RPAの導入に利用できる補助金とは?対象者・注意点も解説
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- RPAは、国や自治体による各種補助金を利用すればコストを抑えて導入できる
- RPA導入にはIT導入補助金・ものづくり補助金・小規模事業者持続化給付金などが使える
- 補助金が申請できる時期や要件は変更・更新されるため、定期的に確認する必要がある
RPAの導入にはコストがかかりますが、IT導入補助金・ものづくり補助金・小規模事業者持続化給付金といった各種補助金が利用できます。この記事では、RPAの導入に利用できる補助金とそれぞれの対象者、また利用時に注意すべきポイントなどを解説します。
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補助金を利用してRPAを導入しよう
RPAとは、「Robotic Process Automation」の略で、今まで人がパソコンを使って行ってきた定型作業を自動化するツールです。自動化できるのは、決まった手順がある作業で、その手順をシナリオに設定することで、設定されたタイミングと手順で自動実行させます。
RPAは、近年問題化している働き手不足を解消できるツールとして注目され、多くの企業で導入が進んでいます。しかし、働き手不足から従業員の高齢化が現実問題となっている中小企業や個人事業主の導入は遅れているのが現状です。
その主な原因は、中小企業や個人事業主の多くが、RPA導入のための費用が用意できないことです。しかし、国や自治体では、中小企業や個人事業主のDX化やコロナ後の立て直しを支援するために、さまざまな補助金を用意しています。
中には、RPAの導入にも利用できるものもあるので積極的に利用し、少しでも費用を抑えた導入を目指しましょう。
RPAとは?メリットや向いている業務、ツールの選び方などを解説
RPAとは、定型業務をロボットを活用して自動化・効率化するシステムのことを言います。RPAを導入することで、業務処理の迅速化などに繋がりますが、対応が難しい業務もあるため注意が必要です。本記事では、RPAのメリット・デメリットや導入手順などを解説しています。
補助金を利用するメリット
補助金を利用することで、費用負担を抑えられるだけでなく、事業の信用度が向上するといったメリットを得られます。ここからは、補助金を利用するメリットについて解説します。
返済が不要
補助金は銀行などからの融資と違って、原則返済不要なのが大きなメリットです。自己投資による費用負担を抑えられるため、余計なコストが発生しません。財政的な負担を軽減しながら、生産性向上や業務効率化を促進できます。
ただし、求めている成果が上がらなかった場合には、補助金の返還を求められるものもあるため、要件や注意事項などを確認した上で補助金の申請を行いましょう。
事業の信用度が高くなる
補助金を受けるためには、専門家による審査に通る必要があります。その審査を通過したということは、国や自治体からその事業が評価されたことになります。そして、補助金対象の事業であることを公表すれば、顧客からの信用度の向上も期待できます。
また、補助金対象の事業であることは銀行にも評価され、融資が受けやすくなります。金融庁でも、銀行が補助金対象事業へのつなぎ融資を行うことを推奨しています。
RPA導入に利用できる補助金
RPAの導入で利用できる補助金には、以下の5つが該当します。年ごとに変更点もあるので、公式サイトで最新情報を確認することが重要です。また、他にも自治体が運営する補助金を利用することもできます。
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RPA導入に利用できる補助金
IT導入補助金
IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者などの生産性の向上が目的の補助金です。業務の効率化やDXなどに向けた ITツールの導入を支援しています。対象のツールは決められており、IT導入支援事業者とパートナーシップを組んで申請する必要があります。
RPAは、業務の効率化を目指して導入されるツールであるため、IT導入補助金の対象となります。対象となるITツールは、IT導入補助金の公式サイトで公開されています。
IT導入補助金の対象者
IT導入補助金の対象となる中小企業・小規模事業者とは、日本国内で法人登記され、日本国内で事業を営む法人又は個人です。IT導入補助金には、通常枠・インボイス枠・セキュリティ対策推進枠があり、RPAが対象となるのは主に通常枠です。
通常枠の中でもITツールの要件が細分化され、RPAの多くは汎用プロセスに該当します。ただし、汎用プロセスは単体での使用はできないため、顧客対応や決済などの業務プロセスに該当するITツールと同時に申請する必要がある点に注意しましょう。
ものづくり補助金
ものづくり補助金の正式名称は、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」です。中小企業や小規模事業者が、働き方改革や被用者保険の適用拡大・賃上げ・インボイス導入などの複数年にわたる制度変更に対応するための補助金制度です。
RPAの導入によって、サービスの開発・業務の省力化・生産性の向上を図ることができれば、補助金の対象となります。
ものづくり補助金の対象者
ものづくり補助金の対象者は、中小企業・小規模事業者などの中で、革新的サービス開発や試作品の開発・生産プロセスの改善・人手不足解消に必要な設備投資などを行う企業です。法律上は中小企業であっても、大企業の支配下にある場合は対象外です。
申請に当たっては、事業計画、補助事業終了後に6年間にわたって事業化状況等報告の提出が必要となります。また、国が実施するほかの補助金等と重複する事業の申請はできません。
参考:ものづくり補助金総合サイト|ものづくり補助事業公式ホームページ
小規模事業者持続化給付金
小規模事業者持続化給付金では、小規模事業者が持続的な経営を目指すための販路開拓や業務の効率化も補助の対象となっています。したがって、業務の効率化と生産性の向上のために導入するRPAも給付の対象です。
小規模事業者持続化給付金はほかの補助金と異なり、商工会や商工会議所が申請窓口となり、給付についての相談も可能です。また、申請は会員でなくても可能です。
小規模事業者持続化給付金の対象者
小規模事業者持続化給付金の対象者は、商工会や商工会議所の管轄地域内で事業を営んでいる小規模事業者で、業種と常時使用している従業員の数で対象かどうかを判断します。給付対象となるのは、基本常時使用する従業員が20人以下の小規模事業者です。
ただし、宿泊や娯楽業を除く商業・サービス業では、常時使用する従業員が5人以下の小規模事業者に限られます。宿泊や娯楽業はほかと同じ20人となります。
また、申告が済んでいる直近過去3年分の課税所得の年平均額が15億円を超えていないことや、法人の場合は資本金・出資金が5億円以上の法人に100%の株式を保有されていないとも給付の要件となっています。
事業再構築補助金
事業再構築補助金は、新型感染症の流行によって変化した経済社会に中小企業が対応するために行う事業再構築を支援する補助金です。RPAの導入は、業務改善につながるため、事業再構築補助金の対象とすることができます。
事業再構築補助金の対象者
事業再構築補助金は、日本国内に本社がある中堅企業・中小企業・小規模事業者及び個人を対象にしています。補助対象となる会社は業種と資本金、または従業員数・従業員数で定められ、個人は業種と従業員数で定められています。
会社の資本金と業種の対象は、5千万円以下の小売業やサービス業、1億円以下の卸売業、3億円以下の製造業とその他です。従業員数では、50人以下の小売業、100人以下の卸売業とサービス業、300人以下の製造業とその他が補助対象となります。
中堅企業は、中小企業には該当していないが資本金が10億円未満の会社が補助対象となります。ただし、大企業の子会社などのみなし大企業は対象外です。申請には、認定経営革新等支援機関で事業計画の確認を受けること、付加価値額を向上させることが必須です。
自治体の補助金
補助金には、国が運営するもの以外にも自治体が運営するものもあります。各自治体によって、RPAツールの導入が補助対象に含まれるかは異なりますが、東京都が管轄の「中小企業デジタルツール導入促進支援事業」を始めさまざまな補助金を利用できます。
ただし、自治体の補助金を申請・利用できるのは、該当の自治体で事業を行っている企業です。自治体の補助金を利用したい場合は、企業が所在する地域でRPAツールが対象となる補助金があるかを確認しましょう。
参考:中小企業デジタルツール導入促進支援事業|東京都中小企業振興公社
補助金を利用してRPAを導入する際の注意点
補助金を利用してRPAを導入する際には、いくつかの注意点があります。ここでは、下の3つの注意点に絞って解説します。
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補助金を利用してRPAを導入する際の注意点
スケジュール・要件を細部まで確認する
補助金は、社会情勢や政府の施策変更などで、細かな変更が行われます。したがって、各補助金の公式ホームページで最新の情報を確認することが大切です。特に、自社が補助金の対象になっているかの確認や、該当する枠などの要件を細部まで確認しましょう。
また、補助金が交付されるまでのスケジュールを確認し、公募の開始日・申請期限・申請時に必要な書類などの把握も重要です。中には、電子申請でのみ受け付けている補助金制度もあり、事前にGビズIDプライムアカウントの取得が必要なため留意しましょう。
補助金は前払いではないため注意
補助金は、基本的に事業の着手前には給付されず、前払いではありません。提出した計画書通りに事業を実施し、終了後に報告して費用を受け取る流れが一般的なため、「今すぐ補助金を受け取って、事業を行いたい」といったことはできません。
そのため、スケジュールをよく確認して、自己資金で補える余裕があるか、ない場合は資金調達の検討が必要になる点に注意しましょう。
RPAの導入目的を明確にしておく
補助金が出るからといって、どのようなRPAでも導入すればいいというものではなく、しっかりと費用対効果の出る製品の導入が大切です。そのためにも、自社がRPAを導入する目的を明確にしておくことが重要になります。
そして、その目的達成のために、どの業務の自動化が必要かを洗い出します。RPAで自動化できるのは、手順が決まっていて何度も繰り返し行う作業です。自動化する作業を洗い出すことで、数多くあるRPAの中から自社に適合した製品を見つけやすくなります。
導入後の運用体制を整備しておく
導入したRPAの効果を継続的に発揮させるためには、導入後の運用体制を整備することが重要です。RPAは手順をシナリオとして設定することで、自動化を実現しています。しかし、RPAはシナリオ通りにしか動かないため、シナリオが間違っていても実行し続けます。
したがって、シナリオを作成したら、正しく作業を行っているかの確認が必要です。また、業務フローに変更が生じたら、シナリオも随時修正したり、不要になったシナリオはすぐに削除したりすることで、RPAを適切に運用できます。
このように、RPAを導入する企業には、シナリオの作成・動作の確認・シナリオの修正や削除を行う体制の構築が必要です。そのような運用体制が機能することで、RPAは企業に大きな利益をもたらします。
まとめ
RPAは、今までコンピューターで処理していた定型作業を自動化するツールです。人手不足を解消できるため、業種を問わず多くの企業で導入が進んでいます。しかし、中小企業や個人事業主の間では、多額のコストがかかるため、導入が遅れているのが現状です。
そこで国や自治体では、中小企業や個人事業主を支援するための補助金を用意しています。RPA導入に活用できる補助金には、IT導入補助金・ものづくり補助金・小規模事業者持続化給付金などがあるので、積極的な活用でRPAを導入し生産性の向上を目指しましょう。
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