RPAによくある失敗事例|対策・導入を成功させるためのポイントも

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  • RPAには、費用対効果が出ない・浸透しない・野良ロボット化するなどの失敗例がある
  • 失敗を防ぐには、RPAに適した業務に導入し、運用・管理のルールを策定する
  • RPAの導入を成功させるには、目的の明確化や運用できる人材の確保が重要である

RPAは定型的なバックオフィス業務を自動化できる便利なツールですが、適切に使用しなければ効果が出ず失敗に終わってしまうこともあります。この記事では、RPAによくある失敗事例や対策、導入を成功させるためのポイントを解説します。

目次

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  1. RPA導入によくある失敗事例
  2. RPAの導入に失敗しないための対策
  3. RPA導入を成功させるためのポイント
  4. まとめ

RPA導入によくある失敗事例

RPAは、ソフトウェアロボットを使ってパソコン上の定型作業を自動化する技術です。RPAを導入すると、ルーチン作業を効率的に処理し、生産性や業務効率を向上させることが期待されます。

しかし、RPA導入には失敗するケースもあります。この記事では、RPAによくある失敗事例や対策、導入を成功させるためのポイントを解説します。

RPAとは?メリットや向いている業務、ツールの選び方などを解説

RPAとは、定型業務をロボットを活用して自動化・効率化するシステムのことを言います。RPAを導入することで、業務処理の迅速化などに繋がりますが、対応が難しい業務もあるため注意が必要です。本記事では、RPAのメリット・デメリットや導入手順などを解説しています。

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費用対効果が出ない

RPA導入は大きなコストがかかりますが、適切な業務やプロセスを見極めないと、その効果が得られないことがあります。たとえば、RPAが適用されるべき業務を見誤ると、コストがかさんで効果が得られない可能性があります。

また、自動化するプロセスが複雑すぎる場合も、期待した効果が得られないことがあります。そのため、事前に業務フローを詳細に分析し、RPAを活用する有効な部分を特定することが重要です。

適切な業務やプロセスを見極めることで、RPA導入にかかるコストを最小限に抑え、効果的な自動化を実現できます。

社内に浸透しない

RPAの導入は、現場での浸透や活用がうまくいかない失敗例があります。これは、RPAの目的やメリットが事前に明確にされていないことが原因です。経営者の一方的な導入の決定は、現場の社員に不信感を抱かせる可能性があります。

また、新しいツールが突然導入されても、社員はその使い方や意義について理解できない場合があります。その結果、RPAが活用されず、導入の意味が薄れることがあります。

この失敗を防ぐためには、RPA導入の目的やメリットを明確にし、現場の社員に対して説明や教育を行うことが必要です。

自動化した業務範囲がわからなくなる

RPAを導入すると、業務が自動化され、担当者が指示しなくても進行します。しかし、この自動化された業務範囲が明確でないと、担当者の入れ替わりや退職によって抜け漏れや無駄が発生する可能性があります。

通常、RPAの運用は特定の担当者に任されるため、その担当者が異動や退職すると、業務の内容が不透明になります。情報の共有が不十分な場合、業務がブラックボックス化し、業務範囲や進捗状況が把握できなくなります。

そのため、RPAを導入する際には、自動化された業務範囲を明確にして、適切なドキュメント化やトレーニングを行うことが重要です。

野良ロボット化してしまう

野良ロボットとは、管理者が不在のロボットのことです。つまり、従業員の誰もそのロボットを監視・管理していない状態を指します。この問題は、担当者が業務から離れたり、RPAの開発者が外部の人物であったりする場合に発生します。

野良ロボット化すると、そのRPAが正しく動作し続ける保証がなくなります。この状況では、ロボットの動作や修正が不可能になり、業務の停滞や問題が発生する可能性があります。

そのため、RPAの導入では、ロボットの管理と運用を確立し、適切なドキュメント化と情報共有を行いましょう。

拡張によりコストがかさむ

RPAを導入した後、業務プロセスに変更が生じることがあります。この変更に対応するためには、RPAのカスタマイズや拡張が必要になります。しかし、これには予期せぬコストがかさんでしまうことがあります。

たとえば、新しい業務手順やシステムの追加が必要になった場合、既存のRPAはそれに対応できないことがあります。その結果、RPAの機能を拡張したり、新しいRPAを開発したりする必要が生じます。

そのため、RPAの導入後も業務の変化に対応できるように、柔軟性を持たせたり、将来の拡張を考慮したりすることが重要です。

RPAの導入に失敗しないための対策

RPAの導入の際、上記のような失敗を避けるためには、対策を行う必要があります。以下では、RPAの導入を失敗しないための対策について詳しく解説します。

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RPAに適した業務に導入する

RPAを導入する際には、どの業務にRPAを適用するかを慎重に考える必要があります。RPAは、定型的な業務やルーチンワークに最適であり、人の判断が不要な作業に適しています。

RPAを適用すれば、これらの業務を自動化することができ、作業の効率化や精度向上が期待できます。しかし、RPAは毎回異なる状況に応じて判断が必要な業務には向いていません。

そのため、RPAを導入する際には、定型的な作業に焦点を当て、それらを自動化することで効果を最大化することが重要です。以下の表は、向いている作業と不向きな作業の具体例です。

向いている作業請求書作成・データ入力・自動返信・ファイルの移動など
不向きな作業顧客対応や交渉・クレーム処理・マーケティング戦略立案など

導入メリットを周知する

RPAの導入メリットを社内で周知することは、導入の成功に重要です。従業員がRPAの利点を理解し、その価値を認識することで、RPAの浸透と活用が促進されます。

たとえば、RPAによって定型業務が自動化され、時間や労力が節約されることを従業員に伝えることで、積極的な活用が期待されます。

また、RPAの導入によりエラーやミスが減少し、業務の精度が向上することも重要なメリットです。これらの利点を明確に伝えることで、RPAを積極的に活用する意欲が高まるでしょう。

情報共有を徹底する

RPAの導入において、情報共有の徹底は非常に重要です。日頃から業務プロセスやRPAの運用方法に関する情報を共有し、従業員間での理解を深めることが必要です。

担当者が異動や退職したり、または業務プロセスに変更があったりした場合には、速やかに情報を引き継ぎ、新たな担当者に業務を引き継ぐ体制を整える必要があります。

情報共有が十分に行われていないと、業務の途切れや誤解、作業の停滞などの問題が発生する可能性があります。従業員が業務やRPAの運用方法に関する情報を適切に共有し、透明性のあるコミュニケーションを図ることで、業務の円滑な運用が可能になります。

運用・管理ルールを策定する

RPAの導入に際し、運用・管理ルールの策定をすることで、野良ロボット化を防止し、RPAの効果的な運用が可能になります。野良ロボット化を防ぐためには、複数名でRPAロボットを管理し、定期的にチェックすることが必要です。

適切なルールを策定することで、問題が早期に発見されて適切な対処が行われ、業務の円滑な運用が可能になります。組織全体でルールを共有し、RPAの効果を最大限に引き出しましょう。

業務プロセスの変更・拡大を想定しておく

業務が変化したり拡大したりする場合、RPAもそれに対応するためにカスタマイズや拡張が必要になることがあります。そのため、あらかじめ業務の変更や拡大を見込んで予算を組んでおくことが重要です。

適切な予算を用意しておけば、必要に応じてRPAのカスタマイズや拡張を行うことができ、業務の変化に迅速に対応することができます。

また、予算を組む際には、導入時だけでなく運用やメンテナンスなど、RPAを長期間効果的に活用するための費用も考慮することが重要です。

RPA導入を成功させるためのポイント

RPAの導入を成功させるためには、導入の目的や目標を明確にすることや、自社に合ったRPAツールを選ぶなど、いくつかのポイントに注意する必要があります。ここからは、RPA導入を成功させるためのポイントについて詳しく解説します。

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導入の目的や目標を明確にする

RPA導入を成功させるためには、事前に業務プロセスを十分に分析し、どの業務にRPAを適用して、どのような効果を得たいのかを明確にしておくことが重要です。

目的が明確であれば、具体的な導入方針や戦略を立てることができ、適切な業務にRPAを適用することが可能になります。業務プロセスをよく理解し、目指すべき効果を明確にしておくことで、効率的かつ効果的なRPAの導入ができます。

自社に合ったRPAツールを選ぶ

数多くのRPAツールが存在し、価格や機能が異なるため、自社に合ったツールを選ぶことが重要です。高機能なツールであっても、自社のニーズに合わなければ無駄なコストになります。

そのため、導入前に自社の業務プロセスやニーズを十分に把握し、自社に合ったツールを選定しましょう。RPAツールには、サーバー型・デスクトップ型・クラウド型の3種類があります。

それぞれの特徴やメリット、デメリットを比較することで、自社に最適なRPAツールを見つけることができます。以下の表に、その特徴とメリット、デメリットを示します。

サーバー型特徴データの一括管理が可能
メリットカスタマイズが可能・セキュリティが高い
デメリット初期費用が高額
デスクトップ型特徴個人のパソコン上で稼働
メリット低コストで利用可能・手軽に導入できる
デメリット利用規模が限定される
クラウド型特徴ベンダーのサーバーを活用
メリット必要な機能やリソースに応じてプランを選択できる
デメリットインターネット接続が必要

ベンダーのサポート体制もチェック

RPAの導入やトラブル時には、社内だけでは十分な対応が難しい場合があります。このような際には、信頼できるベンダーのサポートが重要です。ベンダーが適切なサポートを提供してくれれば、RPAツールの導入に安心感を持つことができます。

ベンダーのサポート体制を確認する際は、導入前に十分な情報収集を行い、自社のニーズに適したサービスを選択することが大切です。

また、ベンダーのサポートが手厚いほど、導入後のトラブルにも迅速かつ効果的に対処できるため、業務の運用においても安心感を持つことができます。ベンダーのサポート体制はRPA導入の成功に直結する重要な要素であるため、慎重な選定が求められます。

運用できる人材を確保する

RPAは専門知識がなくても利用できるケースもありますが、業務の自動化にはプログラミングスキルが必要な場合があります。特に複雑な業務やカスタマイズが必要な場合は、プログラミング知識を持つ人材が有利です。

さらに、RPAのメンテナンスも重要であり、定期的なチェックやトラブル解決には専門の人材が必要です。専門知識を持つ人材を中心にメンバーを増やし、RPAの運用体制を整えることで、社内でのRPA業務をスムーズに進めることができます。

ベンダーのサポートも役立ちますが、社内にRPAに詳しい人材がいれば、トラブルに迅速に対処できる利点があります。専門知識を持つ人材の育成やチームの構築に重点を置くことで、RPAの効果的な運用が可能になります。

小規模な業務からテスト導入する

RPAの大規模な導入は、失敗のリスクを高める可能性があります。新しい技術やツールを一気に全ての業務に適用すると、システムの安定性や従業員の負担が増大し、予期せぬトラブルが発生する恐れがあるためです。

そのため、まずは小規模な業務からRPAをテスト導入することが重要です。小規模な導入では、リスクを最小限に抑えながらRPAの効果や適用可能性を確認でき、従業員にとっても負担が少なくなります。

さらに、この段階で得られた知見を元に、より効果的な導入方法や運用方針を検討することができます。

RPAのデメリットを理解しておく

RPAを導入する際には、メリットだけでなくデメリットも把握しておくことが重要です。たとえば、RPAには業務停止のリスクがある場合や、誤った作業を続ける可能性などのデメリットがあります。

これらのデメリットに対処するためには、事前に適切な対策を講じておく必要があります。以下では、RPAのデメリットについて解説します。

業務停止のリスクがある

RPAの導入には、業務停止のリスクが伴います。誤作動やツールの過負荷によって、システムがダウンする可能性があるためです。特にRPAが業務全体に導入されている場合、ツールが正常に動作しないと、全ての業務が停止してしまう危険性があります。

このリスクに対処するためには、RPAの運用状況を定期的にモニタリングし、問題が発生した場合には迅速に対応することが不可欠です。

誤った作業を続ける可能性がある

RPAの導入には、誤った処理を繰り返し行う可能性があるリスクが存在します。これによってトラブルや問題が発生し、業務効率が低下する可能性もあります。このデメリットに対処するためには、適切な設計とテストが欠かせません。

導入前には、RPAが正確に業務を実行できるかどうかを確認するために、十分なテストを行うことが重要です。こうしたテストによって、予期せぬエラーや不具合を早期に発見し、修正することができます。

また、RPAの運用中にも定期的な監視や品質管理を行うことが必要です。これによって、誤った処理を継続するリスクを最小限に抑え、RPAの効果的な活用を実現することができます。

まとめ

RPAは定型的なバックオフィス業務を自動化できる便利なツールですが、適切に使用しなければ効果が出ず、失敗に終わってしまうこともあります。導入時には、目的や目標を明確にし、適切なツールを選定することが肝要です。

また、失敗を避けるためには、導入時のメリットだけでなくデメリットも十分に把握しておく必要があります。

デメリットを理解して対策を講じることで、RPA導入を成功させることができます。今後RPAを導入する際には、本記事で紹介したポイントを参考にしてみてください。

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