業務自動化におけるRPAとPythonの違い|活用例・メリットも解説
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- RPAは業務自動化のツールであり、Pythonはプログラミング言語の1つである
- プログラミング言語の知識があると、RPAのコード記載や不具合対応がスムーズになる
- RPAには、Python以外でもGASやC#といったプログラミング言語が活用できる
RPAとPythonはどちらも業務自動化に役立つものですが、RPAは自動化のツールを指し、Pythonはプログラミング言語の1つを指します。この記事ではRPAとPythonの違いを解説し、RPAに活用できるPython以外のプログラミング言語も紹介します。
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業務自動化におけるRPAとPythonの違いとは
業務自動化におけるRPAとPythonの違いは、RPAはツールであり、Pythonはプログラミング言語であることです。
RPAは事前に設定されたルールに従って、人間が通常行う作業を自動化するソフトウェアツールです。主にユーザーインターフェースを通じて業務プロセスの自動化に特化したツールであり、比較的技術的な知識が不要です。
一方、Pythonは汎用プログラミング言語の1つであり、ソフトウェア開発やデータ分析、科学計算など幅広い用途に使用されます。また、Pythonはより柔軟で高度な業務自動化が可能であり、プログラミングの知識やスキルが必要です。
本記事ではRPAとPythonの違いを解説し、RPAにおけるプログラミングスキルの有用性、RPAに活用できるPython以外のプログラミング言語などを紹介します。
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RPAとは
RPA(Robotic Process Automation)とは、ロボットを使用して人間が行うルーチンワークや繰り返し作業を自動化する技術です。RPAは、GUI(Graphical User Interface)を通じてアプリやシステムにアクセスし、画面操作やキーボード操作などを自動化します。
RPAの導入にはライセンス料が必要になり、導入コストがかかる場合があります。ただし、RPAツールは一般的に使用しやすく、専門的な知識やプログラミングのスキルがなくても比較的短時間で導入できる特徴があります。
RPAは、さまざまな業種や部門で利用されており、業務の効率化や生産性向上、人的ミスの削減などの効果が期待されています。例えば、データ入力、ファイルの移動や変換、データの抽出や処理など、多岐にわたる業務プロセスを自動化できます。
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RPAとは、定型業務をロボットを活用して自動化・効率化するシステムのことを言います。RPAを導入することで、業務処理の迅速化などに繋がりますが、対応が難しい業務もあるため注意が必要です。本記事では、RPAのメリット・デメリットや導入手順などを解説しています。
Pythonとは
Pythonは、汎用のプログラミング言語です。シンプルで読みやすい構文を持ち、豊富な標準ライブラリやサードパーティのライブラリが提供されています。そのため、Web開発やデータ分析、機械学習、科学計算など、さまざまな分野で広く活用されています。
Pythonには、業務自動化に活用する場合に利用できるさまざまなライブラリやツールが用意されています。その中のライブラリ「PyAutoGUI」は、マウスやキーボードを容易に制御できる機能があり、GUIベースのアプリケーションの自動化に利用できます。
このように、Pythonにはさまざまな機能が搭載され、多くのライブラリが用意されています。そのため、使いやすく、多岐にわたる分野で活用されています。以下に、いくつかの活用例を紹介します。
Office系ソフトの操作
Pythonを使用してWordやExcel、パワーポイントなどのOffice系ソフトウェアの操作を自動化することが可能です。これによって、さまざまなタスクが効率化され、作業時間を短縮することができます。
例えば、Pythonのライブラリを使用して、Excelのデータを基にパワーポイントのグラフや表への転記や、Excelのセルの値に応じて、背景色やフォントの色などの書式を変更することができます。
また、Wordに複数の画像をまとめて挿入することもできるので、手作業による負荷を減らすことができます。さらに、複数のWord文書を結合したり、一つの文書を複数のファイルに分割したりすることも可能です。
メールの操作
Pythonのライブラリを使用して、プログラムからメールを送信できます。例えば、この機能を活用して、顧客のメールリストを基に複数の宛先に一括して、メールマガジンなどの情報を送信するケースに役立ちます。
また、Pythonを使用して、メールサーバーからメールを受信し、その内容を解析してExcelの表に転記することができます。メールで受信した注文情報をExcelの顧客別受注表などに自動的に転記して、記録する場合などに役立ちます。
ブラウザの操作
Pythonを使用して、Google ChromeやSafariなどのインターネットブラウザを操作することで、さまざまなタスクの自動化が可能です。例えば、複数のWebサイトのタブを開いて、データの取得や画面の監視ができます。
また、指定した期間のWebページからデータをダウンロードすることもできます。この処理では、該当する期間のURLを生成し、それらのURLにアクセスしてデータをダウンロードします。
さらに、Webページのスクリーンショットを撮影できるので、Webサイトの画面イメージを監視したり、UIテストの結果を保存したりする際に役立ちます。これらの自動化により、キーボード操作が不要になるので、業務の効率化にも繋がります。
Botによるアラーム通知
Pythonを使用して、Botによるアラーム通知をすることもできます。Botは「Robot」の短縮形で、ロボットと同じように自動的な動作を行うプログラムやソフトウェアを指します。アラーム通知は、特定の時間や条件が満たされた時に、ユーザーに通知を送る機能です。
具体的には、Pythonの「time」ライブラリを利用して、指定した時間にアラームを鳴らす処理が簡単に作成できます。alarm関数にアラームの時刻を指定し、その時刻になるまでループして待機し、指定した時刻になるとwinsoundを使用してアラーム音を鳴らします。
また、Pythonのメールライブラリを使用して、ChatworkやSlackなどのコミュニケーションツールと連携し、メールの受信や会議時間を知らせるBotのアラーム通知を作成できます。例えば、Gmailの場合、IMAPを使用してメールを受信することができます。
Webスクレイピング
Webスクレイピング(sacraping)とは、WebページのHTMLやXMLなどの構造化されたテキストデータを解析し、必要な情報を収集する機能のことです。Pythonを使用したWebスクレイピングの例は、さまざまなケースで活用されています。
例えば、Pythonを使用してニュースサイトから最新のニュース記事の収集ができます。具体的には、Beautiful SoupやRequestsライブラリを使用して、特定のサイトから記事のタイトルや本文を抽出し、自動的にデータベースに保存して、情報を蓄積します。
また、オンラインショップから商品情報を収集することも可能です。ショッピングサイトから製品の価格や在庫状況、顧客のレビューなどを収集することで、競合分析や市場調査などに活用できます。
RPAにおけるプログラミングスキルの有用性
RPAを使用する際には、Pythonなどのプログラミングスキルは不要です。しかし、知識があれば、コードの記載がスムーズにできたり、不具合に対応しやすかったりなどのメリットがあります。ここからは、RPAにおけるプログラミングスキルの有用性について解説します。
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RPAにおけるプログラミングスキルの有用性
コードの記載がスムーズにできる
RPAを使用する場合にプログラミングスキルがあると、RPAプロセスにおける複雑な処理や条件分岐、ループなどのコードをスムーズに組み込むことができます。これにより、多岐にわたる業務プロセスの処理コードを作成する場合に、柔軟に対応しやすくなります。
また、RPAプロセスが他のシステムやデータソースと連携する際に必要なコードを容易に作成できます。具体的には、APIを利用したデータの送受信や、データベースとのやり取りなど、多様な外部システムとの連携がスムーズに行えます。
既存のRPAツールでは提供されていない独自の機能や、拡張機能を新たに作成して追加することも可能です。自社のニーズに合わせてカスタムスクリプトやプラグインを開発し、それをRPAプロセスに組み込めます。
不具合に対応しやすい
RPAを使用する際にプログラミングスキルがあれば、RPAプロセスにエラーや不具合が発生した場合でも、エラーメッセージの解釈やログの分析、修正など、問題解決に必要な対応がしやすくなります。そのため、効果的にデバッグやトラブルシューティングが行えます。
また、エラー処理などを適切に組むことができます。例えば、不具合や問題をキャッチし、適切なエラーメッセージや内容をログに出力できます。これにより、RPAプロセスがエラーに遭遇した際も正確な原因を特定して、適切な対策を講じられるでしょう。
さらに、デバッグ技術を効果的に活用できます。変数の値を出力したり、ステップごとに処理の流れを確認したりすることで、プログラムの実行状況が正確に把握でき、問題の特定にも役立ちます。
自由度の高いRPAツールを自作できる
プログラミングスキルを持つことで、プログラミングの基本的な概念やアルゴリズムを活用して、より高度な自動化プロセスの構築が可能です。例えば、RPAプロセスに複雑な処理の組み込みや自由度の高いRPAツールなどを自作できます。
また、RPAのプロセスに、処理効率の高い洗練されたコードを記述できます。見本となるコーディングやデザインパターンを活用し、他の人が見ても読みやすく保守性が高い効率的なコードの作成が可能です。
その他にもRPAツールは、VBAやOSSの組み合わせによって自作することも可能です。以下では、この2つについて詳しく解説します。
RPAツールの自作方法|VBA
VBAとは、マイクロソフト社が提供するExcelやWordなどのOfficeソフトのマクロを作るためのプログラミング言語です。マクロとは自動化機能のことであり、一連の作業手順を覚えさせることで、ボタン一つでデータの集計や分類などを自動化できます。
VBAを用いてRPAツールを作成するには、プログラミング言語の知識を習得する必要があります。また、VBAによる自動化は、Officeソフトのみに限られるため、RPAツールの導入と比較して対応範囲が限られる点に注意しましょう。
RPAツールの自作方法|OSS
OSS(オープンソースソフトウェア)とは、インターネット上で無償で公開されているソースコードのことです。OSSは誰でも自由に編集することができるため、自分や自社のニーズに合わせてOSSを組み合わせて、RPAツールを自作できます。
ただし、基本的にOSSは日本語に対応しておらず、サポート体制も受けられないことが一般的であるため、専門知識やスキルが必要になります。
また、OSSを利用する際はライセンスに準拠することが重要です。ライセンスの内容をしっかり理解しないまま利用すると、損害賠償の請求や法的問題に発展するリスクもあるため留意しましょう。
RPAに活用できるPython以外のプログラミング言語
RPAに活用できるプログラミング言語は、Python以外にもGASやC#、VBScriptなどいくつかの言語があります。ここからは、RPAに活用できる以下のプログラミング言語について、解説します。
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GAS
GAS(Google Apps Script)は、Googleが提供するクラウドベースの無料のスクリプト言語です。主にGoogleのサービスであるGmail、Google Sheets、Google Driveなどと連携して、自動化やカスタマイズを行うために使用されます。
GASはJavaScriptをベースにしており、シンプルで理解しやすい文法が特徴です。JavaScriptの基本的な構文や機能を理解していれば、比較的容易にGASを活用できます。
また、GASはクラウドベースで動作するため、特別な開発環境やプログラムのインストールが不要です。そのため、ブラウザ上でスクリプトを作成し、時間や場所を選ばず柔軟な環境下で作業が実行できます。
C#
C#は強力なオブジェクト指向言語であり、クラスやオブジェクト指向の機能を豊富にサポートしています。これにより、大規模なソフトウェアやシステムの開発に適しており、RPAの実装にも柔軟に対応できます。
また、C#はMicrosoftの.NET Frameworkと密接に統合されています。.NET Frameworkには豊富なライブラリや機能が含まれており、これらを活用することで、RPAプロセスの実装や外部システムとの連携が容易になります。
RPAプロセスの作成において、C#は非常に有効な言語です。強力なオブジェクト指向性、豊富なライブラリやコミュニティサポート、高速な実行スピードなどが自動化タスクの効率的な実行と柔軟な実装をサポートします。
VBScript
VBScript(Visual Basic Scripting Edition)は、Microsoftが開発したスクリプト言語であり、特にWindows環境で広く使用されています。Visual Basic言語をベースにしており、シンプルでわかりやすい文法が特徴で、初心者でも比較的簡単に使用ができます。
使用例としては、Windowsのファイル操作、システム設定の変更、ネットワークの管理、ウェブページの操作などがあり、多方面で活用されています。VBScriptはHTML内でJavaScriptとして埋め込まれ、Webページの動的な操作などの処理にも利用されています。
また、Windows環境でのシステム管理や自動化に向いており、シンプルなタスクから複雑な処理まで幅広く対応できます。そのため、RPAやシステム管理の自動化など、Windowsベースのタスクを効率的に処理するために広く利用されています。
VB.NET
VB.NETはオブジェクト指向プログラミングをサポートしており、クラスやオブジェクト指向の機能を活用して、コードの再利用性や保守性を向上できます。そのため、大規模なアプリケーションの開発に向いており、メンテナンスも容易です。
また、NETフレームワークの一部であり、豊富なライブラリや機能を利用できます。これにより、データベースアクセスやネットワーク通信、セキュリティなど、さまざまなタスクを効率的に実装することが可能です。
Visual Basic言語の伝統を受け継ぎ、直感的で分かりやすい文法となっており、初心者でも使いやすい点が特徴です。VB.NETは、Windowsアプリケーションの開発において優れた言語であり、RPAの自動化プロセスの開発にも活用できます。
まとめ
RPAは、ビジネスプロセスを自動化するための技術であり、Pythonはプログラミング言語としてその実装に幅広く活用されています。Pythonは、直感的な文法と豊富なライブラリで知られ、RPAプロジェクトでさまざまなタスクを効率的に処理できます。
Pythonを使用することで、外部システムとの連携やカスタム機能の実装が容易になるため、RPAプロセスの拡張性と柔軟性が向上し、ビジネスの効率化に貢献します。
RPAの需要の増加により、Pythonを活用したRPAの実装はますます増えています。RPAによって自社における業務の自動化を図るには、Pythonなどのプログラミング言語を利用することで、効率的で高品質な自動化処理を実現できます。
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