エスカレーションとは?意味や重要性、マネジメントのポイントも解説

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  • エスカレーションとは、何らかのインシデントが起きた際に責任者に対応を仰ぐこと
  • 適切なエスカレーションマネジメントには、エスカレーションフローの明確化が必要
  • ヘルプデスクにおいては、担当者が対応できない問題を専門部署へ転送することを指す

エスカレーションとは、何らかのインシデントが起きた際に責任者に対応を仰ぐことを指します。この記事では、エスカレーションを行う際の注意点やエスカレーションマネジメントのポイント、またヘルプデスク業務における重要性などについて解説します。

目次

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  1. エスカレーションとは
  2. エスカレーションが必要なケース
  3. エスカレーションの重要性
  4. エスカレーションマネジメントのポイント
  5. エスカレーションを行う際の注意点
  6. ヘルプデスク業務におけるエスカレーションとは
  7. ヘルプデスクでもエスカレーションマネジメントは重要
  8. まとめ

エスカレーションとは

エスカレーション(escalation)は、英語では拡大・上昇・激化などを意味する名詞です。しかし、ビジネスシーンでは、自分の知識や能力・権限では対応できないインシデントが発生した際に、上司の指示を仰いだり対応を任せたりすることを指します。

たとえば、顧客からのクレームで責任者の対応を求められた場合に、エスカレーションして上司に対応を任せる、といったケースが考えられます。また、1回のエスカレーションで解決できない場合は、さらに上の上司へのエスカレーションを行うこともあります

エスカレーションが必要なケース

ビジネスにおいてエスカレーションが必要になるのは、トラブルに発展しそうなインシデントが発生した場合や、自分の持っているスキルや権限では解決できない事案が発生した場合です。専門的知識が必要な対応や、権限のない値引き交渉などが含まれます。

このような事案に対して、エスカレーションを行わずに自分で解決しようとすると、問題がより拡大し、企業の信用を傷つけたり、社会的な問題に発展したりする恐れもあります。エスカレーションは、このような重大なアクシデントに発展させないために大変重要です。

エスカレーションが発生しやすい業種

エスカレーションは、上述のように上位者の判断や指示が必要な場合に行うもので、主に以下のような業種で頻繁に発生します。

  1. コールセンター
  2. 店舗での接客業
  3. 営業

コールセンターは、エスカレーションが最も発生しやすい業種の1つです。特に企業から委託されているコールセンターでは、問い合わせの一次対応のみを行っているケースも多く、クレームや専門知識を要する問題に関しては基本的にエスカレーションされます。

また、ホテルや飲食店などの接客業や、商談を行う営業でも、顧客からの交渉や要望を受けることが多いため、エスカレーションが頻繁に発生します。

エスカレーションの重要性

エスカレーションは主に、迅速な問題解決と組織の成長を目的に行われます。ここでは、エスカレーションの重要性を、この2点に絞って解説します。

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迅速に問題を解決するため

企業におけるインシデントは、発生から時間が経過するにしたがって問題が悪化していく傾向にあります。そのため、適切なタイミングでエスカレーションを実施し、迅速に問題を解決することが、企業を守ることにつながります

企業にとって、顧客とのより良い関係性の持続は大変重要です。しかし、何らかのインシデントで顧客との関係が悪化すると、顧客離れの原因になります。そうなる前に、上司などの手を借りてスムーズな問題解決をし、顧客との関係性を保つのがエスカレーションです

組織の成長を促すため

ビジネスを円滑に進めるには、組織の連携は欠かせません。その点、エスカレーションの実施には、企業内で情報の共有と部署間でのコミュニケーションが必須なため、組織全体が活性化され、組織の成長につなげられます。

また、エスカレーションにより企業の問題や課題が発見され、組織改善のヒントとなる場合も多いです。このように、エスカレーションによって得られたことをフィードバックすることでも、組織の成長が促進されます。

エスカレーションマネジメントのポイント

エスカレーションマネジメントとは、企業の中でスムーズにエスカレーションが行われるような仕組みを構築し管理することです。ここでは、エスカレーションマネジメントを行う際のポイントを解説します。

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エスカレーションフローを明確にしておく

適切なエスカレーションマネジメントを行うには、どのようなトラブルが起こったら、どのようなフローでエスカレーションを行うかを明確にしておく必要があります。その際のフローは、トラブルの種類やその重要度によっても異なります。

エスカレーションフローでは、 「エスカレーションが必要なインシデントを決める」「エスカレーションのルートを決める」「ナレッジを共有できる仕組みをつくる」 の3点が特に重要になります。ここでは、この3点について詳しく解説します。

1. エスカレーションが必要なインシデントを決める

インシデントが発生しても、従業員によって重要度の捉え方が異なる場合があります。このような状態は、エスカレーションマネジメントを行う上で好ましくありません。従業員がエスカレーションを要求した時点で既に重大事になっている場合もあります

スムーズなエスカレーションを行うためには、どのようなインシデントにおいてエスカレーションが必要かを定めることが大切です。これにより、どの従業員でも同じタイミングでエスカレーションが行えるようになります。

2. エスカレーションのルートを決める

エスカレーションは、どのようなルートで行うのかも決めておくことが重要です。ルートが不明確だと、余分な手間や時間がかかり、対応が遅れる原因になります。インシデントの緊急度や重要度・内容で、どの上司に報告するかを設定しておきましょう。

その際、対応者が不在の場合を想定することも重要です。報告先とともに、エスカレーションの連絡方法も明確にします。連絡方法には電話・メール・メッセージなどがありますが、各企業の実態に応じて素早く確実に伝達できる方法を選択します。

また、報告タイミングも決めておきましょう。急ぎであれば分単位での連絡が必要です。報告タイミングの決定は、担当上司が不在の場合に代行者に連絡するか、担当上司が対応できるようになるまで待つかの判断にも必要になります。

3. ナレッジを共有できる仕組みをつくる

行ったエスカレーションの過程をナレッジとして蓄積し、組織内で共有できる仕組みを整えることは、今後のエスカレーションにとって大変重要です。エスカレーションナレッジの共有で、同様のインシデントが発生した際には、より精度の高い対応が可能になります。

また、問題や課題の解決後には、なぜエスカレーションが必要な状況に陥ったのかなどの原因の追及も大切です。企業や商品・サービスの課題が潜んでいることも多く、課題を共有して企業の体質改善や商品やサービスの向上につなげていく必要があります。

報告者に責任を追求しない

エスカレーションマネジメントでは、従業員が委縮することなくエスカレーションを実施できる環境作りも重要です。そのためには、上司が報告者の責任を追求しないことをルール化し、従業員に安心感を持たせる必要があります。

一般従業員が上司へインシデントを報告する際には、少なからず評価に響かないか、後から叱られないかなどの不安を持っています。ルールにしたがって行われたエスカレーションは、評価されるべきものであり、決して非難されるべきことではありません。

ルールの中に「エスカレーション報告者の責任は問わない」ことを明記するとともに、万が一責任を問われた場合の従業員の対処法も明記しておくのがおすすめです。

ルールを周知・更新する

エスカレーションのルールは、部署ごとでなく企業内のすべての部署に適用され、正しく運用されなくてはなりません。企業内の全従業員にエスカレーションを行う意義を理解させ、ルールの周知徹底を行いましょう

そのためにも、いつでもどこでもルールの確認ができるようにしておかなければなりません。また、ルールは一度定めたら終了ではなく、過去のエスカレーション事例を評価し、より適切でスムーズなエスカレーションの実施を目指して更新していくことが大切です。

エスカレーションを行う際の注意点

エスカレーションが上手くいかない場合のパターンとして、エスカレーションのタイミングが間違っていたり、インシデントの内容が正確に伝わっていなかったりする場合があります。ここでは、この2つのパターンで注意すべきことを解説します。

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適切なタイミングで行う

エスカレーションを行うタイミングは、早すぎても遅すぎてもいけません。早すぎるエスカレーションは、上司が些細な問題に時間を取られてしまう原因となります。逆に、遅すぎると問題が複雑化し、問題解決までに時間を要してしまう恐れがあります。

そのため、適切なタイミングでエスカレーションを行うことが大切です。ルールの中でエスカレーションを行うタイミングを例示するなどして、誰もが同じタイミングで行えるように対策しましょう。

明確に詳細を伝える

エスカレーションの報告では、インシデントの内容を明確かつ詳細に上司に伝える必要があります。上司が誤った内容の把握で対応すると、相手に同じ説明をさせることになり、悪い印象を与えてしまいます。その結果、問題が複雑化してしまうことも少なくありません。

そのため、「いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように」の5W1Hを含め、問題の内容や発生状況などを明確に伝達する必要があります。報告事項に漏れがないようにするために、報告のテンプレートを用意しておくのがおすすめです。

報告・指示後の進捗確認も行う

エスカレーションによって部下から報告があり、上司が指示を出したあとは、進捗を必ず確認しましょう。部下が指示通りに動いているか、その結果どうなったかを把握し、状況によっては追加で指示を出します。

進捗確認を行わないと、部下の自己判断で問題をより複雑化させたり長期化させたりするリスクもあります。また、進捗報告を確実に行ってもらうためには、報告の頻度や方法も決めておくと良いでしょう。

ヘルプデスク業務におけるエスカレーションとは

ヘルプデスクとは、顧客や従業員からの問い合わせに対応する業務です。問い合わせは、自社の製品やサービスに関連することから、各種の手続きの方法まで幅広く、高度な知識とともにコミュニケーション能力が求められます。

ヘルプデスクへの問い合わせには、製品やサービスのトラブルに関するものまであり、常にインシデント発生の危険と直面しています。そのため、担当者のストレスは大きく、担当者の離職率が高くなる原因となっています。

担当者のストレス軽減を図るためには、適切で速やかなエスカレーションの実施が必要です。ヘルプデスクでは、上司だけでなく専門部署へのエスカレーションも含まれ、関係部署との協力は欠かせません

ヘルプデスクとは?仕事内容・必要なスキル・役立つ資格も解説

ヘルプデスクとは、システムや情報機器などに関するユーザーからの問い合わせに対応する仕事です。IT関連のサポートやユーザーエクスペリエンス向上といった役割を担っています。この記事では、ヘルプデスクの仕事内容・必要なスキル・担当するメリットなどについて解説します。

ヘルプデスクでもエスカレーションマネジメントは重要

問い合わせ窓口が一本化されているヘルプデスクは、従業員や顧客にとって使い勝手の良い窓口です。しかし、担当者の業務範囲は広いため、すべての業務に対して精通することは困難です。

そのため、上司以外にも部門間を横断するエスカレーションマネジメントが重要です。他部署の協力が得られるよう、エスカレーションフローの明確化やルール設定を行いましょう。

ヘルプデスクでのエスカレーションは、企業のリスクマネジメントとして重要な業務であり、企業の損失を最小限に抑えます。

まとめ

エスカレーションとは、何らかのインシデントが起きた際に責任者に対応を仰ぐことを指します。エスカレーションをスムーズに行える仕組みづくりは、発生したインシデントの複雑化を防ぎ、スムーズに解決するリスクマネジメントにつながります。

適切なエスカレーションを行うには、エスカレーションフローの明確化やルールの設定などを行うエスカレーションマネジメントが不可欠です。特にヘルプデスクでのエスカレーションは重要で、責任者だけでなく専門部署へのエスカレーションも行われます。

企業を守り、顧客との良好な関係を維持するためにも、エスカレーションマネジメントに取り組み、安定した業務運営を目指しましょう。

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