マニュアルと手順書の違いとは?それぞれの作成方法やポイントも解説

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  • マニュアルと手順書は混同されがちだが、目的・役割・記載する内容が異なる
  • マニュアルは業務の全体像を示すものであり、手順書は具体的な手順を説明するもの
  • マニュアル・手順書は、5W1Hを意識し、読み手の知識レベルに合わせて作成する

マニュアルと手順書はどちらも企業の業務を効率化するために必要なもので、違いを意識せずに使っている方も多いかもしれません。しかし、これらは目的・役割・記載内容が異なります。この記事では、マニュアルと手順書の違いやそれぞれの作成方法、作成時のポイントを解説します。

目次

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  1. マニュアルと手順書の違いとは
  2. マニュアル・手順書の作り方
  3. マニュアル・手順書を作成する際のポイント
  4. まとめ

マニュアルと手順書の違いとは

企業において業務の質を標準化したり、属人化を防止したりするには、マニュアルや手順書の作成といった方法が効果的です。なお、マニュアルと手順書は業務に関わる文書のため、混同されることが多いです。

しかし、マニュアルと手順書には、目的・役割・記載内容に違いがあります。自社にとって最適な方法を選択するには、それぞれの違いを理解することが大切です。ここでは、マニュアルと手順書の違いについて、目的・役割・記載内容別に解説します。

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マニュアルと手順書の違いとは

  1. 目的
  2. 役割
  3. 記載内容

目的

マニュアルと手順書では、作成される目的に違いがあります。それぞれの主な目的について解説します。

マニュアルの目的

マニュアルとは、従業員に業務全体の流れ・ルールを理解してもらうことを目的としています。より具体的には、業務の内容や手順に加え、その業務を行う背景や意図、周囲業務に与える影響などについて、幅広い事柄を認知してもらうことが目的です。

マニュアルを作成することにより、従業員は、業務全体の流れや意図を把握したうえで各工程に取り組むことができます。そのため、業務に対する理解と責任感が生まれやすくなり、結果として、作業の再現性の向上に期待できます。

ひいては、業務全体における品質の均一化につながるでしょう。

手順書の目的

手順書は、決まった作業を安定的に行うことを目的として作成されるのが一般的です。作業の内容や手順を具体的に示すことで、初めて業務に取り組む人でも、ベテラン従業員と同等の成果を出せるでしょう。「作業手順書」や「作業標準書」と言い換えられることもあります。

手順書を作成し、従業員ごとの業務品質のばらつきを抑えることで、企業としてビジネスの品質を一定に保つことにつながります。

役割

マニュアルと手順書では、果たすべき役割にも違いがあります。正しいマニュアルや手順書を作成するには、それぞれの役割を理解する必要があります。

マニュアルの役割

マニュアルには、主に2つの役割があります。

1つ目は、従業員に業務を正しく理解させ、業務品質の標準化につなげることです。作業の手順だけでなく、概要・背景・意図について理解させることで、従業員が適切に業務を遂行できるよう促します。

これにより、業務品質のばらつきを抑えることができ、企業全体として安定的な業務遂行を実現できます。

マニュアルの2つ目の役割として、社内における業務のノウハウ・知識を蓄積し、生産性の向上につなげる点が挙げられます。

社内で共有されている業務ノウハウ・知識には、「暗黙知」と呼ばれる非言語的なものも含まれます。これらの多くは、従業員が経験から体得したものであり、個人に属人化しやすいのが課題です。

すなわち、ノウハウや知識を社内全体で蓄積できないため、該当の従業員の退職と同時に失われ、生産性が低下する恐れがあります。しかし、マニュアルの作成により、このような暗黙知を、言語化された「形式知」に変換することが可能です。

文書または表・図を利用し、ノウハウや知識を誰でも理解しやすい形に変換することで、従業員間における共有が可能になります。つまり該当の従業員が退職しても、ノウハウや知識を財産として社内に残すことができ、生産性を損なわずに済みます。

手順書の役割

手順書の役割は、作業の内容や手順を具体的に示すことで、業務品質を統一することです。作業の進め方を分かりやすく説明することで、職務経験に左右されずに、誰でも同一のレベルで作業を遂行できるようになります。

なお、作業の内容や手順については、マニュアルと重複することもあります。しかし手順書ではマニュアルに比べて、作業のやり方をより詳細に解説している点が異なります。

記載内容

マニュアルと手順書では目的・役割が異なるため、それに伴って記載内容にも違いがみられます。それぞれの主な記載内容を解説します。

マニュアルの記載内容

マニュアルには、業務全体の内容やノウハウのほか、業務を円滑に進めるためのルール、その業務の背景や意図など、総合的な情報を記載するのが一般的です。

より具体的には、次のような内容を記載します。

  1. 業務フロー
  2. 達成目標
  3. 業務に必要な知識
  4. 品質基準
  5. ノウハウ
  6. 失敗例・注意点

マニュアルには業務全体を俯瞰し、各プロセスを体系立てて記載します。業務の全体像を理解することを目的としているため、各工程ごとの情報量は、手順書に比べて少ない傾向があります。

手順書の記載内容

手順書の記載内容は、各工程の詳細な進め方です。例えば、「契約書の作成業務」においては、準備すべき契約書の種類・記載すべき項目・捺印箇所・取引先への送付方法など、業務フローに沿って各工程の作業内容を事細かに解説します。

手順書では、各作業にスポットをあてます。そのため、業務の流れや全体像に関する情報はマニュアルほど多くありません。

マニュアル・手順書の作り方

マニュアルと手順書の作成方法は、重複している部分もある一方で、大きく異なる点もあります。それぞれの作成方法を理解し、適切なマニュアルや手順書を作成しましょう。

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マニュアル・手順書の作り方

  1. マニュアルの作成方法
  2. 手順書の作成方法

マニュアルの作成方法

マニュアルは、次のような流れで作成します。

  1. 目的と対象範囲の決定

マニュアルを作成する際は、目的に重点を置くことが大切です。具体的には、マニュアルを読んだ人が達成すべきゴールを設定しましょう。この目的に応じて、記載すべき対象範囲を調整してください。

  1. 構成の決定

1で設定した目的を達成できるように、マニュアルの骨組みを組み立てます。あらかじめ記載すべき項目を決めておくことで、必要事項の抜け漏れが起きにくくなります。

  1. 内容の記載

構成に沿って、内容を具体的に記載していきます。なお、スムーズに作業するには、あらかじめマニュアルの内容に応じたフォーマットを用意しておくのがおすすめです。例えば、箇条書きなら「ステップ式」のフォーマットを用意すると良いでしょう。

  1. テスト運用

完成したマニュアルを実際に試験的に運用します。実際に現場で運用して、改善点や課題が見つかった場合は修正・更新しましょう。

  1. 運用開始

テスト運用で問題がなければ、本格的な運用開始となります。運用開始後は、定期的に内容を見直し、実務とマニュアルが乖離しないように注意しましょう。

手順書の作成方法

手順書は、次のような流れで作成するのがおすすめです。

  1. 手順の洗い出し

各作業の手順を洗い出し、抜け漏れがないか確認しましょう。初めて作業をする人でも正しく業務を遂行できるように、各手順の流れを詳細に解説することが望ましいです。手順ごとの注意点や必要な知識についても、このステップで明確にしておきましょう。

  1. 構成の決定

1で設定した手順ごとに構成を決めます。読み手が混乱しないよう、構成は時系列に沿って行うことが大切です。

  1. 内容の記載

構成に沿って内容を具体的に記載します。注意点・品質基準・補足事項は、各工程ごとにまとめて記載すると読みやすいでしょう。

  1. 運用開始

完成した手順書を実際に運用します。本格的な運用開始前に、作業に慣れた従業員の間で試験運用しても良いでしょう。現場の意見や改善点を反映することで、より精度の高い手順書を運用できます。

マニュアル・手順書を作成する際のポイント

マニュアル・手順書を作成する際は、5WH1を意識することや、読み手の目線に立つことが大切です。ここからは、マニュアル・手順書を作成する際のポイントをご紹介します。

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5W1Hを意識する

わかりやすいマニュアルや手順書を作成するには、5WH1を意識し、次のような項目を満たすことが大切です。

  1. When:いつ
  2. Where:どこで
  3. Who:誰が
  4. What:なにを
  5. Why:なぜ
  6. How:どのように

5WH1が満たされていないマニュアルや手順書は、作成者の主観に偏った内容になりやすく、読み手に内容が伝わりにくい可能性があります。5WH1を意識することで、客観性を保つことができ、初心者でも理解しやすいマニュアルや手順書を作成できます。

併せて、記載内容はできる限り具体化することを心がけましょう。例えば、「少し」「多めに」のような表現は、読み手によって受け取り方が異なるため、業務品質のばらつきにつながる恐れがあります。抽象的な表現は避け、明確な数値や指標を記すことが大切です。

読み手の知識レベルに合わせる

マニュアルや手順書は、読み手の業務に関する知識レベルに合わせて作成しましょう。例えば、ベテランの従業員専用のマニュアルや手順書であれば、難しい専門用語を使用したり、細かい説明を省いたりしても、大きな問題は起こりにくいでしょう。

しかし、初心者向けに作成する場合は、誰でも理解できるような内容にする必要があります。例えば、専門用語に注釈をつけるといった工夫が代表的です。また、文章は短く簡潔にまとめることが望ましいでしょう。

箇条書きやリストを適宜活用しながら、読み手の立場に立った分かりやすい表現を心がけることが大切です。

画像や動画を活用する

マニュアルや手順書にはテキストだけでなく、画像・表・動画を活用するのがおすすめです。視覚的な情報を与えることで、初心者でも業務の取り組み方を直感的に理解しやすくなります。

例えば、作業の工程ごとに写真を掲載する方法があります。業務の流れを掴みづらい恐れがある場合は、フローチャートを掲示するのも有効です。特に難易度の高い業務については、詳細に写真や図を用いることで、誰でも内容を把握しやすくなります。

ただし、画像や動画の乱用しすぎにより、かえって内容を理解しづらくなる可能性もあります。テキストと画像・動画のバランスを見極めて、適度に挿入することが大切です。

デザインにこだわりすぎない

デザインやレイアウトに凝りすぎると、視覚的に見づらくなり、読み手が混乱する恐れがあります。そのため、マニュアルや手順書のデザイン・レイアウトは、出来る限りシンプルにすることが望ましいです。

また、複数人でマニュアルや手順書を作成する場合は、あらかじめデザインやレイアウトを統一しておくことが望ましいです。例えば、重要事項は太字にするのか、枠で囲むのかなど、事前に話し合って決めておきましょう。

定期的にアップデートする

作成したマニュアルや手順書は、定期的に見直してアップデートしましょう。実際に運用してみてはじめて気づく問題点や改善点もあるためです。

また、新しい機器の導入やビジネスの変化によって、マニュアル・手順書の内容が老朽化し、実際の業務フローと乖離していくケースは少なくありません。

使いづらいマニュアルや手順書は、現場で敬遠されやすく、ひいては業務効率や品質の低下につながる恐れがあります。現場の意見や声に耳を傾けながら、実用的で使いやすいマニュアル・手順書に更新を続けていくことが大切です。

エスカレーション先を決める

マニュアルや手順書を作成する際は、内容について疑問が生じた際のエスカレーション先を決めておきましょう。エスカレーションとは、上司や担当者に問題解決の対応を任せたり、指示を仰いだりすることです。

エスカレーション先を決めておくことで問題解決に至るまでのフローが明確になり、迅速な対応が望めます。トラブルが発生しても作業が中断しにくいため、業務効率の低下を防ぎます。

また、エスカレーション先で得た疑問や問題などは、解決までのプロセスをマニュアルや手順書にも共有することでさらなるアップデートが可能です。

マニュアル作成ツールを使用する

マニュアルや手順書を作成するには、それに特化したツールやフォーマットを使用することで作成に至る業務を短縮し、見やすく読みやすい文書が作成できます。マニュアル作成ツールにはさまざまな種類があり、内容・仕様・費用に合わせて選択しましょう。

例えば、レイアウトに沿って入力するだけで簡単にマニュアル作成ができたり、クラウド上で業務フローや手順が確認できるものを作成できたり、実行までのチェックリストを設けたりできるツールもあります。

また、マニュアル作成ツールを使用する上ではデータを共有しやすいものを選び、複数人でマニュアル・手順書を作成する場合は自動保存や変更履歴が確認できるなど、保存形式や共有の是非についてもチェックしましょう。

まとめ

マニュアルと手順書は、業務への取り組み方をまとめた文書です。これらを作成することで、業務品質の均一化や属人化の防止に期待できます。マニュアルと手順書は内容が似ていることから、混同されることも多いですが、目的・役割・記載内容に違いがあります。

例えばマニュアルの目的は、従業員に業務の流れやルールを正しく理解してもらうことです。一方、手順書は決まった作業を間違いなく遂行してもらうために作成されます。

なお、マニュアル・手順書を作成する際は、初めて読む人でも簡単に内容を理解できるよう、5WH1を意識したり、画像や動画を適宜使用したりすることが大切です。また、内容が実務と乖離していないか、定期的な見直しも必要です。

それぞれの違いを理解して、適切なマニュアルや手順書を作成し、自社の業務効率や生産性の向上につなげましょう。

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