決算期をまたいだ経費精算は可能?決算への影響や注意点も解説

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  • 年度をまたいで費用が発生するなど、稀に決算期をまたいだ経費精算のケースがある
  • 決算期をまたぐと、決算スケジュールへの影響や決算修正など様々な問題がある
  • 経理の手間や損金計上できないデメリットもあり、経費精算システムでの管理がおすすめ

決算までに経費精算を終えられなかった場合、経理担当者はどうすればいいのか悩んでしまいます。この記事では、決算期をまたぐ経費精算のケースや経費精算の可否、期限までに行うべき理由や期限を過ぎるデメリットと注意点、その原因や対策について解説します。

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経費精算システムは、経費申請・承認業務を効率化してくれるツールです。しかし、さまざまな製品があるため、どのシステムを選べばよいのかわからないというケースも多いでしょう。この記事では、経費精算システム選びのポイントやおすすめのシステムを紹介します。

目次

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  1. 決算期をまたぐ経費精算のケースとは
  2. 決算期をまたぐ経費精算は可能か
  3. 経費精算を決算期までに行うべき理由
  4. 経費精算が決算期を過ぎてしまうデメリットや注意点
  5. 経費精算が決算期をまたぐ原因と対策
  6. 月またぎ・年またぎが発生する場合の処理方法
  7. 年度をまたぐ経費精算には経費精算システムがおすすめ
  8. まとめ

決算期をまたぐ経費精算のケースとは

決算には、締め日があります。期日までに経費の精算を終えられなかった場合は、どのように処理すればいいか、経理担当者には悩みの種です。

そこで、前年度分の領収書を翌年度に精算する場合や、年度をまたいで費用が発生する場合など、決算期をまたぐ経費精算のケースを詳しく解説します。

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前年度分の領収書などを翌年度に精算するケース

決算の時期や経費の精算に関する規定は、企業により区々です。企業には1年単位で行う年次決算が義務付けられていますが、年間の締め月を何月にするかは各企業に委ねられています。

年次決算の他に任意で、1ヶ月単位の月次決算・3ヶ月単位の四半期決算などを行っている企業もあります。

また、多くの企業が発生主義の原則に従い、実際に代金を支払った時ではなく、費用が発生した時点で帳簿への記録を行っています。機械のリース料やネット代金など、月々の支払いが決まっているものは計上しやすいです。

しかし、細かな金額までは事前に分からない場合や、接待費用や出張の際の交通費などを従業員が一旦立て替えてから、その費用を後日会社へ請求することも多くあります。そのため、前年度分の領収書を翌年度に精算するケースも出てきます。

例えば、年間の決算期が9月で、経費精算のための書類提出を領収書の日付から1週間(7日)以内と定めている企業があったとします。この企業に勤める従業員が、9月29日付の領収書を10月2日に提出した場合などがこれに該当します。

ただし、9月を決算月とする企業の場合、確定申告の期限は11月30日までとなっています。そのため、上記企業の場合、9月30日から7日後の10月7日まで待ってから最終決算を行えば、ほぼ問題なく処理することができます。

他に、前年度分の領収書を翌年度に精算するケースとして、経費を立て替えた従業員が領収書を出し忘れていたり、上司には提出したが経理担当者まで回っていなかったりといった場合が考えられます。

特に、前年度の決算を全て終えた後にこういったケースが出てくると、経費精算の処理に余分な手間がかかることになってしまいます。

提出期限を過ぎた領収書は一切受け付けないと突っぱねるのも一つの方法ですが、企業のための必要経費を個人に押し付けてしまうことになるのも問題です。また、民法では、5年以内であれば請求権が認められています。

このような出し忘れや期限を過ぎてからの提出が起こらないようにするためにも、提出期限をはじめとした経費精算の決まりを従業員に周知しておくことや、各企業における年度末の決算月には徹底した呼びかけをおすすめします。

決算をまたいで経費が発生するケース

決算期をまたいで経費が発生する代表的なケースとして、決算月をまたいだ出張が挙げられます。出発日が前年度、出張を終えて帰ってくる日が翌年度に該当する場合です。

一例として、3月末が決算期である企業において、3月30日から4月3日までの出張があった時の仕訳について解説します。

  1. 往復分の新幹線チケットを3月に予約し、従業員のクレジットカードで決済した
  2. 電車代は、都度現金で支払った
  3. 宿泊先への支払いは、4月3日のチェックアウト時にまとめて行った

仕訳方法は企業ごとに定められていますが、領収書の日付で区分するのが一般的とされています。つまり、領収書の日付が前年度のものであれば前年度の経費へ、今年度のものなら今年度の経費へ振り分けるという方法です。

したがって、上記のケースでは、3月に支払った往復分のチケット代と3月中に乗車した電車代は前年度の経費、4月に支払った宿泊費用と4月中に乗車した電車代が今年度の経費として計上されることになります。

ただし、新幹線のチケット代や宿泊代金など、高額になる場合や支払い月がどちらかに偏ってしまう場合は、新幹線のチケットを乗車の日付で3月分と4月分に分けたり、宿泊代金を利用日数によって按分計上したりすることもあります。

決算期をまたぐ経費精算は可能か

決算月をまたいでしまった経費を精算することはそもそも可能なのかどうか、気になる点です。ポイントは以下の2つになります。

  1. 民法上は経費発生から5年後まで請求が可能
  2. 基本は企業ごとの就業規則に従う

民法166条では経費発生から5年後まで請求する権利が認められています。ですが、これはあくまで民法上の取り決めです。経費精算の提出期限については自社の就業規則に従い行いましょう。

参考:民法第166条 – Wikibooks

経費精算を決算期までに行うべき理由

経費精算を決算月までに行うべき理由として、決算後に経費の計上漏れが出てくる問題の他にも、決算スケジュールへの影響があります。

決算スケジュールは、前年度や例年との業績を比較しつつ、企業の今後の見通しを立てる重要な役割を担っています。その内容は自社内のみに留まらず、その企業に期待を寄せる多くの人々やライバル社などからも注目されています。

決算スケジュールをより実用的なものにするためにも、経費精算を期日までに終わらせることが大切です。

経費精算が決算期を過ぎてしまうデメリットや注意点

決算期を過ぎる経費精算が及ぼす注意点

  1. 決算修正や予算立て直しの手間
  2. 企業の信頼性の低下

経費の精算は、決算期を過ぎてからでも可能であるものの、デメリットは避けられません。後から出てきた経費を含めて計算し直す、決算修正の手間はさることながら、場合によっては翌年度の予算を立て直さなければならないこともあります。

特に金額が大きい時は、修正後の決算内容に合わせて部署をまたいでの予算調整が必要になってくる場合があります。

また、税務署へ申告を終えた後での年度決算の数値変更は非常に難しいです。税務署に更正の請求を行うなどの煩雑な手続きが必要となる上、一度確定した数値を変えるのは企業の信頼を下げてしまうことにもなりかねません。

経費精算が決算期をまたぐ原因と対策

経費精算の締め日や申請方法が曖昧になっている・書類の作成に手間がかかるなど、経費の精算が決算月をまたいでしまう原因は様々です。それぞれの原因について、期間内に精算を終わらせるための対策を解説します。

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経費精算の締め日が徹底されていない場合

期限を過ぎてしまう原因の一つに、経費精算の締め日が徹底されていないことが考えられます。従業員が少数でない限り、経費を申請する従業員と経費の処理を行う従業員とは別の人である場合がほとんどです。

そのため、申請する従業員は、経費処理する従業員がいつを締め日としていて何日後までにどういった処理をしているのかまでは理解していないことも少なくありません。

また、現場では既に経費が発生しているにも関わらず、経理担当者は申請がなされるまではその現状を把握できないこともしばしばです。

このような事態を避けるには、経費精算の締め日を全従業員に周知すること、また従業員同士のコミュニケーションが大切です。社内の掲示板をはじめ、メールやラインなども活用していきましょう。

経費精算のルールや申請方法が曖昧になっている場合

経費精算のルールや申請方法が曖昧になっていることも、一つの原因です。経費精算のルールや申請方法は企業ごとに異なるため、新入社員、殊に他の企業から転職してきた社員には内容を丁寧に伝えるようにしましょう。

長く勤めている従業員の中にもよく理解していなかったり忘れてしまったりする方もいる可能性があるので、確認を込めて全従業員に定期的なお知らせや、必要に応じて勉強会などの開催をおすすめします。

経費精算のルールや申請方法をより分かりやすいものに変更するのも一つの方法です。ただ、変更することで以前のものと混同してしまう従業員が出てくる可能性もあります。

変更に関しては慎重に吟味し、変更後のルールや申請方法は全従業員へ徹底的に周知しましょう。

申請書の作成に手間がかかって完成が遅い場合

申請書の作成に手間がかかるため、なかなか取り掛かれないといったケースもあります。規定の用紙に内容を記入したり、領収書をまとめたりといった作業を煩わしく感じ、他の業務に追われている間につい後回しになってしまう場合です。

 また、申請書への記入や領収書のまとめは終えたものの、上司からの認め印をもらうまでに時間がかかることもあります。

 様式は入力事項を極力少なくしたり、選択形式にしたりすることで、記載の手間やミスを減らすことができます。様式が簡潔であれば上司も確認しやすいので、経費申請書の経理担当者への渡りがスムーズになります。

月またぎ・年またぎが発生する場合の処理方法

先払いした場合の処理方法

借方貸方
3月旅費5,000
前払金5,000現金10,000
4月旅費5,000前払金5,000

旅費を例に、月またぎが発生する場合の処理方法を見ていきましょう。発生する経費に対して先払いをした場合は「前払金」という経過勘定で処理をします。旅費自体は往路と復路で月をまたぎ発生しているため、2ヶ月にわたって計上する形になります。

後払いした場合の処理方法

借方貸方
3月旅費5,000未払金5,000
4月旅費5,000
未払金5,000現金10,000

発生した経費に対して後払いをした場合は「未払金」という勘定科目を使用します。経費が発生する時期は変わりませんが、帳簿上に表示される経過勘定が異なるため注意しましょう。

経理担当がおさえておきたい法人税・消費税のポイント

基本的に経費精算を行う場合、領収書の日付をベースに処理をすれば問題ありませんが、決算期における精算で法人税と消費税については誰もが一度は頭を悩ませるものです。押さえておきたいポイントを以下の表にまとめました。

法人税法人の所得にかかる税金
物品の引き渡しや企業活動完了後の利益に対し発生する
法人事業税特定の市区町村で一定規模以上の事業を行う法人及び個人に課せられる税金
人口30万人以上の都市などで環境整備費用等に用いられる
法人住民税事務所のある地方自治へ納める地方税
法人の課税所得に基づき、法人自ら計算し、道府県税事務所、市町村役場、都税事務所のいずれかに提出する
消費税商品販売やサービスを提供した場合に発生する税金

年度をまたぐ経費精算には経費精算システムがおすすめ

経費精算システムは、経費の申請や承認などの作業を効率化・自動化できるシステムです。なかには、仕訳作業まで行ってくれるものもあります。

経費精算システムを導入することで、特に煩雑な年度をまたぐ経費の精算もスムーズに行えるようになります。また、気を付けていても起こりがちな経費の申請漏れや仕訳の間違いなどを減らす効果も期待できます。

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経費精算システムは、経費申請・承認業務を効率化してくれるツールです。しかし、さまざまな製品があるため、どのシステムを選べばよいのかわからないというケースも多いでしょう。この記事では、経費精算システム選びのポイントやおすすめのシステムを紹介します。

まとめ

決算期をまたいで経費を精算するケースとして、前年度の領収書を次年度に精算する場合や、年度をまたぐ費用が発生した場合などがあります。

決算月の制定は各企業に委ねられており、年度ごとの決算が義務付けられています。税務署への確定申告は、決算月から二か月後までが期限となっており、経費精算処理を行うのに多少の猶予はあります。

しかし、一度提出した決算数値を変更することは手間や信頼性の面でデメリットが大きく、困難です。そのため、経費漏れが起こらないよう、締め日や精算のルールを従業員へ周知しておくことが大切です。また、経費精算システムの活用もおすすめです。

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