電話代行サービスの勘定科目とは?経費計上する際の注意点も解説

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- 電話代行サービスの利用料は一般的に「外注費」もしくは「支払手数料」で処理する
- 電話代行サービスのうち、社内の電話転送を利用している場合は「通信費」に該当する
- 勘定科目は自由に設定できるが、一度決めたら同じ科目を使い続ける必要がある
電話代行は企業にかかってくる電話対応を代行してくれる便利なサービスですが、その利用料はどのように経理処理すべきなのでしょうか。本記事では、電話代行サービスを経費計上する際の勘定科目や、知っておきたい注意点などを解説します。
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電話代行サービスの勘定科目

電話代行サービスとは、企業にかかってくる電話を代行業者が代わりに応対するサービスです。主に、電話受付や担当者への取次ぎなどを行います。サービスを利用することで、本来の業務に集中できるようになり、人件費削減などのメリットも得られます。
電話代行の利用料を会計処理する際は、サービスの内容に沿って適切な勘定科目を設定しなければなりません。ここでは、電話代行サービスの代金を経理処理する際の勘定科目について解説します。

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電話代行サービスの勘定科目
社外からの電話対応を依頼している場合
社外からの電話対応を依頼している場合、一般的には「外注費」または「支払手数料」の勘定科目で会計処理を行います。以下では、それぞれの勘定科目について具体的に解説します。
外注費とは
外注費とは、企業が外部の法人や個人に、自社の一部の業務を委託した場合に支払った費用です。例えば、システム開発・Webサイト管理・コンサルティングなどの業務委託費や、広告代理店への広告宣伝費などが挙げられます。
その他、派遣スタッフや契約社員の人件費、事務処理費用などの一般管理活動も外注費に含まれます。電話代行サービスにおいて、業務内容が電話応対、予約受付、顧客対応である場合、外注費で会計処理を行うのが適切です。
支払手数料とは
支払手数料とは、取引の際に発生する手数料や費用、専門家に支払う報酬などを計上する際に使う勘定科目です。例えば、金融機関への振込手数料や、クレジットカードの決済手数料、弁護士・税理士費用などが挙げられます。
電話代行サービスにおいては、業務内容が電話を受けるだけの場合、支払手数料で会計処理を行うのが適切です。代行サービスの手数料という認識で扱われる場合は、一般的に支払手数料の勘定科目が設定されます。
社内での電話転送を利用している場合
社内で電話転送を利用している場合は「通信費」の勘定科目で経理処理を行います。電話転送は、件数ごとに費用が発生するサービスが多いため、「外注費」や「支払手数料」の勘定科目での処理は適切ではありません。
自社にかかってきた電話を電話代行サービスに転送する場合、1件ごとに転送費用が発生します。電話代行サービスの費用に、月額利用料だけでなく電話転送費用が発生する場合は、「通信費」で処理すると良いでしょう。
通信費とは
通信費とは、企業が事業活動を行う際に使用する、通信関連の費用計上の勘定科目です。例えば、固定電話・携帯電話の使用料やインターネット料金、ハガキ代、郵送料などが挙げられます。
宅配料金や切手代も通信費に含まれますが、用途によっては広告宣伝費などに該当する場合もあります。
「雑費」を使用することも
電話代行サービスの料金は、「雑費」として処理することもあります。雑費とは、他の勘定科目に該当しない経費に使用する項目で、主に金額が小さい経費に用います。
補助的な科目であることから、定期的に発生する経費への使用は好ましくありませんが、稀に生じる経費などに使われることが多いです。
また、電話代行サービスを単発で利用するのであれば、むやみに勘定科目を増やすよりも、雑費として処理した方が良いこともあります。
勘定科目を適切に記載することが重要

勘定科目を適切に記載することで、電話代行サービス導入後の費用対効果がわかりやすくなります。ここでは、勘定科目を適切に記載する重要性について解説します。
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勘定科目を適切に記載することが重要
サービス導入後の費用対効果がわかりやすい
適切な勘定科目で処理することにより、電話代行サービスの導入で電話対応にかかる人件費や通信費用などのコストが、どの程度削減されているか確認できます。
また、サービス導入後の売上や業務効率化についても可視化できるため、費用対効果がわかりやすくなります。電話代行サービスに関わる外注費や支払い手数料よりも、売上に直結する科目の値が増えていれば、電話代行サービスの導入は成功したといえます。
対して、導入後も人件費の節約や売上の増収が確認できない場合は、無駄なコストをかけている可能性があります。過去のデータとの比較が容易になれば、より良い経営戦略を立てるための指標となります。
効率的に経理処理できる
適切な勘定科目を記載することで、伝票の整理が容易になります。会計の整合性を保つためには、伝票を正確に分類できていることが大切です。また、勘定科目を基に取引を自動で処理する会計ソフトなどで、効率的な経理処理が可能になります。
経理処理がスムーズに行えると企業全体の生産性と効率が高まるため、企業ごとの経理処理における基本ルールを理解し、適切な勘定科目で記載しましょう。

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電話代行サービスに対する支払処理の手順

電話代行サービスに対する支払処理では、流れに沿った正確な会計処理が必要です。企業規模や契約形態によって異なりますが、主な支払処理の手順は以下のとおりです。
- 契約内容の確認
- サービスの提供状況を確認
- 請求書の受領
- 社内承認
- 支払処理の実行
- 会計処理
まずは月額固定か従量課金か、支払条件などを確認します。契約書・発注書・利用規約は社内共有し、毎月の請求対象期間におけるサービスの提供状況を確かめましょう。請求書を受領したら、経理または上長の承認を得て支払処理の実行に進む流れです。
最後に、事前に設定した勘定科目に沿って会計処理・仕訳を行います。
電話代行サービスの勘定科目に関する注意点

電話代行サービスを会計処理する際は、契約内容や利用目的に合わせて適切な勘定科目を選択し、会計処理には毎回同じ勘定科目を使用しなければなりません。ここでは、電話代行サービスの勘定科目に関する注意点を詳しく解説します。
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電話代行サービスの勘定科目に関する注意点
「通信費」には該当しないことが多い
電話代行サービスの利用料は、電話に関する費用であることから「通信費」と捉えられがちです。しかし、業務を外部に委託するという特性により、通信費ではなく「外注費」「支払手数料」を用いることが多いです。
ただし、自社にかかってきた電話を電話代行業者へ転送する場合は、転送料金が受電ごとに発生します。このような場合は、月額料金に加えて転送費用もかかるため、転送費用の部分は「通信費」で処理します。
毎回同じ勘定科目を使用する
一度決めた勘定科目は、毎回同じ科目にて会計処理を行うのが基本です。勘定科目の決め方には明確なルールがあるわけではないため、電話代行サービスの勘定科目も企業ごとの経理処理のルールによって、自由に決めて良いことになっています。
ただし、勘定科目が頻繁に変わったり、明らかに妥当でない科目を使っていたりすると、会計上問題になることもあります。
毎回同じ勘定科目で会計処理を行うことで、電話代行サービス導入後の費用対効果や自社の財務状況も把握しやすくなります。毎月発生する費用でもあるため、勘定科目を固定することで、会計処理の効率化が可能です。
業務の引継ぎ時には注意
勘定科目の使い方が途中で変わってしまうと、会計の透明性が損なわれます。特に、業務の引継ぎなどの際に発生しやすく、ルールが曖昧だったり新しい担当者の前の職場と違うルールだったりすると、混乱や間違いが起きやすくなってしまいます。
勘定科目のルールは会社によって異なるため、経理担当者個人の判断で勘定科目を決めてしまうのは危険です。引継ぎ後に勘定科目が変わってしまうことがないように、あらかじめルールを明確にしておき、新しい担当者にしっかりと共有することが重要です。
適切な消費税処理を行う
通常、電話代行サービスは日本国内の事業者が提供するため、消費税の課税対象となります。「課税仕入」区分として適切な消費税処理を行い、仕入税額控除の対象となることから、適格請求書(インボイス)の保存が必要です。
なお、適格請求書発行事業者でない業者からの請求の場合、原則として仕入税額控除の対象外となります。また、電話代行の一部に海外企業を使う場合は、リバースチャージ方式が適用される場面がある点にも注意しましょう。
参考:国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税に関するQ&A|国税庁
まとめ

電話代行サービスは、企業にかかってくる電話を電話代行業者が代わって応対するサービスです。サービスの導入によって、本来の業務に集中できるため、生産性の向上にも繋がります。
電話代行サービスの利用料を会計処理する際は、サービスの内容によって適切な勘定科目を設定しなければなりません。業務を外部に委託しているため、一般的には「外注費」の科目を設定します。
ただし、サービスの内容によっては「支払手数料」を用いる場合もあります。企業によって、経理処理のルールで設定する科目が変わる場合がありますが、一度決めた勘定科目は、毎回同じ科目で会計処理を行うのがおすすめです。
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