立替経費とは?精算や仕訳の方法、期間・限度額などの注意点も解説
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- 立替経費とは、会社が負担すべき経費を従業員が一時的に支払うこと
- 立替経費は給料と一緒に支払われることもあるが、所得税は課税されない
- 従業員の負担を減らすため、10万円以上の立替は避ける
立替経費とは、会社が負担すべき経費を従業員が一時的に支払うことです。例として、営業先へ移動する際の交通費や取引先とのミーティングで発生するお茶代、業務で使う文房具代などがあります。この記事では立替経費の精算手順や仕訳、知っておきたい注意点などを解説します。
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経費精算システムは、経費申請・承認業務を効率化してくれるツールです。しかし、さまざまな製品があるため、どのシステムを選べばよいのかわからないというケースも多いでしょう。この記事では、経費精算システム選びのポイントやおすすめのシステムを紹介します。
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立替経費とは
立替経費とは、会社の業務を行う上で発生する費用を、従業員が一時的に立て替えた経費のことです。本来は会社が負担するべき経費を従業員が立て替えて支払っているため、後に従業員は会社に対して経費精算を行います。
立替経費として挙げられる例として、取引先との接待飲食費・取引先への移動にかかる交通費・出張時の宿泊費・業務に必要な文具の購入などが挙げられます。
従業員が立て替えた時点では、経費として計上はされていませんが、従業員が会社に対して経費精算を行うことで会社の経費として振り替えられます。
立替経費と立替金の違い
立替経費は、本来は会社が支払うべき費用を従業員が立て替えた経費のことです。それに対して立替金は、従業員や取引先が支払うべき費用を一時的に会社が立て替えて支払った際に発生する勘定科目のことです。
言葉は似ていますが、会社が立て替えた立替金は経費とはならず、あくまでも資産の勘定科目という扱いです。立替経費と立替金は逆のものと考えておくと分かりやすいです。
立替経費と仮払金の違い
立替経費は、先にも述べた通り会社が支払うべき費用を従業員が立て替えた経費のことですが、仮払金は会社の経費として使用される費用を、会社が事前に概算支払いをする勘定科目のことです。
たとえば、出張など高額な経費が発生する場合、従業員の立て替え負担を少しでも減らせるように会社が事前に支払います。仮払金を受けた従業員は、出張後や経費が確定した際には経費精算を行う必要があります。
立替経費は課税対象?
従業員が立て替えて支払った経費は、給与と一緒に支払われた場合でも非課税扱いです。立替経費は「実費精算」が原則のため、よっぽど高額な経費でなければ所得税の課税対象にあたりません。
そのため、経理担当者は給与と一緒に振込手続きを行う際は、給与明細への記載も非課税扱いとする必要があります。受け取った従業員もまた、明細をしっかりと確認することが大事です。
立替経費を精算する際の手順
従業員が立て替えた経費は、後に会社に対して経費精算を行います。ここでは、立替経費が発生した場合の精算作業の手順を解説します。
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立替経費を精算する際の手順
立て替えた従業員が申請する
立替精算を行う場合は、経費を立て替えた従業員が申請をしなければいけません。精算を行う場合は、会社によって規程やルールに違いはありますが、会社のフォーマットによる経費精算書を作成するのが一般的です。
また、立て替えて支払った証拠となる領収書・レシートが必要で、経費精算書と併せて提出をしなければいけません。経費精算書には主に、支払った日付・具体的な内容・金額などを記入します。
尚、領収書を受け取る際に気をつけなくてはならない点として、領収書の宛名が会社名になっているか確認が必要です。個人名であったり、宛名がない状態のものにならないよう、受け取る際に会社名で記入してもらうようにしましょう。
上司や管理者が確認・承認する
従業員が経費を立て替えて支払い、その費用を精算する際には上司や管理者の承認を得なければいけません。従業員は、会社のルールに則って作成した経費精算書・証明となる領収書・レシートを一緒に上司・管理者に提出します。
提出を受けた上司・管理者は、経費の使われ方が正当であるか、金額・使用目的・内容に不備はないかなどのチェックを行います。不備があれば、作成をした従業員に差し戻しを行い、内容に問題なければ承認印を押して経理へ提出します。
経理担当者が仕訳をする
経理担当者は、上司の承認を受けて提出された経費精算書が正当なものであるか確認を行います。不備があれば作成を行った従業員に差し戻しを行い、問題がなければ仕分け処理を行います。
会社は従業員が立替精算をした時点で、経費として計上をし仕訳を行います。経費精算を申請する従業員は借方となり、立て替えた内容に合った交通費・消耗品費・接待交際費などの勘定科目を用います。
それに対して、会社側は貸方となり仕分けの際は立替金として処理を行います。また、会社によっては立替金を未払金としている場合もあります。
従業員へ精算金を支払い、経理処理を行う
従業員へ立替精算金の支払いは、少額であれば現金で行う場合もありますが、多くは会社の指定日や給与日に併せて支払いを行います。支払い方法については、会社によって異なりますので、会社のルールをしっかりと把握しておきましょう。
また、支払いが行われると会計上の立替金(未払い金)は無くなり、借方を立替金に、貸方は預金や現金預金として処理をすることが重要です。
「小口出金」からその場で現金払いしても問題ない
少額の交通費・お茶代・文具代などの立て替えの場合は、会社によっては小口現金から支払う場合もあります。この場合も、立て替えた従業員は領収書・レシートを提出する必要があります。
小口現金を設けている会社はまだ多く、少額であれば領収書・レシートと引き換えに現金で支払うという仕組みです。支払った小口現金管理者は、レシートなどの保管と共に台帳や、PC上の専用フォーマットに金額を入力します。
しかし、小口現金による経費の支払いはデメリットもあります。たとえば、紛失や細かな金銭の受け渡しとなるため、残高が合わなくなるなどです。また、使用した小口現金は定期的に経理に報告にする必要があり、担当者の手間になりがちです。
立替精算とは?仮払金・立替金との違いや立替精算を減らす方法を解説
立替精算とは、本来会社が負担する経費を従業員が一時的に立て替えて、後から会社が精算することです。立替精算には、業務や経済的負担が大きい課題があり、対策が必要です。本記事では、立替精算の流れや立替精算を減らす方法、電子帳保存法との関係を解説しています。
社長や役員が立て替えた経費の仕訳
会社の社長や役員が経費を立て替えた場合の仕訳方法は、一般社員の経費精算と異なり、役員借入金もしくは、短期借入金として仕訳されます。経費精算が終わると、現金で支払った場合は勘定科目は借方が役員借入金(短期借入金)となり、貸方は現金となります。
社長や役員が使用する経費については、いくつかの条件を満たした場合にのみ経費として取り扱いが可能な項目もあります。大きく「業務上必要性があるもの」「業務上関係のないもの」の2つに分かれ、必要性のあるものと判断されたものが経費として扱われます。
立替経費に関する注意点
立替経費の発生は、金額によっては従業員への負担となる場合もあります。ここでは会社のルールを定めるなど立替経費に関する注意点を解説します。
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立替経費に関する注意点
立替期間を決めておく
従業員が立て替えを行う際は、立替期間をあらかじめ定めておくことが必要です。立て替え期間については法的な決まりは特にありません。しかし、立て替え金額によっては従業員の負担が大きくトラブルの原因になります。
そこで、会社の立て替えにおけるルールを定めておくことが大事で、立替経費の精算についても期間を設けると会計上の処理もスムーズです。
立て替え期間のルールは会社によって違いは出てくるでしょうが、1か月が妥当なところでしょう。毎月の締め日を作ることによって、従業員の過剰な立て替えを防ぐことができる上に、経理上の処理も滞ることなく行えます。
立替できる限度額を決めておく
立替経費には上限を設けておくといいでしょう。少額の交通費や消耗品費程度であれば、それほど従業員の負担にはなりませんが、長期の出張や数十万以上となる立て替えは従業員の生活をも圧迫してしまう恐れがあります。
よって、会社のルールとして立て替えできる額に限度を設けておけば、従業員に負担が大きくかかりません。
どうしても経費が高額となってしまう場合は、会社のクレジットカードを社員に使用してもらったり、事前に仮払いを行うなどの対応をしましょう。
立替経費の精算方法は就業規則に明記しておく
立替経費の精算方法については、それぞれの会社で規則を設ける必要があります。従業員が作成する経費精算書の書式や記入方法の統一・提出期間・立て替え金額などそれぞれにルールを設けることで、経理上の対応がスムーズになります。
また、経費精算書作成や立替経費の精算方法などは、就業規則に明記しておくなどの対応をおすすめします。
経費精算システム導入で立替経費の管理も効率化できる
経費積算システムを使用すると、経費精算業務を自動化できます。また、申請業務の負担が軽減され、従業員は本来の業務に集中できます。そのため、これまで手入力で起こりがちだったタイプミスや仕訳ミスも少なくなります。
システムの種類によりますが、インターネットが使用できる場所であれば社外からの申請も可能です。また、上司が不在時には滞りがちだった承認作業もシステム上で行えるため、円滑に進めることができます。
システムを導入する際は、電子帳簿保存法に対応したシステムがおすすめです。精算業務の効率化に併せて、電子データでの取り扱いとなるためペーパーレス化が実現するなど、コスト削減にも繋がります。
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電子帳簿保存法とは
電子帳簿保存法とは、令和4年1月よりスタートした新制度です。これまで紙での保存が義務付けられていた会計に関わる帳簿書類を、電子データでの保存を認めている法律です。
尚、電子による保存法は下記の3つの区分に分かれます。
- 電子帳簿等保存:会計ソフトなどのシステム上で作成した帳簿を電子保存する
- スキャナ保存:領収書などの紙書類や画像データをスキャナで取り込み保存する
- 電子取引:メールなどの電子データで授受した取引情報をデータで保存する
これらの電子データを活用することにより、書類のペーパーレス化・経理業務の効率アップなどに繋がります。
電子帳簿保存法とは?保存方法・要件や罰則などをわかりやすく解説
電子帳簿保存法とは、国税に関する帳簿や書類を電子データで保存することを認める法律です。本記事では、電子帳簿保存法の3つの保存方法と要件や、対応しなかった場合の罰則、電子帳簿保存法に対応したシステムの選び方などを解説しています。
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まとめ
立替経費とは、本来は会社が支払うべき経費を、従業員が一時的に立て替えて支払った費用のことです。精算の方法については、会社ごとに異なりますが、ルールを設けて統一化を図ることが必須です。
また、立て替えた経費の上限を定めたり、立て替え期間を定めることにより、従業員の金銭的負担を軽減することができ、さらに申請・支払い業務を円滑に進められます。
さらに、電子帳簿保存法に対応した経費精算システムを導入することで、従業員・承認者・経理担当者の業務負担を抑えられ、電子データ化することによって、ペーパーレス化も実現できるなど、スムーズな業務遂行に繋がります。
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