チップは経費精算できる?勘定科目・受け取った際の会計処理も解説
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- 海外出張中に支払ったチップも、領収書など証拠があれば経費精算できる
- しかし領収書がもらえないケースが多いため、多くの会社は日当に含めている
- チップを受け取った場合の会計処理方法は会社によって異なる
海外出張で支払うシーンの多いチップも、経費として精算することができます。しかし領収書がない場合も多く仕訳が複雑になりがちです。この記事ではチップは一般的にどのように精算されているか、勘定科目やチップを受け取った場合の会計処理も含めて解説します。
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経費精算システムは、経費申請・承認業務を効率化してくれるツールです。しかし、さまざまな製品があるため、どのシステムを選べばよいのかわからないというケースも多いでしょう。この記事では、経費精算システム選びのポイントやおすすめのシステムを紹介します。
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海外出張時のチップも経費精算できる
チップとは、レストラン・ホテル・タクシーなどでサービスを受けたときに、そのスタッフに支払うサービス料です。日本では馴染みの薄い制度ですが、海外では基本的に支払うのがマナーです。
よって海外出張の際に支払うチップは、業務上やむを得ない支出となるため、経費精算の対象となります。なお、チップの経費精算には金額などを証明するもの(領収書)が必要です。
日本ではチップに代わって「心付け」というものが知られています。心付けはチップと同じく、接客したスタッフに渡すものです。
しかしチップが「サービスへの対価」であるのに対し、心付けは「サービスへの感謝」を表す側面が強いとされています。そのため心付けは、経費精算できないこともあります。
「出張旅費規定」で日当に含めている会社も多い
チップは経費精算が可能ですが、それには領収書の提出が必要です。しかし基本的にチップはその場でスタッフに手渡しするため、ほとんどの場合領収書は出ません。つまりチップとは、領収書を得るのが難しい支出となります。
そのため多くの企業は、領収書のないチップ代は日当に含めることを出張旅費規程に盛り込んでいます。出張旅費規程とは出張費用精算のためのルールで、具体的な内容は企業によって異なります。
「サービス料」にチップが含まれていることもある
飲食店の場合は、支払伝票の中にサービス料としてチップの金額があらかじめ記載されているケースが多いです。この場合は飲食代金の中にチップが含まれているため、別途支払いは不要です。
チップを経費精算する際の勘定項目
チップを経費精算するには、まず仕訳が必要です。勘定科目の決め方は企業によって異なりますが、チップの発生状況にあわせて次のように仕訳するのが一般的です。
チップ発生の例 | 勘定科目の例 |
---|---|
レストランで打ち合わせした場合 | ・取引先との打ち合わせ:交際費 ・自社従業員との打ち合わせ:会議費 |
ホテルでポーターに渡した場合 | ・宿泊代・出張費 |
タクシードライバーに渡した場合 | ・旅費交通費・出張費 |
領収書のないチップを日当として支払う場合、勘定科目は「旅費交通費」や「出張費」が一般的です。
チップが経費にならない例
業務上必要なチップは経費精算が可能です。たとえば次のような相手に渡すチップが該当します。
- 宿泊ホテルのポーター・ベッドメイキング係
- 取引先・宿泊ホテルに移動するタクシーの運転手
- 打ち合わせで利用するレストランの給仕係
一方で、経費精算できないチップもあります。たとえば海外出張中のプライベートな飲食・娯楽や観光などの際に支払うチップは、業務上必要といえません。よって当然ながら経費精算の対象外です。
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チップが経費にならない例
プライベートで飲食店に入った
プライベートな食事のために飲食店に入った場合、給仕係に支払うチップは経費精算外です。取引先や同僚との打ち合わせを兼ねた食事ではなく、純粋に食事する場合が該当します。
同じくホテルでのルームサービスのチップも経費精算の対象になりません。部屋で食事を摂りながら同僚と打ち合わせする場合は、ルームサービス係に支払うチップは会議費として経費精算できる可能性もあります。
現地ツアーのガイドに渡した
現地での自由時間にツアーなどに参加することもあるでしょう。たとえば観光地ツアーのほか、サーフィン・乗馬のレッスンツアーなどが代表的です。
この場合、現地ツアーガイドや運転手に支払うチップは経費精算の対象外です。なお、ツアーではツアー代金にサービス料が含まれていることが多いため、そもそもチップの支払いが不要な場合もあります。
ただし、現地ツアーへの参加が会社から指示されている場合は、業務を遂行していると見なされるため、ツアーガイドなどに支払うチップも経費として認められます。
観光地に行くためにタクシーを使った
プライベートで観光に行く場合、タクシー運転手へのチップは経費清算できません。ただし、取引先の相手をエスコートしている場合は業務とみなされるため、経費精算の対象になりえます。
チップを受け取った場合の会計処理
チップは支払うだけでなく、受け取ることもあるでしょう。たとえば飲食店やホテルなどのサービス業で、会計時に客から「おつりはいらない」と言われるケースが該当します。
チップは原則として課税対象にあるため、受け取った場合もやはり会計処理が必要です。ここからは、受け取ったチップの会計処理のポイントをご紹介していきます。
サービス業でお客からチップを受け取った場合
受け取ったチップの仕訳方法は企業によってルールが異なります。一般的には、従業員個人の「雑収入(雑所得)」としての仕訳が一般的です。1年間に得たチップの総額が20万円以上の場合は課税対象となるため、各人で税務署へ申告しなければなりません。
企業によっては、個人が受け取ったチップは経営者に渡すというルールを設けています。この場合は、チップを企業の売り上げとして計上し、従業員全員に均等に分配することが一般的です。売上は当然ながら課税対象となるため、企業に申告の義務があります。
投げ銭は「贈与」ではない
チップの新しい形として、「投げ銭」が広がりつつあります。投げ銭とはいわゆる「おひねり」にあたり、演劇・音楽・映像の分野で、アーティストやクリエーターに直接現金を渡すものです。
近年は、動画配信者にバーチャル上で投げ銭できるシステムも整備されています。多くの場合、受け取ったバーチャルの投げ銭は現金化できます。
投げ銭はパフォーマー・クリエーターへの応援料という側面があります。では、投げ銭は税務上どのように処理すべきでしょうか。
原則として投げ銭は所得にあたります。確定申告が必要であり、年間金額が20万円以上の場合は課税対象にもなります。なお、勘定科目は「事業所得」または「雑所得」とするのが一般的です。
なお、投げ銭は応援料であるため、所得ではなく贈与になると誤解されがちです。贈与の場合も申告は必要ですが、1年間の取得金額が110万円以下であれば贈与税は発生しません。
課税対象となる金額が大きく異なるため、投げ銭を所得ではなく贈与として申告したいと思う方も多いでしょう。しかし前述の通り、投げ銭は所得にあたります。申告漏れ・ミスが発覚した場合は罰則が科されるため、くれぐれも処理の仕方に注意してください。
海外出張の多い会社は経費精算システム導入がおすすめ
海外出張でのチップの経費精算には為替計算が必要であり、一般的な経費精算に比べると手間がかかります。特に海外出張が多い企業では、チップを含め出張費用精算には大きなコストが割かれるでしょう。計算ミスなどのヒューマンエラーにも注意が必要です。
海外出張が多い企業は、経費精算システムの導入も良い方法です。経費精算システムの中には外貨レートに対応しているものも多く、経理担当者を大きく軽減できます。計算ミスのリスクを減らせる点も大きなメリットです。
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まとめ
海外出張時などに支払うチップは経費精算が可能です。領収書のないチップについては、出張の日当として支払う企業が多くなっています。なお、出張中でもプライベートな用事で支払ったチップは、当然ながら経費精算できません。
チップを受け取った場合は、従業員個人の雑所得とするか、企業の売上として計上し、従業員全員に給与として分配するのが一般的です。いずれも税務署への申告が必要なため、忘れないようにしましょう。
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