医療ファクタリングとは?仕組みや利用メリット・注意点を解説
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- 医療ファクタリングとは、診療報酬などの債権をファクタリングできるサービス
- 医療ファクタリングは通常のファクタリングよりも審査に通りやすく、手数料も割安
- 医療ファクタリングを選ぶ際は、買取可能な保険請求額の上限や手数料を確認する
医療ファクタリングとは、医療機関の診療報酬・介護報酬・調剤報酬などの債権をファクタリング会社が買い取り、資金化できるサービスです。債権を早期に資金化でき、新しい医療設備導入などにも役立ちます。この記事では、医療ファクタリングのメリットや注意点などを解説します。
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医療ファクタリングとは
ファクタリングとは、企業が売掛金(未回収の請求書)を金融機関やファクタリング会社に売却することで、即座に現金を手に入れる手段です。
通常、企業は商品やサービスを提供した後に請求書を発行し、支払いを待つ必要があります。しかし、ファクタリングを利用することで資金繰りを改善し、キャッシュフローを安定させることができます。
医療ファクタリングは、医療機関が保険会社や政府機関から支払われる保険請求金を早期に現金化する方法です。医療ファクタリングを利用することで、医療機関は即座に必要な資金を手に入れることができ、業務の円滑化やキャッシュフローの改善が図れます。
ファクタリングとは|意味やメリットデメリットをわかりやすく解説
ファクタリングは「債権買取り」のことで、経済産業省が中小企業に向けて推奨している資金調達方法です。スピーディーに資金調達できる点が魅力です。本記事では、ファクタリングの仕組みや種類、メリット・デメリットの他、ファクタリングが役立つシーンなどについて解説します。
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医療ファクタリングとは
医療ファクタリングの種類
医療ファクタリングには、診療報酬ファクタリング・介護報酬ファクタリング・調剤報酬ファクタリングの3つの主要な種類があります。
診療報酬ファクタリングは、医療機関が国民健康保険や医療保険から受け取る診療報酬をファクタリング会社に売却することを指します。介護報酬ファクタリングは、介護施設が介護保険から受け取る介護報酬をファクタリングする取引です。
そして、調剤報酬ファクタリングは、調剤薬局が保険者や政府機関から受け取る調剤報酬をファクタリングする手段です。医療機関や介護サービス事業者、薬局などが受け取る支払いの流れをスムーズにし、資金繰りを改善する上で重要な役割を果たします。
利用者 | 譲渡対象 | |
---|---|---|
診療報酬ファクタリング | 医療機関 | 診療報酬債権 |
介護報酬ファクタリング | 介護施設 | 介護報酬債権 |
調剤報酬ファクタリング | 調剤薬局 | 調剤報酬債権 |
診療報酬債権担保ローンとの違い
診療報酬債権担保ローンは、医療機関が未収の診療報酬を担保にして、金融機関から融資を受ける制度です。これによって医療機関は、診療報酬の支払いを待たずに資金を活用できます。融資の返済は通常、診療報酬の受取時に行われます。
一方で医療ファクタリングは、医療機関が未収の診療報酬をファクタリング会社に売却し、現金を即座に受け取るものです。ここで、医療機関は将来の診療報酬の一部を割引して現金化します。
医療ファクタリングは売掛金を現金化するための手段であり、医療機関の負担を軽減する一方、診療報酬債権担保ローンは融資という形での資金調達であり、毎月分割しての返済が必要です。
医療ファクタリングの仕組み
医療ファクタリングは、医療機関が未収の診療報酬をファクタリング会社に売却して、資金を調達する仕組みです。ファクタリング会社はその請求書の価値を評価し、一定割合の手数料を差し引いた金額で請求書を買い取ります。
医療機関は即座に現金を受け取り、ファクタリング会社が請求書の回収を担当します。支払い期日が到来すると、患者や保険会社からの支払いはファクタリング会社に送られ、医療機関が受け取るべき診療報酬額から手数料が差し引かれた残額が医療機関に支払われます。
医療ファクタリングの利用の流れ
医療ファクタリングを利用する際には、請求書の提出・審査・契約締結・資金の受け取り・支払い、といったステップがあります。ここでは、医療ファクタリングの流れについて解説します。
- 未回収の診療報酬がある場合、ファクタリング会社に連絡
- ファクタリング会社との契約手続きを行い、未回収の請求書を提出
- ファクタリング会社は請求書の価値を査定
- 条件合意後、契約締結
- 医療機関に対して請求金額の一部または全額を現金化
- ファクタリング会社が支払いを回収
以上のように医療機関はファクタリングを利用することで、未回収の診療報酬を即座に現金化し、資金繰りを改善することができます。
医療ファクタリングの特徴・メリット
医療ファクタリングの特徴・メリットは多岐にわたり、経営の安定化やキャッシュフローの改善、さらなる成長の促進につながる重要な手段と言えます。ここでは、医療ファクタリングの特徴・メリットについて解説します。
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医療ファクタリングの特徴・メリット
債権を早期に資金化できる
医療機関が提供した医療サービスに対する報酬は、通常、請求書を送付してから約2ヶ月後に入金されることが一般的です。しかし、この支払いサイクルにより、医療機関の資金繰りが圧迫されることがあります。
医療ファクタリングを利用すると、未回収の診療報酬をファクタリング会社に売却することで即座に現金化できます。これにより、医療機関はスピーディーに必要な資金を手に入れることができ、経営の安定化が図れます。
医療ファクタリングは、入金までの期間を大幅に短縮し、医療機関のキャッシュフローを改善する重要な手段となります。
審査に通りやすい
医療ファクタリングの特徴やメリットの1つとして、審査のハードルが低いことが挙げられます。一般的なファクタリングでは、ファクタリングを利用する企業だけでなく、取引先の信用度も考慮されます。
しかし、医療ファクタリングでは、医療機関の取引先が国保や社保などの公的保険であるため、信用力が高いとみなされます。医療ファクタリングは、医療機関が受け取る診療報酬の信頼性が高いことから、比較的審査のハードルが低い傾向にあります。
手数料が割安になりやすい
医療ファクタリングは、手数料が割安になりやすい特徴があります。これは一般的なファクタリングと比較して、公的保険機関や政府機関の信用力が高く、支払いが遅延するリスクが低いと見なされるためです。
また、医療機関は人々の健康や生活に直接関わるサービスを提供しており、需要が不確定な業界と比べて安定していると判断されます。このような安定した需要があることで、医療ファクタリングの手数料は割安になりやすいです。
売掛先から信頼を失う心配がない
一般的なファクタリングでは、民間企業が売掛先となるため、ファクタリング利用を知られることで信用力が低下するリスクがあります。
一方で医療ファクタリングでは、売掛先が社保や国保連などの公的機関です。そのため、ファクタリングを利用しても信頼を失う心配がほとんどなく、取引関係に影響を与えることなくスムーズに業務を続けることができます。
赤字経営でも利用可能
医療ファクタリングは、赤字経営や債務超過の状態であっても利用できます。審査対象が自院ではなく、未回収リスクの低い公的機関であり、医療機関の経営状態はそれほど重視されないためです。
閑散期で患者が減り、収支がマイナスになったとしても、売掛金があれば資金繰りが可能になります。なお、上述した診療報酬債権担保ローンは融資であるため、自院が審査の対象となり、経営状態によっては審査を通過できないこともあります。
医療ファクタリングを選ぶ際のポイント
医療ファクタリングを選ぶ際には、いくつかの重要なポイントがあります。手数料や条件を比較し、医療機関の経営状況に合った適切な契約を選択しましょう。ここでは、医療ファクタリングを選ぶ際の2つのポイントについて解説します。
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医療ファクタリングを選ぶ際のポイント
買取可能な保険請求額を確認
医療ファクタリングは、ファクタリング会社によって買取可能な金額の上限は異なります。一般的に医療ファクタリングでは、1ヶ月分の保険請求額を買い取ることができますが、中には2ヶ月分や3ヶ月分などより長期間の請求額を買い取ってくれる場合もあります。
医療機関が必要とする資金調達額は、事業規模や経営状況によって異なります。そのため、ファクタリング会社が買取可能な請求額の上限を確認し、医療機関が必要な金額を調達できるかどうかを事前に確認しておきましょう。
手数料を確認
医療ファクタリングを選ぶ際のポイントとして、手数料を確認しておきましょう。ファクタリング会社によって、手数料の料率や計算方法は異なります。一般的に手数料は、請求額の一定割合や請求書の買取額に基づいて計算されます。
手数料が高い場合、医療機関が受け取る現金額が減少し、経営に影響を与える可能性があります。そのため、医療機関は手数料の料率や計算方法を慎重に確認し、自社の経営状況に適したファクタリング会社を選択する必要があります。
医療ファクタリングの利用がおすすめなケース
医療ファクタリングの利用がおすすめなケースとして、医療機関がローンを抱えており、運転資金が不足しているケースがあります。ローンの返済に加え、日常の経費や設備の維持費などに資金が必要な場合、医療ファクタリングを利用して現金を調達することが有益です。
また、新しい医療機器を導入したい医療機関にも、医療ファクタリングの利用は適しています。医療機器の導入には高額な費用がかかるため、現金が必要ですが、診療報酬の支払いが遅れている場合には資金不足に陥ることがあります。
しかし、医療ファクタリングを利用すれば、診療報酬を即座に現金化し、医療機器の導入に充てることができます。医療ファクタリングを利用することで、資金調達の負担を軽減し、医療機関の成長や施設の改善を支援することができます。
医療ファクタリングに関する注意点
医療ファクタリングを利用する際には、いくつかの注意点があります。手数料や契約条件を慎重に確認し、ファクタリング会社の信頼性や実績も検討する必要があります。
ここでは、以下の2つの注意点について解説します。これらの注意点を踏まえて、適切な医療ファクタリング会社を選択し、慎重に取引を行いましょう。
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医療ファクタリングに関する注意点
計画的な利用が必要
医療ファクタリングを利用する際には、計画的であることが重要です。医療ファクタリングでは手数料が請求額から引かれるため、計画的に利用しないと資金繰りが悪化する可能性があります。
手数料は買取額や契約条件によって異なりますが、高額な手数料を支払うことで医療機関の収益が減少し、経営に影響を与える可能性があります。したがって、医療機関はファクタリングの利用を計画的に行うことが重要です。
悪質な業者が存在する
医療ファクタリングを利用する際のポイントとして、悪質な業者が存在することに注意する必要があります。信頼できる業者を選ぶためには、まずは業界での実績や評判を調査しましょう。
口コミや顧客のレビューを確認し、信頼性の高い業者を選ぶことが重要です。また、契約書や取引条件をよく読み、不明な点があれば質問することも大切です。
過度に高額または安い手数料や不透明な条件を提示する業者は避け、明確な取引条件を提示する業者を選ぶことが慎重な取引の基本です。信頼できるファクタリング会社を選定して、安心して医療ファクタリングを利用しましょう。
まとめ
ファクタリングとは、企業が保有する売掛金をファクタリング会社に売却し、即座に現金化する資金調達手法です。医療ファクタリングは、医療機関が保有する診療報酬などの売掛金をファクタリングすることで、資金調達を促進する方法です。
医療ファクタリングの特徴として、債権を早期に資金化できることで、経営の資金繰りを安定化させられる点が挙げられます。また、審査が比較的簡易であり、銀行融資よりも審査に通りやすい傾向にあります。
さらに、手数料が割安になりやすく、売掛先が公的機関であるため信頼を失う心配が少ないという利点があります。医療ファクタリングは、慎重な選択と計画的な活用によって医療機関の経営を支援する強力な手段となります。
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