SLAとは|必要性が高まる背景やメリット・締結するべき項目を解説

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  • SLAとは、サービス提供者と利用者の間で、サービス内容や責任範囲を規定する契約
  • サービス品質や責任の所在をめぐり対立が起きやすいIT分野において、注目されている
  • サービス内容や責任範囲の曖昧さを排除し、良好な信頼関係を構築できるメリットがある

SLAとは、サービス提供者と利用者の間で、保証するサービス内容や責任範囲を規定するために締結する契約のことです。サービス内容などの曖昧さをなくして、良好な信頼関係を構築できるメリットがあります。本記事では、SLAの概要やメリットを解説します。

目次

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  1. SLAとは
  2. SLAの種類
  3. SLAを締結するメリット
  4. SLAで締結するべき項目と指標
  5. SLAを締結する際の注意点
  6. SLAの達成にはサービスデスクシステムの活用も効果的
  7. まとめ

SLAとは

SLA(Service Level Agreement)とは、サービス提供者と利用者の間で、サービスの品質に関する合意を定める契約のことです。つまり、サービス提供者が提供するサービスの品質や性能に関する約束を明確に定め、利用者がそれに同意するものです。

このような契約を締結することで、両者の間で明確なサービス基準が定まり、信頼関係が築かれます。本記事では、SLAの概要やメリットを解説します。

SLAの必要性が高まる背景

SLAの必要性が高まる背景は、特にIT分野において、システムやサーバーなどに障害が発生した際の責任の所在が曖昧であるためです。トラブルが発生すると、契約の範囲内であるかを、委託者と受託者の責任をめぐって対立が生じる可能性があります。

この対立はお互いの主張が一致せず、会社同士のトラブルに発展する恐れがあります。こうした状況から、SLAの重要性が高まっています。

SLAは、契約内容や責任範囲を明確に定めることで、トラブル発生時の責任を明確化し、対立を解消する役割を果たします。そのため、SLAは信頼関係の構築やサービスの円滑な提供に不可欠な要素となっています。

SLAの種類

SLAには、主に以下のような種類があります。ここからは、それぞれの種類に注目して詳しく解説します。

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カスタマーレベルSLA

カスタマーレベルSLAは、サービス提供者と顧客または顧客グループに基づく契約です。この契約では、提供されるサービスの内容やレベル、関連する条件について具体的に説明されます。

このようなSLAを締結することで、顧客とサービス提供者の間で期待値を一致させ、円滑なサービス提供と満足度の向上を図ることができます。

カスタマーレベルSLAは、顧客のニーズに応じてカスタマイズされます。そのため、サービス提供者が顧客の要求に柔軟に対応し、顧客の信頼を獲得する上で重要な役割を果たします。

サービスレベルSLA

サービスレベルSLAは、複数の顧客に提供される同一のサービスの詳細を規定する契約です。つまり、特定のサービスや製品に基づいて提供される契約であり、顧客が選択したサービスや製品に対するサービスレベルや条件を明確に定めます。

顧客がどのようなサービスを受けることができるか、そのサービスがどのような品質基準を満たすかが明確になるため、顧客とサービス提供者の間で信頼関係を構築するのに役立ちます。

マルチレベルSLA

マルチレベルSLAは、複数の層やレベルに分かれており、単一のサービスを利用する一連の顧客を指定する契約です。サービス提供者と顧客が組み合わさり、異なる顧客に対して異なるレベルのサービスを提供することを目的とします。

このSLAでは、顧客ごとに異なる要件やニーズに合わせて、異なるサービスレベルを定義します。たとえば、プレミアム顧客には高速で優先的なサポートを行い、基本的な顧客には標準的なサポートを提供するような設定が可能です。

SLAを締結するメリット

SLAを締結することで、サービスの利用側・提供側・共通の3つのメリットがあります。ここからは、それぞれの3つの視点からメリットを解説します。

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サービスを利用する側のメリット

サービスを利用する側としては、トラブルが起きた際の保険になることや、得られるサービスのクオリティが明確になるなど、多くのメリットがあります。ここからは、サービス利用者にどのようなメリットをもたらすのかを詳しく解説します。

トラブルが起きた際の保険になる

SLAを締結するメリットは、サービスを利用する側にとって万が一のトラブルや問題が起きた際に、保険のような機能を持つことです。

具体的には、SLAには提供者側と利用者側の間で定められた補償や対応策が明確に記載されており、これに基づいて対処されることが保証されます。

たとえば、サービス提供者がサービス停止や障害を引き起こした場合、SLAにはその復旧までの時間枠や補償金額などが定められています。利用者はこのような契約内容に基づいて、トラブル発生時に提供者との交渉や対立を避けることができます。

得られるサービスのクオリティが明確になる

SLAでは、提供されるサービスの内容や品質、レベルが具体的に定義されており、利用者はそれに基づいてサービスを受け取ることができます。

そのため、利用者は曖昧な思い込みや期待を持つことなく、提供されるサービスがどのようなものかを明確に把握することができます。また、SLAは常に一定の品質が保たれているかどうかを検証するための基準となります。

契約されたサービスレベルに満たない場合、SLAに基づいて補償や対応策が提供されるため、利用者は常に一定の品質が提供されることを期待することができます。

他者との比較材料になる

SLAの締結は、サービスを利用する側にとって他社との比較材料となります。顧客は複数のサービスプロバイダーのSLAを比較することで、提供されるサービスの品質や範囲を客観的に評価することができます。

SLAは、提供されるサービスの内容や品質、責任範囲を明確に規定するため、顧客がサービスを選択する際に重要な指標となります。

比較することで、顧客は各社のSLAを参照して、それぞれのサービスの特徴やメリットを把握し、自身のニーズに最も適したオプションを選択することができます。

サービスを提供する側のメリット

SLAを締結することは、サービス提供者にも曖昧さを排除して認識の齟齬を防げるなど多くのメリットがあります。ここからは、サービスを提供する側のメリットに注目して詳しく解説します。

曖昧さを排除して認識の齟齬を防げる

SLAを締結することによるサービス提供者側のメリットは、サービス内容や責任範囲の曖昧さを排除し、利用者側の実態以上の期待や思い込みを防げることです。SLAでは、提供するサービスの内容や品質基準、責任範囲などが具体的に定められます。

そのため、サービス提供者と利用者の間で認識の齟齬が生じる可能性を減らすことができます。明確な契約条件や責任範囲が定められていることで、利用者はサービス提供者に対する期待を明確に把握し、適切な判断を行うことが可能です。

また、契約条件に基づいてサービスを提供することで、利用者の不満やクレームを防ぐことができます。

トラブルが起きた際に適切な対処ができる

SLAには、トラブルが発生した場合の対応手順や責任の所在、補償内容などが具体的に定められています。これにより、トラブルが発生した際にはSLAに基づいて、迅速かつ適切に対応することができます。

SLAに明記された対応手順や説明責任を遵守することで、利用者側に対して適切な説明や対処を行うことができます。また、補償内容が定められているため、利用者側に安心感を提供することができます。

適切な対応が行われることで、トラブルが発生しても円満に解決される可能性が高まります。

他社サービスとの差別化を図れる

SLAには、提供されるサービスの品質やレベル、対応内容などが具体的に規定されています。そのため、自社サービスの特長や優位性を明確に示すことが可能です。

SLAに明記されたサービス内容や品質基準を顧客に提供することで、他社との差別化を図ることができます。顧客は、SLAに基づいて提供されるサービスの信頼性や品質を確認し、自社サービスが他社と比較して優れている点を認識することができます。

利用側・提供側共通のメリット

SLAの締結により、利用側と提供側の両者にとっても共通のメリットがあります。まず、契約内容が明確になることで、双方の間に曖昧さがなくなります。これにより、サービス提供や利用に関する誤解や不一致が減少し、余計なトラブルを回避することができます。

たとえば、サービスの範囲や品質、責任範囲が明確に定められるため、トラブルが発生した際にもどちらが責任を負うかが明確になり、対立を防ぐことができます。

また、契約内容が明確であることで、お互いが期待するサービスの提供や受け取りがスムーズに行われるため、信頼関係の構築にも繋がります。信頼関係が築かれれば、将来的なビジネスの拡大や長期的な取引にも有利です。

SLAで締結するべき項目と指標

SLAで締結すべき項目や指標は、以下のようなものがあります。

  1. 責任範囲の明確化
  2. 提供するサービスの範囲、内容、品質
  3. サービスの稼働率
  4. レスポンス時間
  5. オペレーターの応答率
  6. 契約違反の場合の利用者への罰則規定
  7. サービス時間

これらの項目は、SLAの目的やサービスの性質に応じて調整されることがあります。SLAの改定や違反時の対応についても明記することで、双方の間でのトラブルや誤解を防ぎます。

ただし、過度な項目設定は運用の複雑さを増やす恐れがあるため、必要な項目のみを明確に定めることが重要です。

SLAを締結する際の注意点

SLAを締結する際は、適正かつ実現可能な内容で締結することや、締結内容が守られているか監視する必要があるなどのいくつかの注意点があります。以下では、その注意点について詳しく解説します。

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適正かつ実現可能な内容で締結する

SLAを締結する際には、適正かつ実現可能な内容であることが重要です。実現不可能な合意は、期待と実際のサービス品質とのギャップを生み出し、信頼関係の損失やトラブルの原因となります。

適正な内容とは、提供側が提供できる範囲やレベルのサービスを明確に定めることです。また、利用側が求めるサービス内容や品質に対しても、適切に応えることが必要です。そのために実際の運用状況や技術的な制約を考慮して、SLAを策定しましょう。

過度な約束や実現が難しい目標を設定することは避け、双方が持続可能な関係を築くために現実的な目標を設定することが重要です。

締結内容が守られているか監視する必要がある

SLAを締結する際に重要なのは、締結後の運用です。締結された内容が実際に守られているかを監視することが不可欠です。しかし、締結項目が過剰に多い場合、監視には多くのコストや作業負荷がかかる可能性があります。

そのため、適切な締結内容を設定し、運用を円滑に行うためには、監視ツールの導入や自動化などの取り組みが求められます。適切な監視は、双方がSLAで合意したサービス品質やレベルが維持され、問題が発生した場合には適切な対応が行われることを保証します。

つまり、SLAの効果を最大限に発揮するためには、締結後の監視が欠かせません。

SLAに違反した場合はペナルティが課せられる

SLAを締結する際、重要なのは契約違反時のペナルティについて理解しておくことです。SLAに違反した場合、一般的にはペナルティが課せられます。ペナルティの内容は契約によって異なりますが、代表的なものには料金の減額や返金などがあります。

つまり、サービス提供者はSLAで約束したレベルのサービスを提供する責任があり、その責任を果たさない場合には利用者に対して何らかの補償を行う必要があります。

SLAの達成にはサービスデスクシステムの活用も効果的

サービスデスクシステムは、組織内でのITサービス管理や問題解決を支援するためのシステムです。これは、顧客や利用者からの問い合わせやトラブルを一元的に受け付け、適切な担当者に割り当て、迅速かつ効率的に解決することを可能にします。

SLAの達成において、サービスデスクシステムの活用は非常に効果的です。サービスデスクシステムを利用することで、SLAで定められた内容が守られているかをリアルタイムで確認できます。

そのため問題の発生や解決の過程が透明化され、担当者の対応速度や品質が適切かどうかを確認することが可能になります。

まとめ

SLAは、サービス提供者と利用者の間で、サービスの品質に関する合意を定める契約です。これにより、トラブルが起きた際の責任の所在が明確化され、お互いが責任を押し付け合うことが減少します。

SLAを締結することで、サービス利用側、提供側、双方にとってメリットがあります。ただし、適正かつ実現可能な内容で締結することや、締結内容の監視が重要です。SLAの達成にはサービスデスクシステムの活用も効果的です。

このシステムを使うことで、サービス品質の監視や改善が容易になります。SLAは、信頼関係の構築やトラブル解決に役立つ重要な契約であり、適切な運用が重要です。

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