RPAを活用して働き方改革を推進|注意したいポイントも解説

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  • 働き方改革を推進していくにあたって、業務を自動化できるRPAは有用である
  • RPAによって、人手不足の解消や長時間労働の是正、多様な働き方への対応などが可能
  • RPAの適切な使い方を理解し、RPAに向いている業務に導入することが重要

働き方改革を推進していくにあたって、業務を自動化できるRPAは有用です。RPAの活用によって、人手不足の解消や長時間労働の是正、多様な働き方への対応などが可能になります。この記事では、RPAが働き方改革推進に役立つ理由や注意点をわかりやすく解説します。

目次

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  1. RPAを活用して働き方改革を推進
  2. RPAが働き方改革推進に役立つ理由
  3. RPAを活用して働き方改革を推進する際の注意点
  4. RPAのクラスとは
  5. まとめ

RPAを活用して働き方改革を推進

RPAとは、従来パソコンで行ってきた定型作業を自動化するツールで、バックオフィス業務の効率化が図れます。また、RPAは24時間365日稼働可能で、人のいない深夜でも動き続けられるため、生産性を向上させることもできます。

定型的かつ正確性が必要とされる業務には、データの入力や集計ダウンロードアップロード各種ツールからのデータ出力メール送信など数多くあります。これらは全て一定のルールや規則に従って行われるため、RPAによる自動化に適しています。

RPAは、政府が推進している働き方改革に活かせる部分も多くあるため、業種を問わず多くの企業で導入が進んでいます。本記事では、RPAが働き方改革の推進に役立つ理由や注意点について、わかりやすく解説します。

RPAとは?メリットや向いている業務、ツールの選び方などを解説

RPAとは、定型業務をロボットを活用して自動化・効率化するシステムのことを言います。RPAを導入することで、業務処理の迅速化などに繋がりますが、対応が難しい業務もあるため注意が必要です。本記事では、RPAのメリット・デメリットや導入手順などを解説しています。

参考:RPA(働き方改革:業務自動化による生産性向上)|総務省

働き方改革とは

2010年代に入ってから、少子高齢化による労働人口の減少や、長時間労働の常態化、労働生産性の低さなどが日本産業の大きな課題として注目されるようになりました。それと同時に、育児・介護と仕事の両立など労働者のニーズも多様化しています。

それらの課題を解決するために、政府は働き方改革実現会議を設置し、働き方改革の推進を行ってきました。それに伴って、働き方改革関連法案の改正が行われ、2019年4月から順次施行されています。

働き方改革の1つとして、「長時間労働の是正と多様で柔軟な働き方の実現」が謳われています。長時間労働の是正では、時間外労働の上限規制が設けられています。また多様で柔軟な働き方では、従業員のニーズに合わせた労働時間や勤務場所の提供が求められています。

参考:「働き方改革」の実現に向けて|厚生労働省

RPAが働き方改革推進に役立つ理由

総務省は、2018年5月のICTトピックで、働き方改革の手段としてRPAが有効であることを紹介しています。ここでは、RPAが働き方改革推進にどのように役立つのかを、下記の5つの具体的なポイントで解説します。

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人手不足を解消できるため

働き方改革では、生産年齢人口の減少による人手不足を1つの課題としています。近年では人材不足が恒常化し、求人も難しくなっているという現状があります。そのような人手不足解消の解決策として、RPAの導入は大変有用です。

PRAを使えば、今まで人が行ってきたパソコンを使った定型業務をロボットが代行してくれるようになります。そのため、自動化ができる業務はRPAに任せ、今までその業務を担ってきた従業員を人手が不足している業務に回すことができます。

長時間労働の是正に繋がるため

働き方改革に伴う法改正で、時間外労働の上限が罰則付きで設定されました。時間外労働の上限は原則⽉45時間・年360時間で、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできません。また、臨時的な特別の事情についても厳しい条件が付けられています。

この時間外労働の上限は、企業規模に関わらずすべての企業に適用され、遵守しなくてはなりません。そのため、それまで長時間労働を必要としていた企業は、規定の時間内で従来の業務の遂行を行わなくてはなりません。

そこで、定型業務をRPAに任せることで、業務の効率化が可能になります。RPAは24時間365日間休みなく稼働し続けます。したがって、退勤後にRPAに業務をさせれば、次の出勤時には作業が完了しており、従業員は次の業務から開始できます。

生産性を向上できるため

働き方改革推進のためには生産性の向上も重要です。定められた時間の中で1人ひとりの従業員の生産性を高める必要があります

しかしパソコンを用いた入力・転記・比較などの単純作業は、重要な業務の一部でありながら、生産性の向上に直接結びつくものではありません。ただし単純作業の中には、RPAで自動化できる作業も多くあります。

これらの単純作業をRPAに行わせ、その作業に割り当てられていた人員や時間をコア業務に回すことが可能です。これにより、企業全体の生産性の向上が図れ、従業員のモチベーションの向上にも役立ちます。

長時間・正確な作業ができるため

RPAは、24時間365日稼働しても人間のようにミスを起こすことはありません。同じ作業を人が行う場合は、ミスをゼロに近付けることはできてもゼロにすることはできません。また、もしミスがあればそれを修正するために余計な手間と時間を要します。

さらに、長時間稼働させても労働基準法の違反になるわけでもないため、コンプライアンスを遵守しつつ作業時間を延長することができます。

ただしRPAも、自動化する作業手順の記載に間違いがあると、間違ったまま実行を繰り返してしまいます。そのため、RPAの自動化を実行する前には、RPAが正しく作業するかを事前に確認し、その後に運用することが重要です。

多様な働き方に対応できるため

多様な働き方への対応も働き方改革の大きな柱の1つです。RPAはOCRと連携して、紙媒体の書類を自動で電子データ化することもできるため、紙媒体の書類確認だけの出社が減らせるなど、リモートワークを始めとする多様な働き方がしやすい環境を作り出せます

RPAは従業員がオフィス外にいても作業をするため、データの共有がされていれば、RPAで自動作成した帳簿などを自宅や外出先などでも利用できます

またRPAが自動実行する時期を把握しておけば、リモートワークを行っている従業員は、その作業が完了する時間に合わせて、自分の業務スケジュールを立てることができるようになります。

RPAを活用して働き方改革を推進する際の注意点

RPAを活用して働き方改革を推進する際には、以下の5つの事項に注意すると、より大きな効果が期待できます。ここでは、それぞれの注意点について詳しく解説します。

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RPAの適切な使い方を理解しておく

RPAは、導入するだけで効果を発揮するものではありません。RPAの自動化は、作業の手順を記載したシナリオを作成し、それをパソコンが実行することで行われます。したがって、RPAの活用には、シナリオ作成が必須です。

しかし、RPAには向いている作業と向いていない作業があります。向いていない作業を無理に自動化しようとすると、シナリオ作成に時間がかかるばかりでなく、シナリオが複雑になって間違った作業を行うリスクを抱えることになります。

RPAに向いている業務とは

RPAに向いているのは、パソコンで行う手順が決まっていて、人の判断がいらない定型業務が基本となります。その中でも繰り返し行う必要がある作業や、人が行うと時間と手間がかかる大量のデータを扱う業務などで利用すると大きな効果を発揮します。

また、データ収集や加工の自動化も得意です。RPAは、ほかのシステムやツールと連携させることもでき、連携させることでより幅広い活用ができるようになります。RPAで自動化を図る場合は、このようなRPAに向いている業務に導入することが重要です。

反対に、例外が多い業務や複雑な処理が必要な業務頻繁に手順が変更される業務は、RPAに向いていません。

業務の棚卸と見直しを行う

RPAを導入する際は、自動化できる業務と自動化できない業務を見極めなくてはなりません。そのため、現在行っている業務の棚卸しと業務フローの見直しを行うのがおすすめです。これによって無駄な作業が見つかれば、これを機会に改善しましょう。

たとえば、台帳記入を紙媒体で行っている場合は、電子文書への切替えも視野に入れましょう。電子文書にすることで、RPAで自動化できる範囲が広がり、作業の効率化をさらに進められます。

自社に適したRPAを選ぶ

RPAの導入によって長時間労働の是正や多様な働き方への対応を行うには、自社に適したRPAを選ぶことも重要なポイントです。RPAを選ぶ際には、以下のような項目を確認しましょう。

  1. 自動化したい業務範囲に対応しているか
  2. 導入コストは適正か・費用対効果が望めるか
  3. スムーズに機能を拡張できるか
  4. 自社の既存システムと連携可能か

RPAは、ツールによって機能性や操作性が様々です。自動化したい業務を洗い出したら、それに最適なものを選択しましょう。また専門知識を要するものも多いため、社内の人員で管理できるかどうかも確認すべきです。

小規模な業務からテスト導入する

RPAは、簡単に自動化できる小規模な業務から導入するのがおすすめです。いきなり大規模な自動化を展開して、使いこなせずにRPAの運用でつまずいてしまうケースもあります。また、システムトラブルが起こるリスクも高くなります。

業務の棚卸と見直しで自動化が可能な作業を洗い出したら、自動化が簡単な順に並べて順次自動化していくと、スムーズに運用開始ができます。少しずつ進めていくことで、自動化のためのシナリオ作成にも慣れ、規模の大きな業務の自動化も容易にできるようになります。

RPA導入後の働き方を明確にしておく

今まで人の手で行ってきた業務をRPAで自動化することで、その作業を担ってきた従業員の作業量が減り、時間的な余裕が生まれます。その余裕をどのように使うかをあらかじめ決めておかなくては、働き方改革はできません

従業員によっては、RPAの導入で自分の仕事が減り、リストラの対象になるのではないかという不安を感じている場合があります。そのような従業員に、人にしかできない生産性の高いコア業務を行ってもらうことを伝えることで、従業員のモチベーションも上がります。

導入後も改善を繰り返す

RPAを導入しても、効果が感じられないというケースも見受けられます。そのような状態が続くと、それ以後の自動化の拡大が消極的になり、費用対効果が下がってしまいます。そのような状況に陥らないようにするためには、定期的な効果測定が必要です。

効果測定は、人件費の削減や生産性の向上などの定量的効果と、モチベーションの向上や働きやすさなどの定性的効果の両面から行います。そして、RPA運用の課題発見と改善を繰り返すPDCAサイクルを回し続け、より費用対効果の高いRPAの運用を図ることが大切です。

RPAのクラスとは

働き方改革を推進していくにあたって、総務省ではRPAを以下のクラスごとに段階的に導入することを提唱しています。

クラス概要適用業務例
クラス1定型業務を自動化する情報取得・入力作業・検証作業など
クラス2RPAとAIの技術を用いて一部の
非定型業務を自動化する
画像解析・音声解析・自然言語解析・非構造化データの読み取りなど
クラス3プロセスの分析・改善・意思決定
までを自ら自動化する
自然言語処理・ディープラーニングなど

現段階では、クラス1までのRPA導入が進んでいる企業が多いようです。ただし今後はクラス2〜3のようなAIとRPAの併用が広がっていくと予想されています。

RPAはプログラミングされた通りにしか動きませんが、AIは自ら考えることが可能なため、両者を組み合わせることで、より高度な業務自動化を実現できます。

まとめ

RPAはパソコンで行う定型作業を自動化するツールです。企業へのRPAの導入は、政府が推進している働き方改革にも大変有用で、人手不足の解消や長時間労働の是正・多様な働き方への対応などを行うための1つの手段となります。

RPAの運用には、作業を自動化するシナリオ作成が必須です。RPAで自動化できる業務は、パソコンで行う手順が決まっている業務であり、自社で自動化できる業務の洗い出しが必要です。

また最初は小規模にRPAを適用させ、徐々に範囲を広げていくのがおすすめです。そしてRPAを最大限有効に活用するため、効果測定と改善を繰り返しながら運用しましょう。

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