サービスデスクとインシデント管理の関係性|課題や効率化するポイントも

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  • インシデント管理とは、システムの問題が速やかに復旧するように対応すること
  • インシデントの一次受付は、サービスデスクが担当している場合も多い
  • インシデントを効率的に管理するには、ナレッジベースの作成などを行う

インシデント管理とは、システムで問題が発生した際に、速やかに復旧できるよう対応することです。サービスデスクはインシデントの一次受付を担当する場合も多く、効率的に管理する工夫が求められます。本記事では、サービスデスクとインシデント管理の関係性や課題を解説します。

目次

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  1. サービスデスクとインシデント管理の関係性
  2. サービスデスクによせられるインシデントの例
  3. サービスデスクが抱えるインシデント管理の課題
  4. サービスデスクで効率的にインシデント管理を行う方法
  5. まとめ

サービスデスクとインシデント管理の関係性

サービスデスクは、企業や組織におけるユーザー及び顧客との接点であり、問い合わせ、要求などに対応するためのセクションです。その中で、インシデントの一次受付を担当することも多いです。

サービスデスクには、組織内の情報や技術的な知識が集約されています。そのため、インシデントの一次受付を行うことで、インシデント管理に基づいて統一された一貫性のある方法で対応されるようになり、その後の適切な処置へと繋がります。

本記事では、サービスデスクとインシデント管理の関係性やサービスデスクによせられるインシデントの例、インシデント管理の課題、効率的にインシデント管理を行う方法などについて、分かりやすく解説します。

サービスデスクとは?メリット・デメリット、ツールの機能を解説

サービスデスクとは、顧客からの問い合わせ全般に対応する窓口のことです。サービスデスクを有効活用するには、サービスデスクツールの導入がおすすめです。本記事では、サービスデスクのメリット・デメリット、サービスデスクツールの機能や選び方を解説しています。

そもそもインシデント管理とは

インシデント(incident)とは、英語で「事件」や「できごと」といった意味を持つ言葉です。ビジネスの世界では、障害や事故などのリスクが発生する恐れのある事態をインシデントと呼びます。

インシデント管理とは、組織がビジネス活動を遂行する上で直面するこれらのインシデントに、適切に対処するためのアプローチやプロセスを指します。インシデント管理の最初のステップは、問題や障害を識別し、状況に関する情報を適切に収集することです。

収集された情報はナレッジベースとして蓄積され、重要度や影響度などを基準に分析・分類され、優先順位が付けられます。次に問題の診断、解決策の提示、障害の修復、必要に応じて関係者への通知などインシデントに対する適切な処置が行われます。

インシデント管理のフロー

インシデント管理のフローは、組織や業界によって異なる場合がありますが、一般的には以下のような手順で処理されることが多いです。

【Step.1】インシデントの受付

ユーザーの問い合わせや、管理システムからのアラートを受けて、担当者やアラート管理者がインシデントの受付を行います。

【Step.2】インシデントの分類・優先度の設定

インシデントの分析や分類を行い、過去の事例や蓄積されたナレッジベースを検索し、確認します。また、内容や影響範囲に応じて緊急度や優先度を設定します。

【Step.3】担当者、またはエスカレーションによるインシデントの解消

内容が容易なものは、インシデントの受付担当者が対応して解決します。それ以外の場合は、エスカレーションにより責任者や専門家がインシデントの解決にあたります。

【Step.4】インシデントの回答

インシデントの解消後、問い合わせのユーザーに回答、システムの利用者に周知を行います。

【Step.5】インシデントの解決とクローズ

インシデントを解消した記録をナレッジベースに登録します。経過観察が必要なインシデントは、その対応が完了するまでインシデント管理を継続します。

サービスデスクによせられるインシデントの例

サービスデスクに寄せられるインシデントは多岐にわたりますが、一般的には以下のような例が多いです。

例えば、ユーザーが特定のソフトウェアを使用中にエラーメッセージが表示されたり、プログラムがクラッシュしたりする報告例があります。

また、ユーザーがコンピューター、プリンター、ネットワーク機器などのハードウェアの故障を報告するケースが多いです。不審な動作やセキュリティ警告に気付き、ウイルスやマルウェア感染の可能性を報告する例もあります。


さらに、インターネットに接続できない、ネットワークファイルにアクセスできない、VPN(Virtual Private Network)接続に問題があるなどのインシデントの報告例もあります。システムが遅い、フリーズした、応答しないなどの例もあります。

サービスデスクが抱えるインシデント管理の課題

サービスデスクにおける問い合わせや要求に対して、インシデント管理を実践しながら対応しているにもかかわらず、思うような成果が得られていない問題は多いです。例えば、よくある現場の課題として、以下のような状況が挙げられます。

問い合わせ内容の解決に繋がるデータが適切に管理されていないことや、同じようなインシデントが何度も発生するケースがあります。また、情報共有が難しく誰が対応しているのか、インシデントに対する進捗状況が分からないといった状況もよくあります。

問い合わせ対応が属人化してしまい、過去のナレッジを共有できないといった課題もあります。

サービスデスクで効率的にインシデント管理を行う方法

サービスデスクが抱えている課題への対応や、効率的にインシデント管理を行う方法がいくつか考えられます。ここからは、サービスデスクで効率的にインシデント管理を行う方法として、以下の項目について解説します。

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ナレッジベースを作成する

サービスデスクで効率的なインシデント管理を行うためには、ナレッジベースを作成してデータを適切に管理することが重要です。ナレッジベースには、過去のインシデントや解決策に関する情報が集約され登録されています。

受付担当者が類似の問題に遭遇した際に、ナレッジベースを参照することで、解決策を素早く見つけることができます。また、同じ問題に対する解決策や手順が同様の方法で提供されるので、問題対応への統一性や一貫性が確保され、顧客へのサービス品質が向上します。

さらに、ナレッジベースの登録情報を整理し、FAQやQ&Aなどで公開することで、顧客が自分で問題を解決するための情報を提供することができます。顧客が自己解決を行うことで、サービスデスクの負担が軽減され、効率的なリソースの活用が可能となります。

オペレーションルールを明確にする

サービスデスクで効率的なインシデント管理を行うためには、想定されるオペレーションルールをあらかじめ明文化しておくことが重要です。オペレーションルールとして定義すべき典型的な事項としては、一次対応の方法やエスカレーションフローなどがあります。

エスカレーションフローを決めておくことにより、サービスデスク担当者では解決困難なインシデントが発生した場合に、次の高レベルの解決担当者へスムーズに繋ぐことができます。これにより、迅速に問題解決が行えます。

また、オペレーションルールが明文化されていると、各担当者や部門の責任範囲が明確になります。そのため、混乱や不確実性を回避することができ、不必要な迷いや間違いが減少し、インシデント対応がスムーズに行えます。

必要に応じて問題管理や変更管理を行う

問題管理とは、継続的に発生する重大なインシデントの根本原因を特定し、解決するためのプロセスです。変更管理とは、システムやサービスに対する変更を計画し、実施するためのプロセスです。

インシデント管理では、根本原因の特定を行わないため、同じインシデントが何度も発生したり、解決策が一時的であったりする場合があります。このようなケースには、必要に応じて問題管理や変更管理が求められます。

問題管理により、その背後にある根本原因を特定して解決するので、インシデントの再発防止やサービス品質が向上されます。また、変更管理により、変更が計画的かつ組織的に実施され、インシデントの再発やサービスの中断を最小限に抑えることができます。

ツールを活用して管理する

サービスデスクで効率的なインシデント管理を行うためには、インシデント管理ツールの使用が非常に役立ちます。インシデント管理ツールには、ナレッジベースを統合する機能があり、過去のインシデントや解決策に関する情報を簡単に検索し、参照することができます。

インシデント管理ツールは、インシデントの傾向やパターンを分析し、問題の特定や改善に役立ちます。また、複数のチームメンバーが同時に同じインシデント情報を共有し、協力しながら解決策を見つけることができるメリットがあります。

インシデント管理ツールにはこのような利点があり、サービスデスクの効率化やサービスの品質向上に役立ちます。ツールの選択にあたっては、自社のニーズや要件に合った機能を備えたツールを選択することが重要です。

まとめ

サービスデスクにおけるインシデント管理は、サービスの品質向上や円滑な運営に役立ちます。また、インシデント管理によって、問題の早期発見と迅速な解決策の特定を可能にし、サービスの可用性と信頼性を確保します。

さらに、ナレッジベースを基にして適切な情報の収集と分析を行い、類似の問題の再発を防止するための根本原因が特定されます。また、関係者間でインシデント情報を共有し、協力しながら早期に解決策を発見する際にも、重要な役割を果たします。

サービスデスクの効率的な運用の為には、インシデント管理を行い、統一性や一貫性のある対応により、サービスの品質向上やインシデントの迅速な解決を行いましょう。

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