3者間ファクタリングとは?仕組みやメリット・デメリットを解説

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  • 3者間ファクタリングは売掛金についてファクタリング会社と売掛先が直接やり取りする
  • 手数料が割安で審査も通過しやすく、売掛金回収の手間が解消されることがメリット
  • 債権譲渡が売掛先に通知されること、資金調達までに時間がかかることがデメリット

3者間ファクタリングとは、売掛金の支払いについてファクタリング会社と売掛先が直接やり取りするファクタリングです。債権の譲渡が売掛先に通知されるという特徴があります。この記事では、3者間ファクタリングの特徴や2者間ファクタリングとの違いなどを解説します。

目次

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  1. 3者間ファクタリングとは
  2. 3者間ファクタリングのメリット
  3. 3者間ファクタリングのデメリット
  4. 3者間ファクタリングがおすすめなケース
  5. 3者間ファクタリングを利用する際のポイント
  6. まとめ

3者間ファクタリングとは

ファクタリングは、企業が売掛債権(未回収の売上金)をファクタリング会社に売却し、代わりに現金を受け取る取引方法です。このようにして企業は、未収金を早期に現金化して資金繰りを改善することができます。

ファクタリングには、2者間ファクタリングと3者間ファクタリングの2つの形態があります。

2者間ファクタリング・ファクタリング会社と依頼企業のみで行う
・取引方法売掛債権の譲渡は通知されない
3者間ファクタリング・依頼企業、売掛先、ファクタリング会社の3者が関与する
・取引方法売掛債権の譲渡を通知される

ファクタリングとは|意味やメリットデメリットをわかりやすく解説

ファクタリングは「債権買取り」のことで、経済産業省が中小企業に向けて推奨している資金調達方法です。スピーディーに資金調達できる点が魅力です。本記事では、ファクタリングの仕組みや種類、メリット・デメリットの他、ファクタリングが役立つシーンなどについて解説します。

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3者間ファクタリングの仕組み・利用の流れ

3者間ファクタリングは、依頼企業、売掛先、ファクタリング会社の3者が関与する取引方法です。この仕組みでは、依頼企業が売掛債権の譲渡をファクタリング会社に通知し、売掛先が直接ファクタリング会社に支払いを行います。

以下では、3者間ファクタリングの仕組みや利用の流れについて詳しく解説していきます。

1. 利用申し込み

3者間ファクタリングを利用するためには、まず売掛債権が発生した後、ファクタリング会社に利用の申し込みを行います。この申し込みには、様々な必要書類が必要です。

法人の場合は、登記簿謄本や決算書が必要であり、個人の場合は身分証明書や確定申告書が必要です。また、印鑑証明書や通帳、売掛債権の存在を証明する書類なども提出する必要があります。

これらの書類は、ファクタリング会社が申し込みを受け付けた後、審査や契約手続きに使用されます。

2. ファクタリング会社による審査

ファクタリング会社による審査では、主に取引先の信用力、詐欺行為の危険性、ファクタリングに関する請求内容などの審査が行われます。まず、取引先が支払い能力を有しているかどうかが判断されます。

これは、ファクタリング会社が売掛債権を買い取る際に、債権の回収リスクを最小限に抑えるための措置です。詐欺行為の危険性も検討されます。ファクタリング契約において、取引先が不正行為を行っていないかどうかを確認することは重要です。

さらに、ファクタリングに関する請求内容も細かく確認されます。売掛金の請求内容や条件が適切であり、支払い期日や売掛債権の金額が妥当であるかどうかがポイントとなります。

3. 売掛先への通知・債権の譲渡

審査を通過した後、依頼企業は取引先に対して債権譲渡の通知を送ります。取引先はこの変更に同意する必要がありますが、売買契約の内容によっては取引先が了承しないこともあります。

もし取引先が同意しない場合、ファクタリング契約は破棄されて利用できません。このように審査を通過した後は、依頼企業が売掛先に変更を通知し、取引先が同意することで譲渡契約が成立します。

そのため、この段階では取引先との信頼関係や契約内容の適正性が非常に重要となります。

4. 売掛金の入金・回収

3者間ファクタリングの契約が締結されると、ファクタリング会社から依頼企業へ売掛金が振り込まれます。この振込金額は、ファクタリング利用手数料が差し引かれた金額です。

そして、売掛金の回収については、ファクタリング会社が依頼企業の代わりに取引先から回収を行います。

このように、3者間ファクタリングでは依頼企業は手数料を差し引かれた売掛金を受け取り、売掛金の回収についてはファクタリング会社が代行するため、便利でスムーズな資金調達手段となります。

2者間ファクタリングとの違い

2者間ファクタリングと3者間ファクタリングは、ファクタリングの利用方法において異なる特徴を持っています。以下では、それぞれのファクタリング方法に焦点を当て、その違いを項目ごとに解説していきます。

2者間ファクタリングと3者間ファクタリングの違いを理解することで、どちらが自社のビジネスニーズに適しているかを判断する手助けとなるでしょう。

売掛金の支払者

2者間ファクタリングと3者間ファクタリングでは、売掛金の支払者に違いがあります。2者間ファクタリングでは、売掛金の支払者は売掛先企業です。つまり、取引先から商品やサービスを購入した企業が売掛金を支払います。

この場合、通常はファクタリングを利用したことは売掛先に伝わりません。売掛金の回収は、通常通り売掛先企業が行います。一方、3者間ファクタリングでは、売掛金の支払者はファクタリング業者です。

依頼企業が売掛金の一部をファクタリング会社に売却した結果、売掛金はファクタリング業者によって直接回収されます。つまり、取引先から商品やサービスを購入した企業は、売掛金をファクタリング業者に支払うことになります。

売掛先への通知の有無

2者間ファクタリングと3者間ファクタリングの違いは、売掛先への通知の有無にあります。2者間ファクタリングでは、売掛先にはファクタリングの取引が通知されません。

売掛金の売買がファクタリング会社と依頼企業の間で行われるため、売掛先には通常、ファクタリングの取引が行われていることを知ることはありません。一方で3者間ファクタリングでは、売掛先にファクタリングの取引が通知されます。

この違いにより、3者間ファクタリングでは売掛先がファクタリングの取引に関与することがありますが、2者間ファクタリングでは売掛先はその取引を知ることがありません。

審査基準

2者間ファクタリングでは、ファクタリング利用企業が売掛金の回収を行います。そのため、ファクタリング会社は売掛金回収のリスクを慎重に評価します。対象企業の資金繰り状況が重要視され、資金繰りが安定していることが審査のポイントです。

資金繰りが切迫している場合、審査は厳しくなります。一方、3者間ファクタリングでは、売掛先から直接支払いを受ける仕組みです。売掛金の未回収リスクが低いため、審査基準は比較的緩やかです。

信用力調査の対象は取引先であり、依頼企業の経営状況は影響しません。そのため、審査を通過する可能性が高くなります。つまり、2者間ファクタリングでは資金繰りの安定性が焦点となりますが、3者間ファクタリングでは取引先の信用力が主に審査されます。

手数料の相場

3者間ファクタリングと2者間ファクタリングの手数料相場には違いがあります。2者間ファクタリングでは、ファクタリング会社が売掛金の回収リスクを考慮して手数料を設定します。

この手数料は、ファクタリング利用企業が売掛金を回収する際のリスクを補償するために、高めに設定されることが一般的です。対して3者間ファクタリングでは、ファクタリング会社が売掛金の回収を直接行うため、回収リスクが低くなります。

そのため、手数料相場は通常、2者間ファクタリングよりも低く抑えられる傾向があります。ただし、手数料は取引先や取引条件によって異なるため、一概には言えませんが3者間ファクタリングの方が手数料が低いことが一般的です。

2者間ファクタリングとは?メリット・デメリット、注意点も解説

2者間ファクタリングとは、ファクタリング会社と利用者のみで契約するファクタリングのことです。資金調達までがスピーディーで、売掛先に知られずに利用できるという特徴があります。この記事では、2者間ファクタリングのメリット・デメリットや注意点などを解説します。

3者間ファクタリングのメリット

3者間ファクタリングは手数料を抑えられる、審査を通過しやすいなどさまざまなメリットがあります。ここでは、そのメリットについて詳しく解説していきます。

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手数料を抑えられる

ファクタリング手数料は、売掛債権の金額や取引のリスクによって設定されることが基本です。しかし、3者間ファクタリングでは、ファクタリング会社が売掛先から直接売掛金を回収するため、手数料が一般的なファクタリングよりも抑えられる傾向があります。

この仕組みにより、企業は取引のコストを低減し、利益を最大化することができます。また、直接売掛先から回収できる3者間ファクタリングは、ファクタリング会社にとっても架空債権や二重譲渡のリスクが低いため、手数料を低く抑えることができます。

審査を通過しやすい

3者間ファクタリングは、売掛先から直接返済を受ける仕組みであり、売掛金の未回収リスクが低い特徴があります。そのため、ファクタリング会社は売掛先の信用力を主に審査の対象とし、依頼企業の経営状況などはあまり影響しません。

その結果、審査を通過する可能性が高くなります。2社間ファクタリングと比較して、依頼企業が資金繰りに苦しんでいたり、信用度が低かったりしても取引先の信用力が高ければ、審査を通過しやすくなります。

したがって、取引先の信頼性が高い場合、3者間ファクタリングは依頼企業にとって審査を通過しやすい選択肢となります。

売掛金回収の手間がない

3者間ファクタリングの利点は、売掛先からファクタリング会社へ直接支払ってもらうことにあります。つまり、依頼企業は売掛金の回収手続きを行う必要がないため、手間が省けます。

通常の取引では、売掛金の回収には請求書の送付や督促、支払いの確認などの手続きが必要ですが、3者間ファクタリングではこれらの手間が不要です。取引先から直接支払いを受けるため、依頼企業は売掛金の回収に関するストレスや労力を節約することができます。

信頼性の高いファクタリング会社を利用できる

3者間ファクタリングは、2者間ファクタリングよりも信頼性の高いファクタリング会社を利用できると言えます。その背景には、悪質な業者が参入しづらいという理由があります。通常、3者間ファクタリングは手数料が低い傾向にあります。

これは、取引先への債権譲渡通知や承諾が必要となるため、悪徳業者がこの市場に参入するのは難しいためです。この通知と承諾は悪質な業者にとってはハードルが高く、そのために悪徳業者の参入を抑制する役割を果たします。

つまり、信頼できるファクタリング会社を選ぶ際には、3者間ファクタリングを検討することが重要です。

個人事業主も利用しやすい

3者間ファクタリングは、個人事業主にとっても利用しやすいメリットがあります。これは、債権譲渡登記が必要ないことが大きな理由です。通常2者間ファクタリングでは、この登記が必要であり、その上対象は法人に限られます。

しかし、3者間ファクタリングでは、このような対抗要件の取得が不要な場合があります。その結果、個人事業主でも手続きがスムーズに行え、ファクタリングを利用することが可能です。

この柔軟性と利便性により、個人事業主も資金調達の手段として3者間ファクタリングを選択することができます。

3者間ファクタリングのデメリット

3者間ファクタリングには多くの利点がありますが、同時にデメリットも存在します。これらのデメリットを理解することは、事業主や企業がファクタリングを選択する際に重要です。以下では、3者間ファクタリングのデメリットについて解説していきます。

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資金調達までに時間がかかる

3者間ファクタリングのデメリットは、資金調達までに時間がかかる点です。このファクタリング形式では、取引先から売掛債権の譲渡承諾を得る必要があります。

取引先からの承諾や契約手続きには時間がかかるため、入金完了までに最短でも約1週間から2週間程度かかることが一般的です。取引先の了承が得られなければファクタリング契約が成立しないため、待ち時間を避けることはできません。

この待ち時間は、ビジネスの資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。そのため、資金調達のタイミングや急務度に応じて、ファクタリングの利用を検討する際にはこの点を考慮する必要があります。

売掛先の承諾を得ないと利用できない

3者間ファクタリングのデメリットは、売掛先からの承諾を得なければ利用できないという点です。取引先に対してファクタリングの利用を通知し、そしてその同意書を入手する必要があります。

つまり、取引先がこの取引に同意しない、または売掛債権発生時の契約内容によっては、ファクタリング契約を成立させることができません。そのため、3者間ファクタリングを利用する際は、取引先の了承を得ることが困難な場合があることを考慮する必要があります。

3者間ファクタリングがおすすめなケース

3者間ファクタリングは、特定の状況やニーズに応じて他のファクタリング手法よりも優れていることがあります。以下では、どのような場合に3者間ファクタリングがおすすめされるかについて解説していきます。

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初めてファクタリングを利用する場合

3者間ファクタリングは、2者間ファクタリングよりも安全な業者が多いです。3者間ファクタリングでは、大手企業もサービスを提供しており、信頼性が高いとされています。

一方で2社間ファクタリングでは、一部の悪質な業者による高額な手数料を請求するトラブルが発生するケースもあります。しかし、3者間ファクタリングでは、このようなリスクが低減される傾向があります。

そのため、初めてファクタリングを利用する際には、3者間ファクタリングを選択することが安心できる選択肢となります。初心者でも安全に利用できるため、リスクを最小限に抑えながら資金調達が可能となります。

スピードよりも手数料を重視する場合

スピードよりも手数料を重視する場合、3者間ファクタリングがおすすめです。この方法では、多少時間がかかっても手数料を抑えることができます。

売掛債権の信用力や額面の規模によっては、非常に低い手数料で現金化することができる場合もあります。そのため、時間に余裕がある場合や手数料を最小限に抑えたい場合に適しています。

売掛先との信頼関係がある場合

3者間ファクタリングでは取引先への通知や承諾が必要となるため、売掛先がファクタリングの利用を了承することが重要です。売掛先との信頼関係がある場合、ファクタリングの利用を納得してもらいやすいです。

長期にわたり安定的な取引を行ってきた優良な取引先であれば、ファクタリングの事実を伝えただけで、取引関係に大きな影響を及ぼすことはまれです。そのため、取引先との信頼関係がある場合には、ファクタリングを利用する際に円滑に進めることができるでしょう。

債権の金額が大きい場合

債権の金額が大きい場合は、手数料も高くなる傾向があります。そのため、3者間ファクタリングがおすすめです。債権の金額が大きいほど手数料の割合も大きくなるため、割安な手数料が重要な要素となります。

3者間ファクタリングは、手数料を抑えつつも大口の債権を現金化するための有効な手段となります。少しでも低コストでファクタリングを利用したい場合には、3者間ファクタリングを検討する価値があります。

3者間ファクタリングを利用する際のポイント

3者間ファクタリングを利用する際、売掛先に対して正確に説明を行う必要があります。ファクタリングがどのような仕組みであり、その利点やデメリットは何かを理解しておくことが重要です。

正しい知識を持つことで、売掛先に対して自信を持って説明でき、疑問や懸念にも適切に対応できます。また、ファクタリングの利用を考える際には、自社の状況やニーズに合わせて適切なファクタリング会社を選定することも大切です。

信頼できるファクタリング会社を選ぶためには、しっかりとリサーチを行い、口コミや評判、利用条件、手数料などを比較検討する必要があります。売掛先との信頼関係を損なわずに、円滑な取引を行うためにもファクタリングに関する正しい知識を持ちましょう。

まとめ

3者間ファクタリングは、ファクタリング会社と売掛先が直接取引を行うことを特徴とするファクタリング方法です。

この方式では、売掛金の譲渡が売掛先に通知されます。3者間ファクタリングは、手数料を抑えられることや、審査を通過しやすいなどの利点があります。売掛金が大きい場合や信頼関係がある場合には、特に有用です。

しかし、取引先の了解が必要な点や、手続きに時間がかかることに留意が必要です。そのため、経営状況やニーズに応じて、適切なファクタリング手法を選択することが重要です。このような選択によって、事業の運営をスムーズにすることができるでしょう。

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