クラウドストレージとNASの違いとは?それぞれのメリットを比較

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  • クラウドストレージは低コストで導入でき、拡張や運用が容易なのがメリット
  • NASはランニングコストが抑えられ、高速かつセキュリティ性が高いことがメリット
  • クラウドストレージとNASはどちらにも良し悪しがあるため、併用もおすすめである

クラウドストレージとNASはどちらもデータを保管・共有するためのツールですが、特徴や使い勝手は異なります。この記事ではクラウドストレージとNASの違いを解説し、それぞれのメリットを比較します。どちらを選ぶべきか迷っている方はぜひ参考にしてください。

目次

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  1. クラウドストレージとNASの違いとは
  2. クラウドストレージとNASの比較
  3. クラウドストレージとNASはどちらを選ぶべきか
  4. まとめ

クラウドストレージとNASの違いとは

クラウドストレージとNASは、データの保管や共有に利用できるストレージであることに変わりはありません。しかしこの2つは、ストレージの置かれている場所が異なり、それが各ストレージの特徴の違いとなっています

クラウドストレージとNASのどちらを導入するかを判断するには、双方の特徴を理解することが重要です。ここでは、ストレージの置かれている場所の違いを中心に、基本的な特徴について詳しく解説します。

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クラウドストレージとNASの違いとは

  1. クラウドストレージとは
  2. NASとは

クラウドストレージとは

クラウドストレージとは、ストレージを提供しているベンダーが持つクラウド上の保存スペースを、インターネットを介して利用するサービスで、オンラインストレージとも呼ばれています。したがって、クラウドストレージの利用にはインターネット環境が必須です。

インターネットを介して利用するので、インターネット環境があれば、アクセス権限のある人ならどこからでもストレージを利用することが可能です。したがって、出先からモバイル端末を使っての業務や、自宅でのパソコンを使ったテレワークでもアクセスできます。

多くの場合、クラウドストレージは、提供業者がストレージを運用・管理するための専用施設であるデータセンターと呼ばれる場所に設置されています。したがって、ユーザーがストレージの管理やメンテナンスを行う必要はありません。

オンラインストレージとは?メリット・デメリットと選び方を解説

オンラインストレージとは、ローカルのHDDなどの記憶容量にデータを保存せずに、インターネット上のストレージにデータを保存するサービスのことです。本記事ではオンラインストレージの仕組みや使い方、メリット・デメリット、選び方について解説します。

NASとは

NASNetwork Attached Storage)は、オフィスなどの閉じられたネットワーク内に設置されたストレージを利用して、ファイルの保存・管理を行います。したがって、社内LAN環境は必須ですが、インターネット環境はなくても構いません。

NASで利用されるストレージは、コンピューターに接続する一般的なHDDではなく、社内LANに接続するネットワークHDDが用いられます。そのため、許可されたユーザーであれば、社内LANに接続されたすべてのコンピュータから利用できます。

1つの社内LANの中に、複数台のネットワークHDDを設置することも可能です。NAS用のHDDには、いくつかのスロットがあり、そこにHDDを挿し込んで利用します。また、HDDの破損に備えて、データを分散して保存するRAID機能を搭載したものもあります。

クラウドストレージとNASの比較

クラウドストレージとNASは、ストレージの設置場所が異なっていることにより、それぞれのメリットの違いを生じさせています。ここでは、それぞれのメリットに焦点を当てて比較していきます。

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クラウドストレージとNASの比較

  1. クラウドストレージのメリット
  2. NASのメリット

クラウドストレージのメリット

ここでは、NASと比較した場合のクラウドストレージのメリットの中から、「導入コストを抑えられる」「故障・破損のリスクが低い」「拡張が容易」「導入・運用が簡単」の4点について解説します。

導入コストを抑えられる

クラウドストレージを導入する場合は、ベンダーが保有するストレージを利用するため、自社でストレージを購入する必要はありません。ベンダーによっては、導入時に初期費用がかかる場合もありますが、無料のサービスも多くあります。

一方、NASを導入する場合、自社でネットワークHDDと社内LANに接続するための機器を購入する必要があり、導入時にかかるコストが高くなります。ただし、クラウドストレージには毎月の利用料が発生しますが、NASはどれだけ利用しても料金の発生はありません。

故障・破損のリスクが低い

クラウドストレージの故障や破損は、ベンダーの大きな損失につながるため、ベンダーはこれらのリスクに対する対策を十分行っています。万が一故障や破損などでストレージがダウンした場合でも、バックアップから早期に復旧できるようなっている製品が多いです。

一方、NASの場合に利用するネットワークHDDは、経年劣化するためクラウドストレージに比べて故障や破損のリスクは高く、メンテナンスも自社で行う必要があります。また、自社の停電によるストレージダウンや破損も考えられるため、UPSの導入がおすすめです。

拡張が容易

クラウドストレージでもNASでも、導入当初のストレージ容量では足りなくなる場合があります。その際、クラウドストレージの場合は、利用プランの変更だけで容易にストレージ容量の拡張ができます。ただし、容量を拡張した場合の月々の利用料は高くなります。

一方、NASのストレージ容量拡張は、ネットワークHDDの空きスロットに新たに購入したHDDを追加したり、スロットに空きがない場合などは容量の大きなHDDと交換したりする必要があり、手間と費用がかかります。

導入・運用が簡単

クラウドストレージを導入する場合は、自社にインターネット環境が整っていれば、契約から短期間で本格運用ができるようになります。また、ストレージの管理・メンテナンスはすべてベンダーが行うので、専門知識がなくても導入・運用ができます。

NASの場合は、ストレージの設置・設定・メンテナンスなどの管理はすべて自社で行わなくてはならず、専門知識のある人材の確保や育成が必要です。そのため、クラウドストレージの導入に比べて、導入や運用のハードルは高いと言えます。

BCP対策ができる

BCP対策(事業継続計画)とは、災害やテロなどの緊急事態に遭遇しても、ある程度の事業の継続や早期復旧ができるようにする対策です。企業のストレージに保管されているデータは企業の重要な事業資産であるため、BCP対策が必要となります。

NASでは、オフィスの被害と同時にストレージも被害を受けます。しかし、クラウドストレージでは、自社とは別の場所にあるデータセンターに被害がなければ、最低限の事業の継続ができます。そして、オフィスの復旧と同時に通常業務の開始が可能です。

データセンターは、一般的に災害に強い構造で、災害の起こりにくい場所に設置されています。また、データセンターが被害に遭った場合でも、離れた場所でバックアップを保管するなどして、早期復旧ができる対策が取られている場合が多いです。

NASのメリット

ここでは、クラウドストレージと比較した場合の、NASメリットの中から、「アクセスが高速」「運用コストを抑えられる」「セキュリティ性が高い」「容量を効率よく使える」の4点について解説します。

アクセスが高速

NASは社内LANのみを利用するので、高速で安定したストレージへのアクセスができます。導入するネットワークHDDや周辺機器によっても異なりますが、数百Mbpsの速度が出ます。大きなファイルを取り扱う場合は、伝送速度の速いNASの導入がおすすめです。

クラウドストレージは、インターネット回線を介してストレージにアクセスするため、アクセス速度はインターネット回線速度に左右されます。クラウドストレージサービスの場合、実効速度は数Mbpsから数十Mbps程度ですが、回線の混み具合で遅くなる場合もあります。

運用コストを抑えられる

クラウドストレージは月々の利用料が発生しますが、NASの場合は運用コストがほとんどかかりません。一般的にNASのメーカー保証は3年程度で、寿命は5年程度といわれています。クラウドストレージの利用料の積算と比較して、費用対効果を考えましょう。

ただし、NASにはメンテナンス費用がかかります。一方クラウドストレージは、自社メンテナンスの必要はなく、メンテナンス費用はかかりません。

また、クラウドストレージでは、料金プランによってユーザー数が制限され、ユーザー数が多いと月々の料金が高くなる場合もあります。NASにはユーザー数の制限がないため、ユーザー数の多い企業ではNASの方がお得になる場合が多いです。

セキュリティ性が高い

NASもクラウドストレージも顧客・従業員の個人情報や、企業の機密情報が蓄積されています。したがって、情報漏えいや第三者によるデータ書き換え・削除といったリスクから、データを守るためのセキュリティ対策を施すことが重要です。

NASの場合は、自社にストレージが置かれているため、自社のセキュリティポリシーに合わせて自由にセキュリティの強化ができます。しかし、クラウドストレージのセキュリティ対策はベンダーに依存します。

そのため、クラウドストレージを導入する場合は、BCP対策のほかにどのようなセキュリティ対策が施されているかを確認しましょう。できるだけ強固な対策が施されている製品を選ぶことが重要です。

容量を効率よく使える

NASは、共有者全員でNAS全体の容量を使うので、人によって使用容量が異なっていても全体の容量を効率よく使えます。

一方、ユーザーごとに使える容量が決められているクラウドストレージでは、人によっては割り当てられた容量では足りなかったり、容量の大半が余ってしまったりなど、効率の悪い使い方になる場合があります。

クラウドストレージとNASはどちらを選ぶべきか

クラウドストレージとNASには、それぞれにメリットとデメリットがあり、一概にどちらが良いとは言えません。共有ストレージを導入したい場合は、まず共有ストレージで何をしたいのかなどのニーズを明確にして、それに応じて適した方を選ぶのがおすすめです。

また、クラウドストレージとNASの併用するのもおすすめです。たとえば、NASの故障やBCPの対策として、クラウドストレージをデータバックアップ用で利用したり、社外からのアクセスが必要なデータだけクラウドストレージで保管したりするなどが考えられます。

まとめ

クラウドストレージもNASもデータを保管・共有するためのストレージですが、特徴や使い勝手は異なります。どちらのストレージを選択するかは、共有ストレージを導入する目的や、双方のメリットやデメリットを照らし合わせて選択するのがおすすめです。

クラウドストレージは低コストで導入でき、拡張や運用が容易なのがメリットで、NASはランニングコストが抑えられ、高速かつセキュリティ性が高いことがメリットです。双方のメリットを活かして、併用するのもおすすめです。

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