2者間ファクタリングとは?メリット・デメリット、注意点も解説
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- 2者間ファクタリングとは、ファクタリング会社と利用者のみで契約するファクタリング
- 2者間ファクタリングは資金調達までがスピーディーで、売掛先に知られずに利用できる
- 2者間ファクタリングは、3者間ファクタリングと比べて手数料が割高で審査が厳しい
2者間ファクタリングとは、ファクタリング会社と利用者のみで契約するファクタリングのことです。資金調達までがスピーディーで、売掛先に知られずに利用できるという特徴があります。この記事では、2者間ファクタリングのメリット・デメリットや注意点などを解説します。
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2者間ファクタリングとは
ファクタリングとは、企業が持っている売掛債権をファクタリング会社に売却することで資金調達を行う方法です。ファクタリングを行うことで、企業は掛売金から取引手数料を差し引いた現金を手に入れることができます。
ファクタリングは、金融機関からの融資と違い担保や保証人はいりません。また、原則償還請求権のないノンリコース契約であり、売掛金の回収ができない場合でも企業に支払義務は生じません。そのため気軽に利用でき、現在では多くの企業が活用しています。
ファクタリングには、企業とファクタリング会社で契約を行う「2者間ファクタリング」と、売掛先も含めた3者で契約を行う「3者間ファクタリング」があります。両者の大まかな特徴を下記に紹介します。
2者間ファクタリング | ・利用企業とファクタリング会社の2者で契約する方法 ・ファクタリング会社と売掛先との直接的なやり取りはない ・売掛金の入金後、利用企業がファクタリング会社へ支払う |
3者間ファクタリング | ・利用企業とファクタリング会社・売掛先の3社で契約する方法 ・ファクタリング会社と売掛先がやり取りを行う ・取引先から直接ファクタリング会社に売掛金を支払う |
ファクタリングとは|意味やメリットデメリットをわかりやすく解説
ファクタリングは「債権買取り」のことで、経済産業省が中小企業に向けて推奨している資金調達方法です。スピーディーに資金調達できる点が魅力です。本記事では、ファクタリングの仕組みや種類、メリット・デメリットの他、ファクタリングが役立つシーンなどについて解説します。
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2者間ファクタリングとは
2者間ファクタリングは違法ではない
2者間ファクタリングでは、売掛先にファクタリング利用を知らせずに売掛債権をファクタリング会社に引き渡すため、違法ではないかと疑われる場合があります。しかし、ファクタリングは、債権譲渡であり法で認められた取引です。
その根拠は民法にあり、民法第4節「債権の譲渡」の第466条第1項で、債権の譲渡が認められています。また、第466条から第469条では、債権譲渡に関してさまざまな規定がされていますが、ファクタリングはこれらの法律に則って行われています。
ファクタリングが違法な貸付けではないかという疑問を持つ方もいますが、ファクタリングは貸付け(金銭消費貸借)ではなく、債権の売買であるため違法性はありません。貸付けの場合は金銭消費貸借契約を結びますが、ファクタリングでは債権譲渡契約を結びます。
また、貸付けの金銭消費貸借契約では、借金の返済義務があるので、売掛先が支払不能になった場合に貸付けを受けた企業が返済をしなくてはなりません。しかし、ファクタリングの債権譲渡契約では、売掛先が支払不能になっても企業側に返済義務は生じません。
参考:民法(明治二十九年法律第八十九号)|e-Gov 法令検索
2者間ファクタリングの利用の流れ
2者間ファクタリングの売掛金の流れは、売掛先→利用企業→ファクタリング会社となります。2者間ファクタリングでは、主に以下のような手順にしたがって進められるのが一般的です。申込みに必要な書類は、ファクタリング会社によって異なっています。
- 売掛先に請求書を発行する
- 必要書類を揃え、2者間ファクタリングを申し込む
- ファクタリング会社の審査後、利用企業は条件提示を受ける
- 条件に納得できれば、ファクタリング契約を締結する
- ファクタリング会社から代金が支払われる
- 売掛先が利用企業に売掛金を支払う
- 支払われた売掛金をファクタリング会社に支払う
2者間ファクタリングのメリット
融資や貸付、または3者間ファクタリングなどに比べて、2者間ファクタリングは気軽に利用できる資金調達方法です。気軽に利用できるのは、以下の3点のメリットがあるためです。ここからは、2者間ファクタリングのメリットについて解説します。
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2者間ファクタリングのメリット
資金調達までがスピーディー
ファクタリングは、融資に比べてスピーディーな資金調達ができるのがメリットですが、2者間ファクタリングは、3者間ファクタリングに比べて、よりスピーディーな資金調達ができます。早ければ、即日の現金化も可能です。
3者間ファクタリングでは、利用企業とファクタリング会社だけのやり取りのほかに、売掛先に説明して承諾書をもらう必要があります。その点、ファクタリング会社と利用企業だけの話し合いで済む2者間ファクタリングは、一連の流れを短期間で進められます。
売掛先に知られずに利用できる
2者間ファクタリングでは、売掛先にサービスを利用していることを原則知られることはありません。しかし、3者間ファクタリングでは売掛先の承諾を得る必要があり、ファクタリングサービスを利用することを売掛先に知らせなくてはなりません。
売掛金の支払いも2者間ファクタリングでは、通常通り売掛先が利用企業に支払うので、ファクタリングを行っていることを知られるリスクは低いです。それに対して3者間ファクタリングでは、売掛先がファクタリング会社に直接売掛金を支払います。
ファクタリングサービスの利用が売掛先に知られると、利用企業の業績が悪化しているのではないかという不安を抱かせてしまい、今後の取り引きに影響が出る恐れがあります。そのようなリスクを避けたい場合には、2者間ファクタリングがおすすめです。
自社の信用力が重視されない
ファクタリングを利用するには、ファクタリング会社が指定する必要書類を揃え、審査を受けなくてはなりません。審査によって、契約ができなかったり手数料などの契約条件が異なってきたりします。
審査は、利用企業よりも売掛先の信用力を重視して行われます。これは、ファクタリング会社にとって、売掛債権の回収が最重要事項であるためです。
したがって、起業したばかりの企業や銀行の融資を断られた企業でも、ファクタリングなら資金調達できるケースも多いです。
2者間ファクタリングのデメリット
2者間ファクタリングには利用しやすいというメリットがありますが、以下のようなデメリットもあります。利用する場合はデメリットを理解して、効果的に利用するのがおすすめです。
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2者間ファクタリングのデメリット
手数料が割高
2者間ファクタリングは、3者間ファクタリングと比べて売掛金が回収できないリスクが高いため、手数料が割高に設定されています。それぞれにかかる手数料は、2者間ファクタリングで10~20%程度、3者間ファクタリングで1〜9%程度が一般的です。
3者間ファクタリングは、ファクタリング会社・利用企業・売掛先の3者間で契約を締結するため、二重譲渡や債権偽造などのリスクが抑えられます。一方で2者間ファクタリングでは、売掛金を支払う売掛先との契約がないため、回収できないリスクが高くなります。
審査が比較的厳しい
2者間ファクタリングは、3者間ファクタリングに比べて審査が厳しく行われるのが一般的です。これは、2者間ファクタリングでは、売掛先と接触できず、利用企業から提出された書類審査のみで売掛先の信用力をはからなくてはならないためです。
ファクタリング会社は、売掛金の回収ができないと大きな損害を被ります。そのため、利用企業の通帳コピーなどから売掛先の過去の入金状況を調べて、信用力を確認します。売掛先からの入金遅れなどがあると、審査は厳しくなります。
債権譲渡登記が必要になることがある
2者間ファクタリングでは、二重譲渡の防止やファクタリング会社と利用企業の間でトラブルが起きたときの法的証拠とするために、債権譲渡登記が必要になることがあります。
債権譲渡登記は、法人が債権を譲渡したことを登記により証明する手続きで、売掛債権の権利保有者を明確化することができます。登記するには、法人の登記事項証明書が必要となるため、個人では債権譲渡登記の取得はできません。
登記には登記免許税として7,500円ほどかかります。しかし、債権譲渡登記には専門知識が必要になるため、司法書士に依頼する場合は8~10万円程度の費用がかかり、手数料とは別に企業側へ請求される場合もあります。
2者間ファクタリングがおすすめなケース
デメリットもある2者間ファクタリングですが、メリットを最大限活かしたい企業にはおすすめな資金調達方法です。ここでは、2者間ファクタリングがおすすめの3つのケースについて解説します。
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2者間ファクタリングがおすすめなケース
資金調達を急いでいる場合
資金調達を急いでいる場合は、素早く資金調達ができる2者間ファクタリングがおすすめです。2者間ファクタリングでは、掛売先の承諾を得る必要がなく、ファクタリング会社と利用企業の話し合いで契約が進められるため、素早く資金調達フローが進みます。
売掛先に利用を知られたくない場合
売掛先にファクタリングの利用を知られたくない場合には、2者間ファクタリングがおすすめです。3者間ファクタリングの契約は、ファクタリング会社・利用企業・売掛先の3者で
締結するため、掛売先にファクタリングすることを承諾してもらう必要があります。
売掛先から承諾を得るのが難しい場合
日本でファクタリングが普及し始めたのはつい最近で、認知度が高いとは言えません。そのうえ、違法行為だと勘違いされている場合も多く、売掛先から承諾を得るのが難しい場合も多いです。そのような場合には、2者間ファクタリングがおすすめです。
2者間ファクタリングを利用する際の注意点
銀行からの融資や3者間ファクタリングより、資金調達が容易にできる2者間ファクタリングですが、利用する際に注意しなくてはならないポイントもあります。ここでは、以下の3つの注意点について解説します。
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2者間ファクタリングを利用する際の注意点
償還請求権が付いていないか確認
償還請求権とは、債務者が金銭債権の支払いができなくなった場合に、債権者に支払いを請求できる権利のことです。ファクタリングに償還請求権が付いていると、売掛先が支払不能になった場合に、利用企業が支払義務を負うことになります。
しかし、ファクタリングは、償還請求権が発生しないノンリコース契約が原則であるため、償還請求権が付いてくるのは貸付けに当たります。貸付けを行うことができるのは、貸金業登録された業者で、登録していない業者は違法になります。
たとえ貸金業登録をしている業者であっても、ファクタリングを名乗って償還請求権を付けてくるのは、悪徳業者と判断できます。
売掛金は忘れずにファクタリング会社に入金する
2者間ファクタリングでは、売掛金は売掛先から利用企業に支払われ、それを利用業者がファクタリング会社に支払う手順となっています。そのため、支払手続きを忘れずに行う必要があります。
支払期日が近づいても売掛先からの入金がない場合は、支払いを促すことも視野に入れ、入金があったら即刻ファクタリング会社へ支払うようにします。これにより、ファクタリング会社との信頼関係が築かれ、今後のファクタリングがスムーズに進むようになります。
個人事業主は利用できないことがある
ファクタリングは法人向けの業者が多く、個人事業主は利用できない場合があるので注意しましょう。中には個人事業主向けのファクタリング会社もあるので、そのような会社を利用すれば、個人事業主やフリーランスでも利用することができます。
まとめ
ファクタリングには、ファクタリング会社と利用者のみで契約する2者間ファクタリングと、この2者に売掛先を加えた3者間ファクタリングがあります。2者間ファクタリングは資金調達までがスピーディーで、売掛先に知られずに利用できるというメリットがあります。
一方で2者間ファクタリングには、手数料が割高なことや審査が厳しくなるというデメリットもあります。しかし、メリットを最大限活かしたい企業には最適な資金調達方法です。利用する際には、償還請求権が付いていないことなどを確認することが重要です。
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