ファクタリングが「やばい」と言われる理由|悪質業者の特徴も解説

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- ファクタリングの営業には免許や登録が必要ないことから「やばい」と言われている
- 手数料が著しく高い・低い場合や、住所が架空の場合などは悪質業者の可能性が高い
- 優良業者を見分けるには、債権譲渡契約になっているか・手数料は適正かなどを確認する
ファクタリングは資金調達に役立つサービスですが、「やばい」と認識されることがあり、利用を踏みとどまっている企業も多いでしょう。本記事では、ファクタリングが「やばい」と言われる理由や、悪質業者の特徴・優良業者の見分け方などを解説します。
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ファクタリングは違法なのか

ファクタリングは合法的な取引手段であり、売掛債権の譲渡自体に法的な問題はありません。しかし、利用する際には、ファクタリング会社の選定に注意が必要です。
本記事では、ファクタリングが「やばい」と言われる理由や、ファクタリングを利用する際のポイントなどを解説します。
参考:民法(明治二十九年法律第八十九号)|e-Gov 法令検索
ファクタリングの仕組み
ファクタリングは、企業が保有する売掛債権(商品やサービスの代金を後日受け取る権利)をファクタリング会社に売却し、支払い期日前に現金を手に入れるサービスです。主に資金流動性を高めるために利用され、即時資金が必要な場合に有効な手段です。
例えば、建設業や製造業などで売上入金までの期間が長く、一時的に資金繰りが苦しくなる際などに利用できます。手数料は発生するものの、ファクタリングを利用することで本来の入金よりも早く資金調達が行え、企業のキャッシュフローが安定する点がメリットです。

ファクタリングとは|意味やメリットデメリットをわかりやすく解説
ファクタリングは「債権買取り」のことで、経済産業省が中小企業に向けて推奨している資金調達方法です。スピーディーに資金調達できる点が魅力です。本記事では、ファクタリングの仕組みや種類、メリット・デメリットの他、ファクタリングが役立つシーンなどについて解説します。
2者間ファクタリングと3者間ファクタリング
ファクタリングは、主に2者間ファクタリング(2社間ファクタリング)と3者間ファクタリング(3社間ファクタリング)に分けられます。2者間は売掛債権を売却する企業と買い取る業者を指し、3者間はそこに売掛先を含めた3社で行われる取引です。
2者間ファクタリングは、ファクタリングの利用を取引先に知られることなく、早くて即日での資金調達が可能です。対して、3者間ファクタリングは売掛先の承諾が必要なものの、審査の通りやすさと手数料の安さが特徴です。
ファクタリングが「やばい」と言われる理由とは

ファクタリングは合法的な取引手段ですが、誤解されやすい側面があります。ここでは、ファクタリングが「やばい」と言われる理由について解説します。
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ファクタリングが「やばい」と言われる理由とは
免許や登録が必要ないため
ファクタリングは賃金業と誤解されがちです。しかし、貸金業として活動するには貸金業登録が必須となりますが、ファクタリングは貸金業ではなく債権の売買として扱われます。そのため、貸金業登録や免許は必要ありません。
貸金業は主に資金の貸し借りを行い、返済と利息が伴います。対して、ファクタリングは売掛金を買い取ることによって事業者に資金を提供するサービスです。
この取引は売掛金の売買契約に基づくものであり、直接的な金銭貸借ではないため、貸金業の規制が適用されません。ファクタリングが「やばい」と誤解される理由には、賃金業とファクタリングの法的性質の違いが混同されやすいことが挙げられます。
ファクタリングを規制する法律がないため
ファクタリングには、金融サービスに対して制定されているような具体的な規制法がありません。そのため、運営の透明性や安全性が疑問視されることがあります。
ファクタリングは貸金業法のような法規制がないため、業者によって手数料や契約条件に差が生じやすいです。この手数料や契約条件は、利用者が不利益を被る可能性を含んでおり、「やばい」と見なされる原因になっています。
しかし、実際には多くのファクタリング業者が健全に運営されており、適切な情報開示と顧客対応を行っています。ファクタリング業者を選ぶ際には、対象業者の評判や契約条件を慎重に確認することが重要です。
経営が困難になるリスクがあるため
ファクタリングの手数料は、契約形態によっては手数料が高額になり、この高額な手数料がかさんで経営が困難になるリスクがあります。例えば、2者間ファクタリングは、ファクタリング業者と売掛債権を持つ企業の間で行われ、売掛先は取引に直接関与しません。
そのため、取引は簡単に済みますが、手数料が10%から30%に達することもあり、経営に大きな負担をかける原因となる可能性が高いです。
また、3者間ファクタリングは売掛先も含めた3社で契約を結びます。ファクタリング業者は売掛先から直接債権の存在を確認でき、債権が回収不能になるリスクを抑えられるため、3者間ファクタリングでは手数料が一般的に低く設定されています。
ファクタリングを利用する際は、手数料の条件をしっかりと確認し、複数のファクタリング会社から見積もりを取るのがおすすめです。
悪質な業者が存在しているため
ファクタリング業者の中には悪質な業者が存在します。金融庁でも注意喚起が行われているため、ファクタリング全体のイメージが悪化しており、ファクタリングが「やばい」と誤解される原因の1つになっています。
金融庁は、特に偽装ファクタリングや詐欺的な手法を用いる業者に対して警告を発しています。偽装ファクタリングとは、ファクタリングを装いながら、実際には非合法な融資を行うものを指し、売掛金を担保にした貸付であることが多いです。
このような行為は貸金業法に違反する可能性があり、悪質な取り立てや法外な手数料が伴うことも指摘されています。悪質なファクタリング業者から身を守るためには、業者の評判や実績を事前に確認し、契約内容を十分に理解することが重要です。
「やばい」ファクタリング業者の特徴

ファクタリング業者を選定する際には、不当な契約をしないためにも悪質業者の存在に気をつけなければなりません。ここでは、利用を避けるべきファクタリング業者の特徴について解説します。
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「やばい」ファクタリング業者の特徴
手数料が著しく高い・安い
手数料について不審な点が見られるファクタリング業者は、利用を避けるべきです。例えば、正当な理由なく著しく高い手数料を設定している場合、業者が不透明な運営をしている証拠と考えられます。
そのような業者を利用すると、不当に高い手数料を支払わされるだけでなく、隠れた追加費用が発生するリスクも伴います。一方、手数料が著しく低い場合、業者が初期の顧客獲得を目的として一時的に低い手数料を提示している可能性が高いです。
低い手数料で契約を誘い、後で追加の手数料を要求する悪質な手法も存在するため、業者の信頼性や契約の詳細を慎重に確認しましょう。また、ファクタリングの手数料が契約後に変動するケースにも注意が必要です。
業者が後に追加で費用を請求する余地を持たせている場合があるため、契約書に手数料の計算方法や変動条件が明記されているかを確認し、理解できない部分は契約前に解消しておくことが大切です。

ファクタリングの手数料の相場とは?注意点・安く抑える方法も解説
ファクタリングは企業の資金調達の手段として注目されていますが、利用には手数料がかかります。また、2者間ファクタリングと3者間ファクタリングでは相場が異なります。この記事では、ファクタリングにかかる手数料の相場・内訳・注意点や安く抑える方法などを解説します。
見積書・契約書の提示がない
悪質業者の典型的な特徴として、見積書や契約書を提示しない、提示してもその内容が不明確であるといったケースが挙げられます。
正当なビジネスでは、取引の条件・手数料・支払いのタイミング・支払方法など、すべての詳細が契約書に明確に記載されます。これにより、双方の権利と責任が保護されます。
契約書や見積書が提供されない場合、条件変更や追加料金の余地が生まれ、利用者が不利な立場に置かれる可能性があります。契約書や見積書の提供はビジネス運営の基本であり、適切に提供されない場合は、そのファクタリング業者との取引を避けるべきです。
また、契約書や見積書が提供された場合でも内容を細かく確認し、必要に応じて専門家への相談も検討しましょう。
「償還請求権」のある契約になっている
償還請求権(リコース)とは、債権者が債務者に対して返済を求める権利のことを指します。償還請求権があるファクタリングでは、売掛先が売掛金を支払えない場合、ファクタリング業者は売掛金の元の持ち主(利用者)に対して債務の支払いを求めることができます。
通常のファクタリングは、ファクタリング業者が売掛金の回収リスクをすべて負担します。対して、償還請求権のある契約では利用者が最終的にリスクを負うため、ファクタリング業者はリスクを負わずに手数料だけを受け取ることが可能です。
このような契約では、表面上はファクタリングの形をとっていますが、実質的には融資の性質を持ち、貸金業としての登録が必要になる場合もあります。償還請求権のある契約を提供する業者が必ずしもすべて悪質なわけではありませんが、選定の際には注意が必要です。
利用者が不当な条件による損害を被らないよう、契約の内容を十分に理解し、慎重に業者を選定しましょう。
対面での面談を拒否する
対面での面談を拒否する業者や、電話やオンラインだけのやり取りしかない業者には注意が必要です。悪質な業者は、自身の身元や事業所の実体を隠すために対面での面談を避けることがあります。
さらに、対面でのやり取りを避けることで、契約内容や提供されるサービスに関する質問から逃れやすくなります。信頼できるファクタリング業者は運営の透明性が確保されており、オフィスでの面談や事業所の訪問を歓迎する傾向にあります。
業者が実際に存在することを確認できれば、サービス内容について直接話を聞くことも可能です。
会社の住所を確認できない
ファクタリング業者の住所が実在しない架空のものである場合、利用を避けなければなりません。ビジネスにおいて、架空の住所を使用することに正当な理由は存在しません。
架空の住所を使用する理由の多くは、顧客や規制当局からの追及を避けるためであり、法的責任の回避に使われています。悪質業者との契約を避けるため、契約前には必ず地図ツールなどを用いて、業者の住所が実在するのかを確かめましょう。
分割返済を可能としている
ファクタリングの主な目的は即時での資金確保なため、償還請求権を契約に含まない通常のファクタリングにおいて、利用者が「返済」する義務はありません。
利用者が自社の売掛金をファクタリング会社に売却し、代金を一括・前払いで受け取ることで、利用者の手続きは完結します。この基本的な流れにおいて、返済しなければいけない場面が生じること自体がファクタリングの意義と矛盾しています。
そのため、分割返済を提案するファクタリング業者は、ファクタリング業者を装う貸付業者であるか、償還請求権を含む契約の業者である可能性が高いです。
また、償還請求権を含む契約を検討する場合においても、分割返済を許容する業者は、通常よりも高い手数料や複雑な契約条件を設定していることがあります。したがって、契約内容を十分に検討するのが重要です。
優良なファクタリング業者の見分け方

安全にファクタリングを利用するためには、透明性が高く信頼できる事業者のサービスを選ぶことが大切です。ここでは、優良なファクタリング業者の見分け方を解説します。
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優良なファクタリング業者の見分け方
契約書が「債権譲渡契約」になっているか
ファクタリングは、売掛債権の「譲渡」に基づく取引であるのに対し、融資では金銭の「貸付」が行われます。この基本的な違いを押さえた上で、優良なファクタリング業者を見分けるためには、契約書が「債権譲渡契約」になっているかを確認することが重要です。
債権譲渡契約とは、売掛債権を含む債権が譲渡人(売主)から受取人(ファクタリング業者)へ正式に移転されることを内容とする契約です。この契約によって債権の所有権がファクタリング業者に移り、業者が債権の回収権を持つことになります。
手数料は相場を超えていないか
ファクタリングの手数料は、契約形態や売掛先の信用力に応じて異なりますが、一般的な相場があります。
例えば、2者間ファクタリングでは、手数料の相場は約10%〜20%の範囲です。対して、3者間ファクタリングでは手数料が比較的低く、約1%〜9%の範囲となっています。
優良なファクタリング業者を選ぶ際は、手数料の透明性だけでなく、業者が提供するサービスの質や過去に利用した顧客の口コミを確かめましょう。複数の業者から見積もりを取り、複数の業者を比較検討するのがおすすめです。
信頼できる運営歴・実績があるか
安全にサービスを利用する上では、運営歴や実績からファクタリング業者の信頼性を確認することが大切です。長い運営歴がある業者は、市場での変動や経済状況の変化に耐え、持続的に事業を行ってきた証拠・実績となります。
業者が安定かつ信頼できることを示し、多様な取引や問題に対処する豊富な経験を持っているといえるでしょう。さらに、業者の事業実績を確認すれば、その業者がどれだけの売掛金の取引を扱っているか、どの業界に強みを持っているかなどの専門性を理解できます。
事業の真実性と多面的な評価があるか
通常、公式のWebサイトや問い合わせなどから、事業の真実性を確認することができます。例えば、大手企業が運営するサービスの場合は、ファクタリング以外に金融サービスの実績などがあるため、信頼性が高く安心して利用できるケースが多いです。
また、ファクタリングの業界団体に加盟していることも真実性の根拠となります。信用調査や公的な認可を受けているか、利用者の評価からも信用性をチェックすることが大切です。ポジティブ・ネガティブに関わらず、できるだけ多くの声から多面的に判断しましょう。
会社の情報が公開されているか
透明性の高い運営を行っているファクタリング業者を見分けるためには、会社名・住所・連絡先・代表者名などの基本情報を確認することが重要です。
公開されている連絡先や住所を通じて、顧客が業者へ簡単に連絡可能であれば、問題が発生した際にも迅速な対応が期待できます。また、代表者名が記載されていると、その企業の責任者に直接連絡を取ることも可能であり、信頼性の確保につながります。
会社の情報が誰でも確認できるように公開されている場合、透明性のあるビジネスを行う業者であることを示す根拠となります。
ファクタリングの前に検討したい資金繰り改善方法

現状の資金繰りに困っていて、なるべく早く資金調達がしたい場合、ファクタリングを利用する前に改めて現状の課題と改善方法を検討しましょう。特に、以下のような対策を講じるのがおすすめです。
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ファクタリングの前に検討したい資金繰り改善方法
入出金の予定をリスト化する
資金繰りの改善には、まず支払いや入金の予定を管理することが効果的です。資金の流入と流出のタイミングを把握し、資金繰りが悪化する原因を特定すれば適切な対策を立てられます。
具体的には、入出金の予定をリスト化し、リストを基にキャッシュフロー表を作成して分析します。大きな支払いが集中している時期に入金が少ない場合、その時期が資金繰りにとって危険なポイントです。
問題点を特定したら、支払い条件の見直し・入金を早めるための措置・不要な支出の削減など、必要な対策を検討します。対策を実施した後も定期的にキャッシュフローを監視し、経済状況やビジネス環境の変化など、状況に応じて計画を調整しましょう。
売掛債権を早期回収する
売掛債権の早期回収も、資金繰りを改善する方法の1つです。まずは、どの取引先がいつまでに支払うべきなのか、支払いの期限が過ぎているかどうかを明確に把握します。
支払いが遅れている取引先に対しては、友好的な方法でコミュニケーションを取りましょう。電話やメールをはじめ、必要に応じて直接的な面会の機会を作り、支払いの遅れの理由を確かめて支払いの見込み日を調整します。
仮に、支払いが遅れている理由が資金繰りの問題である場合は、分割払いや延期といった条件を提示することも考えられます。なお、関係性を悪化させないために支払いの催促は丁寧に行いましょう。
過去の取引履歴を引き合いに出しながら、これまでの良好な関係の維持を図り、協力を求める形で催促するのが理想的です。
支払いの延期を交渉する
支払期限の延期を取引先と交渉することも、資金繰りの改善につながります。例えば、過去の取引履歴を振り返り、支払いが常に定時に行われていたか、どの程度の取引量があるかを確認します。
また、取引先の業界の現状と経済状況を理解しておくことが重要です。適切な準備により、取引先企業に配慮した交渉が可能になります。
特に、支払期限の延期を交渉する際には、長期的な関係を損なわないように注意深く進めましょう。ただし、交渉が頻繁に必要な状況であれば、根本的な資金繰りの見直しも同時に考えなければなりません。
会社や社長の資産を売却する
資金繰りの改善に向けて会社や社長の資産を売却することは、一時的な現金確保として役立つ方法です。しかし、長期的なビジネス戦略としては持続可能性に欠けるため、慎重に検討する必要があります。
売却を検討する資産には、不動産・機械設備・株式などが挙げられ、社長個人の場合は不動産・車・投資資産が代表的です。専門の評価機関に依頼して価値を把握し、売却によって企業の運営にどれだけの影響があるかを分析するのもおすすめです。
ただし、資産売却は短期的な資金繰り問題の解決策としては効果的ですが、一度手放した資産は回復が困難であり、企業の資産状況を長期的に弱体化させるリスクも伴います。そのため、売却は最終手段として考え、先に他の資金調達方法を検討しましょう。
まとめ

ファクタリングは、売掛債権を現金化する合法的な方法として広く利用されていますが、その誤解や悪用により「やばい」と見なされることがあります。安全な利用のためには、ファクタリングは貸金業ではなく、売掛債権の買取であることへの理解が大切です。
ファクタリングの市場には、不透明な手数料設定や契約条件を提示する悪質な業者も存在します。一部の業者は、高額な手数料の請求や偽装ファクタリングなどの詐欺的な行為に及ぶこともあり、選定には注意が必要です。
優良なファクタリング業者を見分けるためには、契約書が「債権譲渡契約」であることを確認し、手数料が市場の相場を超えていないか慎重に評価することが重要です。企業経営の存続や事業成長における投資の1つの手段として、安全にファクタリングを活用しましょう。
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