経費精算の方法は?業務フローや経費精算業務の課題・対策も解説

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  • 経費精算とは、従業員が立て替えた費用を会社が精算し、金銭を払い戻すことである
  • 経費にならない費用の申請や小口現金・書類の管理など経理担当の負担は大きい
  • 経費精算業務の効率化には、社内ルールの周知や経費精算システムの導入がおすすめ

経費精算とは、業務活動内で従業員が立て替えた費用を会社が精算し、金銭を払い戻すことを言います。本記事では、今さら聞けない経費精算の大まかな流れややり方、経費精算書の書き方、経費精算業務における課題とその対策について解説しています。

目次

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  1. そもそも「経費精算」とは
  2. 経費精算書の種類
  3. 経費精算書の書き方・記入例
  4. 一般的な経費精算のやり方
  5. 出張の際の経費精算の業務フロー
  6. 経費精算業務の課題
  7. 経費精算業務の課題の対策
  8. まとめ

そもそも「経費精算」とは

経費精算とは、従業員が業務のために一時的に立て替えた費用を、経理担当者が精算して払い戻すことです。企業であれば、経費精算の社内ルールがあり、経理の知識に精通した経理担当者が精算を行うため、法令を遵守した経費精算ができます。

しかし、個人事業主が経費精算を行う際には、どこまで経費として計上していいのか、仕訳の仕方がよくわからない人も多く、ミスが起こりがちです。

正しく経費精算を行わないと、税務調査で指摘され、場合によってはペナルティが課せられることもあります。ミスのない経費精算を行うために、自社の課題を洗い出し、対策を講じましょう。

経費精算と経費申請の違い

経費精算と経費申請は、どちらも経費管理に欠かせない業務ですが、内容が異なります。経費精算は、従業員が立替払いをした経費を、会社が精算することです。一方、経費申請は、経費精算を行うために、従業員が経費の明細を会社に提出することを指します。

経費精算は、まず従業員が経費申請をし、それを上司が承認し、さらに経理担当者が精算書の内容を詳細に確認してから処理されます。そして、経費精算が完了後に、従業員が経費を受け取るという流れが一般的です。

つまり、経費申請は従業員が経費を申請して承認を得るための手続き、経費精算は経理部門が承認された経費を処理して精算するための手続き、という点に違いがあります。

経費精算の種類

主な経費精算の種類には、交通費精算・旅費精算・小口精算の3つがあります。それぞれの種類について、以下で内容を詳しく解説します。

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経費精算の種類

  1. 交通費精算
  2. 旅費精算
  3. 小口精算

交通費精算

交通費精算とは、通勤・出張など業務にともなう移動のために従業員が支出した交通費を、経理担当者が確認し、支払い処理を行う業務です。交通費精算の対象となる交通費には、次のようなものがあります。

  1. 電車代
  2. バス代
  3. タクシー代
  4. 飛行機代
  5. ガソリン代
  6. 駐車料金
  7. 高速料金
  8. レンタカー料金
  9. 定期代

交通費精算は、会社の規則に基づいて行われます。 会社によっては、通勤にともなう電車代・ガソリン代であっても、上限金額を設けているところもあります。そのため、事前に会社の規則を確認しておくことが大切です。

旅費精算

旅費精算とは、出張など宿泊をともなう業務の際、従業員が支出した費用を会社に請求し、経理担当者が支払い処理を行う業務です。旅費精算の対象となる費用には、次のようなものがあります。

  1. 交通費
  2. 宿泊費
  3. 食費
  4. 接待費

取引先との会食など、業務にともなう食事であれば、食費も旅費の中に含まれます。一方、業務に伴う宿泊であっても、宿での朝食は業務に必要なものではないため、朝食付きの宿泊プランは経費として認めない会社もあります。

出張の際は、どこまで経費として認められるのか、事前に会社の規則を確認しておきましょう。

小口精算

小口精算とは、比較的少額の経費を精算する際に、小口現金を用いて処理する精算方法です。小口現金とは、交通費・事務用品費など少額かつ頻繁に支出のある経費を精算するために、部署や支店ごとに一定額置いている現金です。

小口精算を行うと、経費がすぐに支払われるため、従業員は会社の経費を立て替える必要がなくなります。また、小口現金には限度額があるため、従業員が会社の経費を不正に使用するのを防ぐ効果もあります。

経費精算書の種類

経費精算書には、「立替経費精算書」「仮払経費申請書」「仮払経費精算書」「交通費精算書」「出張旅費精算書・旅費精算書」などの種類があります。それぞれの精算書について、以下で詳しく解説します。

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立替経費精算書

日々の業務の中で発生する経費は、事務用品の購入・出張の旅費・接待交際費など、多岐にわたります。立替経費精算書は、従業員が一時的に立て替えて支払ったそれらの経費を、会社に請求するための書類です。

外出や出張の多い営業職では、1ヶ月のうちに複数の経費を立て替えるケースが少なくありません。そのため、立替経費精算の場合は、金額の上限を設けることで従業員の金銭的負担を減らせます。

仮払経費申請書

仮払経費申請書とは、事前に金額が確定しない費用について、概算で経費の仮払いを行うための申請書です。申請書は、手書きのほか、Excelを使用している会社もあります。

遠方への交通費・宿泊費など、出張費は従業員がまとめて立て替えるとなると高額で、負担が大きくなりがちです。そのため、従業員が事前に仮払経費申請書を会社に提出し、会社側は経費額の概算を算出して、その金額を従業員に仮払いするのが一般的です。

仮払経費精算書

仮払経費精算書は、仮払経費申請書に基づいて仮払いした経費を精算するための書類です。仮払いした経費の使用用途を確認し、余剰や不足について精算するために使用します。仮払経費申請書と仮払経費精算書は、セットで使用するのが一般的です。

経費の仮払いは、従業員の負担を軽減するために有効な手段ですが、経費の内訳が毎回変わるため、管理や計算が複雑でミスが起こりやすい性質があり、頭を悩ませている経理担当者は多くいます。

交通費精算書

交通費精算書とは、営業職などの従業員が立て替えた交通費を後日精算する際に必要な書類です。適切な交通手段を利用しているか、記載された金額は正しいかなどを経理部門がチェックするために使用します。

経理部門は、精算書に記載された利用区間をインターネットの乗換案内などで検索し、交通費の金額を計算します。利用区間の中に定期区間が含まれている場合は、定期区間分の運賃を差し引いて計算する必要があるなど、確認作業に非常に手間がかかります

出張旅費精算書・旅費精算書

出張旅費精算書・旅費精算書とは、出張や社員旅行で発生した宿泊費・出張手当・出張交通費などの旅費を、後日精算するために提出する書類です。

出張旅費精算は、会社によっては新幹線代・航空券代・宿泊代などあらかじめ確定している費用を先に支払い、出張後に残りの費用を精算する場合もあります。

出張旅費精算は、会社の規則に基づいて用途や利用区間の調査・金額の計算が行われます。これにより、旅費を正しく管理するとともに、経費の透明性を確保できます。

経費精算書の書き方・記入例

経費精算書の書き方には、法律で定められたルールがいくつか存在します。ルールに従って記入しないと、精算書として認められないため、正しく記入することが大切です。以下で、経費精算書の記入例を解説します。

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経費精算書の書き方・記入例

  1. 立替経費精算書の書き方
  2. 交通費精算書の書き方

立替経費精算書の書き方

立替経費精算書は、従業員が会社に代わって支出した経費を精算する際に用いられ、主に以下のような項目を記載するのが一般的です。

  1. 申請者名
  2. 申請日
  3. 日付
  4. 支出内容
  5. 支払先
  6. 金額
  7. 備考

申請者名は、立替経費精算の申請者の氏名です。社員番号や、所属部署が含まれる場合もあります。申請日には申請書を提出する日付を、日付には経費を使用した日を記入します。また、支出内容には支出した経費の内容を、金額には支出した経費の金額を記入します。

備考には、取引先の名称や経費の勘定科目など、内容の詳細を必要に応じて記載します。会社によって記載する項目が若干異なるため、会社が定めた書き方に従って正しく記入しましょう。

申請日**年6月10日

申請者 社員番号 ***** 〇〇部 山田太郎

日付内容支払先金額備考
6月3日6月5日登記簿謄本1通ボールペン代法務局〇〇文具店600円150円〇〇銀行へ提出

交通費精算書の書き方

交通費精算書は、業務にともなう移動が発生した際に、従業員が支出した交通費を精算するのに用いられ、主に以下のような項目を記載します。会社によって記載する項目が若干異なるため、会社が定めた書き方に従って正しく記入しましょう。

  1. 申請者名
  2. 申請日
  3. 日付
  4. 交通機関
  5. 利用区間
  6. 片道/往復
  7. 利用金額

申請者名は、立替経費精算の申請者の氏名です。社員番号や、所属部署が含まれる場合もあります。申請日には申請書を提出する日付を、日付には経費を使用した日を記入します。

交通機関には利用した交通機関の会社名、利用区間にはその交通機関を利用した区間を記入します。そして、片道・往復どちらで利用したかと、利用金額も記入します。

利用区間を記載することで、適切な経路が利用されたかを経理部門で確認でき、正誤判定をするのに役立ちます。

申請日**年6月10日

申請者 社員番号 ***** 〇〇部 山田太郎

日付交通機関利用区間片/往利用金額
6月3日6月5日JR東京メトロ〇〇駅〜△△駅〇〇駅〜✕✕駅往片460円210円

一般的な経費精算のやり方

経費精算は、会社が定めた手順に従い、手続きを行う必要があります。以下では、一般的な経費精算のやり方を解説します。

手順を誤ると従業員に精算書が差し戻され、再度手続きをし直さなければなりません。従業員と経理部門の双方に負担が大きく、精算処理にも時間がかかってしまうため、自社の精算方法をきちんと確認しておきましょう

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従業員が費用を立て替える

業務に関する交通費や備品の購入費といった少額の経費は、まずは社員が自身の所持金から立て替えて支出するのが一般的で、現金もしくは法人カードでの支払いが基本です。

なぜなら、個人名義のクレジットカードでの支払いは、利用明細の内訳をひとつひとつ確認し、内容を照合しなければならないからです。経理部門の事務処理の負担が増え、帳簿への入力ミス・計上漏れのリスクが高まります。

また、カード使用で付与されたポイントを使って経費を支払うことが、会社側とのトラブルを招く原因になる場合もあります。個人名義のクレジットカードでの支払いを認める場合、会社経費のポイント精算は禁止するなど、社内ルールの設定が必要です。

領収書を受け取る

従業員が経費を使用する際には、支払先から領収書を受け取る必要があります。なぜなら、領収書は商品・サービスに対して金銭を支払ったことを証明する公的な書類だからです。

領収書がない場合、支払いの事実を客観的に証明する手段がありません。領収書がない状態で支払先から代金を受け取っていないと主張された場合、支払いの証明ができず、二重で支払わなければならなくなる恐れがあります。

また、従業員が経費精算の際に領収書を提出しなくていい場合、実際に支払った金額よりも高い金額を会社に請求するなど、不正利用の可能性も出てきます。そのため、経費精算には領収書の提出を徹底することが重要です。

従業員が経費申請書を作成

経費を立て替えたら、従業員は会社で用意されたフォーマットを用いて、経費申請書を作成します。経費申請書は、提出期限が特に決まっていなくても、できるだけ速やかに作成するようにしましょう。

申請書の作成を後回しにすると、その間に領収書を紛失したり、利用用途など詳細を忘れる可能性があります。また、多くの会社では、月ごとに売上や経費などを集計し、自社の経営状態を知る手がかりにしています。

そのため、締め日までには精算が終わるよう、経費申請書は余裕を持って作成するよう心がけましょう。

上司に提出・承認を得る

従業員は、経費申請書を作成したら、上司に提出して承認を得ます。上司の承認が得られていない経費申請書は、経理部門で処理してもらえないので注意しましょう。なお、上司が経費申請書で確認する内容には、主に以下のようなものが挙げられます。

  1. 経費精算の記入方法が会社の規定に沿っているか
  2. 経費精算書の記載事項に虚偽・不正がないか
  3. 従業員が支出した費用が業務上必要なものか

上司が経費申請書の内容を確認し承認することで、経理部門はその後の経費精算処理を迅速かつ効率的に行えます

経費精算は不正のチェックが難しく、時間もかかるため、経理部門の負担が大きい業務の1つです。出張の内容を把握している上司が旅費・交通費を確認するのは、経費の不正使用を防ぐのに有効です。上司の承認は、経費精算において重要な役割を果たします。

経理担当者に提出・承認を得る

上司の承認が得られたら、経費精算書を経理担当者に提出し、承認を得ます。経費申請書で経理担当者が確認する内容には、主に以下のようなものが挙げられます。

  1. 経費精算の記入方法が会社の規定に沿っているか
  2. 経費精算書の記載事項に虚偽・不正がないか
  3. 領収書が正規のものであるか
  4. 金額は正確か
  5. 交通機関の使用ルートは適切か
  6. 税区分・勘定科目は正しいか

経費精算の不正が会社に与える影響は大きいため、経費精算には厳重なチェックが必要です。そのため、経理部門での確認事項は、上司が確認する内容と一部重複するものもあります。

従業員に支払いが行われる

経理担当者から承認が得られたら、従業員に経費の支払いが行われます。会社がどのように経費を支払うかは、会社の規定によって異なりますが、以下の方法で支払うのが一般的です。

  1. 現金で支払う
  2. 銀行振込で支払う
  3. 給与に含めて支払う

現金で支払う場合は、経理担当者が従業員に小口現金から直接現金を渡します。銀行振込で支払う場合は、経理担当者が従業員の銀行口座に振り込みます。給与に含めて支払う場合は、経理担当者が従業員の給与に経費を加算して支払います。

小口現金を用いた経費精算では、従業員がすぐに経費を受け取れるメリットがありますが、小口現金の管理に手間がかかる上、金額の渡し間違い・紛失・盗難リスクなどのデメリットもあります。

また、銀行振込の場合は、金銭管理は楽なものの、振込手数料がかかるのがデメリットです。そのため、手数料の節約で給与と一緒に振り込む会社もあります。

出張の際の経費精算の業務フロー

出張の際の経費精算は、一般的な経費精算と異なる点があります。出張の際の経費精算の業務フローを、以下で詳しく解説します。

営業部の経費精算の流れ

出張など高額な経費が発生する営業部では、立替精算では従業員の負担が大き過ぎるため、経費の仮払いを行うのが一般的です。その場合の経費精算の流れを、以下で解説します。

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出張決定後、出張申請書を作成

出張が決まったら、まずは出張申請書を作成します。出張申請書の記入事項は、会社の規定によって異なりますが、一般的には以下のような項目を記載する必要があります。

  1. 申請者名
  2. 申請日
  3. 出張先
  4. 出張期間
  5. 出張目的
  6. 宿泊先
  7. 宿泊費
  8. 交通手段
  9. 交通費

申請者名は、立替経費精算の申請者の氏名です。社員番号や、所属部署が含まれる場合もあります。申請日は、申請書を提出する日を記入します。出張先・出張目的・出張期間は、その出張が正当なものであるかを確認するために必要です。

宿泊先・宿泊費・交通手段・交通費は、業務のために相応な宿泊施設を利用したか、適切な交通手段を利用したかの判断材料になります。通常であれば新幹線を使うような距離を、特別な事情なくタクシーで移動した場合などは、経費の対象になりません。

出張申請書に合わせて仮払金を受け取る

出張は、遠方への移動で交通費が高額になる場合や、接待費がかかる場合があります。それらを従業員が全額立て替えるのは、負担が大き過ぎるため、出張前に仮払いが行われるのが一般的です。

出張申請書とは別に、仮払金申請書が必要な場合もあります。仮払金の準備に時間を要することもあるため、出張が決まったら早めに申請するようにしましょう。

帰社後、出張精算書を作成

帰社後は、速やかに出張精算書を作成します。まだ記憶が新しく、経費の使用用途を覚えている内に作成するといいでしょう。出張精算書に記載する内容は、会社により若干異なりますが、以下のような内容を記載するのが一般的です。

  1. 申請者名
  2. 申請日
  3. 出張先
  4. 出張期間
  5. 出張目的
  6. 宿泊先
  7. 宿泊費
  8. 交通手段
  9. 交通費
  10. 移動日および移動区間
  11. 仮払金額

申請者名は、立替経費精算の申請者の氏名です。社員番号や、所属部署が含まれる場合もあります。申請日は、申請書を提出する日です。出張先・出張目的・出張期間は、今回の出張で実際に訪れた出生先の名称・出張の目的・出張の期間を記入します。

宿泊先・宿泊費は、実際に宿泊した宿泊施設の名称と、支出した宿泊費を記入します。交通費・移動日および移動区間は、いつ、どこからどこまで移動して、いくら支出したのかを記入します。また、仮払金額は、出張前に仮払いを受けた場合、その金額を記入します。

提出した精算書に不備があると、修正し再提出しなければなりません。申請者・経理担当者の双方に余計な負担がかかるため、旅費精算書を作成する際は、記入ミスや記入漏れがないよう、正確に記入することを心がけましょう。

上司に提出・承認を貰う

出張精算書の作成が終わったら、上司に提出して承認を得ます。もし、精算書の内容に疑問点・不明点があれば、上司は従業員に確認を行います。また、出張精算書は、上司の承認を得なければ、正式なものとして認められません

上司は、出張精算書に記載された内容のほか、領収書の有無や、経費の適正性も確認します。これらの項目を確認することで、出張が業務に関連したものであったか、経費が適正に計上されているかを判断します。

出張精算書の記載内容が間違っていると、上司に余計な手間を取らせてしまうため、提出前に必ずセルフチェックをしましょう。

経理担当者に提出

上司の承認を得たら、従業員は出張精算書を経理担当者に提出します。経理担当者が金額を計算し、支出が仮払金額を超えている場合は、その分の費用が従業員に支給されます。

逆に、支出が仮払金額を下回っている場合は、余剰金を経理部員に返金します。精算が済んだら、出張精算書に受領印もしくはサインをして完了です。

経理担当者の経費精算の流れ

経理担当者は、ミスなくスムーズに経費精算をするために、経費精算の一連の流れを把握しておく必要があります。経理担当者の経費精算の一般的な流れを、以下で解説します。

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出張申請書をもとに仮払金を渡す

従業員から出張申請書が提出されたら、内容を確認し、問題がなければ従業員に仮払金を渡します。その際、出張申請書に上司の承認印が押されているか、必ず確認するようにします。承認印がない場合は、申請書を従業員に差し戻し、承認印をもらうよう指示します。

経理担当者は、仮払金を従業員に支給する際、従業員の受領印・サインを必ずもらうようにしましょう。支給の記録を残しておけば、仮払金の支給に関するトラブルが発生した場合に証拠になります。

承認された出張精算書が提出される

出張から戻った従業員は、経費精算書を作成し、上司の承認を受けて経理担当者に提出します。経理担当者は、精算書を受け取ったら、速やかに内容を精査して精算処理を行います。経理部門は、会社のお金を守る砦です。そのため、ミスのない正確な処理が求められます。

経理担当者は、旅費精算書が提出されたら、まず記入漏れ・記入ミス・領収書やレシートの不備がないかを確認します。さらに、使用した宿泊先・交通手段が適切であったか、金額は正しいか、不正はないかを詳細に確認した上で精算します。

出張精算書をもとに仕訳処理を行う

従業員への精算が終わったら、出張精算書をもとに仕訳処理を行います。そして、帳簿への記入やエクセル・経費精算システムに入力すれば完了です。

領収書が紙で提出された場合は、ほかの書類と混ざらないよう整理して保管する必要があります。また、法律上、領収書は7年間保管する義務があるため、紛失しないよう管理しましょう。

経費精算業務の課題

経費精算業務には、さまざまな課題があります。従業員が、経費について正しく理解していないと、経費にならない費用を申請してくるケースがあります。また、経理担当者は、経費精算書の内容を詳細に確認する必要があり、作業が多くミスが起こりがちです。

さらに、小口現金を用いた経費精算では、書類の管理に手間がかかり、経理担当者の負担を大きくしています。それらの課題を見直すことは、業務効率化に大きく役立ちます。

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経費にならない費用の申請

経費とは、業務のために必要な費用のことです。そのため、業務に関係のない、プライベートで使用した費用は経費になりません。私用で使うための物や、仕事に関係のない友人・知人との飲食代など、会社の利益に結びつかないものは、経費として認められません

しかし、従業員が経費のルールを把握していないと、経費にならない費用を申請するケースが発生します。その場合、従業員に経費のルールを説明し、従業員が提出してきた経費申請書を差し戻し、修正してもらわなければなりません。

そうなると、従業員・経理担当の双方にとって時間も手間もかかるため、経費に関する社内ルールの周知を徹底するなど、普段から対策しておくことが大切です。定期的に、メールやチャットなどで社内ルールを従業員に送信しておくと、ルールの周知に役立ちます。

経費にできない費用例

業務に必要な費用は経費として認められますが、業務に関係があっても経費として計上できない費用もあります。それは、以下の3つです。

  1. 法人税
  2. 法人住民税
  3. スーツなどの衣類やメガネ

法人税と法人住民税は企業の課税所得に対して課せられるため、経費にはできません。個人事業主の所得税と住民税も同様です。

スーツやメガネを仕事用として用意する場合もありますが、プライベートでの使用も可能な上に個人の趣味嗜好で選べるため、経費として認められないケースがほとんどです。

経理担当者の確認作業が多い

経費精算における経理担当者の確認事項は、多岐に渡ります。会社のルールに従って記載されているか、金額に間違いはないか・使用された交通手段は適切か・記載事項に虚偽や不正はないか・領収書やレシートに不備はないかなど、確実にチェックしなければなりません。

万が一、精算書の間違いを見逃して誤った金額で精算を行った場合、税務署の調査が入るケースがあります。税務署から経費の不正計上とみなされ、ペナルティが課される可能性もあるので、注意が必要です。

経理担当者が手作業で精算書の処理をしている場合や確認作業が煩雑だと、ヒューマンエラーが起こりやすくなります。そのため、経費精算システムを導入するなどして、経理担当者の精算業務の負担を減らすことが大切です。

小口現金や書類の管理に手間がかかる

小口現金での精算は、小口現金を出し入れしたり、出納帳に入出金を記録したり、現金の残高を確認して出納帳の金額とあっているかチェックする必要があります。紙の領収書は法律で7年間の保存が求められているため、お金の管理も書類の管理も大変です。

小口現金は、原則、現金と帳簿の残高が常に一致していなければならないため、経理担当者は日常的に確認作業を行わなければなりません。金額が合わない場合は、もう一度現金を数え直したり、精算書や領収書との照合作業が必要になります。

また、小口現金が少なくなってきたら、銀行から現金を引き出し、補充しておかなければなりません。小口現金での経費精算は、手間と時間がかかるため、経理担当者の大きな負担となっています。

経費精算業務の課題の対策

経理担当者の負担となっている経費精算業務は、どのようにすれば効率化できるでしょうか。経費精算業務の課題の対策方法は、いくつかあります。以下で、そのポイントを解説します。

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社内ルールの策定・周知

従業員に経費精算の重要性を理解させ、経費精算を円滑に進めるためには、社内ルールの策定・周知が必須です。特に、申請期日が曖昧だと、従業員が締め日を気にせず精算書を提出してくるため、経理担当者の処理が余計に複雑になってしまいます。

そして、社内ルールを従業員に浸透させるためには、周知の徹底も重要です。マニュアルを作成したり、社内メールやチャットを活用し、月初や締め日といった決まったタイミングで繰り返しルールをアナウンスすると効果的です。

新しく社員を迎え入れた時用に、新入社員向けの経費精算フロー図を用意するのもおすすめです。

ルール違反の場合のペナルティを用意

経費精算の誤りは、会社の信頼性・書類の透明性を著しく損ねます。経費精算を誤ると、税務調査で指摘され追徴課税を受けることもあり、書類の信憑性がなくなり銀行の融資が受けられない場合があります。

経費精算における社内ルールの遵守には、ルール違反をした従業員に対し、ペナルティを用意するのも有効です。ペナルティを設けることで、ルールは絶対に守らなければいけないという認識が高まります。

複数人で確認

経費精算業務を1人の経理担当者が行うと、書類のチェック・お金の計算など負担が大きく、ミスが発生しやすくなります。また、万が一、経理担当者が不正をした場合、見逃してしまう恐れもあります。

そのため、経費申請書は複数人で確認するのが基本です。複数人で確認し、ミスを早期発見できれば、ミスがあっても大事になる前に修正できます。

経費精算システムを導入

エクセルを業務のために使用している企業は多く、経費精算をエクセルで行っているという会社も多いです。しかし、エクセルを用いた経費精算は、手入力による人為的ミスや、経費の水増し申請などの不正が起こりやすいデメリットがあります。

経費精算における経理部員の負担を減らし、従業員の不正を防止するには、経費精算システムの導入がおすすめです。経費精算システムを導入すれば、手入力による人為的ミスを低減でき、不正支出のチェック機能により不正も防止できます。

中には、定期区間の自動除外機能がついているものもあり、交通費の二重申請も見逃しません

経費精算システムを導入するメリット

経費精算システムの導入により精算業務の効率化が図れますが、システムを導入することで得られる具体的なメリットを以下にまとめました。

  1. 領収書やICカードを自動で読み取れ、入力ミスを防げる
  2. 入力や仕訳が自動化され、精算業務の負担が減る
  3. 経理担当者自身のスキルに依存しない
  4. 不備のある状態では申請ができず、差し戻しが減る

すべてが精算業務の効率化につながってはいるものの、具体的に見るとさまざまなメリットがあります。上記以外にも導入による恩恵があるため、精算業務に課題を感じている企業は導入がおすすめです。

まとめ

経費精算は、入力作業や確認作業などに多くの時間を要するなど、多くの課題があります。従業員や経理担当者の負担になる上に不正が見落とされる恐れもあるため、早急に対策を講じるようにしましょう。

経費精算システムを導入すれば、自動入力で作業を効率化できるほか、申請した経費の処理が現在どこまで進んでいるかも確認できます。経費精算システムは、業務プロセスを可視化し、透明性を確保できるのもメリットです。

本記事を参考にしながら、自社の経費精算業務における課題を再確認し、経費精算システムの導入も含めて対策を考えてみましょう。

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