RPAの導入費用とは?種類別の相場や利用できる補助金も解説

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  • RPA導入に際しては、初期費用・ランニングコスト・保守費用がかかる
  • RPAにはクラウド型・デスクトップ型・サーバー型があり、それぞれ費用相場が異なる
  • RPAそのものの料金や運用のための人件費、場合により外注費なども発生する

RPAは社内の定型的な業務をロボットによって自動化できる便利なツールですが、導入には費用がかかります。この記事では、RPAにかかる費用相場を種類別に解説し、知っておきたい注意点や導入時に利用できる各種補助金を紹介します。

目次

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  1. RPAの導入費用とは
  2. RPAの種類別の費用・価格相場
  3. RPAの費用に関する注意点
  4. RPA導入で利用できる補助金制度
  5. まとめ

RPAの導入費用とは

RPAとは、企業の定型業務を自動化することで作業効率を高め、時間とコストを削減できるツールです。人的リソースをより重要な業務に割り当てられるため、多くの企業にとってメリットがあります。

しかし、RPAを導入するには、初期費用・ランニングコスト・保守費用などがかかります。初期費用とは、システムの導入や設定にかかる費用であり、業務の自動化に必要なソフトウェアの購入やカスタマイズが含まれます。

ランニングコストは、日々の運用にかかる費用で、ソフトウェアのライセンス更新や消耗品の補充などが該当します。保守費用は、システムを長期間安定して稼働させるために必要な、定期的なメンテナンスやトラブルシューティングに関連する費用です。

RPAとは?メリットや向いている業務、ツールの選び方などを解説

RPAとは、定型業務をロボットを活用して自動化・効率化するシステムのことを言います。RPAを導入することで、業務処理の迅速化などに繋がりますが、対応が難しい業務もあるため注意が必要です。本記事では、RPAのメリット・デメリットや導入手順などを解説しています。

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初期費用

初期費用には、ソフトウェアの購入やシステムの構築、社員の研修などが含まれます。ソフトウェア購入費は、選択するRPAツールによって変動し、オープンソースから高価なカスタマイズ可能な商用ソフトウェアまで幅広い選択肢があります。

システム構築費は、プロセスの自動化に必要なワークフローの設計やシステムの統合にかかるコストを指し、導入する業務の複雑さによって決まります。

また、RPAツールを効果的に活用するには、従業員がその使用方法を習得し、自動化プロセスを管理できる必要があります。そのためには、導入初期における適切なトレーニングが不可欠です。

ランニングコスト(月額・年額料金)

RPAツールの市場では、サブスクリプションモデルが主流となっており、買い切り型の製品は少ないです。サブスクリプション型では、利用者は月額または年額の料金を支払うことで、ソフトウェアを使用できるようになります。

ランニングコストは、このサブスクリプション料金に加えて、システムの維持管理やアップデートに関連する費用を含みます。この費用は、高度な機能や大規模なライセンスを必要とする企業の場合、より多くの費用がかかる可能性があります。

運用・保守費用

運用費用には、日常の監視、ソフトウェアの定期的な更新、システムの最適化などが含まれます。一方で保守費用は、障害発生時の迅速な対応や修正、システムの改善といった活動に関連しています。

運用面では、RPAがスムーズに動作を続けるために、ロボットのパフォーマンス監視と調整が常に必要です。そのため、プロセスの効率化・エラーの減少・作業フローの改善を行わなければいけません。

保守については、ソフトウェアのバグ修正やアップデート、システムのセキュリティ強化が主な内容です。

RPAの種類別の費用・価格相場

RPAには、主にクラウド型・デスクトップ型・サーバー型の3種類があり、それぞれ費用相場が異なります。クラウド型RPAは、インターネット経由でアクセスして使用する形態です。

デスクトップ型RPAは、個々のPC上で動作する形態であり、個人や小規模チームの業務自動化に適しています。一方サーバー型RPAは、企業のサーバー上で中央管理され、大規模な自動化が求められる環境におすすめです。

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RPAの種類別の費用・価格相場

  1. クラウド型
  2. デスクトップ型
  3. サーバー型

クラウド型

クラウド型RPAは、インターネットを介してサービスを利用する形態で、物理的な基盤に依存しません。そのため、初期設定費用が低く抑えられるのが特徴です。

利用者は、サービスプロバイダーのサーバー上でRPAソフトウェアを利用し、プロセスの自動化を行います。そのため、初期投資を最小限に抑えたい中小企業や、迅速に導入を進めたい企業に適しています

料金は、自動化したいプロセスの数や複雑さ、同時に実行するロボットの数、利用する機能の範囲によって変動します。一般的に導入費用は30万円〜50万円、月額費用は10万円〜で設定されていることが多いです。

デスクトップ型

デスクトップ型RPAは、個々のコンピューターにインストールして使用するソフトウェアです。このタイプは、手軽に始められることが大きな利点であり、特に個人ユーザーや小規模チームが繰り返し行う作業を自動化するのに適しています。

また、導入が容易であり、大規模なインフラ投資をすることなく業務プロセスを自動化できるため、コストパフォーマンスに優れています。費用については、ソフトウェアのライセンス費用に基づきます。

導入費用は1台あたり50万円までの範囲で設定されていることが多く、使用するソフトウェアの機能や性能によって異なります。

サーバー型

サーバー型RPAは、サーバー上にインストールされ、ネットワークを通じて複数のユーザーやデバイスがアクセスする形態です。このタイプは、大規模な自動化を実現し、組織全体でのプロセス管理と統合を可能にするため、大企業や複雑な業務を持つ組織に適しています。

サーバー型の特徴は、集中管理による一貫した運用と高いセキュリティ水準を実現できる点にあります。費用に関しては、ソフトウェアライセンス費用に加えて、サーバー機器やネットワークの基盤への投資が必要です。

初期設定と統合にかかる費用も含めると、全体の投資額は数百万円から数千万円に上ることもあります。

RPAの費用に関する注意点

RPAの導入を検討する際には、単に初期費用やランニングコストだけでなく、全体の投資対効果を見積もることが重要です。また、サポートやメンテナンスにかかる費用の確認も欠かせません。

さらに、RPAツールを最大限に活用するためには、従業員の研修やスキル向上も不可欠であるため、人件費や研修費用も計算に含める必要があります。このような注意点を踏まえて、RPAど導入しましょう。

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投資対効果を算出しておく

RPAを導入する主な目的は、生産性の向上とコストの削減です。そのため、導入前には投資対効果を算出することが不可欠です。

この算出では、RPAによって自動化されるプロセスが現在の運用コストをどれだけ削減できるか、時間やリソースの節約によってどれだけの効率化が見込めるかを測定しましょう。また、時間の節約がもたらす間接的な利益も含める必要があります。

例えば、従業員が日々の繰り返しタスクから解放されることで、より重要な業務に注力できるようになります。このような生産性の向上は、長期的に見ると企業の収益性に大きく寄与する可能性があります。

サポートの費用を確認しておく

充実したサポートは、導入から運用、トラブルシューティングに至るまで、プロジェクトの成功を大きく左右します。そのため、高品質なサポートを提供するベンダーがおすすめです。

サポート費用は、基本的な問い合わせ対応から、専門的な技術サポートや緊急時の対応まで、提供されるサービスのレベルによって異なります。

特定のサービスや緊急対応が必要な場合には、追加費用が発生することも少なくありません。そのため、契約前にサポートの範囲と費用を確認しておく必要があります。

人件費・研修費もかかる

RPAシステムを効率的に運用し、最大限の価値を引き出すためには、従業員が適切な知識とスキルを持つことが欠かせません。また、RPAを継続的に運用するためには、専任のスタッフやチームが必要となることが多いです。

これらのスタッフは、自動化されたプロセスの監視、問題解決、システムの更新や改善を担当し、RPA導入の効果を維持します。そのため、導入前後に従業員を対象とした研修プログラムを実施し、社内にRPA技術を理解して管理できる人材を育成する必要があります。

このように、RPAの運用には人件費や研修費用も発生するため、事前に把握しておきましょう。

自社で運用体制を整える

RPAツールの導入と運用に関して、外部のベンダーやコンサルタントに依頼することも1つの選択肢です。しかし、ソフトウェアロボット運用の外注費は1体あたり15〜30万円程度の費用がかかることも少なくありません。

そのため、自社で運用できるよう体制を整えないと、期待される投資対効果が得られなかったり、場合によってはマイナスになったりする可能性があります。

スモールスタート可能なツールを選ぶ

RPAの導入・運用を自社の予算内で無理なくスタートさせるには、スモールスタートが可能かどうかが重要なポイントです。スモールスタートとは、最初は活用する機能やサービスなどを限定して小規模で運用を開始し、必要に応じて拡大させていく手法を指します。

RPAは、従来人力で行ってきた作業を自動化するという機能面から考えても、一部の業務・部署に絞ってスモールスタートさせやすいツールです。スモールスタートであれば、全社的な導入に比べて初期投資も抑えられるため、リスクを低減できるでしょう。

無料トライアルの有無を確認する

RPAツールの中には、無料トライアルを提供しているツールも多く存在します。無料トライアルを活用すれば、実際のツールを触って操作性や自社業務と適しているかを確認できるため、スムーズな導入に繋がるでしょう。

導入後のトラブルを未然に防げるため、無駄な投資を防ぐことにも繋がります。ただし、無料トライアルは、利用期間や使用可能な機能に制限が設けられている場合が多いため、事前に利用できる範囲を確認しておくことが重要です。

RPA導入で利用できる補助金制度

RPAの導入を検討する際には、国や自治体から提供される補助金制度を活用できる可能性があります。これらの補助金は、特に中小企業や小規模事業者が技術革新を進める際の負担を軽減し、経済活動の活性化を目的としています。

代表的なものには「ものづくり補助金」「IT導入補助金」「小規模事業者持続化補助金」「中小企業デジタルツール導入促進支援事業」があります。

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ものづくり補助金

「ものづくり補助金」は、中小企業や小規模事業者が新たな設備投資や技術導入を行い、製品やサービスの品質向上、生産性の向上を目指すことを支援するための公的な補助制度です。

この補助金は、製造業をはじめとしたものづくり産業における競争力の強化を目的としています。事業者は補助金を通じて、最新の機械設備の導入や効率的な生産体制の構築、技術開発などを進められます。

この制度を利用することで、企業は経済的な負担を軽減しつつ、事業の拡大や技術革新の実現に期待できます。補助金の申請には一定の条件があり、公募期間内に申請書と事業計画書を提出し、審査を経る必要があります。

参考:ものづくり補助金総合サイト|ものづくり補助事業公式ホームページ

IT導入補助金

「IT導入補助金」は、中小企業や小規模事業者が新たにITツールやシステムを導入する際の経費の一部を補助するための公的な支援制度です。この補助金の目的は、情報技術を活用してビジネスの効率化・生産性向上・競争力強化を図ることにあります。

特に経営基盤の強化や市場拡大を目指す事業者にとって、財務的な支援として利用価値が高いとされています。補助対象となるのは、業務管理や顧客管理、販売促進などのためのシステム導入や、それらを活用するためのコンサルティング費用などです。

申請する場合は、「IT導入支援事業者」としてIT導入補助金事務局に登録されている企業と提携し、共に申請を行う必要があります。

参考:IT導入補助金とは|IT導入補助金2024

小規模事業者持続化補助金

「小規模事業者持続化補助金」は、小規模な事業者が市場競争力を高めるための事業活動を支援する目的で設けられた公的な補助金です。この制度は、販売促進や商品開発、生産性向上など、事業の持続的な成長と発展を目指す小規模事業者に向けて設計されています。

補助対象となるのは、新たな設備投資、マーケティング活動、商品・サービスの開発や改善など、事業運営に直接的な影響を与える活動です。申請資格は、一定の基準を満たす小規模事業者に限られ、事業計画の内容や実施計画の具体性が審査のポイントとなります。

参考: 小規模事業者持続化補助金|全国商工会連合会

中小企業デジタルツール導入促進支援事業

中小企業デジタルツール導入促進支援事業は、事業活動のデジタル化促進・バックオフィス業務削減を目的としており、RPAを含むデジタルツール導入にかかる経費の一部を助成する制度です。

助成率は対象経費の2分の1以内(小規模企業者は3分の2以内)で、助成限度額は最大で100万円となっています。

業種を問わず申請可能ですが、対象は東京都内の会社・個人事業主・中小企業団体であり、他県に登記がある場合は利用できない点に注意が必要です。

参考:令和6年度 中小企業デジタルツール導入促進支援事業|東京都中小企業振興公社

まとめ

RPAを導入することで、企業の定型業務を自動化し、業務の効率化や人的リソースをより重要な業務に割り当てられます。しかし、RPAの導入には、初期費用やランニングコスト、保守費用、人件費や研修費用などが発生するため、導入を躊躇する企業もあるでしょう。

コスト面を考慮してRPAを導入するなら、補助金の活用がおすすめです。RPAの導入に活用できる補助金として、「ものづくり補助金」「IT導入補助金」「小規模事業者持続化補助金」などがあります。

また、RPAツールがスモールスタートに対応しているかや無料トライアルの有無を確認することで、余計なコストの発生を抑えられます。本記事の内容を参考にRPAツールを導入して、業務の効率化を図りましょう。

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