銀行・金融業界でRPAの導入が進む理由とは?注意点も解説

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  • 銀行の業務には定型的かつ正確さが求められるものが多く、RPAとの相性が良い
  • RPAを使えば、銀行におけるオンライン取引の自動化や手書き帳票のデータ化も可能
  • RPA導入時には、運用できる人材の確保や抵抗を感じる従業員への説明が必要

バックオフィス業務を自動化するRPAは、銀行・金融業界でも導入が進められています。定型的かつ正確さが求められる業務が多いことが理由のひとつです。この記事では、銀行・金融業界でRPAの導入が進んでいる理由や導入時の注意点を解説します。

目次

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  1. 銀行・金融業界でRPAの導入が進む理由とは
  2. 銀行・金融業界でRPAを導入する際の注意点
  3. まとめ

銀行・金融業界でRPAの導入が進む理由とは

RPAは、手順の決まったパソコン上で行う定型作業を自動化するツールであり、銀行や金融業界を含め多くの企業に導入されています。RPAによる自動化は、作業の手順を書いたシナリオをロボットが自動実行することで行っています。

したがって、自動化できるのはシナリオ化できる定型作業で、今まで手作業で行っていた業務をロボットが行い、人はその結果の確認だけで済むようになります。銀行や金融業界には自動化できる業務が多く、RPAの導入は効果的です。

以前までは、シナリオ作成にプログラミングの知識や技術が必要でしたが、近年では専門知識がなくてもシナリオ作成が容易にできる製品も多く提供されています。そのため、中小企業でもRPAの導入がしやすくなっています。

RPAは、銀行や金融業界でもメガバンクを中心に導入が進んでいますが、地方銀行にとってもおすすめのツールで、業務の効率化に大きな役割を果たします。本記事では、金融業界でRPAの導入が進んでいる理由や導入時の注意点を解説します。

RPAとは?メリットや向いている業務、ツールの選び方などを解説

RPAとは、定型業務をロボットを活用して自動化・効率化するシステムのことを言います。RPAを導入することで、業務処理の迅速化などに繋がりますが、対応が難しい業務もあるため注意が必要です。本記事では、RPAのメリット・デメリットや導入手順などを解説しています。

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定型的な業務が多いため

RPAでシナリオ化できるのは、人が判断する必要がなくルールが決められている作業です。そのうえ、何回も繰り返す作業であれば、より費用対効果が高くなるとともに、大きな業務の効率化が図れます。

銀行や金融業界には、シナリオ化できる定型的な業務が多くあり、多くの銀行や金融業界で導入が進んでいます。たとえば、振替処理や口座開設処理・顧客データ収集などは作業がルール化されているため、RPAでの自動化には大変相性の良い業務です。

人的ミスを防止できるため

お金を取り扱う銀行や金融業界では、間違いが許されません。そのため、従業員はミスのないように細心の注意を払って業務を遂行し、相当な心的負担を背負っています。しかし、人が作業を行っている以上、人的ミスをゼロにすることは難しいです。

その点、RPAでの自動化ではミスは起こりません。したがって、従業員の心的負担の軽減と、ミスに起因する顧客からの信用失墜防止につなげられます。また、それを目的として、RPAを導入している銀行や金融業界もあります。

ただし、自動化するためのシナリオに正しい業務手順が記載されていることが前提です。シナリオを作成したら、正しく作業を行っているかを慎重に確認し、それから運用を始めることが重要です。間違ったシナリオ運用は、大きな損害を与える場合があります。

増加するオンライン取引に活用できるため

最近では、銀行口座の開設や振り込みなどがインターネット上でできるようになり、多くの利用者が活用しています。これらのオンライン取引における業務は、RPAとの親和性が高く自動化することで、人手をかけずに素早く処理することができるようになります。

また、口座開設をインターネットで行った時の入力情報を、社内データベースへ登録する作業の自動化もRPAが得意な作業です。そのようにして蓄積された情報は、今後の営業活動の拡大につなげられます。

書類データ化の課題に対応できるため

銀行や金融業界では、取引伝票・口座開設申込書・契約書類などの紙媒体の書類が毎日のように発生し、その管理の効率化が大きな課題になっています。RPAでは、そのような紙媒体の書類を電子データ化することもでき、書類管理の課題解決の一助となります

紙媒体を電子データ化する場合は、RPAとOCRを連携させて行います。まず、紙媒体の書類をスキャナーやデジカメで画像データ化し、それをOCRで読み取り、画像データをテキストデータに変換します。その一連の流れをRPAで自動化します。

また、読み取った書類の一部を各帳簿に転記する必要がある場合は、帳簿転記まで自動化することができます。最近ではAIを搭載したOCRも増えてきたため、手書きの書類であっても高い精度での読み取りが可能になっています。

働き方改革の推進に役立つため

政府が推進する働き方改革は、働く人々がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現するための改革で、さまざまな法改正が行われています。その中で、時間外労働が月45時間・年360時間までと制限されています

臨時的な特別の事情があって労使が合意すれば、この時間を越えることは可能ですが、その場合もさまざまな規制が設けられています。そのような中で、銀行や金融業界では以前と同じ量の事務業務の遂行が難しくなってきているという現状があります。

そこで、従来人が行っていた業務をRPAに任せることで業務を効率化し、働き方改革推進に役立てようとする機運が高まったことで、銀行や金融業界へのRPA導入が加速化してきたという背景もあります。

参考:「働き方改革」の実現に向けて|厚生労働省

銀行・金融業界でRPAを導入する際の注意点

RPAを効果的に運用するためには、導入時に下記の4点について注意する必要があります。ここでは、それぞれの注意点について詳しく解説します。

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運用できる人材を確保する

RPAを上手く運用するには、運用できるITスキルを持った人材を確保したり育成したりすることが重要です。そして、それらの人材がRPA管理を行えば、スムーズな運用ができるようになります。RPA管理では、シナリオの作成・修正・削除などを中心に行います。

シナリオの作成や修正は外部委託も可能ですが、自社で行えば経費もかからず、タイミングを逃さずにできます。シナリオ作成に専門的技術がいらないRPAも増えていますが、専門技術があればより高度なシナリオの作成や修正ができ、時間もかかりません

また、使わなくなったシナリオの削除は、RPA管理では大変重要な業務です。シナリオがパソコン内に残っている限り、必要がなくても自動実行されます。そのような管理されていないシナリオは「野良ロボット」と呼ばれ、業務の邪魔となります。

社内からの理解を得る

RPAの導入は、今まで人が行っていた業務をRPAが担うことになります。そこで、自分の業務が取られてしまい、リストラの対象になるのではないかといった不安を抱く従業員は少なからず出てきます。

これは、従業員のモチベーションの低下につながり、かえって自社の生産性が落ちてしまう原因になります。したがって、RPAを導入する際には、従業員に丁寧に説明して理解を得ることが大切です。

特に、自動化で生まれた余裕のある人員や時間をどのように利用するのかを明確にし、丁寧に説明する必要があります。余裕のできた人員や時間を人にしかできないコア業務に回せば、従業員のモチベーションを今以上に上げられます。

事前に業務をマニュアル化する

銀行や金融業界に限らずRPAを導入する場合には、業務作業をマニュアル化しておくことが大切です。担当者がそのマニュアルを見れば、その作業が自動化できる作業なのか、自動化しない方がいい作業なのかの見極めができます。

当初は作成したマニュアルの中でも、単純な作業から自動化するのがおすすめです。マニュアルの中で、条件設定が難しく自動化の難しい作業を無理に自動化しようとすると、シナリオ作成に時間がかかるだけでなく、間違った作業をしてしまうリスクが高まります。

各部署に業務フローを確認する

RPAのシナリオ作成はマニュアルを基に行いますが、マニュアルに記載されていない配慮事項などもあります。また、銀行や金融業界の業務は細分化されているため、1つの業務が複数部署にまたがっている場合も多いです

そのため、各部署に業務フローを細かくヒアリングなどで確認することが重要です。そして、作成したシナリオをデモ稼働させて、各部署で正常な動きをしているかどうかを確認してもらうことも大切です。

まとめ

RPAは、パソコンで行う手順が決まった定型作業を自動化するツールで、銀行や金融業界でも導入が進められています。銀行や金融業界の業務の中には、自動化が可能な定型的かつ正確性が求められる業務が多く、RPAの導入で業務の効率化を大きく進められます。

導入時には、運用できる人材の確保や作業の自動化に不安を感じる従業員への説明が必要です。RPAを導入することで、オンライン取引の自動化や大量にある手書き帳票のデータ化ができるなど、多くの業務の自動化で生産性の向上が見込めます。

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