マニュアル改訂の流れ・改訂履歴の書き方|改訂のタイミングも解説

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- マニュアルは定期的に改訂し、改訂した際には改訂履歴を記録しておく必要がある
- 改訂時にはマニュアル使用者と変更箇所をすり合わせ、改訂後は社内への周知を行う
- 半年もしくは1年に1回はマニュアルを見直し、必要に応じて改訂を検討すべきである
マニュアルは定期的に改訂することで、ミスやトラブル、業務効率の低下を予防できます。また、マニュアルを改訂した際には、改訂履歴を記録しておく必要があります。本記事では、マニュアル改訂の流れや改訂履歴の書き方、改訂すべきタイミングについて解説します。
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マニュアルには改訂履歴が必要

業務マニュアルとは、業務手順やルールなどをまとめた文書のことです。業務マニュアルを作成することで、従業員は一貫した方法で作業を進められるようになり、組織全体の業務の質を向上できます。
業務マニュアルは定期的な改訂が必要であり、改訂した際には、その履歴を記録しておく必要があります。古い情報が載ったマニュアルを使い続けると、ミスやトラブルを招き、業務効率が低下するリスクがあるためです。
改訂履歴の記録により、マニュアルの信頼性と透明性を確保し、組織内のコミュニケーションと連携を促進できます。

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マニュアル改定とは
改訂と改定の違いとは
改訂と間違えやすいものに改定があります。改定とは、既存のルールを見直して新たに定めることを指します。例えば、現状の商品・サービスに関する価格を改定する際には「改定」を使用します。
対して、改訂は書類や資料に関する表記を変更して理解しやすくすることです。つまり、マニュアルに関わる内容の変更や修正ではほぼ必ず「改訂」を使用します。ただし、新たな項目を定める際には「改定」が使われる場合もあります。
マニュアル改訂の重要性
企業を取りまくビジネス環境は常に変化しており、組織における業務環境も同時に変化しています。例えば、技術の発展によって新しい機器やプロセスが導入されたり、法令・規制・自社の要件などが変更されたりすることがあります。
そのため、マニュアルの改訂は、業務に関わる最新の情報や手順を反映させて、従業員が正確かつ効率的に業務を遂行するために欠かせません。以下では、マニュアル改訂の重要性について詳しく解説します。
ミスやトラブルを防ぐ
マニュアル改訂の重要な目的の1つは、ミスやトラブルを防ぐことです。組織内の業務プロセスや手順が古くなった場合、迅速にマニュアルが改訂されないと、従業員が古い情報に基づいて業務を行う可能性があります。
その結果、ミスやトラブルが発生するリスクが高まります。したがって、マニュアルを適切に改訂し、最新の業務手順や変更された要件などを反映させ、従業員が常に正確な情報にアクセスできるようにすることが重要です。
常に最新の情報に更新することで、正確な手順での業務が可能になり、ミスやトラブルが減少します。また、組織の業務品質と信頼性も向上します。
マニュアルの形骸化を防ぐ
組織内の業務環境は常に変化しており、新しい技術や手法が導入されたり、業務プロセスなどが変更されたりすることがあります。この時にマニュアルが改訂されず、古い情報のまま使用され続けると、実際の業務状況とのギャップが生じます。
その結果、マニュアルが実際の業務の役に立たず、形骸化して誰も参照しなくなります。従業員は各々のやり方で業務を実施するようになってしまい、業務の一貫性や正確性が保証されなくなるでしょう。
形骸化を防ぎ、マニュアルが継続的に使用されるようにするためにも、マニュアルの定期的な改訂が求められます。
業務効率の低下を防ぐ
業務効率の低下を防ぐためにも、マニュアル改訂は重要です。マニュアルは業務を行う上での指針や手順書となりますが、業務が変化するにつれて新しいプロセスや手順が追加されなければ、古い手順や情報に基づいて業務を行う可能性があります。
その結果、非効率的な方法で業務を進めてしまい、生産性が落ちてしまうリスクがあります。より効率的な業務手順が確立されたら、迅速にマニュアルに反映し、従業員に共有しましょう。
業務の属人化を防ぐ
マニュアルは作成から時間が経過するほどに、マニュアルには記載されていない業務が増え、特定の人物しか業務を把握していない属人化が発生する可能性があります。この状態が続くと、引継ぎや事業拡大の際にナレッジが正しく共有されません。
業務のノウハウを蓄積し、社内ナレッジとして誰でも理解できるように共有するためにも、マニュアル改訂の重要性が高いといえます。なお、マニュアル改訂に伴い、これまでの改訂履歴を参照できるようにしておくと、質疑応答などにかかる時間を削減できます。
マニュアルの改訂の流れ・改訂履歴の書き方

マニュアルの改訂は、組織内の業務プロセスの変化や新たな知見に基づいて行われます。定期的な改訂は、業務効率の向上や作業の正確性を確保する上で重要です。ここでは、マニュアルの改訂の流れや改訂履歴の書き方について解説します。
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マニュアルの改訂の流れ・改訂履歴の書き方
マニュアル使用者からのヒアリング
マニュアルの改訂の流れとして、まずは使用者から改善要望をヒアリングすることが非常に重要です。マニュアルの実際の使用経験から得られるフィードバックを改訂に反映すれば、直接的な業務プロセスの改善に役立ちます。
フィードバックを収集する方法としては、アンケートの実施、フィードバックボックスの設置、定期的なミーティングやインタビューなどが挙げられます。これらの方法によって収集したフィードバックを分析しましょう。
フィードバックされた項目の中には、業務プロセスの効率性、理解しやすさ、正確性などに関するものが含まれます。これらの項目をカテゴリー分けして優先順位を付け、改善が最も必要な項目や即時対応が必要なものを特定します。
変更箇所・内容のすり合わせ
収集したフィードバックを基に、マニュアル使用者と改訂を行う責任者が協力して改訂内容を検討し、すり合わせを行います。そして、マニュアルに対する変更点や具体的な改訂方法を議論し、合意します。
その後、検討した内容に基づいてマニュアルの改訂を行います。これには、文言や手順の修正、新しい情報の追加、図表の追加・変更などが含まれます。改訂を行ったら、マニュアルを最終確認し、関係者から合意や承認を得ましょう。
このように、マニュアル使用者と改訂を行う責任者が協力することで、より正確なマニュアルの改訂が実現します。その結果、業務プロセスの効率化や業務品質の向上にもつながります。
変更箇所の修正・改訂履歴の作成
マニュアルの改訂が必要な箇所を特定し、変更箇所を修正した後に、改訂履歴を作成します。改訂履歴には、変更の日付と具体的な変更内容、改訂するに至った経緯を簡潔かつ明確に記述しましょう。
改訂履歴がマニュアルに含まれることで、マニュアルの使用者や改訂責任者が過去の改訂内容を追跡し、把握しやすくなります。以下では、改訂履歴の具体的な書き方について解説します。
改訂箇所が少ない場合
改訂箇所が少ない場合でも、改訂履歴を明確に記述しましょう。改訂内容が軽微な場合には、以下の手順で改訂作業を行います。
- 表紙に「第2版」などの版数を記入
- 表紙の次に改訂された内容を表形式で挿入
- 本文中の改訂したい箇所を修正
これらの項目を明確に記載することで、少ない改訂箇所でも改訂履歴が適切に管理され、マニュアルの透明性と信頼性を確保できます。
改訂箇所が多い場合
改訂箇所が多い場合でも、改訂履歴を明確かつ簡潔に記述することが重要です。以下に、改訂箇所が多い場合の改訂履歴の書き方を解説します。
- 表紙に版数を記入
- 表紙の次に、改訂の背景や経緯である「改訂序文」を挿入
- 改訂序文の次に、版数・発行日・改訂内容を記載した表を挿入
- 本文中の改訂箇所には、改訂の理由を「改訂注」として挿入
- 巻末には、改訂注をまとめたものとして「改訂索引」を挿入
改訂箇所の数に関わらず、改訂履歴を明確に記述することで、マニュアルの更新履歴を適切に管理できます。
社内への周知
マニュアルの改訂が完了した時点で、従業員や関係者に改訂内容を周知しましょう。どの点を変更・追加したのか、実際の業務手順がどう変わるのかを明確に説明します。
その結果、従業員や関係者は最新の正確な情報を把握し、業務に適切に適用できるようになります。また、改訂履歴に社内周知が行われた日付や方法、対象者などの情報を記録することも大切です。
マニュアル改訂のタイミングとは

マニュアルの改訂は、組織の業務プロセスの変更や法令・規則の変更など、さまざまな要因に基づいて行われます。ここでは、マニュアル改訂のタイミングについて解説します。
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マニュアル改訂のタイミングとは
半年もしくは1年に1回
業務環境や市場の変化に伴い、業務プロセスにも変化が生じることがよくあります。具体的には、新たなツールやシステムの導入、業界の規制や法律の改正、内部の手続きやポリシーの見直しなどが発生します。
そのため、半年もしくは1年に1回、定期的にマニュアルの見直しや改訂を行うのがおすすめです。定期的なマニュアルの改訂は、組織内の業務効率や品質管理を維持し、最新の情報を従業員に提供するために欠かせません。
ただし、緊急を要する重要な変更が生じた場合には、随時マニュアルに反映し、周知させる対応も必要です。
業務内容やルールの変更時
業務内容やルールに変更があった場合、マニュアルの改訂を速やかに行うことは非常に重要です。迅速にマニュアルを改訂することで、従業員に最新の情報を提供でき、間違った古い手順や情報の使用を防げます。
また、業務内容やルールの変更は、法令と規制の変更にも関連しています。マニュアルを速やかに改訂することで、法的リスクの回避にも繋がります。
ミスや事故が発生したとき
業務中にミスや事故が発生した場合、ヒューマンエラーとして片付けるだけでなく、マニュアルに不備がなかったか、手順が実情に合っていなかったのではないかなど、仕組み自体を見直す必要があります。
例えば、手順書が長すぎて読み飛ばされていたり、操作手順に図や注意事項の表記がされていなかったりすると、想定外のミス・事故が発生しやすいです。改定の際には、当事者や関係者にヒアリング・事実確認を行い、再発防止策を検討しましょう。
また、必要に応じて現状のフォーマットや構成の見直しも行い、再度研修と教育を行うことが大切です。
マニュアルを改訂する際のポイント

マニュアル改訂作業では、担当者を決め、適切なスケジュール管理を行うことも重要です。ここでは、マニュアル改訂をスムーズに進めるためのポイントを解説します。
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マニュアルを改訂する際のポイント
改訂の担当者を決めておく
マニュアル改訂は、改訂作業の担当者を決めて行うのがおすすめです。改訂作業は現場の従業員の声も反映させながら行うべきですが、誰が情報を収集し、実際に編集するのかを決めておくことで、更新漏れや作業の煩雑化を防止できます。
また、改訂作業後にチェックする担当者も決めておきましょう。情報が正確かどうかはもちろん、誤字脱字がないか、修正漏れがないかも確認します。担当者が責任を持って、改訂作業やチェックを行うことで、より精度の高いマニュアル運用に繋がります。
余裕のある改訂スケジュールを組む
マニュアルの改訂は定期的に行うべきですが、改訂には一定の時間を要することに留意しておきましょう。修正箇所やページ数にもよりますが、改訂作業には1ヶ月程度の期間を見積もっておくのがおすすめです。
特に、社員の入社や人事異動がある新年度はマニュアル改訂の良いタイミングと言えますが、同時に多忙な時期でもあるため、マニュアル改訂作業に十分な時間が割けない可能性もあります。
そのため、やや早めに準備を始め、最適なタイミングで改訂できるようにスケジュールを組みましょう。
ツールを活用したマニュアル改訂

Word・Excelは多くの企業で使われているツールであり、マニュアルの文書管理や改訂履歴票・チェックリストとして活用しやすいです。その他、Googleドキュメント、Notion、ナレッジ共有ツールといった選択肢もあります。
特に、自動的にバージョン履歴を残してくれるものや、複数人での同時編集が可能なもの、コメント機能で改善部分がわかりやすいものなど、効率的なマニュアル改訂を行う上では、用途に合わせたツールの活用がおすすめです。
タスク管理を行いながら視認性と理解のしやすさを向上させることで、抜け漏れと伝え漏れを防げます。クラウドベースのツールなら、リモートワークや拠点間の情報共有に関しても連携性を強化することが可能です。
まとめ

マニュアルの改訂履歴は、マニュアルの更新や変更を追跡し、過去の改訂内容を記録するために重要です。改訂履歴には、改訂の日付とバージョン番号、変更内容の概要、具体的な改訂箇所の詳細、改訂を行った責任者などの情報が含まれます。
改訂履歴により、マニュアルの使用者も最新の情報を把握できるようになります。また、改訂履歴は品質管理や法令遵守の観点からも重要です。
さらに、マニュアルに加えられた修正点や変更点を記録として残すことは、マニュアルの信頼性や品質の向上にも繋がります。適切なタイミングでマニュアルを改訂し、正確な改訂履歴を記録・管理しましょう。
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