リバースファクタリングとは?メリット・デメリット、注意点を解説

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  • リバースファクタリングとは、買掛金をファクタリング会社に立て替えてもらうサービス
  • リバースファクタリングとファクタリングは、利用目的・利用者・契約形態などが異なる
  • 発注側は支払期日を先延ばしでき、外注先は売掛金の早期回収が可能になるのがメリット

リバースファクタリングとは、未払いの買掛金をファクタリング会社に立て替えてもらえるサービスです。買掛金の支払期日を先延ばしでき、資金繰りの改善に繋がります。この記事では、リバースファクタリングのメリット・デメリットや利用時の注意点などを解説します。

目次

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  1. リバースファクタリングとは
  2. リバースファクタリングの仕組み・利用の流れ
  3. リバースファクタリングのメリット
  4. リバースファクタリングのデメリット
  5. リバースファクタリングを利用する際の注意点
  6. リバースファクタリングの利用がおすすめなケース
  7. まとめ

リバースファクタリングとは

リバースファクタリングとは、発注企業が未払いの買掛金をファクタリング会社に立て替えてもらうサービスです。通常のファクタリングでは、売掛金をファクタリング会社に譲渡して早期の資金繰りを行いますが、その逆の利用形態のため「リバース(逆)」となります。

リバースファクタリングの利用により、発注企業は本来の買掛金の支払期日よりも支払いを先延ばしにできるため、安定した資金繰りや改善ができるようになります。ファクタリング会社に立て替えてもらった分の買掛金は、発注企業が後日支払います。

本記事では、リバースファクタリングと通常のファクタリングの違いや、仕組み・利用の流れ、メリット・デメリット、利用する場合の注意点、利用がおすすめなケースなどについて分かりやすく解説します。

通常のファクタリングとの違い

通常のファクタリングは、企業が売掛金などの債権をファクタリング会社に売却して、早い段階で現金を入手する方法です。これにより、企業は未収入金を早期に現金化して資金調達ができ、事業の運営資金などに利用できるようになります。

一方でリバースファクタリングは、一般的なファクタリングとは反対の取引形態であり、発注企業が買掛金をファクタリング会社に立て替えてもらう方法です。これにより、発注企業にとっては買掛金の支払期日の先延ばしができ、資金繰りなどの改善に繋がります。

ここからは、リバースファクタリングと通常のファクタリングの違いについて、目的・利用者・契約形態などの項目ごとに詳しく解説します。

利用目的

ファクタリングでは、企業の売掛金などの債権をファクタリング会社に売却することで、早期に現金を入手できる取引のことを指します。これにより、企業は未収入金を早期に現金化することができ、新規業務や業務拡張などの運用資金として利用することが目的です。

対してリバースファクタリングは、発注企業がファクタリング会社に買掛金の立て替え払いをしてもらうことを言います。発注企業は買掛金の支払期日を伸ばすことができ、一時的な資金不足や支払い期限の先延ばしが必要な場合などに役立ちます。

ファクタリングは主に資金調達や資金運用の手段として利用されるのに対して、リバースファクタリングは資金管理や流動性確保のために利用されます。

利用者

ファクタリングでは、製品などの発注を受ける外注先が利用者になります。外注先は未回収の売掛金の債権をファクタリング会社に売却して、早期に現金化します。これにより、外注先にとっては、資金調達やキャッシュフローの改善などが可能になります。

一方でリバースファクタリングでは、外注先に製品などを発注する企業が利用者になります。発注側がリバースファクタリングを利用することによって、本来の買掛金の支払期日よりも支払いを先延ばしにできるため、安定した資金繰りや改善ができるようになります。

契約形態

通常のファクタリングでは、ファクタリング会社が企業から未回収の売掛金を買い取り、現金を企業に渡す仕組みが一般的です。そのため、この場合の契約形態は、企業が保有する売掛金の売掛債権をファクタリング会社に譲渡する「債権譲渡契約」になります。

しかし、リバースファクタリングはファクタリングとは異なり、ファクタリング会社が買掛金の立替払いをするサービスです。そのため、契約形態としてはサービスを利用する企業とファクタリング会社との間で「融資契約」が締結されます。

2者間契約の有無

通常のファクタリング契約では、2者間契約と3者間契約の2つの形態があります。ファクタリングを利用する企業は、2つの契約形態から自社の要件に合致する形態を選ぶことができます。

対してリバースファクタリングの契約形態は、3者間契約のみとなります。リバースファクタリングでは、外注に製品を発注する企業がファクタリング会社に対して、外注先の買掛金の立替払いをしてもらうことになります。

そのため、契約の当事者はファクタリングを利用する企業とファクタリング会社、買掛金を受け取る外注先の3者となります。3者間契約では、ファクタリング会社のリスクが低くなるため、手数料も2者間契約に比べて低めに設定されます。

ファクタリングとは|意味やメリットデメリットをわかりやすく解説

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リバースファクタリングの仕組み・利用の流れ

リバースファクタリングは、買掛金の債務を持つ発注企業が利用するサービスです。具体的には、発注企業が外注先に対する買掛金をファクタリング会社に一時的に立て替えてもらうサービスを指します。

リバースファクタリングの仕組みとしては、製品などの発注を受けた外注先が発注企業に請求書を発行します。発注企業は、ファクタリング会社に買掛金の権利を譲渡するリバースファクタリングの利用を依頼して、ファクタリング会社が審査を行います。

審査の通過後に、外注先を含めた3者間で契約を締結します。ファクタリング会社は発注企業に代わって、外注先に買掛金の立替払いを行います。

発注企業は、立て替えてもらった分の費用を設定した期日までにファクタリング会社に支払います。発注企業から見たリバースファクタリングの流れは、以下のようになります。

  1. 外注先が発注企業に請求書を発行
  2. 発注企業がファクタリング会社にリバースファクタリングを依頼
  3. ファクタリング会社は、依頼された事項に関して審査
  4. 審査通過後に、発注企業・ファクタリング会社・外注先が契約締結
  5. ファクタリング会社が外注先に買掛金を立替え払い
  6. 発注企業がファクタリング会社が立て替えた分を支払う

リバースファクタリングのメリット

リバースファクタリングを利用する場合には、発注側と外注先の双方にメリットがあります。例えば、発注企業側は、ファクタリング会社が買掛金の支払いを立て替えてくれるため、手元に資金を残すことができ、資金繰りの改善などに繋がるメリットがあります。

一方、外注先にとっては、売掛金を早期に現金化できるなどのメリットがあります。ここからは、リバースファクタリングのメリットを発注側と外注先に分けて解説します。

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リバースファクタリングのメリット

  1. 発注側のメリット
  2. 外注先のメリット

発注側のメリット

発注側がリバースファクタリングを利用するメリットとしては、買掛金の支払いを先延ばしにできることや、支払先を一本化できる可能性、下請法に対応できることなどが挙げられます。ここでは、発注側のメリットについて詳しく解説します。

買掛金の支払いを先延ばしにできる

発注側の企業にとって、リバースファクタリングを利用することにより、買掛金の支払いを先延ばしできる点が大きなメリットです。支払いを先延ばしにすることで、現金を確保する余裕が生まれ、運転資金の不足や業務の拡大などに対応できます。

また、買掛債務を複数件抱えているような場合に、どうしても支払いが追いつかないといった状況で、リバースファクタリングの利用は効力を発揮します。

このようにリバースファクタリングは発注側の企業にとって、支払いを先延ばしにして資金を確保し、キャッシュフローを改善できることが強みとなります。

支払先を一本化できる可能性がある

複数の外注先がリバースファクタリングを承諾した場合、発注企業は請求書の管理や支払いの手配を一本化することができます。これにより、それぞれの外注先へ払う必要がなくなり、請求書の処理にかかる時間や手間が低減されるため効率性が向上します。

また、支払いがファクタリング会社に一本化されるので、発注側の企業は支払いのタイミングを調整しやすくなります。これにより、資金の効率的な活用が可能となり、他の業務への資金の流用や、逆に資金不足に対処する場合にも役立ちます。

下請法に対応できる

リバースファクタリングの発注側企業のメリットとしては、下請法に対応できる点が挙げられます。下請法とは、発注事業主から仕事を受注する外注などの下請け業者が不利な契約を結ばずに済むように、保護するための法律です。

例えば、下請法では主契約者が下請け業者に対して支払うべき金額は、製品などの受領後60日以内に行わなければならないと定められています。

発注側企業にとって買掛金の60日以内の支払いが厳しい状況が発生した場合でも、リバースファクタリングの利用により、買掛金の立替払いをしてくれます。そのため、下請法を遵守しながら支払いを先に延ばすことができます。

参考:親事業者の禁止行為|公正取引委員会

優良な外注先を確保しやすくなる

外注先にとっては、支払いが遅い企業よりも早く売掛金を払ってくれる企業の方が好都合です。発注側が長い支払いサイトを望めば、契約を断られることもあるでしょう。

しかし、リバースファクタリングを利用し、早期に立て替えてもらうことで、発注側はより迅速に外注先へ支払いができます。そのため、多くの外注先との契約がスムーズに進み、より優良な外注先を確保しやすくなります。

外注先のメリット

リバースファクタリングの利用による外注先のメリットとして、売掛金を早期回収できることや、貸し倒れリスクを回避できるなどの点が挙げられます。ここからは、外注先のメリットについて詳しく解説します。

売掛金を早期回収できる

外注先がリバースファクタリングを利用することにより、売掛金を早期に回収できるので資金繰りが楽になる点がメリットになります。リバースファクタリングの契約が締結されると、ファクタリング会社が支払期日前に売掛金を支払ってくれる可能性があります。

そのため、外注先にとっては売掛金を早い段階で現金化できるので、キャッシュフローの改善が期待できます。また、資金を早期に入手することになり、経営の安定化や事業拡張などの資金に充てることができます。

貸し倒れリスクを回避できる

外注先がリバースファクタリングを利用することで、売掛金の回収をファクタリング会社から受けることができます。これにより、外注先は安定した資金を確保して、貸し倒れによる業績の悪化や経営の不安定化を避けることができます。

今後発注企業の経営が悪化して、外注先への買掛金が支払えない状況が発生する可能性はゼロではありません。しかし、外注先はファクタリング会社から前もって買掛金の費用を受け取ることができるので、貸し倒れによるリスクを回避できます。

リバースファクタリングのデメリット

リバースファクタリングはメリットに加えて、デメリットもあることを知っておくことが重要です。ここからは、リバースファクタリングのデメリットとして、発注側・外注先のそれぞれのサイドにおけるデメリットについて解説します。

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リバースファクタリングのデメリット

  1. 発注側のデメリット
  2. 外注先のデメリット

発注側のデメリット

発注側のデメリットとしては、外注先から承諾を得る必要があることや、自社が審査対象になることが挙げられます。ここでは、発注側のデメリットについて詳しく解説します。

外注先から承諾を得る必要がある

リバースファクタリングを利用するためには、発注側は外注先から契約するための承諾を得る必要があります。外注先がリバースファクタリングに否定的な見解を持っている場合、合意を得ることが難しくなります。

外注先は自社の財務状況や業務状況を考慮して、リバースファクタリングを受け入れるかどうかを判断します。そのため、外注先がリバースファクタリングを拒否した場合、発注側と外注先の関係が悪化する可能性があります。

また、外注先が承諾しない場合には、発注側は他の資金調達の手段を探すことになります。しかし、他の手段がなく資金などの調達ができない場合は、発注側にとって選択肢が制限され、業務の継続などが難しくなります。

自社が審査対象になる

一般的なファクタリングの場合、審査の対象となるのは外注先です。一方でリバースファクタリングの場合は、発注側である自社が審査対象となります。その理由としては、発注側の企業にファクタリング会社への支払いが発生するためです。

また、ファクタリング会社は発注側企業の財務状況を審査するために、財務情報の開示を求める場合があります。これには、売上高・利益負債・資産などの財務データが含まれるため、発注側企業にとっては財務情報開示に伴う漏洩などのリスクが生じます。

外注先のデメリット

リバースファクタリングを利用する場合には、外注先がファクタリング会社に手数料を負担するといったデメリットがあります。外注先は、ファクタリング会社が立て替えた分の買掛金に手数料を追加する形で支払います。

手数料の割合は、外注先の信用状況・買掛金の額面・支払期日の長さなどによって異なりますが、期日が長くなるほど高額になる傾向にあります。リバースファクタリングの活用によって資金繰りが改善できると共に、手数料が発生する点を考慮する必要があります。

リバースファクタリングを利用する際の注意点

リバースファクタリングを利用する際には、発注側・外注先共に「でんさい」を導入している必要があることや、一般的にリバースファクタリングを扱う業者は少ないなどの注意点があります。ここからは、それぞれの注意点について解説します。

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発注側・外注先ともに「でんさい」を導入している必要がある

リバースファクタリングを利用する際の注意点として、発注側・外注先ともに「でんさい」を導入している必要があります。「でんさい」とは「株式会社全銀電子債権ネットワーク(でんさいネット)」が取り扱う電子記録債権のことを指します。

「でんさい」を導入することで、請求書の発行や受領、支払いなどの取引プロセスが電子化され、処理の効率化と迅速化が図られます。また、請求書の作成や送付、支払い処理が手作業から自動化されるため、取引のスピードや精度が向上します。

さらに、発注側・外注先の双方が電子請求システムを共通のプラットフォームとして利用することで、取引プロセスの効率化やセキュリティの強化、リバースファクタリングのスムーズな運用が実現されます。

リバースファクタリングを扱う業者は少ない

リバースファクタリングを利用する際のもう一つの注意点として、ファクタリングと比較して扱う業者が少なく、選択肢が限られることが挙げられます。全てのファクタリング会社がリバースファクタリングを提供しているわけではありません。

業者の数が限られているので、競争が十分に働かない可能性があります。したがって、条件や手数料などが高めに設定されることもあるため注意が必要です。

リバースファクタリングの利用がおすすめなケース

リバースファクタリングの利用がおすすめなケースとしては、買掛金の支払期日が近い場合や、買掛金の金額が大きい場合などが挙げられます。ここでは、それぞれのケースについて詳しく解説します。

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リバースファクタリングの利用がおすすめなケース

  1. 買掛金の支払期日が近い場合
  2. 買掛金の金額が大きい場合

買掛金の支払期日が近い場合

リバースファクタリングの利用がおすすめなケースとしては、買掛金の支払期日が近く、資金繰りが厳しい場合が該当します。買掛金の支払期日が近づくと、企業は資金の調達が避けられないことになります。

このような状況下では、従来の融資や借入れには時間がかかることがあります。リバースファクタリングの利用により、外注先に対して買掛金の立替払いをしてくれるので、短期的な資金繰りが必要な場合に役立ちます。

買掛金の金額が大きい場合

買掛金の金額が大きいと、発注企業にとって一度に全額を支払う行為は負担が大きい場合があります。しかし、一部をリバースファクタリングによる立替え払いにすることで、負担を分散することができます。これにより、企業の資金繰りがスムーズに行えます。

また、額が大きい買掛金の支払額を分散して支払うことで、一時的な資金不足を回避できます。そのため、季節などに影響されやすいビジネスによって支払額が集中しやすい企業にとっては、リバースファクタリングの利用がおすすめです。

まとめ

リバースファクタリングは、製品などを発注する企業が未払いの買掛金をファクタリング会社に立て替えてもらうサービスです。一般のファクタリングでは、売掛金をファクタリング会社に譲渡して早期の資金繰りを行いますが、その逆(リバース)の利用形態となります。

リバースファクタリングの利用により、ファクタリング会社が買掛金の支払いを立て替えてくれます。そのため、発注側の企業にとっては手元に資金を残すことができ、資金繰りの改善などに繋がるメリットがあります。

一方で外注先にとっては、売掛金を早期に現金化できるなどのメリットがあります。リバースファクタリングを利用する場合には、自社の業務要件に合致する最適なファクタリング会社を選び、効率的な資金繰りや管理を行いましょう。

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