月またぎの経費精算は可能?精算できる期限や予防対策も解説
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- 月またぎ精算は可能ではあるが、会社の信用にも関わるため避けるべきである
- 月またぎ精算が発生するケースとして、月末〜月初にかけての出張などがある
- 月またぎ精算を防ぐためには、期限や精算ルールを社内に周知することが重要である
月またぎでも経費精算は可能です。しかし経理上の手間が増えたり会社の信用失墜に繋がったりなどデメリットが多く、できれば避けるべきです。この記事では月またぎ精算が発生するケースや精算方法、また精算できる期限や月またぎを発生させないための対策などについて解説します。
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月またぎの経費精算は可能か
月またぎの経費精算は可能ではありますが、経理が複雑になるためできれば避けるべきです。経費精算は民法上、発生から5年後まで認められているため、事業上の経費であれば5年後まで経費精算が可能です。
しかし、月をまたいだ経費は、過去に発生した費用を処理することになるため、正確な損益の算出が行えなくなったり、経理上の手間が増えたりするなどのデメリットが多くあります。
また、決済業務完了後に月またぎの経費精算が発生してしまうと、決算修正などを行わなければならないため、経理担当者に膨大な労力負担がかかります。可能な限り経費が発生した月に処理を行い、月またぎの経費精算は避けるべきでしょう。
毎月の精算期限
毎月の経費の精算期限は、会社によって規定が異なります。一般的に15日、月末など会社の締め日に合わせている場合が多いです。具体的には、以下のようなタイミングを経費精算の期限にすると良いでしょう。
- 15日、31日などの月の締め日
- 年度末
- 四半期(3ヶ月毎に四半期決算を行う企業)
- 半期(6ヶ月毎に中間決算を行う会社)
他にも領収書の発行日から1週間〜10日以内を提出期限とし、経費精算をルール化する企業もあります。いずれにしても、社員が早く経費申請ができるような仕組み作りが大切です。
期限に間に合わなくても民法上は5年間請求可能
経費精算は、期限に間に合わなくても民法上は5年間請求が可能です。民法166条によって、従業員が会社に5年間の請求権が認められています。
しかし、このような処理は、経理担当者の業務が煩雑になるのが問題です。決算をまたぐものに関しては、決算修正・税務申告書の修正など、多大な労力や時間がかかってしまいます。
このように会社にとっては負担となるため、できる限り期限内に経費精算の処理をするべきでしょう。提出期限や精算フローなどを設け、申請漏れを防ぐ環境を管理していく必要があります。
月またぎが発生するケースと精算方法
月またぎは経理処理が複雑化するため、避けるべきことは分かりましたが、実際どんな時に月またぎが発生するのか、いつ精算を行えば良いのか、イメージできない方も多いのではないでしょうか。
ここでは、月またぎが発生するケースと精算方法について詳しく解説します。
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月またぎが発生するケースと精算方法
月末の領収書を月初に精算した場合
月末の経費が月またぎした場合、月末分の仕訳と月初分の仕訳を行う必要があります。経費精算は原則領収書発行の日付となるため、以下の経費精算のケースを参考にしてみてください。
【例】5/31に会社の指示で必要な消耗品を立替購入→6/2に小口現金で経費精算したケース
日付 | 借方 | 貸方 |
---|---|---|
5/31 | 消耗品費 1,000円 | 未払金 1,000円 |
6/2 | 未払金 1,000円 | 小口現金 1,000円 |
月末〜月初にかけて出張した場合
月末から月初にかけて出張した場合の経費精算も、基本的には領収書が発行された日付で精算を行います。月末に領収書が発行された経費は前月、月初に発行された経費は翌月の処理となります。以下で具体的なケースを紹介するので、参考にしてみてください。
【例】5/28~6/3までの出張費を立替→6/4に小口現金で経費精算したケース
日付 | 借方 | 貸方 |
---|---|---|
5/28 | 旅費交通費 8,000円 | 未払金 8,000円 |
6/3 | 旅費交通費 8,000円 | 未払金 8,000円 |
6/4 | 未払金 16,000円 | 小口現金 16,000円 |
期限内に経費精算するべき理由
経費精算には、期限内に経費精算するべき具体的な理由があります。経費精算は、企業の経費の利用状況を正確に把握するための重要な業務となります。他にも決算の処理がスムーズになる、トラブルを予防できるなどのメリットがあるため、チェックしておきましょう。
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期限内に経費精算するべき理由
発生主義の原則に則る
「一般原則」「損益計算書原則」「貸借対照表原則」の3つから成る企業会計原則では、損益計算書原則において金銭のやり取りの有無に関係なく取引が発生した時点で、確定した費用と収益を計上するという考え方です。財務状況を適切に把握し管理するために、経費発生後ただちに精算処理をしましょう。
決算処理がスムーズになる
期限内に経費処理が行えていれば、決算処理がスムーズになります。決算は月次処理がすべて完了している必要があり、期限内に経費精算処理ができていれば、決算スケジュールに影響なく処理できます。
決算月に経費精算が遅れてしまうと、決算スケジュールに遅れが出てしまうので注意が必要です。決算は外部に報告する重要なものなので、遅れが許されません。経理担当者の負担の軽減をするためにも、提出期限を守るようルール化を徹底しましょう。
無駄な経費がないか把握できる
経費精算をこまめに行っていれば、無駄な経費がないか正確に把握できます。何にいくら使っているのかを把握しやすくなり、使いすぎや無駄な経費を減らすことができます。
経費の使いすぎは、会社の売上にも直結してくる重要な問題です。会社の経費管理を適切に行うためにも、期限を設けて経費利用状況を把握しましょう。
未精算によるトラブルを予防できる
経費の未清算は、会社にとって従業員への借金を残したままの状態です。未清算のまま次期を迎えても、民法上は経費発生から5年間は従業員に経費を精算する権利があります。
そのため、社内ルールとして定めている場合でも、民法上支払いを拒否できません。経費精算の未処理は、後々トラブルになる可能性があるため、期限内に精算処理ができるように対策に努めましょう。
月またぎの経費精算を避けるための対策
月またぎをせず、期限内に経費精算した方が良いことは理解できましたが、実際にどのような対策を行えばいいのか分からない方も多いでしょう。ここからは、月またぎの経費精算を避けるための具体的な対策方法について解説します。
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月またぎの経費精算を避けるための対策
いつまでに経費精算するか期限を設ける
月またぎをせず経費精算をスムーズに行うには、いつまでに経費精算するか期限を設ける方法が有効です。経費発生から1週間など、明確な日付を決めることで社員が早めに提出する意識が高まります。
ただし、月末や15日などと日付を決めてしまうと、期限前に提出が集中してしまう可能性もあります。そのため、経費発生から〇日と期限を定めた方が、経理担当者の業務の負担も軽減するでしょう。
従業員に経費精算ルールを周知する
さらに厳しく経費精算ルールを徹底するには、従業員にペナルティを課すという方法もあります。ペナルティによって、社員に「期限を守る」という緊張感を持たせることが可能になるでしょう。
具体的には、経費精算ルールを守らなければ、始末書を書くなどの罰則が有効です。なるべく罰則の対象とならないように、社内メールなどで社員に繰り返し経費精算ルールを周知することも大切です。
頻繁に支出が発生する場合は月末にまとめて精算する
頻繁に支出が発生する場合は、月末にまとめて精算するのがおすすめです。交通費が頻繁に発生する場合などは、毎回精算していると非効率で未清算などが起こる可能性があります。
具体的には、交通費精算書などを設け、日付・金額・行先などが正確に分かるように明記します。企業によっては対応していない場合もあるため、経費のまとめて精算が可能であるかを経理に確認しましょう。
スムーズに経費精算できる体制を整える
スムーズに経費精算できる体制を整えることも大切です。社員が期限内に経費精算を行っていない場合、経費精算の処理が面倒と感じている社員が多い可能性があります。
提出書類や記入項目が多いなどの理由で精算が滞りがちな場合は、スムーズに申請できるようにフローを見直しましょう。
社員の負担やミスを減らすためには、手続きの簡素化を図ったり、経費管理システムを導入したりする方法が有効です。社員や経理担当者の作業負担が減り、結果的に業務効率化や人材コストの軽減に繋がります。
キャッシュレスに対応する
経費精算の簡素化には、キャッシュレスに対応する方法も有効です。会社支給の法人クレジットカードを持たせることによって未清算が起こりにくくなったり、社員や経理担当者の業務負担を大幅に削減したりできるのが特徴です。
例えば経費精算業務が多い従業員に配布を行えば、毎回経費精算処理を行う手間がなくなります。経理担当者は、クレジットカードの利用履歴を確認して処理を行うだけなので、業務効率化が図れます。
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月またぎ精算で起こる弊害
経費精算が月またぎや年またぎになると、会社としての信用を失ったり無駄なコストが発生したりなど、さまざまな弊害が起こる可能性があるため注意が必要です。
ここからは、月またぎや年またぎ精算で起こる弊害について解説するので、チェックしておきましょう。
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月またぎ精算で起こる弊害
会社としての信用を失う
経費精算が月またぎや年またぎになると、会社としての信用を失う可能性があります。決算期をまたぐ場合は決算や税務報告の修正が必要となり、財務状況を正しく管理できない会社だと認識される可能性があるためです。
また、財務状況が正確に申告されていない場合は、ルールを守れない会社として見られ、投資家や取引先からの信用も失ってしまいます。報告漏れの大小に関係なく、経費精算は期限内に行うようにしましょう。
社内がルーズになり不正が行われやすくなる
月またぎや年またぎが多くなると社内がルーズになり、不正が行われやすくなる可能性があります。「経費精算は遅れても大丈夫」と印象付けてしまうと、経費精算の遅れが発生しやすくなります。
そのため、経費精算の期限を設定し、社内ルールを適切に整備しましょう。ただ整備するだけでなく、社員に守ってもらえるよう社内メールやチャットツールを用いて徹底的に周知することも必要でしょう。
無駄なコストが発生する
月またぎや年またぎの処理は、書類の作成などに無駄なコストがかかります。紙などの経費申請書類を扱っている場合、何度も仕訳処理や修正をしなければならないため、経理担当者の手間や工数の負担が多くなります。
従業員・経理担当者の負担やミスを減らすためには、経費管理システムなどの導入を検討し、簡単かつ正確に処理が行える状況を作りましょう。
年度またぎでは経費精算できないケースもある
年度またぎでは、経費精算できないケースもあるため注意が必要です。基本的には、確定した決算の数値を変えることはできません。民法上は5年間修正をすることはできますが、決算修正や税務申告の申請など膨大な労力がかかるため、現実的ではありません。
また、社内ルールなどで年度またぎの経費の期限が設定され、その期限に遅れた場合は経費精算できない可能性があります。トラブルを防ぐためにも、年度末は特に申告漏れや入力ミスに注意するよう社員に徹底周知しましょう。
個人事業主の年度またぎ精算
個人事業主の場合は、確定申告の時期を過ぎると原則損金計上ができません。当該年度の経費を損金として処理できるのは、確定申告が確定・提出するまでとなります。
前年度分の確定申告を修正することも可能ですが、翌年度の経費として計上するのが一般的です。個人事業主も企業同様に、年度末の申告漏れや入力ミスに注意が必要です。経費の購入や納品などまでのスケジュールを把握し、計画的に経費精算を行いましょう。
経費精算システムで月またぎ精算の負担を軽減
経費精算システムを利用すると、経費精算においてさまざまなメリットがあります。例えば申請フローや期限が明確になり、月またぎの精算を減らすことができます。
クラウド型のシステムは、出張先や外出先でも申請できるため、素早く精算業務が行えるのが特徴です。
月またぎなどの精算があったとしても、面倒な承認作業などを省略できるのも魅力です。入力抜けや漏れなどのミスも防げるため、従業員や経理担当者の負担を大幅に減らし、業務効率化や生産性の向上などが図れます。
まとめ
月またぎや年またぎでも、経費精算は可能です。しかし、経理上の手間が増えたり会社としての信頼を失うことに繋がったりとデメリットもあるため、できれば避けるべきでしょう。
しかし、月末~月初にかけての出張など、月またぎ精算がどうしても発生するケースもあります。なるべく早く社員に経費精算処理を行ってもらうためにも、期限や精算ルールを社内に徹底的に周知することが重要です。
月またぎの経費精算を減らすためには、この記事を参考に月またぎ精算が発生するケースや精算方法、発生させないための対策について把握し、経費精算がスムーズに行えるように環境を整備していきましょう。
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