事務マニュアル作成の手順を解説|必要性や作成のポイントも

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  • データ入力や書類作成などの業務全般を担う事務職において、マニュアルは必要不可欠
  • 事務マニュアルにより、業務効率化や改善、属人化の防止、研修の負担軽減などが可能
  • 事務マニュアルを作成する際は、工数や合否ラインなどの基準を明確にすることが重要

事務職とは、データ入力や書類作成、電話対応などの業務全般を担う職種です。事務マニュアルを作成することで、業務の効率化や改善、属人化の防止、研修の負担軽減などを図れます。本記事では、事務マニュアル作成の必要性やメリット、作成手順、作成ポイントを解説します。

目次

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  1. 事務職におけるマニュアル作成の必要性
  2. 事務職の種類と業務内容
  3. 事務マニュアルの作り方
  4. 事務マニュアルを作成する際のポイント
  5. 事務マニュアルを作成する際の注意点
  6. 事務マニュアルを効率的に作成できるテンプレートもある
  7. まとめ

事務職におけるマニュアル作成の必要性

事務職は、日々のデータ入力から電話対応に至るまで、多岐にわたる業務をこなす必要があります。そのため、一貫性のある作業基準を確立し、業務効率を向上させることは非常に重要です。

事務マニュアルは、業務の属人化を防いで、正確な業務遂行のためのガイドラインとして機能します。また、新しいスタッフの研修時間を短縮し、既存スタッフの作業品質の向上にも繋がるでしょう。

本記事では、事務マニュアルを作成するメリットや作り方、作成する際の注意点などについて解説します。

マニュアル作成とは?メリット・デメリット、ツールの選び方を解説

マニュアルを作成することで、教育コストを削減し、業務の効率化や属人化防止に効果的です。またマニュアル作成ツールを導入することで、マニュアル作成に関する課題の解決に役立ちます。本記事では、マニュアル作成の手順やマニュアル作成ツールの選び方などを解説しています。

事務職においてマニュアルを作成するメリット

事務職におけるマニュアルの作成は、業務効率化や改善に繋がります。文書化された作業手順は、新入社員の迅速な研修と既存社員のスキル向上に不可欠です。また、日々の業務における疑問や不明点が生じた際には、マニュアルが指針となります。

ここでは、事務職においてマニュアルを作成するメリットについて解説します。

業務効率化や改善に繋がる

明確な指示と手順が記載されたマニュアルがあることで、従業員は日々の業務を迅速かつ正確に遂行することができます。業務の詳細や最新の手順をいつでも確認できるため、作業の一貫性を保つことができ、結果的に全体の作業効率が向上します。

さらに、定期的なレビューと更新を通じて、業務の無駄や非効率な部分を特定して、改善策を適切に実施することが可能です。そのため、事務業務の品質と効率が持続的に向上し、従業員の満足度も高まります。

研修にかかる時間や負担を軽減できる

詳細かつ包括的なマニュアルがある場合、研修担当者は毎回同じ内容を繰り返し説明する必要がなくなります。また、マニュアルを基にした実践的な研修に集中することができ、研修を受ける社員の疑問に、個別に応じる時間を増やすことができます。

そのため、研修の質が向上し、より実践に近い形で業務に対する理解を深めることが可能です。また、研修を受ける人自身もマニュアルを活用することで、自分のペースで学習を進めることができるため、効率的な学習にも繋がります。

さらに、マニュアルは、研修終了後も日常業務の中での疑問解決やスキル向上の参考資料として役立ち、長期的な自己成長をサポートします。

業務の属人化を防げる

属人化とは、特定の業務や知識が特定の個人に依存してしまう状態を指し、その社員が不在の場合、業務が滞る可能性があります。しかし、詳細なマニュアルがあれば、業務の実施方法が明確に記録されており、誰もがその指示に従って同様の成果を出すことができます。

また、マニュアルは職員間の情報共有を促進し、チームワークを向上させる効果もあります。明確なガイドラインがあることで、新しいメンバーや異動が発生した際も、スムーズに業務を引き継ぐことが可能になります。

このように、マニュアルは個々の従業員が持つ知識や経験を組織全体で共有・活用することを可能にし、業務の効率化と組織の強化を実現します。

事務職の種類と業務内容

事務職には、様々な種類があります。例えば、営業事務は、主に営業支援活動に関わる書類の作成やデータ管理を行い、営業チームのバックオフィスを支えます。人事労務事務は、従業員の採用から退職に至るまでの人事管理や給与計算、労務管理を担当します。

その他にも、経理事務法務事務、貿易事務などがあり、それぞれが特有の業務内容と役割を担っています。

種類特徴マニュアル化する業務内容
営業事務・営業支援
・データ管理
・顧客情報の整理
・受注処理
・見積作成手順
・顧客データベースの更新方法
人事労務事務・従業員管理
・給与計算
・労務管理
・採用プロセス
・給与計算手順
・休暇申請処理
経理事務・財務管理
・帳簿記録
・請求書処理
・会計ソフトの使用方法
・経費精算処理
・月次・年次決算手順
法務事務・契約書作成
・法的文書管理
・法律相談対応
・契約書の作成ガイドライン
・文書管理プロトコル
・法規遵守チェックリスト
貿易事務・輸出入手続き
・通関書類作成
・国際コミュニケーション
・輸出入申請手続き
・通関書類の作成手順
・外国通貨取引処理方法

事務マニュアルの作り方

事務マニュアルを作成する際は、業務内容の洗い出しや構成の考案など、さまざまな工程があります。これらの工程を適切に行うことで、効果的な事務マニュアルの作成に期待できます。ここからは、事務マニュアルの作り方について解説します。

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業務内容を洗い出して整理する

事務マニュアルを作成する際は、まずは業務内容の洗い出しと整理を行いましょう。そのためには、全ての日常業務をリストアップし、それらがどのように連携し合っているかを明確にします。

具体的には、現場の従業員にヒアリングを行って、各従業員が日々どのような業務に取り組んでいるか、どの業務が最も時間を要しているか、また業務遂行時にどのようなツールや情報が必要かなど詳細な情報を収集します。

この際、業務の優先順位を設定して、業務の重要度や緊急性を考慮することが重要です。さらに、業務プロセス中に発生する可能性のある問題点やボトルネックも同時に特定しましょう。

構成や見出しを考える

効果的なマニュアルを作成するためには、読み手が必要な情報を迅速に見つけられるよう、論理的かつ直感的な構造を持つ必要があります。そのため、日常業務月次業務、緊急対応手順など、業務の大分類を考えましょう。

さらに、各セクションの中で細かいトピックに分け、それぞれに対する詳細な見出しを考案します。見出しは読み手が一目見ただけで、そのセクションが何についてのものなのかを直感的に理解できるようにする必要があります。

また、項目名に統一感を持たせることで、マニュアル全体の理解を深めることができます。このように、マニュアルを構成する際には読み手の視点を常に意識し、最も利用しやすい形式を模索することが重要です。

内容をマニュアルにまとめる

事務マニュアルに内容をまとめる際は、先に定めた構成や見出しに沿って、各セクションの詳細情報を充実させていきます。文書化する際には、専門用語の使用を避け、できるだけシンプルで直接的な言葉を選ぶことが重要です。

また、複雑なプロセスや手順は、ステップバイステップの説明や図表を用いて、視覚的に示すことで理解が深まります。また、マニュアルを実用的なリソースとするためには、実際の業務に即した例やケーススタディを取り入れることも効果的です。

文書の最終稿を仕上げる前には、数名の従業員に内容を確認してもらい、フィードバックを反映させましょう。

フィードバックを元に改善を繰り返す

事務マニュアルが完成しても、そこで終わりではありません。定期的に従業員からマニュアルに対するフィードバックをもらって改善を行うことは、マニュアルの質を高める上で不可欠です。

フィードバックを収集する際には、マニュアルの理解しやすさや実用性、網羅性など、具体的な改善点を特定しましょう。フィードバックは、偏りがないように多様な視点から得ることが望ましいです。

また、提案された変更がマニュアルの目的に沿っているかどうかも慎重に検討する必要があります。

事務マニュアルを作成する際のポイント

事務マニュアルを作成する際は、業務の優先順位の明確化やテレワーク時にも活用しやすいかなどを考える必要があります。これらのポイントによって、従業員に定着しやすい事務マニュアルを作成できます。

ここからは、事務マニュアルを作成する際のポイントについて解説します。

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必要な備品やその収納場所も記載する

事務マニュアルに、業務に必要な備品やその収納場所を記載することは、効率的な業務遂行において重要です。情報が明確になることで、従業員は必要な資料や機材を迅速に見つけることができ、時間のロスを最小限に抑えられます

特に新入社員や異動があった場合には、必要な物品の位置をすぐに特定できるため、スムーズに業務が行えます。また、共有スペースでの物品管理がしやすくなり、誰が使っても同じ場所に返すことが習慣化されます。

これにより、物品の紛失や無駄な購入を防ぎ、コスト削減にも繋がります。

業務の重要度や優先順位を明確にする

事務マニュアルに業務の重要度や優先順位を明確に記載することで、従業員は日々の業務を計画する際に、どのタスクを優先すべきかを瞬時に判断が可能です。特に期限が迫っている業務においては、この情報が遅延を防ぎます。

また、業務の重要度や優先順位を明示することは、チーム内でのコミュニケーションを促進し、業務の透明性を高めます。各メンバーが同じ基準で業務を評価し、優先して取り組むべき項目を理解していれば、業務の重複や見落としの防止にも繋がるでしょう。

工数や合否ラインなどの基準を定める

事務業務において、工数や合否ラインといった基準を明確に定めることは、業務の質と効率を保証するために重要です。これらの基準を設定することで、各タスクに要する時間の見積もりが可能となり、業務スケジューリングの精度が向上します。

また、合否ラインの設定により、成果物の品質基準が具体化され、従業員はその基準を満たすことを目指して、業務を行うことができます。このような明確なガイドラインは、業務の遂行に一貫性をもたらし、個々の従業員の自主性と責任感を高めることにも繋がります。

関連事例や例文などを記載しておく

事務マニュアルに関連事例や例文を記載することは、理論だけではなく実践的な知識の伝達に役立ちます。具体的な事例を挙げることで、抽象的な指示やガイドラインが実際の業務シナリオでどのように適用されるかを明確に示せます。

このような実例は、従業員が新しい情報を学ぶ際に理解を深める手助けとなります。また、従業員が遭遇する可能性のある状況に対処する方法を記載することで、自信を持って業務に取り組めるようになります。

テキストや動画などの形式を使い分ける

テキストは具体的な指示や定義、手順を明確に記述するのに適しています。一方、画像や図表は複雑なプロセスや概念を視覚的に示すことで、テキストだけでは伝わりにくい情報を補完します。

動画は、実際の業務プロセスのスピード感を示すことができ、操作方法の説明やソフトウェアの使用方法のデモンストレーションに向いています。それぞれデメリットもあるため、特性を理解して使い分けましょう。

テレワーク時の活用しやすさに配慮する

近年、事務職を含む多くの業種でテレワークが積極的に導入されています。このような働き方の変化を踏まえると、事務マニュアルをテレワーク時でも活用しやすい形で構築することが重要です。

例えば、マニュアルがデジタル形式であり、オンラインで簡単にアクセスできるようにすることが挙げられます。これにより、従業員は自宅や移動中でも必要な情報を迅速に参照できるようになります。

また、テレワーク環境では、直接のコミュニケーションが制限されるため、マニュアル内での説明がより明確である必要があります。さらに、テレワーク環境特有の業務プロセスやセキュリティ対策など、テレワーク時に注意が必要な点についても明確に記載しましょう。

事務マニュアルを作成する際の注意点

事務マニュアルを作成する際は、注意しておくべきポイントが存在します。これらの点に考慮することで、効果的な事務マニュアルの作成や運営に繋がるでしょう。ここからは、事務マニュアルを作成する際の注意点について解説します。

WordやExcelは負担がかかる

WordやExcelを用いて、事務マニュアルの作成や管理を行う企業も多いです。しかし、WordやExcelは、複数人による編集が難しく、情報量が多くなるとファイルが重くなりやすいです。そのため、効率的なマニュアル作成が難しい点に留意しましょう。

また、スマートフォンのような小さな画面では、操作や閲覧がしにくい問題もあります。このように、WordやExcelによる作成・管理は、作成する側と閲覧する側の両方に負担がかかりやすいため注意が必要です。

柔軟な対応が難しくなる可能性がある

事務マニュアルを作成することで、作業手順や業務における対応の効率化や標準化を図ることができます。その一方で、事務マニュアルに書かれていない状況に陥った場合、従業員は臨機応変に対応することが難しくなる恐れがあります。

ひいては、従業員が自主的に考えて動く力が低下し、マニュアルに依存するリスクも考えられます。したがって、事務マニュアルを作成・運用する際は、同時に従業員自身で判断できる力や柔軟性を伸ばすための教育が必要です。

作成には手間と時間がかかる

事務マニュアルを作成する場合、マニュアルを作成する担当者やチームの選定から、マニュアルを作成して実際に運用できるまでには非常に大きな時間と手間を要します。場合によっては、通常の業務と同時進行になることで、残業せざるを得なくなることも考えられます。

また、マニュアル作成が初めての場合、事務マニュアルのクオリティにも影響が出る可能性もあります。事務マニュアルの精度が低いと、作業ミスや業務が非効率化することもあるでしょう。

事務マニュアルは自社で作成する以外にも、外注やマニュアル運用ツールの活用などで作成が可能です。自社でマニュアルを内製できそうかを十分に検討した上で、これらの方法も検討しましょう。

事務マニュアルを効率的に作成できるテンプレートもある

自社で事務マニュアルを効率的に作成したい場合は、テンプレートの活用がおすすめです。テンプレートの中には、各ソフトに備わっているものやインターネット上で無料で公開されているものもあり、コストを抑えてマニュアルを作成したい企業に適しています。

また、これらのテンプレートは一般的に、目次章立て、ヘッダー、フッターなどが事前に設定されており、ユーザーは自社のニーズに合わせてこれらをカスタマイズできます。

一部のテンプレートには、作成における具体的な指示やヒントが含まれていることもあり、マニュアル作成が初めての場合でも簡単に作成することが可能です。

まとめ

事務マニュアルの作成は、事務職における業務の効率化標準化、品質の保持に不可欠です。マニュアルには、必要な備品やその収納場所、業務の重要度や優先順位、工数や合否ラインなどの基準も含めましょう。

さらに、関連事例や例文の記載は、マニュアルの実用性を高め、理論を実践に結びつけるのに役立ちます。本記事の内容を参考に事務マニュアルを作成し、定期的なレビューと更新を繰り返すことで、組織の成長を支えるツールとなります。

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