ファクタリングと借入の違いとは?どちらかがおすすめかも解説
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- ファクタリングと借入は、資金調達までのスピードや調達できる金額などが異なる
- ファクタリングの審査対象は売掛先であるため、自社の経営状況が悪くても利用できる
- 多額の資金が必要な場合や、コストを抑えたい場合には借入を利用するのがおすすめ
ファクタリングと借入(融資)はどちらも企業の資金調達の手段として利用されています。それぞれ異なる特徴があるため、自社に合った方を選ぶことが重要です。この記事では、ファクタリングと借入の違いや、どのようなケースでどちらがおすすめかなどを解説します。
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企業の資金調達にファクタリングや借入を利用しよう
企業の資金調達には、ファクタリングや借入などの方法があります。ファクタリングとは、売掛債権をファクタリング会社に売却して、手数料を差し引いた分の売掛金を現金化する方法です。
一方で借入とは、銀行や民間の金融機関に利息を支払って現金を借りる方法です。ファクタリングと借入は資金調達までのスピードや調達できる金額、審査の対象などが異なります。
有利な条件で資金を調達するためにも、両者の違いを理解し、自社に適した方法を選択しましょう。本記事では、ファクタリングと借入の違いをご紹介します。資金繰りの安定化にお悩みの場合は、ぜひ参考にしてください。
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ファクタリングと借入の違いとは
ファクタリングと借入には異なる点が多々あります。それぞれの違いを理解し、自社に合った資金調達方法を選択しましょう。
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ファクタリングと借入の違いとは
資金調達までのスピード
ファクタリングと借入では、ファクタリングの方が資金調達までのスピードが早い傾向があります。ファクタリングの審査は借入の審査に比べて簡易的であり、提出すべき書類も少ないためです。ファクタリングと借入の平均的な入金期間は、次のようになっています。
ファクタリングと借入の平均的な入金期間は、次のようになっています。
- ファクタリング:最短即日~1週間
- 借入:数日~1ヶ月
できる限り早く手元に資金を得たい場合は、資金調達スピードが早いファクタリングが適しているでしょう。
調達できる金額
ファクタリングと借入では、調達できる金額が次のように異なります。より多くの現金を得たい場合は、借入が適しているでしょう。
- ファクタリング:支払い期日前の売掛金額−手数料
- 借入:数万円~数億円
ファクタリングは、売掛金を前倒しで現金化する仕組みであるため、売掛金の上限を超える資金調達はできません。さらに、手数料が差し引かれるため、売掛金を満額で受け取れない点にも留意が必要です。
一方で借入できる金額は、事業規模や実績によって変動することが多く、数十万円から数億円と莫大な資金を調達できることもあります。
利用時にかかる費用
ファクタリングと借入では、それぞれ利用料・金利という名目の手数料がかかります。手数料や金利の設定は、業者や事業実績によって異なりますが、借入の方が比較的割安な傾向がみられます。
なお、ファクタリングには「2者間ファクタリング」と「3者間ファクタリング」があります。2者間ファクタリングは、依頼主とファクタグ会社の間で行う取引です。対して3者間ファクタリングでは、依頼主・ファクタリング会社・売掛先が契約当事者となります。
2者間と3者間のファクタリングでは、それぞれ利用手数料の設定が異なります。各方法の手数料や金利の相場は次のようになっています。
- 2者間ファクタリング:売掛金の10~20%
- 3者間ファクタリング:売掛金の1%〜10%
- 借入:借入額の2~18%
一般的に2者間ファクタリングは、3者間ファクタリングに比べて手数料が割高です。これは、依頼主が売掛先から売掛金を回収してファクタリング会社に支払う形態であり、ファクタリング会社は未回収リスクに備えて手数料を高額にすることが多いためです。
一方で3者間ファクタリングは、ファクタリング会社が売掛先から直接売掛金の回収を行います。つまり、未回収リスクが低いため、2者間ファクタリングに比べて手数料は割安に設定されています。
3者間ファクタリングの手数料と借入の金利はさほど差がないこともありますが、傾向としては、借入のほうが利用時の費用が割安です。必要以上の出費を抑えたい場合は、借入を検討しましょう。
審査の対象
ファクタリングと借入では、審査の対象が次のように異なります。
- 2者間ファクタリング:依頼主・売掛先
- 3者間ファクタリング:売掛先
- 借入:依頼主
原則としてファクタリングでは、売掛金を支払うのは売掛先であることから、売掛先の信用度が何よりも重視されます。具体的には、金融事故や滞納の有無、経営状況や財務状況が審査されます。
売掛先の経営状況や財務状況が悪化している場合は、支払い期日までに倒産の恐れがあるとみなされ、未回収リスク回避のために審査に落とされる可能性が高いです。
ただし、2者間ファクタリングは、依頼主が売掛先から売掛金を回収してファクタリング会社に支払うことから、依頼主の信用度も一定程度注目されます。
依頼主の資金繰りが悪化している場合、ファクタリング会社への支払いが滞る恐れがあると見なされ、審査に落ちることがあります。つまり、2者間と3者間のファクタリングを比べた場合、より審査基準が緩やかなのは3者間です。
一方で借入では、借入金の弁済義務は依頼主にあるため、依頼主の支払能力を基に審査が行われます。例えば、決算書や確定申告書・見積書・個人資産・担保などが細かく審査されます。
依頼主の事業が良好であり、過去に金融トラブルを起こしていなければ、審査に通る可能性が高いでしょう。
支払い・返済までの期間
ファクタリングにおいて「返済」はありません。お金を借りるのではなく、自社が保有する売掛債権を売却して資金を得る仕組みであるためです。
なお、2者間ファクタリングの場合は、依頼主は売掛先から回収した売掛金について、ファクタリング会社への「支払い」が必要です。そのため、支払い期限が設けられていることが一般的です。
借入はお金を借りているため、依頼主には「返済」の義務があります。返済期間は契約内容によって異なり、1ヶ月〜10年と幅が広いのが特徴です。それぞれの期間を考慮し、無理なく支払い・返済できる方法を選ぶことが望ましいです。
- 2者間ファクタリング:入金後10~45日
- 3者間ファクタリング:返済なし
- 借入:1ヶ月~10年
分割払いの可否
ファクタリング会社や借入先にお金を支払い・返済する場合、分割払いの可否は次のように異なります。
- ファクタリング:原則できない
- 借入:できる
2者間ファクタリングの場合は、売掛先から入金された売掛金を支払い期日までに、一括でファクタリング会社に支払うのが原則です。なお、ファクタリング会社によっては「分割払い可」を謳っていることがあります。
この場合は悪質業者や違法業者の可能性があるため、利用を避けることが望ましいです。一方で、借入の返済は分割払いが許されている場合が多いです。その他にも、残高スライド返済などの多様な返済方法が利用できることもあります。
売掛先への通知の有無
借入は、金融機関と依頼主間の契約であるため、売掛先への通知はありません。ファクタリングの場合は、2者間・3者間のいずれかによって、売掛先への通知の有無が異なります。
- 2者間ファクタリング:ない
- 3者間ファクタリング:ある
- 借入:ない
2者間ファクタリングは、依頼主とファクタリング会社の間で完結するファクタリングです。そのため、売掛先にファクタリングの実施が知られることは原則としてありません。
3者間ファクタリングは、依頼主・ファクタリング会社・売掛先の3者が契約当事者となり、売掛金の回収はファクタリング会社が売掛先から直接行います。したがって、売掛先へはファクタリングの実施が確実に通知されます。
信用度への影響
ファクタリングと借入では、依頼主の信用度に及ぼす影響にも違いがあります。ファクタリングは負債とは見なされないため、貸借対照表への記載が不要です。つまり、依頼主の信用度への影響はほぼなく、決算書の見栄えを保つこともできます。
- ファクタリング:小さい
- 借入:大きい
借入は負債に当たるため、依頼主の信用度が低下する恐れがあります。将来的に銀行融資を予定している場合は、信用度に響きにくいファクタリングのほうが適しています。
ファクタリングと借入どちらを利用すべきか
ファクタリングと借入は、それぞれメリットとデメリットが異なり、できる限り有利な条件で資金を調達するには、会社の状況にあわせて使い分けることが大切です。ここでは、ケース別に、ファクタリングと借入のどちらを選ぶべきかについて解説します。
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ファクタリングと借入どちらを利用すべきか
ファクタリングがおすすめなケース
ファクタリングは資金調達までの期間が短く、借入に比べて審査が緩い点に特徴があります。そのため、資金調達を急ぐ場合や、自社の経営状況が良くない場合におすすめです。
資金調達を急いでいる場合
ファクタリングは、できる限り迅速に手元に資金を得たい場合に適しています。ファクタリングは、長くとも申し込みから1週間程度で入金されることが多く、場合によっては最短で即日の入金も可能であるためです。
例えば、取引先の支払いサイトが変更になり、運営資金がショートする可能性が高い場合は、入金サイトが短いファクタリングを利用することで、資金繰りを安定化させることができます。
自社の経営状況が良くない場合
自社の経営状況が良くない場合は、ファクタリングの利用が望ましいでしょう。ファクタリングの審査で重視されるのは売掛先の信用度であり、自社の経営状況や債務状況はさほど影響しないためです。
例えば、赤字決算や税金滞納、債務超過の企業でも、ファクタリングの審査に通った事例がみられます。借入の場合、これらの企業は審査に落ちる可能性が高いため、確実に資金を獲得したいなら審査が比較的緩やかなファクタリングがおすすめです。
借入がおすすめなケース
借入はファクタリングに比べると資金調達までの期間がやや長いものの、調達可能金額や金利の面で大きなメリットが見込めます。借入がおすすめなケースについて解説します。
多額の資金が必要な場合
多額の資金が必要な場合は、借入が適しています。ファクタリングでは、調達できる資金は売掛債権の範囲内に限られるためです。一方で借入は、事業の規模や実績などを考慮して借入可能な金額が設定されます。
希望通りの金額を調達できないこともありますが、ファクタリングより金額の設定に融通が利きやすいため、できる限り多くの資金を得たい場合は借入を検討しましょう。
コストを抑えたい場合
借入は、資金調達にかかる費用を抑えたい場合にもおすすめです。これは、借入の金利はファクタリングの手数料に比べて、割安に設定されていることが多いためです。
ただし、ファクタリングの中でも3者間ファクタリングの手数料は、借入の金利とさほど差がないこともあります。各手段を選択した場合の手数料・金利を細かく精査し、有利な条件で資金調達が可能な方法を選択しましょう。
借入を勧める悪質なファクタリング会社に注意
ファクタリング会社の中には、実際には融資契約をさせて法外な金利を請求する悪質な業者も存在しているため、注意が必要です。ファクタリングは債権譲渡契約ですが、借入は融資契約となります。貸金業登録を行っている業者しか貸付はできません。
しかし、貸金業登録を行わずに違法に営業している業者もあります。上述のように、分割払いを勧めてくる会社や、手数料が相場より著しく高い場合は、利用を避けたほうが無難です。ファクタリング利用時は、契約書が債権譲渡契約になっているかを確認しましょう。
まとめ
企業の資金調達方法には、ファクタリングや借入があります。ファクタリングは、企業の資金調達方法として、支払い期日前の売掛債権を売却して資金を得るのに対し、借入は金融機関に金利を支払って、お金を借りることができます。
一般的にファクタリングの審査は借入に比べて緩く、資金調達までの期間が短い傾向があります。対して借入は、ファクタリングに比べて金利が割安であり、多額の資金の調達にも対応できる特徴があります。
ファクタリングと借入の違いを理解し、自社の状況に合わせて最適な資金調達方法を選択しましょう。
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