NASのデータをオンラインストレージ化|メリット・注意点も解説

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  • NASのデータ容量が足りなくなった時は、オンラインストレージ化を検討すべきである
  • オンラインストレージ化すればどこでもデータにアクセスでき、容量増加も簡単になる
  • オンラインストレージ化すると処理速度が通信環境に左右されるため注意が必要である

企業のデータ保管・共有に便利なNASですが、容量には上限があるため、足りなくなった際にはオンラインストレージ化を検討しましょう。本記事では、NASのデータをオンラインストレージ化するメリット・デメリット、注意点などを解説します。

目次

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  1. NASをオンラインストレージ化しよう
  2. NASをオンラインストレージ化すべきタイミング
  3. NASをオンラインストレージ化するメリット
  4. NASをオンラインストレージ化するデメリット
  5. NASをオンラインストレージ化する際のポイント
  6. NASとオンラインストレージは連携利用もおすすめ
  7. まとめ

NASをオンラインストレージ化しよう

NAS(Network Attached Storage)とは、ネットワークに直接接続される専用のストレージデバイスのことです。

そして、NASのオンラインストレージ化(クラウド化)は、NASデバイスでのデータ管理から、クラウドストレージサービスでのデータ管理に移行することを指します。

NASのオンラインストレージ化によって、どこからでもアクセスできたり容量の追加が簡単になったりと、データを柔軟に管理できるようになります。本記事では、NASをオンラインストレージ化することのメリットや注意点を解説します。

オンラインストレージとは?メリット・デメリットと選び方を解説

オンラインストレージとは、ローカルのHDDなどの記憶容量にデータを保存せずに、インターネット上のストレージにデータを保存するサービスのことです。本記事ではオンラインストレージの仕組みや使い方、メリット・デメリット、選び方について解説します。

NASをオンラインストレージ化すべきタイミング

既存のNASシステムからオンラインストレージへの切り替えには、適切なタイミングがあります。ここでは、NASをオンラインストレージ化すべきタイミングについて解説します。

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NASをオンラインストレージ化すべきタイミングとは

  1. NASの容量が足りなくなった時
  2. 機器が古くなった時
  3. 運用人材がいない時

NASの容量が足りなくなった時

NASのストレージ容量には上限があり、限界に近づいてきた場合にオンラインストレージ化が推奨されます。NASデバイスの場合、新しいハードウェアを購入して設置する必要があり、コストや設置の手間がかかります。

しかし、オンラインストレージでは、ストレージ容量を数クリックで簡単に追加することができます。コスト面においても、使用した分だけ料金を支払うモデルが一般的であるため、初期投資が少なくて済みます。

NASのストレージ容量に限界が近づいてきた場合、追加コストや環境整備の観点から、データ管理をオンラインストレージサービスへ移行する最適なタイミングです。

機器が古くなった時

NASデバイスや関連機器が古くなり、買い換えが必要になった時、新たな機器を購入して設置するのはコストや時間がかかります。また、古いNASシステムは新しい技術の進歩に対応していない可能性もあり、予想外のコストが発生しやすいです。

そのため、機器が古くなった時が、オンラインストレージへの移行を検討すべきタイミングとなります。なお、オンラインストレージ技術は常に進化しており、従来の物理的なNASよりも高速かつ効率的なデータアクセスを提供していることが多いです。

システムや周辺機器との互換性に悩むことがなく、設備投資のコストを抑えられます。

運用人材がいない時

NASシステムの運用には、専門的な知識が必要です。NASを適切に運用できる専門的な人材が不足している場合、オンラインストレージ化を検討すべきといえます。

NASは、ネットワーク設定・ディスクのフォーマット・ユーザー権限の設定など、初期設定が複雑なことが多いです。また、機密データを保持するため、適切なセキュリティ対策も必要であり、故障やトラブルの際には迅速な対応が求められます。

オンラインストレージサービスの利用では専門性を必要とせず、ベンダー(サービス提供者)が保守管理やセキュリティ対策を行います。そのため、組織内に専門知識を持つ人材がいなくても、安定的なデータ管理の継続が可能です。

NASをオンラインストレージ化するメリット

オンラインストレージはNASに比べて、高い柔軟性・容易な運用など、さまざまなメリットがあります。ここでは、NASをオンラインストレージ化するメリットを解説します。

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社外からもデータにアクセスできる

オンラインストレージは、インターネットを通じてどこからでもデータにアクセスできます。そのため、NASのオンラインストレージ化は、遠隔地からの作業が可能になることで、テレワークにも対応しやすいです。

NASは基本的に内部ネットワークでの使用に適していますが、インターネット経由でデータにアクセスすることも可能です。しかし、そのためには専門的な設定が必要であり、ストレージ容量が不足すると、アクセスが遅くなるなどのデメリットも生じます。

オンラインストレージ化により、専門知識がなくてもインターネットでどこからでもデータにアクセスできるようになれば、通信の安定性もインターネット環境に依存します。

自宅・カフェ・移動中など、さまざまな場所から作業できるため、テレワークを含めた柔軟な働き方につなげられます。

容量を簡単に増やせる

オンラインストレージは、ユーザーが必要に応じてストレージ容量を容易に増減できるように設計されています。容量を増やしたい場合、利用するプランをアップグレードするだけで済みます。

NASの場合は、容量を増やす際に追加HDDを増設する必要があります。これには、HDDを購入する費用に加え、設置や維持のための時間と労力がかかります。対して、オンラインストレージには設備投資が不要であり、簡単に容量を変更できるのがメリットです。

保守運用の負担を軽減できる

NASをオンラインストレージ化することで、保守運用の負担を軽減できます。オンラインストレージでは、データのバックアップやアップデートなどの保守運用作業をベンダーが行います

そのため、専任の技術者も不要となり、NASの保守運用のために使っていた時間や労力を他の活動に充てることが可能です。

BCP対策ができる

BCPとは、自然災害やサイバー攻撃などの予期せぬ事態が発生した際に、事業活動を継続し、迅速に正常な運営を再開するための戦略のことです。

NASの場合、データは一箇所に集約されているため、災害やサイバー攻撃などによってNASに障害が起こってしまうと、事業が継続できなくなる恐れがあります。

しかし、オンラインストレージでは、データを複数の地理的に分散した場所に保存するため、特定の一箇所で災害が発生してもデータの損失リスクを軽減できます。また、自動的にバックアップとデータ同期を行うことで、迅速なデータ復旧が可能です。

NASにおいても、データの分散保存やバックアップは可能ですが、機器の購入や手動のバックアップの手間などがかかります。そのため、NASのオンラインストレージ化は、低コストで手軽にBCP対策を実現する方法としてもおすすめです。

NASをオンラインストレージ化するデメリット

オンラインストレージの利用は、通信環境やランニングコストの発生について考慮することが大切です。ここでは、NASをオンラインストレージ化するデメリットと対策方法について解説します。

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NASをオンラインストレージ化するデメリット

  1. 処理速度が通信環境に依存する
  2. ランニングコストが発生する

処理速度が通信環境に依存する

NASはローカルネットワーク上に構成されるため、外部のネットワークとの通信を除けば、その処理速度は安定的です。

しかし、オンラインストレージはインターネットを介してアクセスするため、通信環境によってデータの処理速度が左右されます。つまり、インターネット接続が不安定な地域や帯域幅が限られている場合には、処理速度が低下しやすいです。

処理速度が低下する場合の対策としては、ビジネス向けの高速ブロードバンドサービスとの契約で、安定した高速インターネット接続を利用することが挙げられます。

また、データのアクセス頻度が高い時期には、そのデータをパソコンにダウンロードして、オフラインで作業できるようにしておくのもおすすめです。

技術の進歩によって処理速度の問題が解消

帯域幅の問題について、近年はインターネット技術の進化によって徐々に解消されつつあります。例えば、光回線や5Gなどの技術は、高速かつ安定した接続を提供し、オンラインストレージの利用における遅延問題を大幅に軽減することが可能です。

また、従来のIPv4(PPPoE)は、夜間や休日などに混雑して通信の遅延が発生していましたが、IPv6(IPoE)接続では混雑を回避しつつ安定性が格段に向上しました。その他、Wi-Fiの進化により、複数台の同時接続でも通信が安定するようになっています。

ランニングコストが発生する

NASは初期投資が高額になりやすいものの、自社で管理を行うため、月々の利用料金が発生することはありません。しかし、オンラインストレージは初期費用が低く抑えられる反面、サービス利用料が発生します。

そのため、継続的に発生するランニングコストに対して、費用対効果を検討する必要があります。例えば、使用するストレージ量に基づいて課金されるクラウドサービスを選択すれば、無駄なランニングコストを抑えることが可能です。

必要なデータのみをクラウドに保存する

オンラインストレージサービスは長期的に見ると、NASの維持やアップグレードに比べてコストが低く抑えられることが多いです。特に、遠隔地におけるデータアクセスの必要性が高まる現代において、クラウドの柔軟性は非常に大きな利点となります。

必要なデータのみをクラウドに保存し、不要なデータは定期的に整理することで、ストレージコストを削減できます。具体的には、容量が80%を超えたらデータを見直すなど、一定のルール化を設けると継続しやすいです。

NASをオンラインストレージ化する際のポイント

オンラインストレージは便利ですが、より効果的に運用するためにはいくつかのポイントを押さえておくことが大切です。ここでは、NASをオンラインストレージ化する際のポイントについて解説します。

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必要な容量・人数のプランを選択する

オンラインストレージサービスの料金体系は、主に使用するストレージの容量や利用者の人数に基づいて変動します。一般的な料金体系として、従量課金制・固定料金プランが挙げられます。

従量課金制は、実際に使用したストレージの量に基づいて料金が発生します。必要な時に必要なだけリソースを利用できるため、無駄が少なくなります​。

固定料金プランは、一定のストレージ容量を定額で提供するプランです。大規模な用途や予算の予測がしやすい場合に適しています。

オンラインストレージを選ぶ際は、現在および将来予想されるデータ量を考慮し、それに応じたストレージ容量のプランを選ぶようにしましょう。月額・年額でどれくらいの費用をオンラインストレージに割り当てられるか、予算を考慮することも重要です。

ベンダーのセキュリティ対策を確認する

オンラインストレージのセキュリティは、選択するベンダーに大きく依存します。代表的なセキュリティ対策には、データを保護するための暗号化技術がありますが、ベンダー自身もデータを解読できないゼロ知識暗号化なら、情報の機密性が高まります

また、パスワードでログインできるだけでなく、他の認証手段を組み合わせる多要素認証も不正アクセスを防ぐ効果的なセキュリティ対策です。

適切なオンラインストレージサービスの選択では、このようなセキュリティ機能が備わっているかの確認が重要です。その他、サービスのプライバシーポリシーを読み、ベンダーが個人データをどのように扱うのかについても理解しておきましょう。

データ移行の計画を立てる

NASからオンラインストレージにデータを移行する際には、綿密な計画が不可欠です。移行の流れをスムーズに進行させるためのスケジュールと手順を明確に設定し、移行期間中は従業員が作業を行わないように周知することが重要です。

まず、移行する前にどのデータが移行されるべきかを明確にし、不要なデータは除外します。移行するデータのタイプ・量・使用頻度を考慮し、移行の優先順位を付けながら、データ移行中のトラブルに備えて対策方法を決めておくことも大切です。

次に、スケジュールを作成します。移行を行う日時を計画し、従業員にはその期間中のデータアクセスを制限することを明確に伝えます。もし可能なら、業務の影響を最小限に抑えるために、休日や業務時間外に移行作業を行うのが理想です。

データ移行は手作業でも行えますが、通常業務に支障が出ないよう、データ移行の専門的なツールやサービスの利用がおすすめです。データを迅速かつ安全にクラウドへ転送できます。

運用ルールを整える

オンラインストレージは、機能や設定の仕方など、NASと仕様が異なるケースも多いため、オンラインストレージに適した運用ルールを定めることが重要です。

例えば、オンラインストレージはインターネットを通じて、どこからでもデータアクセスが可能です。リモートアクセスが容易になる一方で、誰がデータにアクセスできるかを厳格に管理する必要があります。

例えば、従業員ごとやデータごとのアクセス権限を適切に設定し、誰がいつアクセスしたかわかるように、ログを管理することも大切です。NASとの仕様の違いを踏まえて、適切なルールやガイドラインを整理しておきましょう。

NASとオンラインストレージは連携利用もおすすめ

NASとオンラインストレージは連携が可能です。連携によって、データ管理とアクセスの柔軟性を大幅に向上させることができます。

連携方法はいくつかありますが、NASをローカルのストレージとして使用しつつ、オンラインストレージも併用するのが代表的な例です。これにより、データの一部をオンラインストレージにバックアップしたり、特定のデータを共有して作業性を高めたりできます

また、NASとオンラインストレージサービスのデータを同期させる連携方法もあります。NASとオンラインストレージサービスに同じデータがある場合、同期によってデータの変更が他方のデータにも反映されます。

同期機能では、NASが故障してデータが失われた場合でも、オンラインストレージに保存されたデータによって復元できます。そのため、NASとオンラインストレージは、連携での利用もおすすめです。

まとめ

NASのオンラインストレージ化は、NASの物理的な制約を超え、データアクセスの柔軟性を格段に向上させる有効な手段です。インターネット経由でどこからでもアクセスできるようになり、リモートワークを含めたさまざまなビジネスニーズへと対応が可能です。

また、容量の拡張が簡単で、データのバックアップも行いやすくなります。オンラインストレージ化は、機器の更新時や運用人材の不足時などのタイミングに行うことで、コスト・運用面での負担が軽減されます。

オンラインストレージ化の際は適切なサービスを選び、データ移行計画や運用ルールの設定などを行うことが大切です。必要に応じてNASのオンラインストレージ化を実施し、データ管理の効率性を向上させましょう。

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