OJTでマニュアル作成が必要な理由とは?作り方のポイントも解説
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- OJTとは、業務に取り組みながら必要なスキルや知識を身につけていく教育手法のこと
- OJTマニュアルは、新入社員の不安解消や指導者の負担軽減のために必要である
- OJTマニュアル作成時は目的や対象者を明確にし、未経験者でも理解できる内容にする
OJTとは、業務に取り組みながら必要なスキルや知識を身につけていく教育手法のことです。効果的にOJTを実施していくにあたっては、OJTマニュアルの作成が推奨されます。この記事では、OJTにおけるマニュアル作成の重要性や作り方のポイントを解説します。
OJTマニュアルを作成しよう
業務マニュアルは、業務に関する情報や手順などをまとめたものです。業務マニュアルによって、経験の有無に関わらず、誰が作業を行っても一定の品質を保つことができるメリットがあります。
業務マニュアルは企業内のあらゆる業務において作成されるものですが、OJTにおいても、マニュアルの作成はおすすめです。この記事では、OJTにおけるマニュアル作成の重要性や作り方のポイントを解説します。
マニュアル作成とは?メリット・デメリット、ツールの選び方を解説
マニュアルを作成することで、教育コストを削減し、業務の効率化や属人化防止に効果的です。またマニュアル作成ツールを導入することで、マニュアル作成に関する課題の解決に役立ちます。本記事では、マニュアル作成の手順やマニュアル作成ツールの選び方などを解説しています。
そもそもOJTとは
OJTとは、「On the Job Training」の略語です。これは、新入社員や後輩が実際に業務を行いながら、上司や先輩から計画的に知識やスキルを学ぶトレーニング方法です。通常の研修やマニュアルでは得られない実践的な経験を通じて、必要な能力を身につけることができます。
この方法では、実際の業務に即した具体的な状況や課題に直面しながら学ぶことで、より効果的に実践的なスキルを習得できるとされています。また、指導者にとっても業務に対する理解をより深めたり、より高いスキルを身につけたりする機会になります。
OJTのメリット
OJTでは実際に現場でスキルを習得するので、新人を短期間で戦力に鍛え上げることができます。成果を出すためのポイントを上司や先輩から直接学ぶことができます。外部講師なども必要ないので、教育コストの削減にも繋がります。
また、OJTではトレーナーとの1対1で指導が行われるため、新人の個性や強みを理解しやすく、適切な指導が行えます。画一的な教育でないことは業務内容によっては非常に相性が良く、それぞれに適した効果的な学びが実現されます。
OJTのデメリット
OJTのデメリットとして、体系的な教育には向かないという点が挙げられます。OJTは日々の業務を中心に教育を行うため、企業全体の広い視野で理解する機会が限られてしまう可能性があります。
また、OJTでは実際の職場の上司や先輩が新人の教育を担当するため、指導者に負担がかかる場合もあります。新人の教育が中心になりすぎて、他の重要な業務などに影響が出てしまう恐れがあります。
そのため、OJTを実施する際には、実務教育の質・量を保ちつつ、体系的な教育の実施や担当者の負担を軽減する工夫が必要です。
OJTマニュアルの種類
OJTマニュアルには、指導者用と学習者用の2種類があります。ここでは、それぞれの種類の概要や内容について、詳しく解説します。
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指導者用マニュアル
指導者用のOJTマニュアルは、指導者がどのようにOJTでの教育活動を進めるべきかを定めたマニュアルです。このマニュアルには、指導者が学習者に対してどのようなアプローチを取るべきか、どのような情報を伝えるべきかなどが記載されています。
たとえば、育成の目標や学習者が達成すべき合格基準など、育成のゴールと目安が明確に示されます。指導者が明確なガイドラインに従って行動することで、学習者の育成がより効果的になり、組織全体の生産性向上につながります。
学習者用マニュアル
学習者用マニュアルは、学習者が業務に必要な知識やスキルを習得しやすくするためのマニュアルです。学習者用マニュアルは、全体マニュアルと業務マニュアルの2種類に分けられます。以下では、それぞれの種類について詳しく解説します。
全体マニュアル
全体マニュアルは、学習者が企業や組織全体を理解するための基本的な情報をまとめたものです。これには、企業の理念やビジネスマナー、組織の構造や役割分担、業務フローなどが含まれます。
つまり、企業が何を目指し、どのような価値観を持っているのか、社内外での振る舞い方やコミュニケーションの仕方、事業の内容、部署や役職の配置、そして組織全体での業務の流れなどが記載されています。
全体マニュアルは、学習者が組織全体を俯瞰し、自身の役割を理解し、仕事を円滑に進めるための必須の情報源となります。
業務マニュアル
業務マニュアルは、具体的な業務に関する手順や重要なポイント、注意事項などをまとめたものです。学習者はこのマニュアルを参照することで、自身の担当業務に関する知識やスキルを効率的に習得することができます。
業務への取り組み方や業務で使用するツールの使い方なども記載されており、学習者はいつでも必要な時に見返すことができます。
口頭での指導がメインとなるOJTですが、学習者用のマニュアルを補完的に用いることで、教育の質が高まり、より効率的に知識・スキルを習得するのに役立ちます。
OJTでマニュアルが必要な理由
OJTでは教育を受ける人に合わせながら行うのだから、マニュアルは必要ないと考える人もいるかもしれません。しかし、マニュアルがないとOJTが上手く進まない、あるいは弊害がでる可能性もあります。ここでは、OJTでマニュアルが必要な理由について解説します。
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OJTでマニュアルが必要な理由
新入社員の不安を解消するため
OJTはトレーナーが1対1で新人に業務を教える手法ですが、まだ何もわからない新入社員はOJTが始まる前、そしてOJT期間中も大きな不安を抱えています。そこで、あらかじめOJTマニュアルを用意していつでも確認できるようにしておけば、不安も軽減されます。
マニュアルがあれば、新入社員は自身の学習の進捗状況を確認でき、業務に自信を持つことができます。また、1回では覚えきれなかった時やトレーナーがたまたま不在だった時も、マニュアルがあることで自己学習を進めることができます。
新入社員への教育を均一化するため
マニュアルは、OJTによる教育の質を均一化することにも役立ちます。もしもマニュアルがない場合、指導する側の担当者によって教え方にバラつきが生じてしまいます。マニュアルによって指導方法を明確にしておくことで、その差が小さくなります。
また、過去に大きな効果があった方法などをマニュアルに盛り込むことで、OJTの質も向上させることができます。
指導を受ける側も、マニュアルを確認しながら学習を進めることで常に正しい業務を行えるようになります。新入社員はマニュアルを通して一貫した教育を受けることができ、業務に対する理解度や習得スキルも均一化されます。
指導者の負担を減らすため
OJTマニュアルは、指導者の負担を減らすためにも必要です。マニュアルを作成することで指導の進め方が標準化され、指導内容を試行錯誤する時間が削減されます。
また、学習者用のマニュアルを活用すれば新人が自己学習できるようにサポートできるため、指導者が直接教える範囲も少なくなり、その分の手間が省けます。指導者が新人教育に十分な時間を割けない場合でも、適切に教育を進めることができるでしょう。
デメリットでも述べたようにOJTは指導者の負担が大きくなりがちな手法でもあるため、事前にマニュアルを作成しておいて指導者が取り組みやすくすることが重要です。
OJTマニュアルの基本的な記載内容
OJTマニュアルに含まれる詳細な内容は業界や業務内容によって異なりますが、基本的な記載内容には以下のようなものがあります。指導者用マニュアルと学習者用マニュアルに分けて解説します。
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OJTマニュアルの基本的な記載内容
指導者用マニュアルの基本的な内容
指導者はOJTの沿革や具体的な進め方をよく理解しておかなければなりません。指導者用マニュアルには、OJTを進める上で理解しておくべき次のような内容が含まれます。
内容 | |
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OJTの概要 | ・OJTとはどのような手法か ・OJTとOff-JTの違い ・OJTの目的 ・自社におけるOJTの位置づけ |
OJTにおける指導者の役割 | ・指導者に求められること ・指導者の心得 ・人事部門や上司との役割分担 |
OJT実施計画の立て方 | ・OJTカリキュラムとスケジュールの大枠 ・最終的的に期待されるスキルレベル ・重点指導項目や必須指導項目 ・中間目標や課題の設定方法 |
OJTの進め方 | ・進捗や習熟度の確認方法 ・進捗報告のタイミングや方法 ・計画の軌道修正方法 ・アドバイスや支援を求める相手 |
OJT開始に向けた準備について | ・必要なツールや書類 ・その他開始当日までに準備するもの ・受け入れ当日のフローとやるべきこと |
指導のポイント | ・効果的なコミュニケーション方法 ・理解を促進させるコツ ・業務内容ごとの指導の注意点 ・学習者の意欲を高める方法 ・学習者のタイプやレベルへの合わせ方 |
学習者用マニュアルの基本的な内容
既に解説したように、OJTにおける学習者用マニュアルは全体マニュアルと業務マニュアルに分かれます。まずは全体マニュアルで全体像を理解し、その後業務マニュアルで具体的な業務の行い方を学んでいくという流れです。それぞれの基本内容を解説します。
全体マニュアルの基本的な内容
全体マニュアルには、学習者がOJTを受けるにあたって覚えておくべき内容が盛り込まれています。具体的には以下のような項目が含まれます。
内容 | |
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自社の基本情報 | ・自社業界の特徴 ・企業理念 ・事業や業務の全体像 ・組織構造や指揮命令系統 |
業務を行う上での心構え | ・基本的なビジネスマナー ・社内ルールやコンプライアンスについて ・期待される働き方や姿勢 |
業務に必要な基礎知識 | ・業務に関する用語 ・業務に必要なIT知識など |
OJTで学習者に求められること | ・受講時の姿勢 ・メモの取り方 ・質問のし方 ・報連相について ・自己評価の方法 |
業務マニュアルの基本的な内容
業務マニュアルは、実際に学習者が配属先で行う業務に沿った内容になっています。これらの内容は企業や部署・部門によって大きく異なりますが、基本的には次のような構成になっています。
内容 | |
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業務プロセス | ・各作業の具体的な手順と注意点 ・各作業で必要なスキル ・使用するツール ・成果物として求められるもの |
状況別の対応策 | ・過去の事例と対応策 ・問題への対処フロー ・学習者からのよくある質問と回答 |
業務マニュアルはこのように書くとシンプルな構成になりますが、具体的な業務について解説するものですから、実際にはかなりのボリュームになります。
OJTマニュアルの作り方
以下のような流れに沿って行うことで、効果的なOJTマニュアルを作ることができます。ここからは、OJTマニュアルの作り方について詳しく解説します。
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OJTマニュアルの作り方
目的・対象者の設定
OJTマニュアルの作成において、まずはそのマニュアルがなぜ必要なのかを明確にすることが重要です。マニュアルの目的は、新入社員の教育や業務効率の向上など、特定の目標や課題に対処するために存在します。次に、対象者を明確に定めます。
対象者を明確に定めることは、マニュアルを使用する人々が誰であり、どのような内容を学ぶ必要があるのかを理解することです。たとえば、新入社員や特定の部署の従業員などが対象となります。
目的と対象者を設定することで、マニュアルの内容やアプローチを適切に選択できます。
情報の収集・整理
次に設定した項目に必要な情報を収集し、整理します。これは、マニュアルが分かりやすく、使いやすいものにするために欠かせない作業です。情報が整理されていないと、マニュアルを理解するのが難しくなり、混乱を招く可能性があります。
教材としてのマニュアルは、学習者が理解しやすいように構成することが重要です。これによって、学習者が効果的に情報を吸収し、業務を適切に実行できるようになります。
素案の作成
素案では、全体の枠組みや流れを意識して、マニュアルの基本的な構造を作ります。各項目のタイトルや内容の大まかなアウトラインを考えることが主な目的です。
また、テンプレートを利用する方法もあります。テンプレートを使用すると、マニュアル作成が効率化され、一貫性のあるフォーマットを保つことができます。素案を作成する際には、マニュアル全体の流れや必要な内容を見据えることが重要です。
学習者が理解しやすく、効果的な教育が行われるように配慮しましょう。素案をしっかりと作成することで、後の段階でのマニュアル作成がスムーズに進み、高品質な教材が完成します。
内容の精査
素案が完成したら、マニュアルに漏れがないか、誤字脱字がないか、情報の揺れがないかなどを徹底的にチェックします。漏れや誤りがあると、学習者が正しい情報を得られず、効果的な教育が行われない可能性があります。
また、情報の揺れがあると、学習者に混乱を招く原因になります。内容の精査では、細かな部分まで注意深く確認し、マニュアル全体が正確かつ一貫性のあるものになるよう努めることが重要です。
チェックリストや校閲ツールを活用して、可能な限りミスを見逃さないようにしましょう。精査が完了したら、最終段階に進む準備が整います。
フィードバック収集・改善
OJTマニュアルを作成した後、フィードバックの収集と改善を行いましょう。フィードバックを受け取る際には、複数の人にマニュアルを見てもらうことが重要です。
さまざまな立場や経験を持つ人々の意見を取り入れることで、マニュアルの内容や表現方法に関する洞察を得ることができます。フィードバックを受け取ったら分析して、必要に応じてマニュアルを改善しましょう。
このようにして、より使いやすく、有益なOJTマニュアルを完成させることができます。
OJTマニュアル作成時のポイント
OJTマニュアルを作成する際は、いくつかのポイントに注意することで、効果的なマニュアルを作ることができます。ここからは、そのポイントに注目して詳しく解説します。
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OJTマニュアル作成時のポイント
未経験者でも理解できる内容にする
OJTマニュアルを作成する際の重要なポイントは、未経験者でも理解しやすい内容にすることです。そのためには、専門用語や業界特有の言葉をできるだけ避けたり、使用する場合は必ず注釈を付けたりすることが大切です。
未経験者は、業界の専門知識や用語を持っていない可能性が高いため、専門用語を使用すると理解が難しくなります。使用する場合は注釈を入れることで、その用語の意味や背景を説明し、読者が理解しやすくなります。
画像・イラストを盛り込む
OJTマニュアルを作成する際、画像やイラストを盛り込むことで視覚的にわかりやすくなります。たとえば、作業手順や手法を説明する際には、その手順を図解やイラストで示すことで、手順がわかりやすくなります。
また、複雑な概念や構造を説明する際には、図表やチャートを使用することで、情報を整理しやすくなります。これらの視覚的な要素は、言葉だけでは伝えにくい情報を補完し、読者にとってマニュアルを理解しやすくします。
そのため、OJTマニュアル作成時には、適切な場面で画像やイラストを活用して、読者が迷うことなく業務を理解できるよう配慮しましょう。
学習者の意見も反映する
学習者からの意見を取り入れることで、マニュアルの使いやすさや理解しやすさを向上させることができます。学習者に直接マニュアルを使用してもらい、フィードバックを積極的に収集します。
その際には、マニュアルの理解のしやすさや説明の明確さ、必要な情報の充実度などについて意見を求めましょう。収集した意見を検討し、改善点や追加すべき内容をマニュアルに反映させることで、より使いやすいマニュアルを作成することができます。
学習者が自分たちの声を反映させたマニュアルを使うことで、自身の学習効果も向上し、より効果的な教育ができるでしょう。
動画マニュアルの作成も検討する
OJTマニュアルを作成する際に、動画マニュアルの作成も検討しましょう。動画マニュアルはテキストや画像よりも視覚的でわかりやすいため、学習効果を高めることができます。
たとえば、実際の業務手順や操作方法を実演することで、学習者はより具体的に理解できます。また、動画は何度も視聴できるため、学習者が自分のペースで繰り返し学習することができ、理解を深めることが可能です。
そのため、OJTマニュアルの作成には動画マニュアルを取り入れることで、学習効果を最大限に高めることができます。
学習者とのコミュニケーションを怠らない
OJTマニュアルがあるからといって、学習者との直接的なコミュニケーションを怠るべきではありません。学習者とのコミュニケーションを怠ると、マニュアルの内容を理解しているかどうかを正確に把握できません。
また、学習者へのヒアリングはコミュニケーションをとる機会にもなります。学習者の不安や疑問を直接聞くことで、理解度や課題を把握し、適切なサポートや説明を提供することができます。
まとめ
OJTマニュアルは、業務に関する情報や手順などをまとめたドキュメントです。OJTは業務に取り組みながら、スキルや知識を身につける教育手法であり、効果的な実施のためにOJTマニュアルの作成が推奨されます。
学習用業務マニュアルには、業界や業務内容に応じて異なる項目が含まれます。マニュアル作成時には、専門用語の避け方や視覚的な要素の導入、学習者のフィードバックの取り入れなどのポイントに留意することが重要です。
本記事で紹介したポイントを考慮し、効果的なOJTマニュアルを作成しましょう。
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