RPAの費用対効果の算出方法|効果を得るためのポイントも解説

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  • RPAの費用対効果を測定するには、定量的効果と定性的効果の両方を把握する必要がある
  • 高い費用対効果を得るには、必要なコストを正確に把握し、RPAに向いた業務に適用する
  • 定性的効果は測定しづらいが、生産性にも大きく関わるため軽視してはいけない

RPAは生産性向上を目的としたツールであるため、導入・運用時には費用対効果の測定が必要です。しかし、どのように測定すれば良いか分からない方も多いかもしれません。この記事では、RPAの費用対効果の算出方法や、効果を得るための運用時のポイントを解説します。

目次

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  1. RPAの運用では費用対効果の測定が必要
  2. RPAの費用対効果を測定するための項目
  3. RPAの効果の算出方法
  4. RPAで高い費用対効果を得るためのポイント
  5. まとめ

RPAの運用では費用対効果の測定が必要

RPA(Robotic Process Automation)は、パソコンを使って人が行ってきた定型作業を自動化するツールであり、業務プロセスの効率化に大きな役割を果たします。そのため、近年では、業種や規模を問わず多くの企業への導入が進んでいます。

ただし、RPAの導入や運用にはコストがかかります。RPAを導入してもかかったコストに見合う生産性の向上がなければ、費用の無駄遣いとなってしまいます。したがって、RPAの運用では、常に費用対効果を測定して運用方法を見直していく必要があります。

しかし、正しく費用対効果を測定するにはどうしたら良いか分からず、主観だけで判断している企業も少なくありません。そこで本記事では、RPAの費用対効果の測定方法や、費用対効果を高めるための運用時のポイントを解説します。

RPAとは?メリットや向いている業務、ツールの選び方などを解説

RPAとは、定型業務をロボットを活用して自動化・効率化するシステムのことを言います。RPAを導入することで、業務処理の迅速化などに繋がりますが、対応が難しい業務もあるため注意が必要です。本記事では、RPAのメリット・デメリットや導入手順などを解説しています。

そもそも費用対効果とは

費用対効果とは、かけた費用に対して得られる効果のことです。企業は事業実施のためにさまざまな投資を行い、事業完了後に得られた効果が当初の投資以上であれば、費用対効果が高かった事業と判断します。

費用対効果を示す指標には、ROI・ROAS・CPAなどがありますが、ROASは広告費用と売上げを比較する指標、CPAは成果ごとにかかった費用のことでWebマーケティングなどによく用いられる指標です。RPAの運用では、一般的にROIで費用対効果の測定を行います

ROI(Return On Investment)は、投資した費用と得られた利益を比較し、その効果を数値として表す指標です。RPAでは、導入や運用にかかった費用とRPAの運用で得られた利益の比較を行います

ROIの計算式

単に費用対効果のみを計算する場合は(利益や効果)-(費用)で計算し、その結果が大きいほど費用対効果が高いということになります。ただし、ROIとして計算する場合は結果を「率(%)」で表す必要があります。計算式は次のようになります。

利益 ÷ 費用 × 100

この計算結果の数値が高いほど、費用対効果が高いと判断できます。なお、ROIは後で解説する「定量的効果」に関する計算方法なので、「定性的効果」に関してはそれぞれの項目に合わせた方法で評価する必要があります

RPAの費用対効果を測定するための項目

RPAの費用対効果は一般的にROIで行いますが、実際どのようにして実施すべきか迷うこともあるでしょう。ここでは、RPAの費用対効果を測定するための項目を、費用項目と効果項目に分けて具体的に解説します。

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RPAの費用対効果を測定するための項目

  1. 費用項目
  2. 効果項目

費用項目

費用項目はかかった費用で、直接的費用と間接費用があります。直接的費用はRPAそのものにかかる費用で、間接的費用はRPAを活用するための体制などを整えるための費用です。費用対効果を正確に測定するには、それぞれの費用を漏れなく洗い出す必要があります。

以下に、項目の例をまとめました。項目は、業種やRPA導入の目的・活用の仕方などによって異なるので、慎重に洗い出しを行いましょう。

項目例
直接的な費用・初期費用(導入時に必要な費用)
・ライセンス購入費用(RPAの利用に支払う費用)
・RPA環境構築費用(インフラ整備にかかる費用)
・月額費用(クラウド型導入のシステム利用料)
・保守運用費(保守やバージョンアップにかかる費用)
間接的な費用・RPAのシナリオ開発にかかる費用(人件費)
・RPAに関わる専門性を高めるための教育費(人件費・参加費)
・サポート費用(有料サポートを受ける費用)

効果項目

費用対効果は、費用項目と効果項目の差で測定をします。したがって、効果項目の洗い出しも慎重に行う必要があります。RPAの効果項目には、「定量的効果」と「定性的効果」の2つがあります。以下ではそれぞれの項目について詳しく解説します。

定量的効果

定量的効果とは、具体的に数値にして表せる効果のことを指します。数値で示されるため、誰にでも分かりやすく説得力のある指標です。RPAでは、今まで人が行ってきた作業の自動化を図るので、そのプロセスで生まれてくる経費の削減が定量的効果となります。

定量的効果の項目は、業種やRPAの活用方法によって異なるので、自社に合った効果項目の設定を行うことが重要です。項目の具体例には、次のようなものが考えられます。

  1. 人件費の削減
  2. 業務工数の削減
  3. 収益の拡大
  4. 残業時間の減少

RPAでの作業自動化は、ヒューマンエラーの防止にもつながります。したがって、業務工数の削減では、エラー修正のために必要としていた業務工数の削減も含める必要があります。

定性的効果

定性的効果とは、数値化できない効果のことを指します。効果が抽象的になりがちなうえ、人によって認識のズレが生じる場合もあるため軽視されがちですが、現場の変化を効果に反映させるためには、大変重要な要素です。

RPAの活用では、単純作業の自動化による従業員や労働環境の変化を中心に、定性的効果を洗い出します。定性的効果の項目も定量的効果と同じように、業種やRPAの活用方法によって異なります。項目の具体例には、次のようなものが考えられます。

  1. 従業員のストレス減少とモチベーションアップ
  2. 属人化の解消
  3. 業務の自動化により生まれた余剰労働力の活用
  4. 作業の遅延・失念の防止

また、ヒューマンエラーの防止による工数の削減は定量的効果の項目ですが、エラー防止により得られた企業のイメージアップや信頼度の向上は定性的効果になります。

RPAの効果の算出方法

定量的効果と定性的効果の測定が必要なことはわかるが、実際にどのように効果測定をしたら良いか分からない、という場合も多いです。そこで、ここではそれぞれの算出方法について解説します。

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定量的効果の算出方法

効果はRPA導入前後の比較で算出するため、導入前の実態を把握する必要があります。したがって、RPA導入前に導入目的を基にして定量的効果項目の洗い出しを行い、項目ごとの現状を定量把握しておく必要があります

たとえば、1カ月単位の業務工数削減を算出する場合、(自動化予定の作業1件に要する時間)×(1カ月に行った平均回数)を事前に自動化対象のすべての作業で算出しておき、導入後にRPAが実行に要した時間と比較します。

人件費の削減に関しては、(自動化予定の作業1件に要する時間)×(1カ月に行った平均回数)×(1時間あたりの人件費)で計算を行います。ミスの修正などにより余計な時間がかかっている場合は、それらも含めます。

RPAの稼働には人件費がかからないため、上記で挙げた費用項目と比較することになります。ただし、ナリオ作成などで新たに発生する工数や人件費も考慮しなくてはなりません

定性的効果の算出方法

定性的効果は数値で測れないため、従業員に対するアンケートやヒアリングなどを中心に測定します。アンケートでは、従業員エンゲージメント調査や労働安全衛生法で定められているストレスチェックなどを基に、質問を設計するのも1つの方法です。

また、休職や離職件数の減少などを、RPA運用のストレス減少指標とすることも可能です。定性的効果は、運用を始めてすぐに出るものではありません。定期的な調査によって、その推移を見ることが重要です。

RPAで高い費用対効果を得るためのポイント

企業では、事業への投資に対して高い費用対効果が求められます。それは、RPAの導入も同様で、費用対効果の上がらないRPAの導入は失敗とみなされます。ここでは、RPAの運用と費用対効果を測定する上での5つのポイントについて解説します。

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事前に費用を正確に把握する

RPAの導入や運用には、コストがかかります。これらのコストをRPAの導入効果でカバーできているか確かめるためには、事前に導入や運用にかかる費用を正確に把握しなくてはなりません。

ストの内訳や実際の金額は、サーバ型・デスクトップ型・クラウド型などの導入形態によっても異なりま。たとえば、ライセンス費用はツールを買い取って運用する際に必要ですが、クラウド型では月々の利用料金に含まれます。また、保守費用も利用料金に含まれます。

したがって、自社にとって最も高い費用対効果が期待できる導入形態を選択して、導入や運用にかかる費用を正確に把握しましょう。

RPAの導入費用とは?種類別の相場・利用できる補助金も解説

RPAは社内の定型的な業務をロボットによって自動化できる便利なツールですが、導入には費用がかかります。この記事では、RPAにかかる費用相場を種類別に解説し、知っておきたい注意点や導入時に利用できる各種補助金を紹介します。

RPAに向いている業務に適用する

RPAを導入すると、自動化の作業手順を設定したシナリオの作成や、シナリオを管理するための工数が新たに発生します。費用対効果を高めるためには、これらの工数を抑える必要があります。

RPAの導入で発生する工数を抑えるためには、RPAに向いている業務での自動化を推進しなければなりません。不向きな業務の自動化は、シナリオ作成やエラー修正などで工数が増加する場合があります。以下に、RPAに向いている業務と不向きな業務の例をまとめました。

向いている業務・手順が決まっている業務(決算報告書作成・経費処理など)
・繰り返し行う業務(請求書作成・伝票処理など)
・データ数が多い業務(顧客情報の入力・データ抽出など)
・複数のツールを横断する業務
不向きな業務・例外が多い業務
・複雑な処理を伴う業務
・手順や仕様の変更が頻繁にある業務

RPAにできること・できないこと|対象業務を選ぶ際の注意点も解説

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コア業務の生産性に重きを置く

RPAで自動化する業務は、コア業務を行うための補助的な事務作業であることが多いです。それら補助的な作業を効率化してコア業務にリソースを割き、組織全体の利益を上げるのがRPA導入の最終的な目的です。

組織としての利益に直結するコア業務に注力できなければ、RPAの費用対効果も伸び悩んでしまいます。RPAによる自動化で空いた人手や時間をどのように活用していくかを考える際は、コア業務の生産性を上げられるかを軸にして検討しましょう

定性的効果を軽視しない

定量的効果は、測定が比較的容易でどの企業でもよく行われていますが、定性的効果は測定しづらいために軽視されがちです。しかし、RPAは定性的効果を高めることを目的として導入されることも多いため、定性的な効果の測定は極めて大切です。

たとえば、RPAによる自動化でミスの許されない単純作業が減少することによる従業員の精神的負担の軽減や、余裕の出た時間をクリエイティブな業務に割り当てたことによる従業員のモチベーションの向上なども定性的効果に含まれます。

運用知識を持つ人材を配置する

以前のRPAでは、シナリオ作成にプログラミングなどの知識が必要でしたが、最近では専門知識がなくても運用できる製品が増えています。しかし、専門知識があれば、ナリオの作成や修正も素早く適切にできます

したがって、RPAを管理する部門への運用知識を持った人材の配置は、費用対効果の向上に大きく貢献します。人材のいない企業では、ベンダーのサポートを利用した運用をしながら、人材の育成を行うのがおすすめです。

RPAの勉強方法|RPAエンジニアの仕事内容や必要なスキルも解説

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他システムと連携させる

RPAは、他のツールやシステムと連携して利用できることも大きな特徴です。たとえば、RPAとOCRを連携させると、紙媒体の伝票類の読み取りから、会計帳簿への入力・出力までの業務を自動化できます。

このように他のツールやシステムと連携させることで、自動化できる作業範囲が劇的に増え、費用対効果を大きく向上させることができます。RPAを導入する際は、現在自社が利用しているツールやシステムとどのような連携ができるか確認しましょう。

まとめ

RPAは人が行っていた定型業務を自動化して、生産性の向上を目指すためのツールです。しかし、RPAの導入や運用にはコストがかかるため、上手に運用して費用対効果を高めることが重要です。その際の費用対効果の測定は正確に行う必要があります。

RPAの導入や運用の費用対効果は、導入や運用にかかった費用と導入後の効果(定量的効果と定性的効果)との差で測定します。費用対効果を上げるためには、RPAに向いた作業の自動化を行い、測定しにくい定性的効果を軽視しないことが重要です。

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