RPAの仕組みとは?自動化できる業務やメリット・デメリットも解説

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  • RPAは、事前に人間が作成したシナリオに基づいてロボットが自動的に作業を行う仕組み
  • RPAは定型的なバックオフィス業務を自動化でき、生産性向上やコスト削減に有効である
  • RPAは仕組み上セキュリティリスクがゼロではなく、業務停止や誤動作の可能性もある

定型的な作業を自動化できるRPAは、多くの企業で導入が進められています。しかし、RPAがどのような仕組みで動いているのか、またどのような効果が期待できるのかわからない、という方も多いかもしれません。この記事ではRPAの仕組みやメリットなどを解説します。

目次

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  1. RPAの仕組みとは
  2. RPAと類似するツールとの違い
  3. RPAの仕組みで自動化できる業務
  4. RPAの仕組みがもたらすメリット
  5. RPAの仕組みがもたらすデメリット
  6. RPAの提供形態別の仕組み
  7. まとめ

RPAの仕組みとは

PRA(Robotic Process Automation)とは、パソコンで行っていた業務を自動化するためのツールです。RPAによる自動化に適しているのは、決まった手順で行われる定型業務で、扱うデータが多く同じ作業を繰り返す業務ではより大きな効果が得られます。

RPAでは、各種の経費処理やサポート業務・データの収集や分析など、幅広い作業の自動化が可能です。作業の自動化により、業務の効率化・コストの削減・ヒューマンエラーの防止に期待できるため、業種を問わず多くの企業への導入が進んでいます。

RPAでの自動化は、各業務の手順をシナリオに設定し、そのシナリオをパソコンで実行することで行います。したがって、自動化できるのはシナリオ化できる作業です。本記事ではRPAの仕組みやメリット・デメリットなどについて解説します。

RPAとは?メリットや向いている業務、ツールの選び方などを解説

RPAとは、定型業務をロボットを活用して自動化・効率化するシステムのことを言います。RPAを導入することで、業務処理の迅速化などに繋がりますが、対応が難しい業務もあるため注意が必要です。本記事では、RPAのメリット・デメリットや導入手順などを解説しています。

RPAと類似するツールとの違い

業務を自動化するためのツールには、RPA以外にもAIやマクロ・産業用ロボットなどがあります。ここでは、それらとRPAとの違いについて解説します。

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AIとの違い

RPAがシナリオ通りの作業を忠実に実行するツールなのに対し、人工知能と呼ばれるAIは理解・認識・推論などの知的行動を行うツールです。したがって、AIを業務に活用すれば、未知の事態が発生しても次に行う作業を推論し、業務を継続することが可能になります。

しかし、AIが出した回答はすべてが正しいとは限らないので、間違いがあってはならない業務への活用は難しいといえます。ただし、最近では、AIと連携できるRPAも登場し、今までRPAでは自動化できなかった非定型業務での活用も可能になってきています。

RPAとAI(人工知能)の違いとは?組み合わせ事例も解説

RPAとAI(人工知能)は、どちらも企業の業務効率化をサポートするテクノロジーですが、得意なことや動作の基準が異なります。この記事ではRPAとAIの違いを解説し、より業務を効率化させるための連携・組み合わせ事例を紹介します。

マクロとの違い

企業でもよく利用されているMicrosoft Excelのマクロ機能を利用して、作業の自動化を図っている企業も多いです。Excel上で行った操作をマクロで記録する機能もあるため、プログラミングスキルがなくても自動化プログラムの作成ができ、非常に便利です。

しかし、マクロで自動化できるのは、Excel内のデータを用いたMicrosoft Office内での作業に限られます。その点、RPAなら、自動化したい作業のデータが複数のシステムに保管されている場合や、ほかのシステムのテータを操作したい場合でも自動化が可能です。

さまざまなシステムと連携が図れるRPAも多いです。それらのRPAで行う作業の自動化は、マクロを利用した自動化とは比べ物にならないほど幅広い自動化が実現できます

RPAとマクロの違いとは?共通点やそれぞれの活用シーンも解説

RPAとマクロはどちらも業務を自動化できるツールですが、対応できる業務範囲や処理できるデータ量、他システムとの連携性など異なる点が多々あります。この記事では、RPAとマクロの違いや共通点、それぞれの活用シーンについて解説します。

産業用ロボットとの違い

RPAも産業用ロボットも業務を自動化することに違いはありません。ただし、自動化する作業が異なります。産業用ロボットは人が物に行う作業を自動化するのに対し、RPAはパソコンを使って行う情報の処理を自動化します。

RPAの仕組みで自動化できる業務

RPAの仕組みで自動化できる業務は、手順が決まっている定型業務です。その手順をシナリオに設定し、パソコンに覚えさせて作業の自動実行を行います。したがって、一度シナリオを設定すれば、同じ動きを何度でも繰り返すことができます。

RPAの得意な作業には、転記・突合・確認・集計・仕訳などがあります。また、シナリオ実行のタイミングも設定できるので、商品価格や在庫数に変化があった場合や、メールで伝票が届いたタイミングでシナリオを実行すれば、作業忘れや遅れの防止にもつながります。

RPAにできること・できないこと|対象業務を選ぶ際の注意点も解説

RPAはバックオフィス業務をロボットにより自動化するツールですが、得意な業務と不得意な業務があります。RPAを効果的に運用するには、向いている業務に活用することが重要です。この記事ではRPAにできること・できないことや、対象業務を決める際の注意点を解説します。

RPAの仕組みがもたらすメリット

RPAの仕組みがもたらすメリットは数多くありますが、その中で特に大きなメリットとしては下の3点があげられます。ここでは、その3つのメリットについて詳しく解説します。

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生産性向上・コスト削減

RPAは、今まで人が行っていた業務を代わりに行ってくれます。そのうえ、365日24時間動き続け、膨大な量のデータ処理でもミスなく迅速に行います。そのため、それらの作業を行うための人員を雇用する必要はなくなり、人件費の削減が期待できます

また、自動化で生まれた人的リソースを人しかできない生産的な業務に回すことで、人的リソースの有効活用ができます。人的リソースを上手く活用することは、企業の生産性を高めるための重要な要素であり、企業の収益増大につながります。

RPAで自動化できるような単純作業を継続的に行っている従業員の中には、仕事にやりがいを感じていない人も多くいます。そのような従業員を、人でしかできない業務に配置することで、従業員エンゲージメントの向上も期待できます

正確な作業が可能

企業でさまざまなデータを人の手で扱う場合、注意していても転記ミスや入力ミスなどのヒューマンエラーが起こることがあります。しかし、RPAはシナリオに設定した手順を確実に実行するので、ヒューマンエラーは起こらず、正確な作業を続けます。

ただし、RPAは、シナリオに誤りがあってもシナリオ通りの作業を続けてしまいます。したがって、シナリオの作成は慎重に行い、適切に作業を行っているか必ず確認しましょう。間違った作業を繰り返すと、企業に大きな損失を招く恐れがあります。

専門知識がなくても運用可能

以前のRPAは、シナリオ作りにプログラミングなどの専門知識が必要でした。しかし、近年は、専門知識がなくてもシナリオを作成できるRPAも増えているため、どの企業も比較的気軽に導入できるようになってきています。

しかし、専門知識を持った人材なら、より幅広い作業のシナリオを作成できます。そのため、自社で人材を育成することも視野に入れて導入するのがおすすめです。また、専門知識を持った人材がいない場合は、サポート体制の充実したベンダーの選択をしましょう。

RPAの仕組みがもたらすデメリット

RPAは、パソコンを使った業務が自動化でき、多くのメリットを持つツールです。しかし、デメリットもあるので、導入前に把握してデメリットを抑えた導入や運用をすることが重要です。ここでは、RPAの仕組みがもたらすデメリットを3つ解説します。

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セキュリティリスクが生じる

RPAは、サーバーなどにあるさまざまなデータベースにアクセスして情報収集を行います。収集する情報の中には、従業員や顧客の個人情報や社内の機密情報も含まれています。そのため、強固なセキュリティ対策を施して、情報管理を厳重に行わなくてはなりません

また、さまざまなシステムと連携可能なRPAは、それぞれのシステムにアクセスする際にIDやパスワードが必要なため、シナリオに記録しておく必要があります。一度情報漏えいが起こると、企業の信用が失墜するとともに、企業に大きな損失を与える場合もあります。

RPAを自社のサーバーやパソコンに導入する場合は、自社のセキュリティポリシーに沿った対策が施せます。しかし、クラウドサーバーで導入する場合のセキュリティはベンダーに依存するので、ベンダーのセキュリティ対策の確認は必須です。

業務が停止する可能性がある

RPAの自動化は、一般的にサーバーのデータやシステムにアクセスしながら実行されます。したがって、サーバーやネットワークに障害が起きると業務が停止してしまう可能性があるので、UPSを設置するなど障害の起きにくい環境の構築が必要です。

また、RPAがデータにアクセスしている最中に障害が起こると、データ損失が起こる可能性もあります。もしもの時のために、定期的なデータバックアップを取るなどの対策をしておくのがおすすめです。

誤動作を繰り返す可能性がある

RPAでの自動化は、シナリオに設定された業務を忠実に繰り返します。したがって、シナリオに間違った手順が記録されていると、間違った作業を繰り返してしまいます。また、業務フローなどに変更があった際には、シナリオの修正が必要になる場合もあります。

修正されないまま残ったシナリオもそのまま作業を続けるので、業務の混乱を招く原因になります。シナリオは、修正すべき時に修正し、必要なくなったら削除しましょう。

また、シナリオが適正な作業を行っているか点検するなどのRPAを管理する担当者や部門が必要です。

RPAの提供形態別の仕組み

RPAの提供形態には、サーバー型・デスクトップ型・クラウド型があり、それぞれが異なった仕組みで作業の自動化を図っています。ここでは、3つの提供形態による仕組みの違いについて解説します。

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RPAの提供形態別の仕組み

  1. サーバー型
  2. デスクトップ型
  3. クラウド型

サーバー型

サーバー型は、自社のサーバーにRPAをインストールして運用します。サーバーにつながった複数の端末パソコンを一括管理できるため、サーバーに蓄積された大量の情報を基に、横断的な自動化が可能です。

サーバー上でRPAが動作するため、従業員が利用するパソコンへの負荷はありません。大量のデータを取り扱う作業の自動化に適していますが、導入費用が高額になり、運用環境の整備に時間がかかります。比較的大きな企業に多く導入されている提供形態です。

デスクトップ型

デスクトップ型は、普段利用しているパソコンにRPAをインストールして運用するタイプで、パソコン内で完結する作業の自動化が可能です。動作速度は、使用するパソコンのスペックに左右されるため、できるだけ高スペックのパソコンでの利用がおすすめです。

また、スタンドアロンのパソコン1台から利用可能で、個人事業主のような小さな企業でも導入しやすいタイプです。さらに、サーバー型に比べて導入や運用のための費用が抑えられ、組織的な管理も必要ないので、気軽に導入できます。

クラウド型

クラウド型は、ベンダーが管理するサーバーにRPAがあり、ユーザーはインターネットを介してRPAを利用します。Webブラウザ上での作業を自動化でき、社内システムや社内パソコンにあるアプリやファイルの操作などはできません。

クラウド型のRPAでは、Webコンテンツからのデータ抽出・Webサービス間でのデータ連携・複数アプリへの一括登録など、幅広い自動化が可能です。導入初期費用が抑えられ、保守管理の必要がないため、近年注目されている提供形態です。

まとめ

RPAは、パソコンで行う定型的なバックオフィス業務を自動化できるツールで、業種を問わず多くの企業で導入が進められています。RPAの導入で、人が行っていた単純作業を自動化して人的リソースを再配置することで、生産性の向上やコストの削減が期待できます。

RPAは、あらかじめ作業の手順をシナリオに設定し、その手順をパソコンに記憶させることで自動化を実現しています。RPAでの自動化には多くのメリットがありますが、セキュリティリスクもあるため、しっかりとした対策を施した導入をしましょう。

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