少し気になる…
- 初期費用が高額で、AIを活用した「最適ピッキング手法提案サービス」はオプション対応
GOOD
ここがおすすめ!
- 需要予測精度が80%な「AIエンジン」の搭載かつ、精度向上を継続的にサポート
- 一元管理による「在庫の見える化」と分析により、過剰在庫や欠品を防止
- 中長期的な供給計画を作成できる
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ここが少し気になる…
- 導入に3~6ヶ月程度かかり、素早く導入・運用したい場合には不便な場合も
オープンテキスト株式会社
OpenText Active Orders for JEITA(ECALGA)
GOOD
ここがおすすめ!
- 基幹系システムと連携し、注文確認データから請求データまでを自動化
- 20以上の接続方法により柔軟性とスピードを実現
- 多言語・多通貨対応、12ヶ国語サポートで国内外問わず使いやすい
MORE
ここが少し気になる…
- 詳しい機能・価格は資料請求および問い合わせで確認
Coupa株式会社
Coupa Supply Chain Design & Planning
GOOD
ここがおすすめ!
- 「高度なAI」と「最適化テクノロジー」によりサプライチェーン全体を最適化
- ビジネス目標達成に効果的なWhat-ifシナリオの検証
- 需要をモデル化し、より精度の高い需要感度分析を実現
MORE
ここが少し気になる…
- プランや初期費用などは問い合わせで確認
GOOD
ここがおすすめ!
- SCP機能をシームレスかつオールインワンで提供
- 自動生成だけでなく人による調整も行え、より柔軟な需給調整を実現
- 基準を超える事象を予め設定でき、業務効率のアップにも
MORE
ここが少し気になる…
- プランや初期費用などは問い合わせで確認
SCMシステムの導入フローと注意点
SCMシステムを効果的に運用するためには、計画的に導入を進めることが推奨されます。ここでは、SCMシステムの導入フローと注意点を解説します。
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SCMシステムの導入フローと注意点
業務プロセスの洗い出し・導入範囲の決定
導入前に行うべきこととして、業務プロセスの洗い出し・導入範囲の決定が重要な手順です。
まず、現状の業務プロセスを詳細に洗い出します。これには、販売・購買・生産・在庫管理・物流など、サプライチェーンに関連するすべての業務が含まれます。この段階で、各プロセスの流れや課題点を明確にします。
洗い出した業務プロセスの中から、どの部分にSCMシステムを導入するかを決定します。そのためには、どのプロセスが最も改善効果が高いか、どの部門が最も支援を必要としているかを評価することが大切です。
また、全社的な導入か、特定部門のみの導入かについても決定しましょう。導入範囲が決まったら、具体的な要件を定義します。システムに求める機能やインターフェースなどを確認し、これらの要件を満たすSCMシステムを選定しましょう。
デモやトライアルでテスト運用する
SCMシステムの中には、デモやトライアルが利用できるシステムも多くあります。SCMシステムを選定したら、デモやトライアルを通じて、実際に使いやすさや操作性を確認しましょう。テスト運用では、実際の業務データを用います。
需要予測のテスト運用を繰り返すことで、そのシステムが自社にとって有効かどうかを判断することが肝要です。テスト運用の結果に基づき、必要に応じて改善点をベンダーと協力して修正します。場合によっては、システム選定から見直すことが必要な場合もあります。
システム導入の効果を上げるためには、本運用に問題がないことを確認できるまで、改善とテスト運用を繰り返すことが推奨されます。
運用体制を整える
テスト運用が完了したら、運用体制を整えておくことが重要です。運用体制の整備では、SCM運用の担当者や担当チームなどを構成しましょう。
専任の担当者や担当チームを設けることで、システム運用に関する責任の所在を明確にし、迅速な対応が可能になります。
また、システム運用に関する意思決定プロセスを確立しておきましょう。具体的には、運用方針の策定や定期的なレビュー会議の開催などが挙げられます。システムのパフォーマンスを継続的に監視・改善できるようにしておくことも大切です。
まとめ
SCMシステムは、サプライチェーン全体の効率化とコスト削減に寄与します。導入により、需要予測に基づく正確な在庫管理や、生産から配送までのプロセスの最適化が可能です。これらのメリットによって、業務全体の生産性が向上します。
SCMシステムを選定する際には、導入範囲・システム連携・サポート体制の3つのポイントを押さえることが重要です。SCMシステムの導入フローにおいては、デモやトライアルを活用して、システムの使いやすさや操作性を確認することが推奨されます。
テスト運用の結果を基に運用体制を整え、専任の担当者やチームを設置して意思決定プロセスを確立することで、効果的な運用が実現します。本記事の内容を参考にして、自社のサプライチェーンの最適化を図りましょう。