経費精算でクレジットカードの明細は利用できる?注意点や仕訳も解説

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  • クレジットカードの経費精算は、利用明細やレシート、店舗サービスの領収書で代用可能
  • 利用明細書で経費精算を行う際は、7年間の保管やプライベートの支払いとの区別に注意
  • クレジットカードで決済を行う際は、法人クレジットカードの活用がおすすめ

経費申請の際には領収書が必要ですが、クレジットカードを利用した場合は領収書ではなく「利用明細書」が発行されます。本記事では、利用明細書で経費精算を行えるのか・精算の際の注意点、クレジットカード決済での経費精算の仕訳方法について解説しています。

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経費精算システムは、経費申請・承認業務を効率化してくれるツールです。しかし、さまざまな製品があるため、どのシステムを選べばよいのかわからないというケースも多いでしょう。この記事では、経費精算システム選びのポイントやおすすめのシステムを紹介します。

目次

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  1. 領収書なしのクレジットカードの経費精算方法
  2. クレジットカードで経費精算を行う際の注意点
  3. 経費精算には法人カードがおすすめ
  4. 経費精算に法人カードを導入するメリット
  5. クレジットカード決済の経費精算の仕訳方法
  6. まとめ

領収書なしのクレジットカードの経費精算方法

クレジットカードは「信用取引」による支払で、支払われた側が即時に代金を受け取らないため、領収書が発行されないことがあります。しかし、経費精算には領収書の添付が必要になるでしょう。

ただ、条件を満たせば、領収書がなくても他に証明できる書類により経費精算が可能です。ここでは、領収書なしのクレジットカードでの経費精算方法を解説します。

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領収書なしのクレジットカードの経費精算方法

  1. 利用明細書
  2. レシート
  3. 店舗サービスの領収書

利用明細書

クレジットカード決済をすると発行される利用明細書は、領収書に代わる証明になります。ただ、領収書の代用として認められるには、必要な情報が記載されていなければなりません。必要な記載内容は以下の通りです。

  1. 決済年月日
  2. 宛名(決済者)
  3. 決済内容(但し書き)
  4. 金額
  5. 飲食代の場合は、目的と同席者
  6. 発行元の情報(店舗・企業名など)

クレジットカードの利用明細書には以上の情報が記載されているため、経費精算に証明書として添付が可能です。しかし、社内規則でクレジットカードの利用明細書の使用が認められていることが前提になります。

レシート

利用明細書と同様の情報が記載されていれば、レシートも領収書の代わりに提出が認められます。確実に管理するためには、一枚一枚に必要事項の記載を確認しなければいけません。

レシートは紛失したり時間の経過で文字が見えにくくなったりする可能性が高いため、注意が必要です。コピーを取っておいたり、スキャンデータを保存したりなど、保管方法を工夫することが大切です。

店舗サービスの領収書

店舗サービスの領収書は利用明細書と同様の必要な情報が記載されていれば、経費精算の際の証明書として認められます。

店舗サービスの領収書は、店舗のサービスとして発行されるため、基本的に税務上領収書としては認められません。クレジットカードは「信用取引」であり、店舗は支払いを受けていないためです。

店舗側は、クレジットカード支払の場合は領収書を発行する必要がないとされていますが、欲しいことを伝えればサービスの一環として発行できることが多いです。しかし、経費精算に使用できるのは、必要な情報が明記されたものに限ります。

クレジットカード連携ができる経費精算システム6選|メリットを解説

経費の支払いにクレジットカードを利用することで、精算業務の効率化に繋がります。また、経費精算システムとカードを連携すると内部統制の強化にも効果的です。本記事では、経費精算にクレジットカードを利用するメリットやシステムとの連携でできることを解説しています。

クレジットカードで経費精算を行う際の注意点

クレジットカードは現金と取り扱いが異なるため、経費精算は注意して行うことが必要です。経費精算に誤りがあると、税務調査で指摘されることにつながるでしょう。ここでは、クレジットカードで経費精算を行う際の注意点を解説します。

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金額が5万円以上の場合は収入印紙が必要

「クレジットカードでお支払い」などの記載がない場合、領収書上では金銭を受領したことになります。そのため現金と同様、金額が5万円以上の場合は収入印紙を貼る必要があります。

クレジットカードは決済の時点で支払いが完了していないため、基本的には収入印紙が不要です。なので「クレジットカードでお支払い」の記載がある場合は、課税の対象となりません。

印紙代は受取金額によって変動するため、誤った金額のものを貼らないよう注意が必要です。5万円~100万までは200円と幅広い金額でまとまっているため、そこまで変動は少ないでしょう。しかし、万が一の場合に向けて知識として持っておくことが大切です。

収入印紙による印紙税の納付を怠った場合、納付するべき税額の倍以上に相当する過怠税を徴収されます。クレジットカードの領収書の文言は注意深く見なければいけません。

利用明細書は原則7年間保存する

クレジットカードで経費精算して確定申告を行った場合、利用証明書を7年間保存することが義務づけられています。税務調査の対象になると、7年分の書類を調査されるためです。

7年間の起算は発行日ではなく、その年度における確定申告の期限の翌日から7年のため、注意が必要です。仮に保存されていなかった場合、青色申告の取り消しや課税額が上がるなど痛手となる罰則を受けることがあります。

万が一紛失した時のことを考え、利用明細のデータと印刷した書類の両方で保存しておくことが望ましいでしょう。

分割払いの手数料は「支払い手数料」として計上

クレジットカードの分割払いには、分割払手数料が発生します。分割払い手数料は経費精算の際に支払手数料の勘定科目で計上が可能です。

経費精算は確認することが多いため、手数料にまで意識が向かないことも考えられます。必要な控除を受けるためには、経費精算ができるものを把握して忘れずに計上しましょう。

キャッシュバックは「雑収入」として計上

クレジットカードの利用で還元されたマイルやポイントは、商品の交換やキャッシュバックを受けることができます。

貯まったマイルやポイントをキャッシュバックする場合、収入が発生した扱いになります。そのため、「雑収入」の勘定科目で計上することが必要です。意識しにくい収入なので忘れがちですが、押さえておきたいポイントです。

公私混同に気をつける

プライベート用のクレジットカードで支払いをする場合、経費精算の際は仕事で支払ったものと区別する必要があります。公私混同すると、家族旅行の交通費と出張での交通費が入り混じって、どの項目を経費で支払ったか把握しにくくなります。

メモ書きや保管方法を工夫しないと、利用明細上の判断が難しいでしょう。そのため、経費精算ミスや不正につながることも考えられます。経費精算ミスの発生を防ぐためには、クレジットカードを会社とプライベートで分けて使うことが望ましいです。

経費精算には法人カードがおすすめ

法人カードとは、法人や個人事業主に発行されるクレジットカードです。そのため、個人用のクレジットカードと使い分けることができ、経費精算におすすめです。この記事では、法人カードが経費精算におすすめな理由を解説します。

法人カードとは

法人カードとは、企業や法人代表者、個人事業主に対して発行されるクレジットカードです。一般的な個人向けのクレジットカードに比べて利用限度額が大きく、法人用口座を引き落とし口座に設定できます。ビジネスシーンに活用できる特典が多く付帯していたり、社員用の追加カードが発行できるのが特徴です。

コーポレートカードとビジネスカード

コーポレートカードビジネスカード
取扱対象大企業中小企業個人事業主
審査対象企業の決算情報法人代表者
カード表記コーポレートカード+個人名義個人名義

法人カードには、コーポレートカードとビジネスカードがあります。どちらも支払いに法人口座が指定でき、利用方法も一般のクレジットカードと変わりありません。

2つの大きな違いは、発行対象となる企業の規模です。ビジネスカードは中小企業や個人事業主向けのカードとして扱われるのに対し、コーポレートカードは従業員数が20名以上の大企業向けカードとして扱われています。ですが、必ずしも従業員数で線引きされるわけではなく、カード会社ごとにも扱う定義は異なるようです。

コーポレートカードは発行できる追加カードの枚数も多く、利用限度額をはじめとしたさまざまなサービスの詳細について、発行時にカード会社と話し合いで決めていくことができます。ビジネスカードがビジネスオーナー向けカードとして幅広くサービスを展開するのに対し、ビジネスの規模や多くの従業員の業務内容にあわせてサービスを柔軟にカスタマイズをしていけるのがコーポレートカードの特徴です。

法人カードとは?種類や利用するメリット・選び方などを解説

法人カードとは、会社や個人事業主などの法人向けに発行するクレジットカードのことです。法人カードの年会費は経費計上できたり、経理業務の効率化にも繋がります。本記事では、法人カードと個人カードの違いや、利用するメリット・注意点などを解説しています。

経費精算に法人カードを導入するメリット

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個人で経費を立て替える必要がない

経費の支払を全て法人カードで済ませることができれば、個人で経費を立て替える必要がなくなります。経費精算を法人用クレジットカードの利用明細をもとに処理できるためです。

追加カードを発行することで立替がなくなり、従業員が経費の申請をする手間も省けますし、仕事とプライベートで支出が混同することもありません。個人の支出と混同しなければ、経費精算時のミスも発生しにくくなると期待できます。

また、経理担当者にとっても、従業員一人ひとりの申請状況を管理する必要がないため、双方にとってのメリットにつながります。

経費精算システムとの連携で業務効率化

クレジットカードの利用明細を取り込む機能を備えた経費精算システムと連携できれば、業務効率化につながります。データを手入力する必要性がないため、経理担当者の業務負担が減るでしょう。

他の業務に割く時間が増えるため、職場の生産性の向上も期待できます。連携できるシステムとクレジットカードは決まっているため、連携できるものを導入することが必要です。

領収書のもらい忘れ・紛失リスク軽減

クレジットカードの利用明細に必要事項が記載されていれば、経費精算の証明書として認められます。そのため、領収書のもらい忘れや紛失するリスクを低減できるでしょう。

仕事が立て込んでいると領収書をうっかりもらい忘れたり、他のレシートと一緒に捨ててしまうこともあるかもしれません。領収書は基本的に再発行できず、店側も再発行する義務はありません。そのため、紛失すると経費精算ができず従業員側の負担になってしまいます。

自動的に反映される利用明細は、データとして保存してシステム上に保管できるため、管理に関わる負担が減って紛失やもらい忘れの防止につながります。

不正やミスの防止

法人用クレジットカードで経費精算する場合、利用明細から使用日時・使用者・内容・金額を特定できます。経費の記録を可視化できるため、従業員の不正やミスを防止が可能です。中には、過重請求や不正受給を試みる従業員もいるでしょう。

利用者の情報を正確に把握して実際の支出に見合った賃金を支払うことで、従業員の平等性や健全な職場環境が維持できるでしょう。

特典やポイントを受け取れる

クレジットカードには、サービス付帯のものやポイントの還元ができるため、お得に使える上、ビジネスシーンにも役立てることができます。

例えば、海外出張の多い企業であれば、海外旅行傷害保険のような保険付帯のカードを利用することで、万が一の事故に巻き込まれた場合も補償されます。ただ、「旅行費を保険が付帯されたカードで支払すること」などの条件が発生するため、確認が必要です。

ポイントは利用金額に応じて溜まるため、固定費や消耗品などの購入をカードで支払えば、自然とポイントが溜まりやすいです。獲得したポイントでキャッシュバックしたり、指定の店舗でのポイント支払いやギフトの交換ができたりするため、お得に利用できます。

クレジットカード決済の経費精算の仕訳方法

クレジットカードで経費精算する際は、正しい手順で行うことが求められます。税務調査が入った際、正しく精算できていないと指摘を受けることもあります。ここでは、クレジットカード決済の経費精算方法の仕訳方法を解説します。

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クレジットカード決済の経費精算の仕訳方法

  1. 白色申告の仕訳
  2. 青色申告での仕訳

白色申告の仕訳

白色申告の場合は、単式簿記の記帳が認められているため、シンプルに仕訳できます。単式簿記は1つの勘定項目に絞って取引を記載するため、出入金を把握するだけであれば便利な仕訳方法です。

決済日と支出内容、金額の3点を記載しておきます。以下の表は単式簿記での書き方の例です。

収入支出
10月1日消耗品費 5,000円

青色申告での仕訳

青色申告の仕訳は、法人用のクレジットカードの利用か個人用のクレジットカードの利用かで異なります。同じ使用用途でも勘定項目が異なり、引き落としのタイミングによっても仕訳方法が異なるため、状況に応じて記帳に注意しなければなりません。

ここでは、法人用クレジットカードと個人用クレジットカードに分けて、青色申告の仕訳方法を解説します。

法人用クレジットカードの場合

法人用クレジットカードで経費を支払った場合、購入時は勘定科目を「未払い金」として処理します。購入時点では相手が代金を受け取っていないためです。そのため、代金が引き落とされた場合には「未払金」を借方に支払ったこととして記帳します。

貸方には勘定項目を「普通預金」として記載が必要です。以下の表は記帳方法の一例です。上の欄は購入日、下の欄は引き落とし日として記載しています。

借方貸方
10月1日消耗品費 5,000円未払金 5,000円
11月15日未払金 3,580円普通預金 5,000円

また、法人用クレジットカードを使用した際は、仕訳の簡略化が可能です。クレジットカードの代金の引き落としが発生した日に記帳するという方法です。しかし、購入日と引き落としで年をまたぐ場合、「未払金」の勘定科目で記帳する必要があります。

以下の表は、法人用クレジットカードで簡略化した記帳方法です。

借方貸方
11月15日消耗品費 5,000円普通預金 5,000円

個人用クレジットカードの場合

個人用カードを使って仕訳する際、引き落とし時の記帳は不要です。決済した日に貸方を事業主借として処理します。以下の表は、青色申告の個人クレジットカードでの仕訳方法です。

借方貸方
10月1日消耗品費 5,000円事業主借 5,000円

白色申告か青色申告または、法人クレジットカードか個人クレジットカードかで使用する文言が変わるため、あらかじめ確認しておくことが大切です。

まとめ

クレジットカードの経費精算は、必要事項が記載された利用明細やレシートを領収書として代用できます。

しかし、「クレジットカードによる支払」などの文言がレシートなどに記載されている場合は収入印紙が必要となったり、利用明細が7年間の保管を義務付けられていたりなど、細かい注意点も多いです。そのため、利用にあたって知識が必要とされます。

法人クレジットカードの利用では、個人と支払を分けることで経費精算の簡略化やシステムとの連携による作業の効率化、付帯サービスによるビジネスシーンで受けられる恩恵があるなどのメリットが多いです

クレジットカードによる経費精算について十分に理解し、経費精算の課題を見直しましょう。

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