ポイント利用は経費になる?立替時の仕訳方法や注意点を解説

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  • 社員がポイントを利用して会社の経費を立て替えた場合、会社は精算に応じる必要がある
  • 会社が所有するクレジットカードのポイントを私的利用すると横領になりえる
  • ポイントは基本的に非課税だが、今後は給与とみなされ課税対象になる可能がある

社員が個人のポイントを利用して会社の費用を立て替えた場合も、経費として精算する必要があります。ただし会社の経費立替で付いたポイントは会社に帰属するなど、ポイントの扱いは難しいものです。この記事では経費精算におけるポイントの考え方や注意点などを詳しく解説します。

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経費精算システムは、経費申請・承認業務を効率化してくれるツールです。しかし、さまざまな製品があるため、どのシステムを選べばよいのかわからないというケースも多いでしょう。この記事では、経費精算システム選びのポイントやおすすめのシステムを紹介します。

目次

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  1. ポイントを利用した支出は経費になるか
  2. ポイント利用で経費精算する際の注意点
  3. 個人のポイントを使用した際の仕訳例
  4. 個人のポイントに税金はかかるか
  5. 法人カードの利用について
  6. 経費精算システム導入でポイントの会計処理も楽に
  7. 経費精算を効率化できるおすすめの経費精算システム
  8. まとめ

ポイントを利用した支出は経費になるか

個人がポイントを利用して、会社に必要な費用を支払った場合は、基本的に経費になるため、経費精算が必要です。個人のポイントを利用した場合と、経費立て替えした際に付与されたポイントについて解説します。

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個人のポイントで会社の備品を購入した場合

個人が溜めたポイントで、会社の備品などを購入した場合、そのポイントを含めた費用はすべて会社へ請求が可能です。たとえ購入費用のすべてをポイントで支払った場合でも、経費精算する必要があります。

個人のポイントは、あくまでも個人の所有物になり、現金と同じ扱いをするのが鉄則です。しかし、会計処理を行う際に、仕訳など勘定科目が異なるためポイント利用分の金額は明確にしておく必要があります。

経費を社員が立て替えてポイントが付与された場合

会社の経費を社員が一時的に立て替えた際、個人のポイントカードなどについたポイントは基本的に会社に帰属します。立て替えて付与されたポイントを私的利用した場合は、横領に当たる可能性もあるため、必ず会社のルールを確認しましょう。

しかし、実際は立て替えの際についたポイントについて、関与しない会社も少なくありません。事実上、横領に当たるかどうかは就業規定によります。実際のところ、法律でもグレーゾーンの扱いになっているため、私的利用を避けるのがベターです。

ポイント利用で経費精算する際の注意点

ポイント利用で経費精算する際には、いくつかの注意点があります。どのような点に気を付けなければならないのか、具体的に解説します。

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経費の申請時は会社の規定に従う

ポイントを利用して経費を立て替え払いした際や、立て替え払いをして個人のポイントカードなどにポイントが付与された場合などは、経費精算の申請時には会社の規定を確認しましょう。必ず、会社の規則に従ってポイントの精算や利用を行う必要があります

ポイントの取扱いについて、関与していない会社も少なくありませんが、場合によっては私的利用した場合は業務上横領になるケースもあります。法律的にはグレーゾーンの状態ですが、就業規則にポイント利用について記載があるかどうかの確認が必要です。

申請書と一緒に領収書も提出する

ポイントを利用して経費精算を行った場合は、必ず自社の経費精算申請書と領収書を合わせて提出します。ポイント利用で支払いを行った際に、領収書にポイント分の支払いの記載がない場合や、領収書が発行されない場合もあります。

また、ポイント利用をした場合の勘定科目が異なる場合もあるため、申請書には、ポイント利用分の金額を明確に記載しなければなりません。

仕訳を正しく行う

社員個人が所有するポイントで会社の経費を支払った場合は、会計処理を行う際に勘定科目が通常と異なります。通常の立て替えの場合は貸方科目が「未払金」ですが、社員個人がすべての金額をポイントで支払いした場合は「事業主貸」となります。

その理由は、社員個人のポイントは事業で得た利益でなないため、事業所得と区別しなければならないためです。

費用の一部をポイントで支払った場合の仕訳

経費精算する費用の一部をポイントで支払った場合は、共通ポイント(Tポイントやdポイントなど)と、企業発行ポイント(ドラッグストアなど)でそれぞれ仕訳方法が異なります。

共通ポイントの場合は、消費税法によるとポイント利用する前の金額が課税対象となるため、不課税取引となります。すなわち、使用する貸方の勘定科目は現金支払い分は「現金」ポイント利用分を「雑収入」と分ける必要があります。

一方の企業発行ポイントを利用した際は、ポイントを値引きとして扱っているかどうかで雑収入と仕訳する金額が異なります。値引きの場合は、ポイント控除後の金額が課税対象となり、ポイント分は「事業主貸」となります。
ポイント分が値引きではない場合は、支払合計額が課税対象となるため現金支払い分を「現金」ポイント分は「雑収入」と分けて計上する必要があります。

個人のポイントを使用した際の仕訳例

以下からは経費での支払いの際に個人ポイントを用いた場合の仕訳例を紹介します。ポイントの種類で仕訳方法が異なる場合もあります。また、企業によってはポイント使用時に独自の勘定科目を設けていることもあるため、自社の規定もあわせて確認しましょう。

個人ポイントで全額支払った場合の仕訳

【例】消耗品費3,000円を全額個人ポイントで立替払いした場合

借方貸方
消耗品費 3,000円事業主借 3,000円

経費を全額個人ポイントで支払った時の仕訳方法です。勘定科目は「事業主借」で、事業で得た利益と区別して計上しましょう。

個人ポイント(共通ポイント)で一部支払った場合の仕訳

【例】消耗品費3,000円のうち、現金2,000円+共通ポイント1,000円で立替払いした場合

借方貸方
消耗品費 3,000円雑収入 1,000円
未払金 2,000円

支払いの一部にポイントを使用した場合は、ポイントの種類によって仕訳方法が異なります。共通ポイントの代表的なものとしては、「楽天ポイント」「Pontaポイント」「dポイント」「Tポイント」など、企業や業種の括りがなくさまざまな店舗・サービスで貯めて利用できるものです。

共通ポイントは経済的な利益の受け取りとみなされるため、貸方のポイント利用分を「雑収入」として処理します。

個人ポイント(自社発行ポイント)で一部支払った場合の仕訳

【例】消耗品費3,000円のうち、現金2,000円+自社発行ポイント1,000円で立替払いした場合

借方貸方
消耗品費 2,000円事業主借 2,000円

支払いの一部に、ポイントカード発行店舗や企業のみで利用できる自社発行ポイントを使用した場合、利益の提供ではなく購入時の値引きという扱いになります。ポイントで支払った分は仕訳に含めず、立替払いした金額のみ処理します。

個人のポイントに税金はかかるか

個人のポイントを利用して、経費の立て替えやポイントを受け取った場合、課税対象になるのか疑問が残ります。以下でポイント払いとポイント受け取りした際、税金はかかるのか解説します。

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社員が会社の経費を個人のポイントで支払った場合

社員個人のポイントで会社の備品等を立て替え購入した分を、会社が経費精算を行った場合は、個人が得たポイントは個人の所有している資産であり、給与とみなされないため課税対象にはなりません

個人のポイントで購入した分は、現金扱いになるため会社は現金と同じ方式で、経費精算を行います。経費としてではなく、通常の商取引の際も個人のポイント利用は、値引き処理として扱われるため課税対象にはなりません。

社員が会社の経費立て替え時にポイントを受け取った場合

社員が会社の経費を、自分のクレジットカードで立て替えした際に付与されたポイントについては、ポイントは会社に帰属するため課税の対象になります。そのため、会社の経費のために購入してついたポイントは個人で利用できません。

ポイントの扱いについて就業規則に記載がある会社は、ルールに従ってポイントを利用しなければ、業務上横領とみなされるケースもあります。しかし、本来ならば会社に帰属するポイントの扱いについて、現時点で追求している会社はほぼありません

クレジットカードに付与されるポイントは基本的に辞退できません。そのため、会社にポイントを帰属する手続きが煩雑な場合は、個人のクレジットカードの使用は避けるのがベターです。

今後は個人が得たポイントが「給与所得」とみなされる可能性も

社員が経費を立て替えた際に付与されたポイントは、今後給与扱いになる可能性があります。ポイントは所得税法によると「金銭以外の物又は権利その他経済的な利益」に当たるため、給与扱いになると所得税の対象になるためです。

しかし、現時点ではポイントの扱いに関しての明確な制度がないため、将来的なリスクとして捉えておきましょう。

法人カードの利用について

社員や個人事業主が、法人カードのポイントで経費を支払った場合は、どのように会計処理をすればいいのか、以下で具体的に解説します。

会計処理の仕方は2通り

法人カードのポイントを利用した際の会計処理の仕方は2通りあります。レシートに記載されたポイント利用の表記を確認して区別します。

値引き処理

ポイント利用が値引きで処理されている場合は、課税前の合計金額からポイントが値引きされています。仕訳する際の勘定科目の貸方は、クレジットカードの場合月末に処理されるため「未払金」で実際に支払った金額を計上します。

法人カードの場合は、経費精算の必要がないため、ポイント利用分の仕訳は不要です。

両建処理

ポイント利用が、消費税など課税後に処理されている、対価の値引きではない場合は、ポイント分も経費として計上する必要があります。仕訳する際の勘定科目の貸方は、実際に支払った金額を「未払金」、ポイント利用分を「雑収入」として計上します。

全額ポイントで支払った場合は、ポイント利用分すべてを「雑収入」として計上します。個人カードの場合は事業以外からの収入になるため「事業主貸」となります。

参考:No.6480 事業者が商品購入時にポイントを使用した場合の消費税の仕入税額控除の考え方|国税庁

法人カードのポイントを私的利用すると横領になりえる

会社のクレジットカードのポイントは、会社で契約した法人カードであり、会社の資産として取り扱われるため、業務以外での使用は認められません。そのため、個人で法人カードのポイントを利用した際は、横領になるため私的利用は厳禁です。

たとえポイントであっても、会社の資産であるため、刑法第253号「(業務上横領)業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の懲役に処する」と定められた罪に該当し、私的に会社のポイントを利用した際は、懲役が科される対象になります。

法人カードの溜まったポイントは、経費の代替えとして利用したり、従業員や顧客へのギフトとして利用したり、社員全体への還元として利用する方法もあります。私的利用は行わず、会社にメリットのある利用方法を選択するのが望ましい方法です。

経費精算システム導入でポイントの会計処理も楽に

以上で、ポイント利用分の経費精算の方法などを解説しましたが、ポイントの扱いによっては会計処理が複雑になり、仕訳をする際の勘定科目も異なるため、経理担当者の業務負担にもなりかねません。

経費精算システムを導入すると、ポイント利用した際の経費精算も楽に行えます。迷いがちな勘定科目もシステムが行うため、経理業務が効率化し、さらに入力ミスや入力漏れも防げるメリットが多くあります。

適切に経費精算を行うことで、ポイント利用による、従業員との経費精算によるトラブルを防止することも可能です。ポイント利用に関する制度が将来的に変わった場合でも、経費精算システムを導入しておくと今後の対応もスムーズに行えます。

おすすめ経費精算システム6選(全26製品)を比較!【2024年最新/比較表付き】

経費精算システムは、経費申請・承認業務を効率化してくれるツールです。しかし、さまざまな製品があるため、どのシステムを選べばよいのかわからないというケースも多いでしょう。この記事では、経費精算システム選びのポイントやおすすめのシステムを紹介します。

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まとめ

ポイントは基本的に経費精算が可能です。しかし、ポイントカードや、クレジットカードを利用して溜まったポイントは個人が所有しているものか、会社で所有しているかによって扱いが変わります。また、売り手側のポイントの処理方法によっても扱いが異なります。

しかし、個人が所有するポイントを立て替えにて経費精算することは問題がありませんが、立て替えした際に付与されたポイントについては、私的利用した場合業務上横領に当たる可能性があるため、就業規則を確認することが重要です。

また、法人カードに付与されたポイントの私的利用は、完全に業務上横領の罪に問われます。ポイント還元は大変お得なサービスですが、業務上取り扱うためには、ルールを決めて、適切に利用しポイント利用のメリットが得られるような環境づくりをしましょう。

ポイント利用に関する会計処理は、課税対象になるか、事業から得た収入なのかなど複雑な判断が求められます。これらを適切に効率のよい業務を行うには、経費精算システムの導入がおすすめです。

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