交通費精算とは?やり方や交通費精算書の書き方の注意点を解説

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  • 交通費精算とは、営業活動の際に従業員が立て替えた移動費を会社が精算することである
  • 交通費精算書を書く際は、通勤定期区間を含まず、税率を正しく計算するよう注意する
  • 交通費精算を効率化するには、交通費精算のルール策定や経費精算システムを活用する

交通費精算とは、営業活動や出張の際に従業員が立て替えた移動費を会社が精算することを言います。本記事では、交通費精算の申請から精算までの流れや、交通費精算書を書く際の注意点、交通費精算業務を効率化するためのポイントを解説しています。

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経費精算システムは、経費申請・承認業務を効率化してくれるツールです。しかし、さまざまな製品があるため、どのシステムを選べばよいのかわからないというケースも多いでしょう。この記事では、経費精算システム選びのポイントやおすすめのシステムを紹介します。

目次

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  1. 交通費精算とは
  2. 交通費精算の申請から精算までの流れ
  3. 交通費精算書の書き方の注意点
  4. 交通費精算ルールの重要性を再確認
  5. 交通費精算を効率化するやり方
  6. 経費精算システム導入で電子帳簿保存法への対応がより柔軟に
  7. まとめ

交通費精算とは

交通費精算とは、従業員が立て替えて支払った交通費を会社が清算し、従業員に払い戻すことを言います。交通費は非課税の対象で、税務調査の対象になりますので、正確な申請と記録保持の必要があります。

一般的に交通費と呼ばれる費用でも、経理上ではいくつかの勘定科目に分かれ、会社によっては通勤手当も含めて交通費精算と呼ぶ場合もあります。ここでは、交通費と旅費交通費・通勤費の違いについて解説します。

交通費と通勤費の違い

通勤費は従業員の自宅と職場を往復するための交通費で給与に当たり、通勤方法や経路に変更がなければ申請の必要はありません。一方交通費は、営業活動を行うための移動費で、会社のルールに従ってその都度申請が必要で、立て替えた全額が返金されます。

ただし、交通費はすべて非課税ですが、通勤費は月15万円を超えると所得税の課税対象になるので、注意が必要です。会社は従業員の通勤費を負担しなくてはならないとする規定はありません。支給の有無や金額は会社の規程に定められているのが一般的です。

交通費と旅費交通費の違い

交通費とは、勤務地周辺の客先などへ向かうための交通費のことを言い、駐車料金なども含まれます。交通費の場合、領収書が取れない公共交通機関を使うことも多く、目的地までの経路や金額のメモを取っておくと申請時に便利です。

一方、旅費交通費は勤務地以外の遠方や海外への出張などにかかる経費のことを言い、交通費・宿泊費・日当なども含まれます。また、旅費交通費は高額になる場合が多いので、事前に申請し、出かける前に仮払金を支給する制度のある会社もあります。

また、日帰り出張か宿泊出張かの判断、宿泊代や食事代の上限、飛行機や新幹線・特急の利及び用などは会社のルールで決められていて、すべての費用が全額戻るとは限りません

会計処理の面では、交通費と旅費交通費を分けずに一括して旅費交通費で会計処理・精算を行う会社と、それぞれを分けて会計処理・精算を行う会社があります。

領収書なしでも交通費の精算は可能

交通費は税額控除のために、領収証の保管が必要です。しかし、領収書が発行されない公共交通機関もあります。そのような場合に備えて、消費税法の特例として、税込み3万円未満であれば領収書の保存がなくても、税額控除が受けられます

しかし、2023年10月から導入されるインボイス制度では、税込み3万円未満の仕入れでも領収書の保存が必要になります。 ただし、請求書や領収書の発行がされない場合の特例は継続されるので、制度に登録する会社でも問題ありません。

また、領収書のない交通費には、消費税法で指定される帳簿を整備しなくてはなりません。インボイス制度導入後も、できる限り領収書を発行しておくと安心です。

参考:国税庁「No.6496 仕入税額控除をするための帳簿及び請求書等の保存」

交通費は小口精算より振込がおすすめ

小口精算は、従業員が立て替えた経費の支払いを、領収書と引き換えに現金で精算する方法です。手元に現金の用意があるので、現金が急に必要になった場合でもすぐに対応でき、経費の立て替えが頻繁な従業員の経済的負担軽減などのメリットがあります。

しかし、担当者は精算のためのチェックと帳簿への記録をその都度行う必要があります。また、1日の終わりには帳簿と現金残高を確認し、一致しなければその原因を突き止めなければなりません。これらは担当者にとって大きな手間やストレスになります

その点、現金を扱わない振込での精算は、担当者の負担を大きく軽減できます。振込にすることで担当者は落ち着いて経費精算ができ、精算ミスの減少にもつながります。小口精算を振込に変更する場合は従業員に対する丁寧な説明が必要です。

交通費精算の申請から精算までの流れ

ここでは、一般的な交通費精算の流れを紹介します。自社の交通費精算フロー見直しの参考にしてください。

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交通費精算書を作成

交通費精算は交通費を立て替えた人の自己申請が基本です。申請には交通費精算書を正しく記入する必要があります。記入事項の代表的なものとして次のようなものがあります。

  1. 立て替え者の氏名
  2. 利用年月日(領収証との一致を確認)
  3. 訪問先
  4. 目的(勘定科目の仕分けに必要なので正確に)
  5. 利用交通機関
  6. 経路(アプリを利用すると便利)
  7. 運賃

交通費精算のルールは各会社で異なっています。自社のルールを確認し、間違いのない申請が必要です。

上司や承認者に承認を得る

交通費精算書の提出は会社のルールに従って行いますが、多くの場合はまず上司や承認者に提出します。部下の行動を具体的に把握している上司のチェックは、不正申請を防ぐために大変重要です。

特に上司チェックでは年月日・訪問先・目的に間違いないか確認し、正しければ押印、間違いや記入漏れがあれば本人に訂正させ、できる限り正確な精算書にします。

経理に提出・承認を得る

上司や承認者から承認されれば精算書は経理に回り、再度チェックします。経理では経路の正当性などの確認が必要です。目的があいまいなものは勘定科目の仕分けができません。上司と経理のダブルチェックは不正の防止にもつながる重要なフローです。

経理のチェックで訂正事項が見つかれば、本人に差し戻し訂正させます。場合によっては従業員に対する指導も必要です。精算書が正しければ経理担当者は、会社のルールに従って精算金を支払うための準備を始めます。

精算金を受け取る

会社のルールに従って交通費の支払いが行われます。小口精算の場合は経理担当者からの現金受け取りです。振込の場合は、精算金を合算し、翌月の給与にあわせて支払われる場合が多いですが、会社によっては、3カ月分をまとめて振込する場合もあります。

小口精算であっても振込精算であっても、本人の領収印が必要で、忘れると後々のトラブルの原因になるので注意が必要です。

交通費精算書の書き方の注意点

従業員が交通費精算の申請を行うには、交通費精算書の提出が必要です。しかし、交通費に精通している従業員は少なく、従業員に対して会社のルールを周知徹底しておくことが重要です。ここでは、周知すべき交通費精算書の書き方について解説します。

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行き先・目的を記録しておく

交通費は全額非課税の対象です。そのため、税務調査の際に、節税目的の不正な水増し交通費かどうかのチェックが入ります。税務調査の際に不審な交通費と判断されないよう、交通費には行き先や目的の記録は必須です。

特に領収書が取得できない場合は行き先や目的のほかに、日時・経路・金額の記録が必要です。これらの記録は、従業員の不正請求のチェックにもつながります。業務によっては行き先や目的が複数になる場合もあります。

通勤定期区間を含まない

通勤手当として電車やバスの定期券代が支給されている場合は、通勤以外の外出の場合であっても、定期券区間は交通費がかかっていないので経費の請求はできません。通勤定期区間を含めた経費の請求は二重請求であり、担当者は通勤経路との照合確認が必要です。

経費精算システムの中には、通勤データと連携し、自動的に重複区間を検出する機能を持ったものがあります。

最安のルートで申請する

多くの会社では交通費申請は最安ルートで行うように定められています。その場合、最安でない最速ルートを利用した場合の差額は自己負担になります。担当者はアプリなどを使って申請されたルートが最安であるかの確認が必要です。

しかし、目的地が遠距離の場合は、新幹線や特急の利用・宿泊が認められる場合もあります。それらを含めて交通費取り扱いのルールが会社ごとに決められています。従業員にルールを周知徹底することが、申請時のトラブル防止につながります

税率を正しく計算する

どのような交通手段であっても、その運賃は10%の消費税込みの金額になっています。したがって、交通費精算書の金額記入の際に、さらに消費税を加えて計上してはいけません。「運賃=交通費」です。

中には、価格と消費税を別に記入する書式の精算書があります。その場合は「運賃÷1.1(A)」を価格欄へ、「運賃-A」を消費税欄に記入します。

勘定科目は適切か

正しい勘定科目での申請は、適切な納税額の把握や、経営の判断・外部への経営状況の開示などに影響する大変重要な事項です。勘定科目は行先ではなく出かけた目的によって異なり、宣伝広告費・交際費・福利厚生費・研修費などに仕分けられる場合もあります。

勘定科目の間違った交通費精算書の申請は、経理担当者のチェックで差し戻されますので、科目に迷う場合はよく確認してから申請させるようにすると手間が省けます。以下に間違えやすい鑑定項目の例をご紹介します。

間違えやすい用途の費用勘定科目
顧客や消費者をイベント会場に招待した際の移動費宣伝広告費
取引先や仕入先の送迎で利用した移動費交際費
社内旅行で使用した貸切バス代福利厚生費
研修会などの参加費研修費

インボイス制度に伴い「適格請求書」か確認

2023年10月1日から始まったインボイス制度に伴い、課税事業者はインボイス(適格請求書)がないと仕入税額控除が受けられません。交通費精算を行う場合にも、公共交通機関で発行された領収書がインボイスに対応したものか申請前に確認しましょう。

参考:インボイス制度の概要|国税庁

交通費精算ルールの重要性を再確認

日々の業務に伴う交通費精算は、正確かつ透明性の高い内容でなければなりません。複数の路線が存在する電車やバスでは、不必要に遠回りする経路を選択したりグリーン車を利用するなどの無駄な費用が発生した場合、税務調査で「合理的でない」と判断され経費として認められない可能性があります。そういった不合理な申請が多く存在すれば、「節税目的の申請」と疑いをかけられることもあります。会社の利益だけでなく、透明性を保つため、無駄な費用の発生には日頃から注意しましょう。

費用面のルールだけでなく、申請時のルール設定や周知も重要です。申請する従業員と、受領し処理をする経理担当者、双方の目線から納得できるルール設定を設けることが、精算業務の負担軽減に繋がると理解することが必要です。

例①:タクシー利用時のルール設定

タクシーを利用した場合、当然電車やバスよりも高額となるので必要最低限の利用に留めるよう周知しましょう。どうしても利用しなければならないケースの発生に備えて「目的地が駅から〇km以上離れている」「利用時の領収書提出の徹底」などのルールを事前に明確化しておきましょう。

例②:自家用車を使用時のルール設定

社用車を使用した場合は、ガソリン代を全額経費として精算できますが、自家用車の場合はプライベートでの使用分もあるため精算が複雑化しがちです。

多くの企業での採用例としては、ガソリン1リットルあたりの金額を決め、業務で利用した走行距離をもとに精算する方法です。ガソリン代の変動や、利用開始時と利用後にキロ数のメモも必須となってくるため、事前にルールをしっかりと定め会社にも従業員にとっても不利益のない形で取り入れなければなりません。

交通費精算書の書き方とは?作成時の注意点・無駄を防ぐ対策も解説

従業員が立て替えた交通費を精算する際に必要なのが交通費精算書です。頻繁に処理が発生するものですが、案外ミスや修正が多い書類でもあります。この記事では、交通費精算書の書き方・作成時に注意したいポイント・無駄や不正を防ぐための対策などについて詳しく解説します。

交通費精算を効率化するやり方

交通費精算業務は、従業員にとっても経理担当者にとっても手間とストレスがかかります。交通費精算の効率化は、そうした従業員や担当者の手間やストレスの軽減になり、通常業務の円滑化につながります。ここでは、交通費精算を効率化する方法を解説します。

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会社で交通費精算のルール・承認フローを決める

従業員からの自己申請が基本の交通費精算は、トラブルや不正が起こりやすい業務です。トラブルや不正が起こると、解決のために多大な労力が必要になるので、それらの防止が交通費精算の効率化につながります。

まず、会社として誰もが迷わずに申請できる交通費精算のルールを決め、従業員に周知徹底することが重要です。また、業務フローを見直し、上司と経理でダブルチェックなどで、不正防止の対策をするのも効果的です。

SuicaやPASMOなど交通系ICカードを利用

SuicaやPASMOなどの交通系ICカードは、ICカードリーダーを用意すれば、カードをかざすだけで利用履歴が取得でき、簡単に交通費精算ができます。しかし、履歴情報にはさかのぼれる上限があり、上限に達する前の処理が必要です。

ICカードには私用の運賃も記録されるので、仕事用のカードを作るのが効率的です。ほかにも、カードの利用履歴がスマートフォンなどで読み取れるアプリの利用や、スマホがICカードになるモバイルSuicaやモバイルPASMOなどの利用も考えられます。

経費精算システムを導入

交通費精算の効率化でもっとも効果的なのは、経費精算システムの導入です。経費精算システムには交通系ICカードの読み取りや、通勤定期との重複区間の自動検出ができるものもあり、作業の自動化によって作業量の大幅な減少が見込めます。

システムの導入にはコストがかかりますが、従業員や経理担当者の労力とストレスの大きな軽減につながります。導入の際には、交通費精算以外の業務との関連性も鑑み、自社の業務全体の最適化・効率化につながるシステムの選択が重要です。

経費精算システム導入で電子帳簿保存法への対応がより柔軟に

電子帳簿保存法では、一定の条件を満たせば領収証を電子化して保存することを認めています。それにより、スマホで撮影した領収書の画像を領収書の原本にできるため、業務の効率化には、スマホ対応の経費精算システムの導入がおすすめです。

電子帳簿保存法とは

電子帳簿保存法とは、領収書や国税関連の書類の電子化を可能にし、その際の決まりごとを定めた法律です。社会の流れは書類などの電子化に動いており、2022年1月1日から改正・施行された電子帳簿保存法では、より運用しやすくなっています

以前は領収書発行から3日以内の電子化が義務付けられていましたが、改正により自分でデータ化する場合は概ね3営業日以内、領収書を受け取った担当者が確認してデータ化する場合は2か月と概ね7営業日以内に電子化すればよいことになりました。

書類等の電子化には、タイムスタンプ付与や訂正削除ができないシステムなど、多くのシステム要件を満たす必要があります。領収書の電子化に対応したほとんどの経費精算システムは、電子帳簿保存法の要件を満たしています。

参考:国税庁「電子帳簿保存法の概要」

領収書をスマホで撮影できる

スマホ対応の経費精算システムは、領収書やレシートをスマホで撮影し、アップロードすれば自動で経費精算申請ができます。また、乗換案内サービスや交通系ICカードとの連携も簡単で、通勤定期との重複区間の検出ができれば、さらにミスのない作業が可能です。

スマホで撮影した領収書データにはタイムスタンプの付与が必要で、タイムスタンプ認定済みの経費精算システムの利用が一般的です。

領収書の保管・管理作業の手間が減る

以前は電子化された領収書データにタイムスタンプが付与されても、一定期間紙の領収書を保存する必要がありました。しかし、2022年の改定で、保存データと原本領収書が同等であることを確認できれば領収書を破棄できるようになりました。

それにより、領収書をファイリングして保管・管理する手間がかからなくなります。また、領収書のデータ化の要件を満たすには、年月日・勘定科目・金額などを組み合わせた検索機能の確保も必要です。

領収書を検索・整理できることは税務調査のためばかりでなく、会社の経営状況把握にも役立ち、経営戦略を立てる一資料にもなります。

電子帳簿保存法対応の経費精算システム10選|メリットや機能を解説

電子帳簿保存法の改正で、経費精算業務にも影響が及ぶ可能性があります。電子帳簿保存法の要件を確実に満たすには、経費精算システムの導入がおすすめです。本記事では、電子帳簿保存法の概要や対応するメリット、電子帳簿保存法対応に必要なシステムの機能を解説しています。

まとめ

交通費精算は従業員の自己申請で行われるため、間違いやトラブルが起こりやすい業務です。また、一歩間違えれば知らない内に脱税になる可能性もあります。会社によっては多くの申請が集中し、担当者の業務に支障をきたす場合もあります。

そのため、交通費精算の効率化は従業員のためにも経理担当者のためにも欠かせない課題です。その解決には、領収書を電子化できるスマホ対応の経費精算システムの導入も一つの方法です。

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