クリニックにおけるマニュアル作成の重要性|作成時のポイントも解説

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  • クリニックでは、マニュアル作成により業務標準化や教育の負担軽減が可能になる
  • マニュアルを作成する際は、読み手の知識レベルに配慮し、必要に応じて図や写真を使う
  • 作成したマニュアルはいつでも閲覧できる場所に置き、定期的に内容を見直す

人材育成などに関する課題が発生しがちなクリニックにおいては、業務マニュアルの作成が推奨されます。マニュアル作成により、業務の標準化や教育の負担軽減を図ることができます。この記事では、クリニックにおけるマニュアル作成の重要性や作成時のポイントなどを解説します。

目次

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  1. クリニックでマニュアル作成が必要な理由
  2. クリニックでマニュアル作成を行う際のポイント
  3. クリニックでマニュアルを効果的に運用するために
  4. まとめ

クリニックでマニュアル作成が必要な理由

常に忙しいクリニックでは、マニュアルの作成は後回しにされがちです。しかし、マニュアルを作成して正しく運用することで、業務の効率化や品質改善など多くのメリットを実感できます。マニュアルは、忙しい医療現場で多大な効果を発揮するといえます。

まず始めに、なぜ規模も小さく従業員も少ないクリニックでマニュアルを作成すべきかについて解説します。

マニュアル作成とは?メリット・デメリット、ツールの選び方を解説

マニュアルを作成することで、教育コストを削減し、業務の効率化や属人化防止に効果的です。またマニュアル作成ツールを導入することで、マニュアル作成に関する課題の解決に役立ちます。本記事では、マニュアル作成の手順やマニュアル作成ツールの選び方などを解説しています。

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業務を標準化するため

クリニックでマニュアルを作成するメリットの1つは、作業の標準化が図れる点です。スタッフごとに作業の方法が異なっているケースや作業が属人化しているケースでも、マニュアル化することでそれらを解消でき、スムーズに業務が行えます。

業務のマニュアル化は、誰が処理してもほぼ同じ結果が得られるための仕組み作りに役立ちます。例えば、スタッフの一人が急に退職する場合でも、マニュアルがあれば引き継ぎがスムーズになり、後任スタッフへの移行も日常業務に支障なく行うことができます。

特定のスタッフしか業務のやり方を把握していない場合、急な欠員や退職者が出た際にマニュアルがないと代わりのスタッフは手探りで業務を進めなければなりません。このようなことを避けるためにも、クリニックでのマニュアル作成はとても重要です。

教育の手間を軽減するため

業務について明確に記載されたマニュアルがクリニックにあれば新人を教育する手間と時間を軽減できます。新人が業務をスムーズに行えるようになるには、それなりに手間と時間が必要です。しかし、クリニックでは教育に回せる人手が足りない場合もあるでしょう。

そういった際にマニュアルがあれば、教育担当者が1対1で教える場面も減らすことができますし、何度も繰り返し教える手間も省けます。

また、同じ新人でもさまざまなタイプの人がいます。大雑把な人や几帳面な人、また得意な作業など、性格や能力は人それぞれです。マニュアルがあれば、このような個々人の差が業務に影響するのも防げます

クリニックは人材育成の課題を抱えがち

クリニックでの人材育成では、さまざまな課題が浮上しがちです。一般的な病院では、実務経験がないスタッフは、最初から外来や病棟などに配属されて仕事をすることはありません。

まず、人事課や総務課などに研修配属された後、病院勤務に必要な基本教育が行われてから各部署に配置されます。しかし、クリニックそのような丁寧な教育を行うことは困難です

教育のための時間がなかなか取れない中、スタッフを短い期間で戦力にするには工夫が必要です。これらの問題をいかにクリアしていくかがクリニック全体の評価にもつながってきます。このような観点からも、マニュアルの作成は非常に重要です。

客観的に人事評価を行うため

マニュアルは、評価を行う際に客観的な基準を提供してくれるものにもなります。マニュアルに沿って作業できているかが評価基準になるのです。

クリニックに限りませんが、客観的に人事評価を行うことも人材管理には重要です。基準がしっかりと決まっていることで、スタッフの満足度が上がることにもつながります。スタッフのモチベーションアップも同時に期待できる点も大きなメリットと言えます。

また、医療現場では患者に対する医療サービスの質や効率を向上させるためにも、各々の業務を評価する必要があります。客観的な評価を行うことは患者の満足度にも影響するのです。

業務改善につなげるため

マニュアル作成は、現行の業務の改善にも役立ちます。マニュアルを作成するためには業務内容の洗い出しが必要になりますが、その作業の中で現行では効率的でない部分など見直すべきところが見えてきます

今まで当たり前のように行っていた業務も、改めて文字や図で可視化するとより良いやり方が見つかることもあります。

マニュアル作成は、今のやり方が本当に効果的なのか、改善すべき点はないか、という疑問を提議しながら行う作業でもあり、自院のクリニックとしての質をさらに向上させるきっかけにもなるのです。

クリニックでマニュアル作成を行う際のポイント

マニュアルは、読みやすさ・見やすさが何よりも重要です。誰が見ても分かりやすいマニュアル作りを目指すには、作成する際のポイントを知っておく必要があります。

クリニックでは、看護師用の看護業務マニュアルや受付をはじめとした医療事務マニュアルなど、複数のマニュアルが必要になりますが、ここでは、どの種類のマニュアルにも共通する作成のポイントを5項目に分けて解説します。

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読み手の知識レベルに配慮する

クリニックに限らず、業務マニュアルを作成する際は、読み手の知識レベルをあらかじめ想定しておきましょう。読み手に合わせた文章で作成することは、分かりやすいマニュアル作りのカギとなります。

マニュアルは、使う人が理解できる言葉で書かれていなければ、意味がありません。初心者を想定して書く場合には、できるだけ難しい用語は使わずに書いた方が理解しやすいです。

ただし、使う人の知識レベルによっては、必要以上に丁寧な表現になっていないかも注意しなければなりません。たとえば、専門用語についての解説は注釈があるとより親切で分かりやすいと思われがちですが、記載が多すぎると逆効果となることもあります。

作業手順や内容は具体的に記載する

マニュアルを作成する際は、作業手順・作業内容はできるだけ具体的に記載することも重要なポイントです。業務内容をより具体的に細かく記載することで、スタッフごとの作業の差を縮めることができ、失敗の軽減にもつながります

ただし、文章が冗長になってしまうと読みにくさを生み、マニュアルの効果を十分に発揮できなくなってしまいます。

たとえば、「最初に〇〇を行う」「次に△△を」などのように業務の区切りがはっきりとわかる書き方にすると、読みやすいマニュアルになります。また、箇条書きや番号リストなどを用いて、具体的でありつつも簡潔になるように工夫すると良いでしょう。

仕事の全体像を把握できるようにする

新人が仕事を覚える際には、仕事の全体像を把握しながら各項目を理解して、実践できるレベルまで引き上げることが大事です。マニュアルは具体的な作業の工程のみならず、最終的に何が目的なのかや、全体の流れについても把握できるような内容が理想的です。

ベテランのスタッフだけでなく、新人やまだ経験が浅いスタッフが見ても分かりやすいマニュアルにするためには、全体像の記載が必須です。

新人スタッフは、なぜその作業をするかといった意味を理解できることで、迷いや不安、疑問を持つことなく効率的に動くことができるようになります。

必要に応じて図や写真を使う

マニュアルの内容は、文章だけではわかりにくい場合があります。特に、文字表現だけでは伝わりにくい機器の使い方の説明などは、図や写真・動画なども活用して作成するのが有効的です。

さらに、仕事の流れなどをフローチャートで説明すると、視覚的に理解することができて覚えやすいです。

このようにマニュアルに図や写真・動画などをポイントで使うと、最初に仕事を覚えるときだけでなく、後で不明点を見返すときも探しやすく、確認しやすくなる点も大きなメリットです。

クレームやトラブルも共有する

クリニックのマニュアルには、作業の流れや機器の使い方などだけでなく、過去のクレームやトラブルなどについても記載しましょう。

過去に起きたクレームや容や問題点を把握しておくことで、特に注意すべき箇所がわかり、いざという時に対応する際の参考になります

同時に過去のクレーム・トラブル内容を知ることは、いかに各業務が重要であり、ミスを少なくすることが大切かについて理解することにも役立ちます。

チェックリストを作る

マニュアルを作成する際は、チェックリストも作成しておくと、実際の業務で非常に役に立ちます。業務内容で確認すべき点をチェックリストで示すことで、うっかりミスや見逃しなどを防ぐことができます

なお、チェック項目は担当者が最初にチェックし、その後に責任者がダブルチェックする項目を載せるのがおすすめです。

また、チェック項目が多いとそのための仕事量が増えたり、チェックに時間がかかったりしてしまうため、すべての業務にチェックリストを設けるのではなく、ミスが多い箇所や必ずチェックしておきたい点に絞って載せることも大事です。

テンプレートやツールを利用する

クリニックでは、一からマニュアルを作成するための人手と時間を捻出するのも難しい場合があります。そこで役に立つのがマニュアルテンプレートやマニュアル作成ツールです。

ExcelやWordなどでマニュアルを作成する際に活用できるテンプレートはインターネット上に多数ありますし、マニュアル作成・管理に特化したツールも存在します。

「見やすいマニュアルの作り方がわからない」という方も、これらを使えば洗練されたデザイン・レイアウトのマニュアルを効率的に作成できます。無料のものも有料のものもありますので、一度探してみて自院で作りたいマニュアルのイメージに合うものを選びましょう。

おすすめのマニュアル作成ツール10選|選ぶ際の比較ポイントも解説

企業のマニュアル作成には、マニュアル作成ツールの利用がおすすめです。マニュアル作成ツールを使えば、業務や操作の手順書はもちろん、動画マニュアルも容易に作成できます。この記事では、おすすめのマニュアル作成ツールや選ぶ際の比較ポイントを解説します。

クリニックでマニュアルを効果的に運用するために

クリニックでマニュアルをより効果的に運用するためには、マニュアルを作成した後の運用にも注意しましょう。ここでは、マニュアルをより効果的に運用するために確認しておきたい重要ポイントを3項目に分けて解説します。

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クリニックでマニュアルを効果的に運用するために

  1. いつでも閲覧できる場所に保管する
  2. 定期的に内容を見直す

いつでも閲覧できる場所に保管する

業務マニュアルは、担当者がいつでも閲覧できる場所に保管することも重要です。業務で使用する機器の近くやポータルサイト上など、仕事の動線を考えていつでもすぐに閲覧できる場所に保管しておきましょう

できるだけ早く対応する必要がある場合、マニュアルが遠くにあったりどこにあるか分からなかったりすると、スタッフのストレスが溜まるだけでなく、患者からのクレームにもつながります。

マニュアルは、常に手が届く場所、あるいは端末の分かりやすい場所に保存するなど、担当者が探しやすい場所に保管し、ファイル名は複雑でないものにしておくことも大事です。

定期的に内容を見直す

マニュアルを作成した後は、定期的に内容を見直し、修正や追加をしていくことが必要です。一度マニュアルを作ったらそれで終わりではなく、定期的な内容の見直しをすることで、業務改善やさまざまな状況変化への迅速な対応に繋げることができます

定期チェックのタイミング、また使用機器の変更や新しい制度の導入などがあった場合のマニュアルへの反映方法をあらかじめ決めておくのがおすすめです。

また、クレームや患者からの指摘があった場合なども、改善できる点は迅速に変えていくことが大切です。クレームは単なる批判としてではなく、サービスリクエストとして考え、よりよいクリニック運営のためのアドバイスと捉えることも重要です。

まとめ

クリニックにおいて、業務マニュアル作成は大きな意義のあるものですマニュアルを作成することで業務を標準化することができ、教育する側の負担を軽減したり、教育のための時間を有効的に使ったりすることも可能です。

なお、マニュアルを作成する際は、学ぶ側の知識レベルに配慮すること大事です。必要に応じて図や写真・動画などを使うとより分かりやすくなり、効果的です。また、マニュアルだけでなく、チェックリストの添付もミス防止につながります。

そして、作成したマニュアルは、いつでも閲覧・確認できる場所に置くことが求められます。さらに、内容を定期的に見直し、必要であれば修正し追記していくようにしましょう。本記事を参考に、誰が見ても分かりやすいマニュアル作りを目指しましょう。

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