経費とは?経費計上するメリット・デメリット、税金についても解説

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  • 経費とは、仕入れや消耗品費・地代家賃など事業を行うために支払った費用のこと
  • たとえ事業のための借入金でも、返済は経費として計上できないので注意する
  • 税金にも、経費になるものとならないものがある

経費とは、事業を行うために支払った費用のことです。旅費交通費や通信費、接待交際費などがあります。この記事では経費計上するメリット・デメリット、経費になるもの・ならないもの、税金は経費になるのかなどについて初心者にも分かりやすく解説します。

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経費精算システムは、経費申請・承認業務を効率化してくれるツールです。しかし、さまざまな製品があるため、どのシステムを選べばよいのかわからないというケースも多いでしょう。この記事では、経費精算システム選びのポイントやおすすめのシステムを紹介します。

目次

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  1. 経費とは
  2. 経費にするメリット
  3. 経費にするデメリット
  4. 経費計上するために必要な書類
  5. 必要経費として認められる費用
  6. 経費にならない費用
  7. 税金は経費になるか
  8. 経費計上についての注意点
  9. 個人事業主・自営業者の経費の考え方
  10. 経費を誤って計上した場合のペナルティ
  11. 経費精算システムでミスを防止し効率化できる
  12. まとめ

経費とは

経費とは、企業における業務上の事業運営のために使用されるお金を指します。事業に関係のない費用はどんなに少額であっても経費として認められません。それとは逆に、高額であっても事業に関係があれば経費として認められます。

事業で使用した経費は、パソコンや事務用品などの業務で使用するための製品だけに限りません。例えば、出張の際に発生した新幹線代や宿泊費・取引先との商談で使用した飲食代金・従業員が使うスマホの利用料金なども経費として勘定されます。

こういった費用はいずれも、業務上必要とされるため経費として認められます。別タイトルで紹介しますが、ほかにも多種多様な経費の種類があります。

「経費で落とす」とはどういう意味か

経費で落とすとは、事業にかかる費用を経費として計上し、利益を小さくすることで、税金の納税額を減らすことです。事業者の所得は事業収入から経費を引いて決まります。所得税などは所得に比例して課税されるため、経費計上で所得が下がると納税額が軽減できます。

要約すると、経費として計上の回数を重ねるほど所得が下がり、納税額を軽減できるため、節税につながります。

事業に関係する出費であれば経費として認められるため、事業運営に必要な微々たる備品購入や、タクシーでの短距離移動なども忘れずに領収書を作成してもらうようにしましょう。

経費にするメリット

どのような事業においても収益が上がらなければ経営は維持できません。しかし、収益があるかぎりは、税金の納付義務があります。税金の額は利益に比例して変わってくるため、基本的には収益が上がることで税金は増えます

企業の営業活動により、創出された成果は収益と称され、収益から経費を引いた額が利益になります。つまり、経費が増えれば利益は下がることになり、結果的には節税につながるメリットが生まれます。

経費にするデメリット

支出費用を経費として計上するには、領収書・レシート・振込み証明などの書類を保管しなくてはなりません。また、支出理由を明確に説明できるように管理する必要があります。これにより、経費処理には一定の作業が必要となり、事務負担が増加します。

経費は所得を減らし節税効果を創出しますが、結果的に会計上の利益が減少し、結果的に赤字化する可能性があります。金融機関からの借入れを予定している場合は、赤字は悪い印象を与えるため注意が必要です。

経費計上するために必要な書類

経費として計上するには、証明になる書類が必要です。宛名入りの手書き領収書やレシートなどは、普段から受け取る習慣にして、経費の証明として残さなければなりません。さらに、支出の用途を簡単にメモしておきましょう。

また、ATMでクレジットカードを利用した場合は、利用伝票が領収書の代用として使えます。銀行振込の場合は、ATMから発行される振込明細・請求書・納品書などをまとめて保管してください。

また、領収書を紛失したり、交通費などで領収書を受領できなかったりした場合に関しては、出金伝票を作成しておきましょう。

領収書・レシートがない場合

電車賃などで領収書が受け取れない出費、領収書を紛失した場合は、出金伝票を起こします。  出金伝票は、100円~200円程度で市販されているため、このような場合に備えて購入しておきましょう。

また、取引先の冠婚葬祭に出費した費用は、接待交際費として必要経費として計上できます。これらの伝票を起こす場合は、式典の招待状・祝儀・香典のコピーなども、一緒にまとめておいて保管してください。

必要経費として認められる費用

自社の経費として認められている費用は、自社の事業に関係していれば、広範囲にわたって計上ができます。ここでは、経費として認められている主な費用について解説します。

勘定科目詳細
仕入れ商品や材料などの購入費
人件費従業員に対する給与・賞与(ボーナス)・退職金
消耗品費コピー代・文房具代など
接待交際費来客のもてなし費用・会議室や飲食店の利用費用など
旅費交通費電車代・高速代・駐車場代・宿泊代
研究開発費イベント費用・セミナー受講費
新聞図書費本や雑誌、新聞などの購入費用・資料用DVDの購入費用・有料情報サイトの登録料など
通信費切手代・電話代・FAX代・インターネット利用料など
広告宣伝費広告・パンフレット費用など
地代家賃事務所の家賃
減価償却費固定資産で所定の計算をして配分された今年の額
福利厚生費健康診断・慰安旅行など
修繕費事業用の建物・附属設備・機械装置・車両運搬具などの固定資産の維持管理や修理のための費用
支払手数料銀行振込手数料・両替手数料
外注工賃業務委託のデザイン料・清掃業者への支払費用・営業の代行費用など

経費にならない費用

個人的な日用品・趣味用品・友人との飲み会費用などは、言うまでもなく経費ではありません。プライベートの支出など、自社の売上に結びつかない費用は、経費として計上できないため注意しなければなりません。

また、個人事業主本人の給与や年金・各種保険料などは経費として計上できません

個人事業主にとって、福利厚生といった概念は具体性に欠けるため、事業主自身の健康診断・人間ドックなどにかかる費用は、経費として計上できない規定になっています。

また、事業主自身が通うトレーニングジム・ヨガ・稽古などのレッスン料金なども経費ではありません。ただし、従業員の給与や健康診断などは経費として計上できます

税金は経費になるか

法人が事業を展開する過程の中で、さまざまな税金の支払い義務があります。しかし、税金の中には、経費になるものとならないものが存在し、それぞれで処理方法が異なります。

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租税公課は経費になる

租税公課とは、企業が事業を遂行するために支払う税金などの公的な出費を計上する勘定科目です。租税とは、国や地方公共団体に納付する税金で、公課とは国や地方公共団体に対する交付金・組合費・会費などの公的な課金のことです。

二つの費用を組み合わせたものが租税公課と呼ばれます。租税公課は税金の申告をする際に、必要経費として事業収入から控除できることが認められています。

概要種類
租税国や地方公共団体に納付する税金・不動産取得税・固定資産税・印紙税・事業税・自動車税
公課国や地方公共団体へ納付する手数料・罰金・会費など・行政サービスの手数料・国や公共団体が発行する  各種証明書の発行費用・商工会、同業団体などの   会費・延滞税、不納付加算税、過怠税など・交通反則金

※ 租税公課は税金や罰金などを指すため、経費とは異なります。

会社の法人税・個人の住民税や所得税は経費にならない

法人税などに含まれる税には、法人税・地方法人税・住民税・地方法人特別税・事業税があります。これらは、損益計算書の利益計算においては経費扱いですが、税務上は経費と認められないものもあります。法人税・地方法人税・住民税がこれに相当します。

また、個人事業主が支払う所得税や住民税は、経費として認められません。事業用の銀行口座から所得税や住民税を支払った場合には、租税公課ではなく、事業主貸といった勘定科目で処理します。

経費計上についての注意点

経費計上を処理するうえで、不正な申請をすると、追徴課税の対象となる場合があるため正確に処理しなければなりません。ここでは、経費計上を行う際の2つの注意点について解説します。

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経費計上してもお金が戻ってくるわけではない

経費を計上すれば、お金が戻ってくると勘違いしている方がいます。会社員の場合、源泉徴収により自身で支払った分を戻してくれたり、確定申告時に経費に計上できる支出があったりといった場合はあります。しかし、お金が戻ってくるといった規定はありません

借入金の返済は経費ではない

事業用の借入金だとしても経費に計上はできません。借入金の返済はお金が支出されるため、経費と捉えるかもしれませんが、返済前の借入金として借入れしているため、経費にすると辻褄が合わないことになってしまいます。

本質的には、借りたお金を返済しているだけなので、借入金によって財布の中身は潤っているはずにも関わらず、加えて返済を経費として計上すると脱税になります。借入金の正しい扱いは「負債」です。返済するときは、負債から返済額を引く形式で処理します。

個人事業主・自営業者の経費の考え方

経費とは、事業を行うために必要な費用です。会社員であれば、会社が前もって用意してくれるか、立て替えたお金を戻してもらえば済みますが、個人事業主の場合は自身で経費を支払い、確定申告のためにしっかり管理をしなければなりません

確定申告では、収入から経費分の金額や控除額を引いて、課税対象となる課税所得の確定を行います。また、住民税や所得税などの税金は、課税所得に対して課税されるため、個人事業主にとって何を経費として計上できるのかといった点は非常に重要です。

これにより、経費が多ければ多いほど課税所得が減り、支払う税金の額も減ります

家事按分とは

家事按分とは、個人事業主が個人的な生活費と事業費が混在している費用を規定のルールで計算し、事業に使用した分を算出することを指します。

家事按分を行うケースとしては、自宅の一室をワーキングルームとして使う、自家用車を事業用として使う、1台の携帯電話をプライベートでも仕事でも使用するなどがあります。

例えば、自宅を仕事場とするエンジニア・デザイナー・ライターなどの個人事業主、自宅の一部を事務所にしている士業、自家用車を移動手段にしているフリーランスのカメラマンなどが該当します。

経費を誤って計上した場合のペナルティ

経費の計上において不正が発覚したり、脱税の疑念を持たれたりした場合、どんなペナルティが規定されているのか分からない方のために、このタイトルでは経費の計上におけるペナルティについて詳しく解説します。

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経費を誤って計上した場合のペナルティ

  1. 過少申告加算税
  2. 無申告加算税
  3. 不納付加算税
  4. 重加算税

過少申告加算税

過少申告加算税とは、定められた税額よりも少ない税額で申告した場合に支払う罰則です。不足額に10%上乗せした税額を納めなければなりません。ただし、追加の納付税額が当初の申告額または50万円、どちらかを上回っている場合は税率が15%に変わります。

なお、税務調査の事前通知以前に修正申告をしておけば、過少申告加算税の支払いは免除されます。そのため、帳簿の間違いに気がついた時点で修正申告を行いましょう。

無申告加算税

無申告加算税とは、納付義務がある税額があるにもかかわらず、納付期限までに申告しなかった場合に支払うペナルティです。事業者は毎年、確定申告を行いますが、この場合の期限は確定申告の期限を指します。

また、災害や連絡の途絶など正当な理由があれば猶予が認められますが、特別な理由がない限り支払いの義務が生じます。計算方法は定められた税額によって異なります。50万円以下ならば15%、50万円以上であれば20%を加算した額を納付しなければなりません。

不納付加算税

不納付加算税とは、源泉徴収などの国税が納付期限までに完納されなかった場合に支払うペナルティです。源泉徴収は、法人や個人事業主が従業員に代わって所得税を納める仕組みです。

不納付加算税は、源泉所得税に10%を上乗せした額を支払う必要があります。また、5,000円未満は切り捨てとなるため、源泉所得税が5万円以上の方を対象としたペナルティです。なお、納付期限を過ぎても自主的に納付を行った場合は税率が5%に変わります。

重加算税

重加算税とは、そもそも申告すべき事実を故意に隠蔽・偽装していた場合に課税される税金を指します。簡単に言うと、本来申告する義務がある事実をわざと隠したり、わざとねじ曲げたりした場合にかかる税金です。

重加算税の税率は35%と非常に高いため、税務処理において絶対に避けたいところです。また、重加算税が課せられることは、脱税と同じような意味合いで受けとめられるため、税務調査の対象としてマークされやすくなります。

さらに、本来の税金の納付期限を過ぎている場合は、重加算税にプラスして、延滞税も加算される場合があります。

経費精算システムでミスを防止し効率化できる

経費精算システムには、規定違反チェック機能が搭載されており、入力漏れや計算ミスなどを申請前にチェックができます。さらに、独自の社内ルールも設定ができ、そのルールに準じていない申請に対して、経理での無駄なチェックや作り直しを削減できます。

また、上記のペナルティを受けないための対策として有効です。たとえば、手作業を自動化できるため、仕分けの判断ミスを防止するのに役立ちます。また、経費担当者の業務負担を軽減できるなど、メリットも大きいでしょう。

まとめ

経費とは事業を遂行するのに必要な費用で、収益を得るために発生する費用を指します。例えば、出張の際に移動や宿泊などにかかる「出張費」は経費として計上ができます。ほかにも、消耗品の購入や販売製品の仕入れにかかった費用など、経費の種類はさまざまです

経費の計上において、節税につながるのが最大のメリットです。一方で税法上の手続きが必要・利益が減少するなどのデメリットもあります。また、主な注意点として、経費計上してもお金が戻ってくるわけではない・借入金の返済は経費ではない、の2つが挙げられます。

経費計上は、企業の売上向上のために不可欠な業務の1つです。適切な知識を習得し業務を遂行していれば、法的なペナルティは回避できます。経費精算システムの利用など、業務の効率化も可能です。自社に合ったスタイルを選び、経費計上を行いましょう。

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