自治体におすすめのRPA3選|失敗しないためのポイントも解説
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- RPAは、自治体におけるデータ入力・照合・問い合わせ対応などの業務を自動化できる
- 自治体にRPAを導入することで、人手不足解消や人件費削減などの効果が期待できる
- RPA導入に失敗しないためには、既存システムとの親和性やセキュリティ性を確認する
数多くの定型的な業務が発生する自治体において、RPAは大変有用です。RPAの導入により、深刻化する人手不足の解消や、人件費の削減も可能になります。この記事では、自治体におすすめのRPAや導入に失敗しないためのポイントを解説します。
目次
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自治体が抱える業務課題
自治体においては、数多くの定型的な業務が発生することから、業務過多が起こりやすい課題があります。また、少子高齢化などを背景とした労働力不足も深刻化しており、この点も業務過多に拍車をかけています。
そのため自治体では、業務の効率化を図り、職員の負担を軽減することが最優先に取り組むべきこととして挙げられるケースが多いです。
RPAが課題解決の糸口に
RPAとは「Robotic Process Automation」の略称で、「ロボットによる業務自動化」を意味します。具体的には、人間がパソコンで行う業務をロボットに代行させる技術や仕組みがRPAと呼ばれています。
RPAは、あらかじめ指示された手順やマニュアルに従って、繰り返し業務を遂行することに長けています。特に相性が良いのは、データ入力や経理処理などの日常的な定型業務です。自治体においては、このような定型業務が日々膨大に発生します。
そのため、自治体にRPAを導入することで、日々の定型業務を一定程度自動化でき、業務過多という課題を解消するのに役立つと期待されています。
RPAとは?メリットや向いている業務、ツールの選び方などを解説
RPAとは、定型業務をロボットを活用して自動化・効率化するシステムのことを言います。RPAを導入することで、業務処理の迅速化などに繋がりますが、対応が難しい業務もあるため注意が必要です。本記事では、RPAのメリット・デメリットや導入手順などを解説しています。
自治体におけるRPAの導入状況
総務省が発表している調査結果によると、令和5年12月31日時点での全国の1,788の地方自治体におけるRPAの導入状況は以下のようになっています。
【導⼊済み】
- 都道府県:94%
- 指定都市:100%
- その他の市区町村:41%
【実証中・導⼊予定・導⼊検討中】
- 都道府県:6%
- その他の市町村:24%
その他の市区町村ではやや遅れが見られるものの、ここ数年でRPAを導入する自治体は急激に増えており、特に「財政・会計・財務」「児童福祉・⼦育て」「健康・医療」「組織・職員(⾏政改⾰を含む)」といった分野での業務に取り入れられています。
RPAで自動化できる自治体の業務
RPAの自動化に適しているのは、次のような定型業務です。ここでは、RPAで自動化できる自治体の業務例をご紹介します。
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RPAで自動化できる自治体の業務
データの入力・登録
RPAは、データの入力・登録業務の自動化に適しています。例えば、住民票などの書類やWeb経由で取得したデータをシステムに登録する作業が代表的です。
データの入力作業は比較的簡単ではあるものの、自治体においては膨大な量が発生するため、多くの人手を割かれることが多いです。また、同じ作業を長時間続けることで、入力ミスなどの人的ミスのリスクが高まります。
その点、RPAを導入することで、このような単純作業から職員が解放されるとともに、余ったリソースを他の重要な業務に割り当てることができます。また、ロボットであるRPAは、長時間稼働しても疲労などによるミスの心配がありません。
データの確認・照合
RPAは、あらかじめ設定したルールに基づいて、システムに入力されたデータの正誤を確認したり、データベースと照合したりする作業を自動化することができます。
従来のように、データの確認作業を目視で行う場合、膨大な時間と手間がかかるだけでなく、確認漏れなどのリスクがあります。
特に自治体においては、住民の個人情報をはじめ機密性の高い情報を取り扱う機会が多いため、このようなミスのリスクを出来る限り低減しなければなりません。
RPAによってデータの確認作業を自動化することで、目視による確認作業が不要となり、人的ミスの防止に期待できます。また、エラーが検出された場合のみ人力で対応すれば良いため、作業時間の短縮化や職員の業務負担の軽減にもつながります。
書類の集計
自治体では、住民票データや産業統計データなど、さまざまなデータの集計作業が発生します。集計作業では、複数のシステムを開いて必要なデータを個別に指定し、別のシステムに登録し直すといった面倒な作業が必要です。
また、集計作業は正確性が求められる作業であり、職員に大きな負担がかかる恐れがあります。さらに、どれほど慎重を期しても、人的ミスのリスクは避けられません。
その点、RPAは複数システムの同時処理を得意としており、あらかじめ手順を指定することにより、面倒な集計作業も素早く正確に行ってくれます。職員の業務負担を軽減できるだけでなく、集計作業における精度の向上にも期待できるでしょう。
通知が必要な住民の抽出
RPAでは、必要な住民に対して通知を行うことができます。例えば、内容不備がある申請書を自動で抽出し、該当の住民宛てのメールを作成するといった業務が可能です。
従来のように職員が1枚ずつ目視で書類を確認する必要がなくなり、作業時間の大幅な短縮化に貢献します。また、確認漏れや誤案内の防止にもつながります。
問い合わせへの対応
RPAを導入することで、Web上に問い合わせ窓口を設置できます。具体的には、Web上で寄せられた質問をRPAが判別し、問い合わせ内容に応じて定型文の返信をすることが可能です。
このような取り組みにより、従来は対面窓口で行っていた業務を一定程度削減できるため、問い合わせ対応業務が大幅に効率化するでしょう。
また、ロボットであるRPAは深夜や休日の稼働も可能であるため、住民にとっても曜日や時間を気にせずに問い合わせの返信が得られるというメリットが生まれます。
RPAにできること・できないこと|対象業務を選ぶ際の注意点も解説
RPAはバックオフィス業務をロボットにより自動化するツールですが、得意な業務と不得意な業務があります。RPAを効果的に運用するには、向いている業務に活用することが重要です。この記事ではRPAにできること・できないことや、対象業務を決める際の注意点を解説します。
自治体にRPAを導入するメリット
自治体にPRAを導入し、従来は職員が行ってきた定型業務を自動化することで、さまざまなメリットに期待できます。上記でも少し触れましたが、ここでは、それらのメリットについて詳しく解説します。
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自治体にRPAを導入するメリット
人手不足を解消できる
自治体では、データの入力や確認、書類の集計、問い合わせ対応などの定型業務が日々大量に発生します。特に人手不足の自治体では定型業務に人手を割かれてしまい、他の重要な業務にリソースを回せず、自治体運営に支障を来す恐れがあります。
RPAを導入して定型業務を自動化することで、限りある人的リソースを節約できます。そのため、より創造性の高い業務に人手を割り当てることができ、住民の満足度向上につながるような自治体運営の実現につながります。
人件費を削減できる
RPAの導入により、必要以上の人件費を節約できるメリットがあります。例えば、休日窓口や夜間窓口を設けている自治体では、各種手当の支払いが必要なため人件費が高額になる恐れがあります。
また、人員の入れ替わりなどに伴って、業務の引継ぎを行う際に発生する新しい人員への教育コストも軽視できません。対してRPAはロボットであり、24時間365日稼働しても特別手当は必要ありません。また、退職の恐れがないため新たな教育コストも不要です。
このように、RPAの導入により、人員を動員する場合に比べて人件費をはじめとする業務コストを抑えられる可能性があります。
人的ミスを防止できる
人力での業務には、確認漏れ・データの誤入力・集計ミスといった人的ミスのリスクがあります。一方でRPAはロボットであるため、あらかじめ登録された手順やマニュアルに忠実に業務を遂行します。
つまり、人力よりも精度の高い業務遂行が可能であり、人的ミスの心配がありません。ミスを減らすことで自治体業務を円滑に進めることができ、その結果、生産性の向上にも期待できます。
労働環境の改善につながる
人手による作業が多いと、業務がひっ迫して残業が発生したり、職員本人が希望する業務に就けなくなってしまったりします。また、有給休暇などの休みを取りにくいといった問題も出てくるでしょう。
RPAに業務を任せれば、こうした問題が解消できて職員の労働環境の改善につながります。職員のワークライフバランスが整い、働くモチベーションも向上させることができるでしょう。
自治体がRPA導入に失敗しないためのポイント
自治体におけるRPAの導入は全国的に進んでいます。しかし、RPAの導入にはさまざまなハードルがあり、それに伴う失敗のリスクも存在します。RPAの導入で失敗しやすいポイントを押さえて、慎重にツールを選び、導入準備を進めましょう。
ここでは、自治体においてRPAの導入に失敗しないためのポイントをご紹介します。
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自治体がRPA導入に失敗しないためのポイント
コストを確認する
一般的にRPAは有料ツールであり、月々の利用料金が発生します。また、ツールによっては導入支援費用が発生したり、インフラ整備のための費用が必要になったりすることもあるでしょう。その結果、想定外にコストが高額化する恐れがあります。
自治体はこれらの費用を住民の税金でカバーする必要があり、高額な予算を組みづらいのが実情です。したがって、将来的に発生する費用を含めたコストを全般的に試算し、予算内に収まるツールを選定しなければなりません。
ただし、RPAを効果的に運用できれば、人件費の削減などにより、RPAにかかるコストを考慮しても最終的には業務コストを節約できる可能性が高いです。つまり、RPAを導入する際は、一概に支出のみを見るのではなく、導入後の費用対効果を確かめることも大切です。
RPAは社内の定型的な業務をロボットによって自動化できる便利なツールですが、導入には費用がかかります。この記事では、RPAにかかる費用相場を種類別に解説し、知っておきたい注意点や導入時に利用できる各種補助金を紹介します。
既存システムとの親和性を確認する
自治体では、独自の専用システムを利用していることが多いため、RPAとの親和性を確かめることが大切です。相互に連携できない場合、思っていたような業務の自動化が実現できず、導入効果が薄れてしまう可能性があるためです。
既存システムとの親和性を確認するには、無料トライアルや無料プランを活用して、RPAを試験運用するのがおすすめです。相互に相性の良いツールを導入することで、円滑なデータ連携などに期待でき、業務効率の大幅な向上に期待できます。
サポート体制が充実したツールを選ぶ
自治体においては、ベンダーによるサポート体制が充実したRPAツールの導入が望ましいです。一般企業と異なり、自治体ではエンジニアなどの専門的な人材の確保が難しいためです。
RPAの導入の際には、プログラムの構築やシステムの初期設定といった専門的な作業が発生します。RPAに明るい人材がいない場合、これらの作業が滞り、運用開始が難しくなる恐れもあります。
このようなリスクを避けるためにも、導入支援や運用相談といったベンダーの手厚いサポートを受けられるかどうかは重要な選定基準となります。また、システムダウンなどの緊急時対応についても、あらかじめ入念な打ち合わせが必要です。
セキュリティ性の高いツールを選ぶ
自治体では、住民の個人情報をはじめ重要な情報を数多く管理します。情報の外部漏洩やハッキングなどのセキュリティリスクを低減するには、セキュリティが強固なツールを導入する必要があります。
例えば、インターネットに接続して利用するツールであれば、通信の暗号化やSSL認証を用いたツールを選ぶべきでしょう。また、情報の不正閲覧を防ぐには、ユーザーごとに柔軟なアクセス権限を設定できるものが望ましいです。
導入形態にも注意が必要
RPAにはサーバー型・デスクトップ型・クラウド型の3種類の導入形態があり、それぞれセキュリティ上のリスクが異なります。そのため、各導入形態の特徴を理解することも大切です。まずは以下の表で簡単にセキュリティ上のメリット・デメリットを確認しましょう。
サーバー型 | デスクトップ型 | クラウド型 | |
---|---|---|---|
特徴 | サーバーにソフトウェア をインストール | 個々のパソコンにソフトウェアをインストール | インターネットを介して RPAサービスを利用 |
メリット | ハッキングや乗っ取りの リスクが小さい | ハッキングや乗っ取りの リスクが小さい | システムのメンテナンスは ベンダーが行ってくれる |
デメリット | アップデートなどに伴う異常停止のリスクがある | 個人で管理するため情報 持ち出しのリスクがある | ハッキングや乗っ取りの リスクがある |
組織のサーバー内や業務用PC内といった閉鎖的な環境で稼働するサーバー型やデスクトップ型は、外部からの攻撃や侵入のリスクが低いです。ユーザー側で管理するため、独自のセキュリティ対策も施しやすいです。
一方インターネットを介して利用するクラウド型は、他の2つの形態に比べて不正アクセスや乗っ取りといったセキュリティリスクは高めです。それを防御できるかどうかは、システムの管理を担うベンダーのセキュリティ体制次第です。
ただし、サーバー型やデスクトップ型でもしっかりとした管理ができていないと、セキュリティ上の問題が発生することもあります。各導入形態の特徴・メリット・デメリットを理解し、組織の状況を考慮しながら、最適なものを選びましょう。
RPAは、サーバー型・クラウド型・デスクトップ型に分類されます。RPA導入の際は、それぞれのメリット・デメリットを理解し、自社に合った種類を選ぶことが重要です。この記事では、RPAの種類ごとの特徴や、おすすめのRPAを紹介します。
スモールスタートで導入する
RPAの運用開始直後は、トラブルが発生する可能性が高いです。そのため、一気に広範囲にシステムを導入すると、さまざまな業務に支障が出る恐れがあり、住民に迷惑をかけることになります。
したがって、RPAを導入する際は、業務に大きな支障が出にくい部署から限定的に運用を始め、徐々に役所全体に普及させることが大切です。
また、RPAを利用するにはデータの電子化が必要ですが、この作業は時間と手間がかかるため、思うように進んでいない自治体も多くみられます。本来の自治体運営業務と電子化作業を無理に並行すると、職員に過剰な負担がかかる恐れがあります。
このようなリスクを避けるためにも、データの電子化が完了した部署から順にRPAの運用を始めることが望ましいでしょう。
自治体での導入事例を参考にする
RPAに限らずですが、ITツールを導入する際は同じ業界での導入事例を参考に製品を選んだり、導入・運用のしかたを検討したりするのが有効です。そのため、自治体の場合は他の自治体での導入事例を研究しておくことをおすすめします。
導入事例は、各製品の公式ホームページやホワイトペーパーなどに掲載されているほか、総務省の「自治体におけるRPA導入ガイドブック」といった国の資料にも載っています。導入に成功している自治体では具体的にどのように運用を行っているのか、学びましょう。
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その他のRPAの選び方
RPAは製品によって仕様が異なるため、必要な業務の自動化に対応しているか、既存のツールとの連携が可能かをチェックしましょう。これらの条件を満たしていない場合、システムの使い勝手が悪く、かえって業務の非効率化を招く恐れがあります。
併せて、費用対効果や操作のしやすさも重要な選定基準です。各ポイントを押さえてツールを選定することで、RPAの導入効果を最大化できるでしょう。
【重要なポイント2つ】
- 必要な業務を自動化できるか
- 利用しているツールと連携できるか
【その他の比較ポイント】
- 費用対効果が高いか
- 誰でも簡単に操作できるか
まとめ
RPAとは、人に代わって日々の定型業務を行うロボットです。自治体においては、日々膨大な定型業務が発生することから、業務を一定程度自動化できるRPAの導入事例が増えています。
例えば、自治体にRPAを導入することで、人手不足の解消・必要以上の人件費の節約・人的ミスの防止などに期待できます。ただし、RPAの導入には、コストやセキュリティ面を始め、さまざまなリスクがある点にも留意しなければなりません。
本記事を参考に、自治体においてRPAの導入に失敗しないためのポイントを押さえ、最適なツールの選定・運用につなげましょう。