RPAのシナリオの作り方|作成時のポイント・簡単に作る方法も解説

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  • RPAの導入・運用にはシナリオ作成が必要であり、シナリオには簡易型と開発型がある
  • RPAシナリオの作成には、目的の明確化・設計書の作成・実装・テストなどの手順がある
  • RPAシナリオを簡単に作るには、専門知識不要で容易に操作できる簡易型がおすすめ

RPAの導入・運用には、シナリオ作成が必要となります。しかし、作成の仕方がわからずRPAの導入を迷っている方も多いかもしれません。この記事では、RPAのシナリオの作り方や作成時のポイント、簡単に作る方法などを解説します。

目次

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  1. RPAのシナリオとは
  2. RPAのシナリオの種類
  3. RPAのシナリオの作り方
  4. RPAのシナリオ作成時のポイント
  5. 簡単にRPAのシナリオを作るには
  6. まとめ

RPAのシナリオとは

RPA(Robotic Process Automation)は、ソフトウェアロボットを使用してビジネスプロセスを自動化する技術です。これにより、人間が手動で行っていた繰り返し作業やルーチンタスクを効率的に実行でき、生産性や精度の向上、コストや労力削減などが実現できます。

RPAのシナリオとは、業務を自動化するための手順や筋書きのようなものです。具体的には、RPAツールによって実行される一連のアクションや操作を指し、ロボットにシナリオをプログラムすることで作業を学習させ、業務を自動的に実行させます。

本記事では、RPAのシナリオの種類、作り方や作成時のポイント、簡単に作る方法などについて、分かりやすく解説します。

RPAとは?メリットや向いている業務、ツールの選び方などを解説

RPAとは、定型業務をロボットを活用して自動化・効率化するシステムのことを言います。RPAを導入することで、業務処理の迅速化などに繋がりますが、対応が難しい業務もあるため注意が必要です。本記事では、RPAのメリット・デメリットや導入手順などを解説しています。

RPAのシナリオの種類

RPAのシナリオには簡易型と開発型の2種類があり、それぞれ目的や特徴、メリット・デメリットなどが違っています。ここからは、簡易型と開発型の詳細について解説します。

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RPAのシナリオの種類

  1. 簡易型
  2. 開発型

簡易型

簡易型はプログラミングの専門知識がなくてもシナリオが作成できます。パソコンの画面から操作をして、記録させることでシナリオの作成が可能です。通常の作業を指示することによって、再現性の高い業務のシナリオが簡単に作れます。

簡易型のメリットは、専門的なプログラミングスキルがなくても、比較的短期間でシナリオ作成ができる点です。また、プロセスが単純なので、人的エラーの可能性が低くなり、処理の正確性が向上し、開発コストも低減されます。

デメリットとしては、複雑なプロセスや変動が大きいプロセスには不向きな点です。また、変更が頻繁に発生するような業務には、柔軟に対応できない場合があります。さらに、大規模で複雑な処理のためには、スケーラビリティの点で制限があります。

開発型

開発型RPAは、より複雑な業務プロセスを自動化するために、専門的なプログラミングやスクリプト作成が必要となります。これには、特定のビジネスルールや条件に基づいて動作するカスタムスクリプトやアルゴリズムの開発が含まれます。

開発型RPAのメリットは、特定のビジネスニーズや要件に合わせて高度なカスタムスクリプトやプログラムを作成できる点です。また、新しい機能や要件に対応するためにシステムを拡張しやすく、柔軟性も高いです。

デメリットとしては、プログラミングやスクリプト作成のスキルが必要となる点です。また、より複雑なプロセスを自動化するためには、開発とテストに多くの時間がかかる場合があり、保守や更新がより複雑になる可能性があります。

RPAのシナリオの作り方

RPAは、ビジネスプロセスの自動化を可能にする強力なツールですが、効果的なRPAシナリオを作成するには、適切な計画と準備が必要です。ここでは、RPAのシナリオを作成する方法について解説します。

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目的を明確にする

RPAのシナリオを作成する際に、まずはどのような効果を求めているのか、導入の明確な目的を設定することが重要です。目的としては、コスト削減、生産性向上、エラーの削減、顧客満足度の向上などが挙げられ、ビジネスのニーズや課題に応じてさまざまです。

また、RPAの導入にかかるコストと期待される効果との間の投資対効果(ROI)の見積りも必要です。ROIを評価することで、導入のメリットや効果をより明確に把握することができます。

自動化すべきタスクやプロセスの優先順位付けや、導入の順番も決めます。RPA化する業務は、最も効果的な結果を期待できる領域から始めることが重要です。また、対象となる業務フローを理解し、含まれているタスクや手順の把握が必要です。

シナリオの設計書を作成する

RPAのシナリオを作成する際には、設計書を作成することが重要です。設計書は、プロセスの詳細や自動化の目的、実装方法などを記述するためのガイドとなります。設計書には、自動化するプロセスを詳細にマッピングします。

プロセスマッピングを基に、自動化の可否を判断します。自動化に適しているタスクや手順を特定し、その他のタスクについては、人手による処理が適切かどうかを検討します。次に、設計書の記述を行います。設計書には、以下の情報が含まれます。

  1. 自動化の目的と目標
  2. プロセスのマッピングとフロー
  3. 自動化するタスクや手順の詳細
  4. RPAツールやプラットフォームの選択理由
  5. 実装計画やスケジュール
  6. テストおよびデバッグ計画

設計書は、開発チームや関係者が共有し、自動化プロジェクトの方向性を明確にするための重要な文書です。これらのステップによって、RPAのシナリオを設計し、効果的に実装することができます。

設計書の内容をチェックする

設計書を作成した後には、チェックするステップを加えることが大事です。ここからは、主にチェックの対象となる、以下の項目について詳しく解説します。

不要な手順を含んでいないか

RPAの設計書を作成する際に、不要な手順が含まれていないかをチェックすることが大事です。不要な手順が含まれている場合、RPAの実装や運用において無駄なリソースを消費することになります。

RPAが自動化しようとしているプロセスを詳細に分析し、各手順が実際に目的を達成するのに必要かどうかを確認しましょう。不要な手順は、プロセスの効率を低下させることにも繋がります。

不要な手順を見つけた場合には、プロセスを最適化するための代替手法を検討します。これには、より効率的な手順や自動化の可能性がある新しいアプローチを考察し、対応することが必要です。

誰でも同じ作業が可能か

RPAの目的は、人間の手作業を自動化し、効率的かつ正確にタスクを実行することです。そのため、誰でも同じ手順でRPAを実行できるかどうかを確認することは重要なステップになります。

設計書に含まれる手順が明確で、具体的に記述されているかどうかを確認することも必要です。不明確な手順や抜け漏れがある場合には、誰でも同じ作業を実行することが困難になります。

設計書を読む場合に、誰でも理解できるかどうかチェックし、技術的な専門用語や業界用語が適切に説明されているかどうかを確認しましょう。また、記述されている手順が一貫していて、誰でもフォローができるように記述されているかのチェックも大事です。

イレギュラーな事態への対応ができるか

設計書をチェックする際に、イレギュラーな事態に対応ができているかを確認することが大事です。実際の業務では、予期せぬ状況や不測の事態が発生する可能性があり、そのような状況にも対応できるようにRPAシナリオを設計することが求められます。

RPAシナリオがエラーに遭遇した場合に、具体的に処理するステップの確認も必要です。エラー発生時に、適切なエラーメッセージ表示やログの作成、またエラー処理ステップへの分岐など、エラー処理が的確に記述されていることが大事です。

シナリオを実装する

RPAツールにシナリオを実装するステップは、簡易型と開発型があります。簡易型RPAの実装方法におけるシナリオの定義と設計では、実装するタスクやプロセスを特定し、その手順を定義します。また、RPAツールの機能を活用して、シナリオを設計します。

開発型RPAの実装ステップでのスクリプトの開発では、実装するタスクやプロセスに基づいて、カスタムスクリプトやプログラムを開発します。また、開発言語やツールを使用して必要な機能を実装します。

簡易型ツール内の録画を利用して、シナリオ通りに作業するとロボットが作業を自動的に学習・シナリオを実装
開発型RPAツール内の開発画面で、シナリオ通りにプログラミングして開発

正常に稼働するかテストする

RPAにシナリオが実装できた後には、ロボットがシナリオ通りに正常に稼働するかテストが必要です。RPAツール(開発型)におけるテストは、主に単体データテスト、結合テスト、本番データテスト、耐久テストの4つのステップに分けられます。

各ステップでのテストを通じて、システムの信頼性や効率性が確保されます。ここからは、以下の4つのステップのテストについて解説します。

単体データテスト

単体データテストは、RPAの開発において、個々のデータ要素やデータ処理の正確性を検証するテストです。このテストでは、特定のデータセットやデータ処理手順が正しく機能するかを確認します。

入力データが期待される形式や範囲内にあるかチェックし、データ処理が正常に行われるかを検証します。また、データが処理された後、期待される結果に一致しているかを確認します。例えば、計算が正しく行われ、期待される結果が生成されているかを検証します。

データの変換や加工が行われる場合、テキストから数字への変換や、日付のフォーマット変更などの操作が正しく実行されるかどうかをチェックします。

結合テスト

結合テストでは、複数のユニットや機能が相互に連携し、シナリオ通り正常に最初から最後まで動作するかを検証します。個々のユニットが単体テストで正常に動作することを確認した後、それらを組み合わせて全体のシステムを構築します。

異なるコンポーネントやモジュールがデータや制御情報の授受のためのインターフェースが正しく機能しているかを確認します。これには、データの受け渡しやプロセス間の通信などが含まれます。

また、システムが異常な状況やエラーに適切に対応し、正常に復旧できるかどうかを確認します。このテストでは、システムが適切なエラーメッセージやエラーログを生成し、必要に応じて適切なエラーハンドリングが行われるかを検証します。

本番データテスト

本番データテストでは、実際の業務で使用されるデータを使用します。これにより、システムが実際の業務シナリオ通りに適切に機能することや、実際の稼動環境でのパフォーマンスや処理能力が評価できます。

テストで使用する本番データは通常、機密性の高い情報を含んでいます。そのため、適切なセキュリティ対策を講じ、データの機密性やプライバシー保護などへの注意が必要です。

このテストは、RPAツールの機能性や安定性、パフォーマンスを評価するための重要なステップです。本番データを使用することで、システムが本番環境での負荷や処理量に耐えられるかどうかが確認できます。

耐久テスト

RPAツールが業務プロセスを継続的に実行する能力をテストします。通常は、数時間から数日にわたる長時間の実行が行われます。このテストにより、RPAツールが長期間安定して動作するかどうかが確認できます。

また、耐久テストでは、RPAツールに負荷をかけてシステムにストレスを与えます。これにより、ツールが高負荷の状況下でも効率的に動作し、リソースの適切な配分や管理が行われるかどうかが評価できます。

RPAツールの耐久テストは、特に業務プロセスが大規模なデータ処理や長時間の処理が必要な場合に不可欠です。このテストにより、RPAツールが長期間の運用に耐え、効率的な自動化と安定したサービスを提供できることが検証されます。

定期的なメンテナンスを実施する

RPAツールの実装後も定期的な監視とモニタリングを行い、RPAボットの動作やパフォーマンスを評価することが必要です。これには、処理の成功率、処理時間、エラーの発生などの指標が含まれます。問題が発生した場合は、早期に検知して対処することが求められます。

RPAツールのログを定期的に分析し、問題や処理の傾向の特定も必要です。ログから得られる情報を元に、システムの改善や調整を行います。また、運用上の問題やパターンを把握し、将来の問題を予防するための対策を立てましょう。

業務の変更や事業の拡大に伴い、RPAツールの処理量や負荷が限界に達することもあります。このような状況に対処するためにも、定期的なメンテナンス体制を整えることで、適切に対応することができます。

RPAのシナリオ作成時のポイント

RPAのシナリオを作成する際には、特定のポイントを考慮することが重要です。これらのポイントを把握することで、効率的なRPAプロセスを設計し、スムーズに稼働させることができます。

ここからは、RPAのシナリオ作成時のポイントとして、以下の項目について解説します。

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簡単な業務のシナリオ作成から始める

RPAのシナリオ作成時には、最初から大規模な自動化を目指すのではなく、簡単な業務のシナリオを作成し、スモールスタートすることがおすすめです。RPAツールに慣れるまでは、小規模な業務から始めることで、失敗した場合のリスクを最小限に抑えられます。

RPAを初めて導入する場合、シナリオ作成やツールの操作に関する学習と経験を積むことが重要です。スモールスタートを行うことで、段階的に成功体験を積み、スキルを磨くことができます。

また、小規模な業務から始めると、システムやプロセスのスケーラビリティを把握することができます。問題なく稼動したシステムから得た体験や知識を活かし、徐々にシステムの規模を拡大していくことができます。

ショートカットキーを活用する

RPAのシナリオ作成時には、ショートカットキーを使用することで、作業効率が向上し、タスクの作成や編集がよりスムーズに行えます。

シナリオ作成時には、テキストやデータのコピー&ペーストが頻繁に行われます。例えば、「Ctrl+C」を使用してコピーし、「Ctrl+ V」を使用して目的の場所に貼り付けることができます。これにより、マウスを使って選択してコピーする手間が省けます。

また、RPAツールでは、シナリオにアクションを追加したり、不要なアクションを削除したりすることが頻繁にあります。この場合には、「Ctrl+N」を使用して新しいアクションを追加し、「Delete」キーを使用して不要なアクションを削除することができます。

実行環境を整える

RPAのシナリオ作成時には、実行環境を整えて、RPAツールが既存のシステムと連携できるかどうかを検証することが大事です。社内の業務システム、データベース、Webアプリケーションなど、連携する必要があるシステムに、対応が可能かどうかを確認しましょう。

また、RPAツールが連携の対象となるシステムにアクセスする際には、セキュリティとアクセス権限の確認が必要です。適切なアクセス権を持ち、セキュリティポリシーに準拠している場合には、連携がスムーズに行われ、セキュリティリスクが最小限に抑えられます。

簡単にRPAのシナリオを作るには

シナリオの作成や実装が難しいと感じられる場合には、サポートが充実したRPAツールや、簡単に操作できるRPAツールを選ぶなどのポイントに注目するのがおすすめです。ここからは、簡単にRPAのシナリオを作るための項目について解説します。

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サポートが充実したRPAツールを選ぶ

RPAツールを選ぶ際には、サポートが充実しているベンダーのものを選択することが重要です。システムの障害や不具合が発生した場合、充実したサポートを行うベンダーは、専門家の支援を迅速に提供し、プロジェクトの停滞を最小限に抑えることができます。

RPAシステムにおいては、データのセキュリティとコンプライアンスへの適合が重要です。サポートが充実しているベンダーは、セキュリティ上のアドバイスを行い、リスクを最小限に抑え、規制要件を満たすための適切な支援を行います。

また、RPA技術は急速に進化しており、新しい機能や改善が追加されています。サポートが充実しているベンダーは、最新の機能や技術を提供し、顧客のニーズに応えることができます。

容易に操作できるRPAツールを選ぶ

RPAのシナリオを簡単に作成するためには、直感的に操作できるツールやプログラミングの知識が不要な簡易型のRPAツールがおすすめです。

直感的な操作ができるRPAツールは、ユーザーが簡単にシナリオを作成できるように設計されています。複雑なコーディングやプログラミングが不要なため、ユーザーはドラッグ&ドロップやクリック操作など、視覚的な手法でタスクや処理の自動化を行うことができます。

また、簡易型のRPAツールは、ビジュアルなインターフェースを使用してシナリオを構築し、業務プロセスの自動化を実現することができます。そのため、専門的な知識やスキルを持たないユーザーでも素早く自動化を実現することができます。

外注も検討する

複雑な業務をRPAで自動化させる場合には、外注を検討することもおすすめです。RPAの専門家や外部のコンサルタントに業務の自動化を外注することで、彼らの専門知識と豊富な経験を活用し、効率的にRPAによる自動化を推進できます。

RPAの実装や管理にかかる負荷を外部に委託することで、自社で専門的なスキルを持つ従業員を雇う必要がなくなります。これにより、労働コストやトレーニングコストなどが低減できます。

外部の専門家やコンサルタントに複雑な業務のRPA自動化を依頼することで、専門知識の活用、迅速な実装、リスクの軽減、コストの最適化、従業員の重点業務への集中など、多くの利点を得ることができます。

まとめ

RPAのシナリオは、自動化される業務プロセスを具体的に定義したものです。シナリオは、タスクや手順の流れを記述し、RPAツールがそれを実行するためのガイドとなります。シナリオの作成には、簡易型や開発型などの方法があります。

シナリオを作成した後には、システム環境で実行して稼動状況をテストして、必要に応じて修正や調整を行い、またテストを繰り返します。テスト完了後は、本番環境にシナリオを展開して運用を開始します。

RPAのシナリオの作り方には、いくつかの方法やアプローチがあります。自社のニーズに合った方法を選択して、効率的なRPAによる業務自動化を推進しましょう。

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