RPAの流行は日本だけ?ブームの理由や海外との違いを解説

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  • RPAは世界中で使われているが、シェア率の高い日本で特に流行していると言われている
  • 日本でRPAが人気になった理由は、ITリテラシーが低い日本人でも導入しやすかったため
  • 日本は主にバックオフィス業務で、海外では主にフロントエンド業務でRPAを使用する

定型的なルーティン業務を自動化できるRPAは世界中で使われていますが、日本で特に流行していると言われています。この記事では、RPAが日本だけでブームになっていると言われる理由や海外との違い、またRPAを導入する際のポイントなどを解説します。

目次

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  1. RPAのブームは日本だけなのか
  2. RPAが日本で人気になった理由
  3. RPAに関する日本と海外の違い
  4. RPAの将来性
  5. RPAを導入する際のポイント
  6. まとめ

RPAのブームは日本だけなのか

RPAとは「Robotic Process Automation」の頭文字をとった言葉で、主にPCを用いた業務プロセスの自動化を行う技術のことです。RPAの導入により、反復性が高く定型的な業務を自動化し、業務の効率性や生産性を向上させることができます。

日本は、RPAの導入に積極的な国であると言われています。しかし、RPAは日本だけで流行しているわけではなく、欧米諸国を中心に世界的にも注目されています。ただ、日本と海外とではRPAを取り巻く環境などに違いがあるようです。

RPAとは?メリットや向いている業務、ツールの選び方などを解説

RPAとは、定型業務をロボットを活用して自動化・効率化するシステムのことを言います。RPAを導入することで、業務処理の迅速化などに繋がりますが、対応が難しい業務もあるため注意が必要です。本記事では、RPAのメリット・デメリットや導入手順などを解説しています。

日本のRPAシェア率は高い

RPAは、世界中で使用されています。しかし、日本市場におけるRPAのシェア率は25%程度と、他の国のシェア率と比較して高くなっています。このシェア率の高さから、RPAは日本だけで流行していると言われることがあります。

また、日本では特に大手企業におけるRPA導入率が高く、約半数がRPAを導入しています。加えて近年では中小企業もRPAの導入を進めており、非常に注目されているツールです。

RPAが日本で人気になった理由

RPAが日本で人気になった理由の1つとして、日本人のITリテラシーの低さが挙げられます。また、日本社会全体で企業の業務改善が推奨されていることもRPA人気に繋がっていると考えられます。ここでは、この2点について詳しく解説します。

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日本人のITリテラシーが低いため

日本人は、諸外国と比べて比較的ITリテラシーが低いと言われています。特に、IT以外の業務に関わる人の多くは、ITに関する知識やスキルを持ち合わせていないことが一般的です。そのため、海外に比べて、デジタル技術の普及が遅れていることが課題となっています。

このような背景により、導入にそれほど高度なIT知識必要としないRPAが日本で人気を集めています。RPAは、IT人材が不足しがちな日本の企業にも導入しやすいため、今後もさらなる市場の拡大が見込まれるでしょう。

業務改善が推奨されているため

海外の企業は従業員の流動性が高いため、業務の標準化やシステム化が進んでいる傾向があります。また、業務の合理化を重視しているため、業務に使用するシステム自体が自動化されており、RPAの導入が不要であるケースも多いと言われています。

一方で日本では、2019年に始まった働き方改革をきっかけに業務改善が推奨されるようになりました。そのため、最近になって業務の自動化への注目が高まっており、既存の環境にも比較的導入しやすいRPAの需要が増しています。

働き方改革とは

働き方改革は、労働時間の是正や雇用形態による格差解消、多様な働き方の実現といった目的のもと、国および企業が推進している取り組みです。近年の深刻な労働力不足をカバーすることが、主な目的となっています。

働き方改革を推進するには、人の手を必要としない業務はできるだけ自動化し、効率化することが重要です。RPAを活用すれば、人間の繊細な判断が不要な業務を自動化でき、人員不足解消に繋がります。そのため政府も、RPAの導入を推奨しています。

参考:「働き方改革」の実現に向けて|厚生労働省

参考:RPA(働き方改革:業務自動化による生産性向上)|総務省

RPAに関する日本と海外の違い

日本と海外では、RPAの用途や導入方式が違います。また、サービスを提供するベンダーも異なる場合があります。ここでは、RPAに関する日本と海外の違いについて解説します。

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RPAに関する日本と海外の違い

  1. 用途の違い
  2. ベンダーの違い
  3. 導入方式の違い

用途の違い

日本と海外では、RPAの用途が異なる場合があります。日本では、RPAがバックオフィス業務の自動化に使用されるケースが多いのに対し、海外では、マーケティングや顧客対応をはじめとするフロントエンド業務に使用されていることが多いです。

ただし、最近では、日本でも営業活動などにRPAを活用する企業が増加し始めています。日本でのRPAの活用シーンは広がっていると言えるでしょう。

ベンダーの違い

日本と海外では、RPAのソフトウェアを提供するベンダーにも違いがあります。日本では、日本独自のベンダーと契約する企業が多いです。

日本国内のベンダーと契約することで、日本語でのサポートや日本の文化に沿ったサービスの提供を受けることができます。また、各企業に合ったコンサルティングを受けられる場合もあります。

対して海外の企業は、国際的なベンダーのRPAツールを利用するケースが多いです。特に世界的なRPAツールのベンダーは米国に多いとされており、多くの国の企業が米国のRPAを利用しています。

導入方式の違い

RPAツールを導入する際、日本ではボトムアップ方式、海外ではトップダウン方式での導入が多いとされています。

  1. ボトムアップ方式:上層部が従業員の意見をもとに意思決定する
  2. トップダウン方式:上層部が経営方針を決定して、従業員に指示を出す

多くの海外企業では、日本よりも従業員の入れ替わりが激しく、従業員の文化や国籍も多様であるため、経営者による意思決定のもとで強力に業務の標準化・システム化が進められる傾向があります。

日本の企業は、海外に比べて人員の入れ替わりが少ないために業務が属人化しやすく、従業員の経験や知識が尊重される傾向にあります。そのため、従業員個人の判断や、現場からの要望によるボトムアップ方式でRPAの導入が行われるケースが多いです。

RPAの将来性

RPAはあらかじめルール(シナリオ)が決まった作業を自動化するものであり、あらゆる作業を自動化できるわけではありません。また、昨今のAI(人工知能)の台頭によって、RPAブームは終焉してRPAは廃れるのではないか、との声もあります。

そのような声を聞いて、RPAツールは将来性のないツールなのでは、と感じる方もいるでしょう。しかし、実際にはRPAの市場規模は伸び続けているとされています。そして、今後もその成長は続くと考えられています。

特に、中小企業への導入は今後本格的に広がっていくと予想されており、大企業への普及から始まったRPAツールは裾野の広がりを見せるでしょう。

RPAとAIの組み合わせも注目されている

RPAはPC上の定型業務を自動化しますが、AIは高い判断力を持ち、複雑なタスクにも自律的に取り組むことができます。こう言うと一見AIの方が優れているように思えますが、RPAとAIはお互いを補完し合うような関係です。

RPAとAIを組み合わせることで、それぞれだけではできない広範囲な業務に対応できるようになり、自動化の幅が広がります。こういった活用法は既に一部始まっていますが、今後さらに発展していくと考えられます。

RPAとAI(人工知能)の違いとは?組み合わせ事例も解説

RPAとAI(人工知能)は、どちらも企業の業務効率化をサポートするテクノロジーですが、得意なことや動作の基準が異なります。本記事では、RPAとAIの違いを解説し、より業務を効率化させるための連携・組み合わせ事例を紹介します。

RPAを導入する際のポイント

RPAを導入する際は、導入の目的を明確に定め、自社に合ったRPAツールを選ぶことが重要です。また、導入時には社内における運用体制の整備も必要になるでしょう。ここでは、これらのポイントについて解説します。

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目的を明確にする

RPAツールを導入する際は、RPAツールによって自動化させたい業務や、導入によってどのような効果を得たいのかを明確に定めておくことが重要です。

導入の目的が明確に定まっていないと、導入によってどのような効果を得られたかが把握しづらくなるため、費用対効果検証に支障が出かねません。

RPAで自動化できる業務の例

RPAでは、以下のような業務を自動化できます。自社にとって何を自動化するのが適切か、検討してみましょう。

業務詳細
価格調査競合他社の販売サイトやECサイトの価格をリサーチする
口コミ収集SNS等に投稿される自社商品に対する口コミ・コメントを集める
Webサイトの分析レポート作成閲覧者数・滞在時間・販売数・広告の投資対効果など収集した情報を
レポートにまとめる
勤怠管理勤務時間・残業時間・有給休暇の残日数などをデータにまとめる
顧客情報の登録1つのフォームへの顧客情報の入力をもとに、複数のシステムに
自動で登録する

自社に合ったRPAツールを選ぶ

RPAツールを選ぶ際は、機能や費用などを確認し、自社に合ったツールを選びましょう。その際、重要な選定ポイントの1つとなるのが導入形態です。

RPAツールには、デスクトップ型・サーバー型・クラウド型の3つのタイプがあり、それぞれ異なる特徴を備えています。以下に、各タイプのメリット・デメリットを記載します。

デスクトップ型メリット・低価格で導入できる
・担当者レベルで管理できる
デメリット管理が属人化しやすい
サーバー型メリット・複数の業務を一括管理できる
・ニーズに合わせた開発がしやすい
・セキュリティリスクを抑えられる
デメリット初期費用が高額
クラウド型メリット・導入費用を抑えられる運用
・運用保守はベンダーが行う
・PCのパフォーマンスへの影響が少ない
デメリット・ローカル環境のシステムやツールには非対応
・セキュリティ性はベンダーに依存

運用体制を整える

RPAの運用を開始する際は、社内での研修を実施したり、マニュアルを作成したりといった体制の整備が不可欠です。導入時の負荷を最小限に抑え、スムーズな導入を目指しましょう。

また、RPAを運用する際は、複数の部署でRPAの導入に関する認識を共有しておくことが重要です。部門をまたいで運用することで、業務改善に関するアイデアが生まれやすくなり、社内全体での業務効率向上に繋がるでしょう。

まとめ

RPAツールとは、主にPC上の業務プロセスを自動化できるツールです。日本におけるRPAツールのシェア率が高いことから、RPAは日本だけで流行っていると言われることがあります。しかし、RPAツールは、日本だけでなく世界で導入されています。

RPAツールが日本で人気になった理由は、日本人のITリテラシーが海外と比較して低いことにあります。また、日本で業務改善が推奨されつつあるという事情も、RPAツールの人気を後押ししています。

また、日本と海外では、RPAツールの導入方式・用途・ベンダーなどの違いがあります。日本企業がRPAツールを導入する際は、導入目的を定め、自社にあったツールを選択することが重要です。また、運用体制の整備も行うことで効果的な活用が可能になります。

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