RPAで経理業務を自動化|導入メリットや活用のポイントを解説

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  • 経理業務には定型的かつ大量のデータを扱う作業が多いため、RPAに向いている
  • RPAが活用できる経理業務には、入金消込・交通費精算・帳票出力などがある
  • 経理業務にRPAを導入することで、正確かつスピーディーな作業が可能になる

定型的な作業を得意とするRPAは、経理業務においても活用できます。経理業務にRPAを活用することで、コスト削減や業務スピードの向上が可能です。この記事では、RPAを経理業務に導入すべき理由や活用のメリット、ポイントなどを解説します。

目次

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  1. RPAで経理業務を自動化できる
  2. RPAを経理業務に導入すべき理由
  3. RPAで自動化できる経理業務の例
  4. RPAを経理業務に活用するメリット
  5. RPAの普及で経理業務はなくなるのか
  6. RPAを経理業務に活用する際のポイント
  7. まとめ

RPAで経理業務を自動化できる

RPA(Robotic Process Automation)とは、パソコンで行っている作業を自動化できるツールです。自動化できるのは、手順が決まっている定型的な作業で、同じ手順で繰り返し行う作業では大きな効果が期待でき、近年業種を問わず多くの企業で導入されています。

RPAでは、決まった手順をシナリオに書き込み、パソコンに覚えさせることで自動化を行います。経理業務には、RPAが得意とする決まった手順で行う作業が多く、RPAを導入することで今まで人が行っていた経理業務の多くを自動化することができます

RPAとは?メリットや向いている業務、ツールの選び方などを解説

RPAとは、定型業務をロボットを活用して自動化・効率化するシステムのことを言います。RPAを導入することで、業務処理の迅速化などに繋がりますが、対応が難しい業務もあるため注意が必要です。本記事では、RPAのメリット・デメリットや導入手順などを解説しています。

RPAを経理業務に導入すべき理由

経理関係の仕事には、RPAによる自動化に適した業務が多くあり、RPAの導入は経理業務の効率化に大変有効な手段です。ここでは、RPAを経理業務に導入すべき2つの理由について解説します。

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定型的な業務が多いため

RPAは、手順が決まっている定型的な業務の自動化に最大限の力を発揮します。経理業務の中には、伝票入力や帳票の出力など定型的な業務が多くあり、RPAの能力を最大限引き出すことができます。

多くの経理業務を自動化することで、大幅な業務の効率化が進められるとともに、業務担当者は定型的な単純作業から開放されます。また、そこで生まれた人材や時間をやりがいのあるコア業務に当てることで、従業員のモチベーションの向上も期待できます。

大量・複雑なデータを扱うため

経理では、膨大な量のデータを利用しながら各業務を進めていきます。その量は、企業規模が大きくなる程多くなり、人の手で処理するには大変な手間と時間がかかります。しかし、RPAで自動処理すれば、大量のデータでも短時間で正確に処理してくれます

RPAは、大量にあるデータの中から、必要なデータを抽出して集計するような業務も得意です。企業によっては、それらのデータが複数のシステムに分散している場合もありますが、RPAの中にはシステムを横断してデータを利用できるものもあります。

RPAで自動化できる経理業務の例

経理業務は、ミスが許されない業務のため担当者のストレスも溜まります。したがって、経理業務の自動化は比較的優先度の高い業務改善です。しかし、RPAに適した業務と適さない業務があります。ここでは、RPAで自動化できる経理業務の代表例を3つ紹介します。

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RPAで自動化できる経理業務の例

  1. 伝票データ入力
  2. 入金消込
  3. 交通費精算
  4. 帳票の出力・編集

伝票データ入力

頻繁に行わなければならない伝票データの入力は、RPAで自動化することで大幅な業務の効率化が図れます。特に、営業が作成した売上伝票の電子データを取り込んで、振替伝票を作る作業などは比較的簡単にできます

また、システム連携ができるRPAであれば、支店や営業所からメールで送られてきた伝票データをRPAで自動取得して、会計システムへ反映させることも可能です。RPAはシナリオ通りに正確な作業を行うため、結果のチェックのみで作業は済み、手間がかかりません。

入金消込

顧客から注文が入れば、売上は計上されます。しかし、未入金の場合は売掛金として管理し、入金されたら売掛金としてのデータを消します。この作業が入金消込で、通帳やネットバンキングなどの講座情報を確認し、入金があった案件に対して入金消込を行います。

非常に単純な作業ですが、処理数が多いと大変手間のかかる作業となります。しかし、入金消込は単純な定型業務なだけに、RPAでの自動化は比較的容易です。入金消込を自動化することで、入金の見落としがなくなるというメリットもあります。

交通費精算

交通費精算も経理の重要な業務ですが、交通費の金額チェックは非常に手間のかかる作業です。主にインターネットで経路や交通費を検索し、従業員の申告経路や金額と照合しなくてはならなかったり、定期券区間の考慮も必要だったりします。

RPAでは、提出された申請からデータを読み込み、そのデータを使ってインターネットの路線情報から運賃を取得し、旅費精算書に転記する作業を自動化します。その途中で従業員の定期券情報も取得して反映させます。

また、従業員の交通費申請を自動化して、定期券を考慮した交通費が自動入力されるようにすることも可能です。

帳票の出力・編集

会計報告に必要な帳票を出力したり編集したりする業務は、常時あるわけではなく特定の時期に集中します。したがって、その時期になると業務が増加し、ほかの業務に遅れが生じたり、従業員の残業が増加したりすることもあります

そこで、帳票の出力や編集の作業をRPAで自動化すれば、業務の集中が緩和され、従業員の負担軽減につながります。このように経理でのRPAの運用は、年間を通した業務量の均一化を図るために導入される場合も多いです。

RPAを経理業務に活用するメリット

RPAを経理業務に活用すると、さまざまな面でのメリットがあります。ここでは、多くの導入企業が効果を感じている下の5つのメリットについて解説します。

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正確な作業が可能になる

金銭を取り扱う経理部門では、金額が合わなければ合うまで徹底的に調査しなくてはなりません。金額の合わない原因の多くはヒューマンエラーであり、入力を間違えると修正などの余分な業務が発生してしまいます。

その点RPAは、あらかじめ作成されたシナリオ通りに作業を自動実行するので、ヒューマンエラーが入り込む余地はなく、常に正確な作業を行います。ただし、シナリオに間違いがあれば、修正されるまで間違った処理を実行するので注意が必要です。

また、業務フローやフォーマットが変更された際には、変更と同時にシナリオの修正を行わなければ誤った処理を続けることになります。したがって、RPAのシナリオを定期的に点検し、RPAが正しい作業をしているか確認する必要があります。

コスト削減に繋がる

RPAで業務を自動化・効率化することで、経理部門の人材を減らし、人件費の削減を図ることが可能です。また、業務の自動化で生まれた余剰人員をほかの生産性の高い業務に回すことで、企業の収益の増加が見込まれ、相対的なコスト削減にもつながります。

経理部門でよく見られる単純作業の継続に、ストレスを感じている従業員も多いです。そのような業務をRPAに任せ、従業員によりやりがいのある業務を行わせることで、離職率の低下にもつながり、ひいては採用にかかるコストの削減も期待できます

RPAツールの導入にはコストがかかります。しかし、RPAを上手く運用すれば、雇用数を減らすことができ、RPAの導入・運用コスト以上の人件費の削減が可能です。

人員不足をカバーできる

近年の労働者人口の減少から、働き手不足の常態化が進んできています。経理部門でも人材確保ができず、過重労働になっているケースもあります。そのような状況を打開できるのがRPAです。RPAで何人分かの業務を自動化することで、人員不足をカバーできます

人的リソースを有効活用できる

経理部門で行う業務は、年間通して均一にあるのでなく、一定の時期だけに行う業務もあり、時期によって仕事量が異なります。そのため、仕事量が集中する時期の業務をRPAで自動化できると、人的リソースの有効活用となり、経理業務の負担軽減が図れます。

また、経理部門で日常的に行われている定型業務をRPAで自動化して、余裕ができた人員や時間を、RPAが苦手とするマネジメント業務や企画業務などで有効活用することもできます。人にしかできない業務を行うことで、従業員の仕事に対する満足感も高まります。

業務の処理スピードが上がる

RPAの自動化は、シナリオをコンピュータに覚えさせて、コンピュータが実行します。そのため、作業の正確性とスピードは経理業務に熟練した人でもかないません。特に、一度に扱うデータ量が多ければ多いほど、RPAの導入効果は大きくなります。

また、処理タイミングも指定日時・メール着信・データ入力時など、さまざまなタイミングで設定できます。これにより、ベストなタイミングで処理が行われ、処理漏れや処理忘れの防止にもつながります

RPAの普及で経理業務はなくなるのか

RPAで自動化できるのは、一定の規則で繰り返し行う定型業務です。しかし、経理業務にはイレギュラーな対応が必要になる業務や、業務が複雑でシナリオ作りが難しくて自動化ができない業務もあります

したがって、RPAの普及で経理業務が少なくなることはあっても、なくなることはありません。伝票処理でも自動化できるのは電子データの伝票のため、紙媒体で送付されてきた伝票などは自動化できません。また、RPAが正しく設定されているかの確認も必要です。

経理では税金対策も行いますが、税法は頻繁に変更されるため、最新の法律知識を持った担当者の在籍は欠かせません。また、RPAで財務面のデータ集計は可能ですが、集計データから財務面からの企業戦略を立てるのは人の役割です。

RPAを経理業務に活用する際のポイント

RPAによる経理業務の自動化は、業務の効率化・コスト削減など多くのメリットがあります。しかし、そのメリットは、RPAを効果的に運用することから生まれてくるものです。ここでは、RPAを効果的に活用するための5つのポイントを解説します。

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自動化したい業務を明確にする

まず、RPAを導入する前に自社の経理業務フローを分析し、業務上の問題点や課題を把握することが重要です。そして、その問題点や課題を解決するために、自動化したい業務を洗い出します。自動化できる業務は、一定の規則に従って繰り返し行う業務です。

業務の洗い出しができたら、その業務の作業フローを細かく分析します。より具体的に分析することで、自動化のためのシナリオ作成が可能かどうかの判断ができます。また、シナリオ作成が可能な場合は、細かな分析がスムーズなシナリオ作成に役立ちます。

人員に割り当てる業務を検討しておく

RPA導入のメリットの一つに、人的リソースを有効活用して、企業の生産性を向上させることがあります。そのメリットを活かすためには、経理業務を自動化することで生まれる人員と時間を、どの業務に割り当てるかをあらかじめ検討しておくことが重要です。

人員の割り当ては思い付きで行うのでなく、自社がRPAを導入する目的に合わせて検討することが大切です。たとえば、企業競争力向上を目的に戦略的コア業務に割り当てたり、営業力の向上を目的に、営業分析や営業戦略の立案などの業務に割り当てたりします。

スモールスタートする

自動化したい業務が多くあるからといって、初めからすべてを自動化すると、予想していなかったトラブルが続けざまに起こり、業務が混乱する可能性があります。RPAの自動化は、シナリオ作成が簡単なものから一つずつ始める、スモールスタートがおすすめです

一つシナリオ作成が完成したら、それが思い通りの作業をしていることを確認してから、次のシナリオの運用を始めるようにします。このように、徐々に自動化する業務範囲を広げていくことで、自動化に失敗した場合のリスクを最小限に抑えられます

費用対効果を測定する

RPAの運用は、導入や運用にかかったコスト以上の効果がある費用対効果の高いものにしなくてはいけません。したがって、運用が軌道に乗ってきたら、定期的に費用対効果の測定を行う必要があります

費用対効果の測定は、RPAの自動化で削減できた労働時間から削減できたコストを算出し、RPAツール導入・運用にかかったコストと比較します。しかし、スモールスタートで始めるので、導入当初は費用対効果が低いのは当然です。

したがって、期間ごとに期待される費用対効果を数値化しておき、定期的に費用対効果を測定して比較するのがおすすめです。予想を下回る場合は、その原因を追求して改善を図る必要があります。そして、効果測定のPDCAサイクルを確立することが大切です。

運用人材の育成にも力を入れる

RPAでは、プログラミング技術が必要ないことを謳った製品も多くあります。しかし、そのような製品でも、シナリオの修正にプログラミングの知識が必要な製品もあるので注意が必要です。また、プログラミング知識があれば、シナリオ作りはスムーズに進みます。

RPAを上手に運用するためには、シナリオを管理する人材も必要です。シナリオを作成したり管理したりできる人材がいない企業では、サポート体制が充実したベンダーを選ぶのがおすすめです

しかし、急なトラブルに素早く対処するためには、自社で人材を育てることも重要です。ベンダーの中には、RPA運用のためのセミナーを開催していたり、多くの事例を持っていたりする会社があります。それらを活用して人材育成を図りましょう。

まとめ

RPAは、定型的な作業を自動化するツールです。定型的かつ大量のデータを扱う作業が多い経理業務は、RPAに向いている業務だといえます。経理業務へのRPA導入には、ヒューマンエラーをなくし、コスト削減や業務スピードの向上などの効果が期待できます。

経理業務では、入金消込・交通費精算・帳票出力などで活用でき、正確かつスピーディーな作業を可能にします。RPAを運用する際には、自社の経理業務の中で自動化したい業務を洗い出し、スモールスタートし徐々に自動化の数を増やしていくのがおすすめです。

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