打刻漏れのリスクと対応策|勤怠管理システムを導入した対策も紹介

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  • 打刻漏れには、管理業務の負担や法令違反などのリスクがある
  • 打刻漏れが生じた際に、ペナルティを与えることは違法になる場合がある
  • 勤怠管理システムの導入は、打刻漏れの対応策になる

打刻漏れや打刻忘れは、管理業務の負担が増えるだけではなく、法令違反になる可能性もあります。この記事では打刻漏れによるリスクと打刻忘れが起きたときの対応について、さらに、打刻漏れの対策に勤怠管理システムがおすすめな理由を解説します。

目次

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  1. 打刻漏れによるリスク
  2. 打刻漏れが生じた際の対応
  3. なぜ打刻漏れが起こるのか
  4. 打刻漏れを防ぐための対策
  5. 打刻漏れ対策に勤怠管理システムがおすすめな理由
  6. まとめ

打刻漏れによるリスク

勤務時間の打刻とは、従業員が出勤・退勤した時刻を会社側が把握して管理するため、紙のタイムカードもしくは勤怠管理システムに時刻を記録する行為を意味します。

勤務時間の打刻がなぜ重要なのかというと、企業側は各従業員の勤務時間をしっかりと把握する必要性があるからです。勤務時間は各自の勤怠情報を元に、給与計算が行われます。

出社時間と退社時間だけでなく、遅刻や早退をしたかどうかや、休暇を取得したかなどについても記録され、企業が管理します。また、労働基準法を遵守し、残業時間の是正を行うためにも、企業は勤務時間を管理することを義務付けられています。

残業時間の是正は、働き方改革の一環として36協定が定められていて、国は月で45時間・年間で360時間の労働時間の上限を設けています。この記事では、勤務時間の打刻漏れによるリスクとその対応策などについて解説していきます。

労働基準法に合わせた勤怠管理とは?重要性や法律上のルールを解説

労働基準法に合わせた勤怠管理には、従業員の労働時間の正確な管理や法改正に伴う迅速な把握・対応が必要不可欠です。本記事では、労働基準法に合わせた勤怠管理の重要性や勤怠管理に関わる法律上のルール・勤怠管理システムの活用についても分かりやすく解説します。

業務の負担増

勤務時間の打刻漏れがあると、労務担当者や給与計算の担当者の業務が増え、負担になるという問題が出てきます。労務担当者は、打刻漏れをした従業員に対して、タイムカードなども訂正を本人と確認し正確な時間にする作業が生じます。

給与計算の締め日迄にこの作業を行わなければ、業務全体が遅れる可能性も出てきます。本人からの打刻漏れの申請があった場合も含め、多くの従業員が打刻漏れをしてしまうと、必然的に業務量が増え日々の仕事量が増大するなど、担当者の負担が増える恐れがあります。

未払い残業代が請求される可能性

勤務時間の打刻漏れは、従業員だけではなく企業側にもリスクを抱える原因にもなります。企業が従業員の勤務時間についてしっかりと管理をしていないと、従業員から後ほど未払い残業代を請求される可能性もあります。

また、現在勤務中の従業員のみならず、退職した元従業員が企業に対して残業代の未払いを請求する可能性も考えられます。このようなリスクを未然に防止するため、企業側は適切にタイムカード類の打刻管理をする必要があります。

さらに、残業代の未払いを請求されると企業の信用問題にも関わってきます。未払いが発生していたとテレビや新聞などで報じられると、すぐにその情報は全国的に広まりミスから波及し企業に大きな損失をもたらすことも考えられます。

法令違反のおそれ

企業は全従業員の労働時間を把握することは、法律的にも義務付けられています。2019年4月からの厚生労働省令の法改正により、客観的な記録による労働時間の把握が法的に義務付けられました。

労働安全衛生法第66条の8の3の規定では「面接指導を実施するために、労働者の労働時間の状況を把握しなければならない。」と定められています。

また、労働安全衛生法第52条の7の3の第2項においては、「事業者は前項に規定する方法により把握した労働時間の状況の記録を作成し、3年間保存するための必要な措置を講じなければならない。」とあり、勤務記録は3年間保存する必要があります。

参考:客観的な記録による 労働時間の把握が 法的義務になりました|厚生労働省

打刻漏れが生じた際の対応

所属している従業員の勤務時間を把握・管理することは、企業側だけでなく従業員にとって最も重要である点について解説をしましたが、ミスなどにより打刻漏れがあったときには、適切な対処方法が求められます。

ここでは、万が一タイムカードなどの打刻漏れをしてしまったときには、どのような対応が必要なのかについて3つのポイントを説明していきます。

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本人への事実確認

タイムカードや勤務表の打刻漏れがあった場合は、まずは本人に直接事実を確認しましょう。一言で打刻漏れと言っても、さまざまなケースが考えられます。

たとえば、定時に出勤・退社したけれども、単に打刻を忘れてしまったなどの場合は、その分の勤務時間が計上されずに給与金額にも影響が出てきてしまいます。そして、本人に事実を確認する際は、打刻漏れになった理由と実際に勤務時間を正確に聞き出しましょう。

後々のトラブルを防止するためにも、労務担当者が打刻漏れに気が付いたときには、できるだけ早急に本人から事情を聞き、事実と打刻漏れの理由を確認することが大事です。

始末書の提出

打刻漏れがあったときの対応の仕方は企業によっても違いがありますが、企業規則において始末書の提出を求められるケースもあります。

1回のみの打刻忘れで偉業が従業員にペナルティを課すことはほとんどありませんが、度重なる打刻漏れがあった場合、教育的指導の意味も込めて上司から始末書の提出を求められることも想定されます。

従業員の労働時間の把握と管理することは、法律上で企業に義務付けられているだけでなく、従業員側も法律に則った対応が求められています。

打刻漏れが発生したときには、最初は口頭での注意を促す戒告処分とし、その後も続くようであれば譴責が文面に入る始末書の提出が望ましいでしょう。

ペナルティを課す場合は慎重に

タイムカードの打刻漏れが1度だけではなく、何度も繰り返して改善する傾向が見られないときには、会社側は一定のペナルティを課すことも考えなければなりません。ここでは、会社側が従業員に対して、ペナルティを課す際に気を付けたい事柄について解説します。

違法行為になる場合も

タイムカードやタイムシート類の打刻・記入を忘れた従業員へのペナルティを課す場合、法律に則った内容で対応する必要があります。減給扱いとする場合、1回の減額が1日分の平均賃金における半額以上になると違法になってしまいます。

労働基準法第九十一条では「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。」と定められています。

就業規則にあらかじめ、ペナルティや減給に関しての詳細を記載しておくとトラブルを避けることができます。

打刻漏れで減給ができる条件

打刻漏れをした従業員へ減給などの処分をする場合、労働基準法の違反とならないかを確認する必要があります。もし、労働基準法に違反した厳罰処置を従業員に課した場合、該当の従業員や事情を知った他の従業員から労働基準監督署に通報される恐れが出てきます。

企業側が逆にペナルティを課されるケースもあるので、注意が必要です。労働基準法の第16条では「従業員の労働契約に違反する行為に対して、企業があらかじめ罰金や損害賠償の金額を決めておくことはできない」と定められています。

法律違反とならないためには、企業側が事前に打刻漏れが続いた場合の対応を、事前に従業員に周知し、あくまでも懲戒処分として減給するなどの方法もあります。

なぜ打刻漏れが起こるのか

そもそも打刻が習慣化していないから

打刻が習慣化されていない原因としてあげられるのは、法改正の影響です。従来ではあまり勤怠管理を行っておらず、法改正に伴い管理を始めたものの、従業員にその必要性・重要性が浸透していなければ、打刻漏れが常習化してしまいます。

タイムレコーダーが目につきにくい場所にあるから

タイムレコーダーを設置していても打刻漏れが頻繁に起こる場合は、レコーダーの置き場所が原因となっているかもしれません。従業員が出社し席につくまでの導線から外れた場所や打刻しづらい場所に設置しているというだけで、習慣化から遠のくことも考えられます。

個々の勤務形態に適応した打刻方法ではないから

従業員それぞれの就業形態に合わない打刻方法を採用しているケースも考えられます。営業などの直行直帰が多い職場ではタイムカードの打刻忘れも多く、打刻するのにいくつかの手順が必要だったり、複雑な操作で手間が多ければ従業員も打刻を怠ってしまいます。

またテレワークの推進で、今までは出社と同時に行っていた打刻が、自宅での業務開始時に、といった環境の変化も原因のひとつです。

打刻漏れを防ぐための対策

タイムカード等の打刻漏れは従業員だけでなく、企業側にもデメリットが多いため、打刻漏れを防止する対策が求められます。ここでは、打刻漏れを防ぐための原因や防ぐ方法などについて解説します。

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習慣化に向けた環境構築

出退勤時にタイムカードを打刻する習慣が従業員に根付いていない場合、打刻忘れが頻発してしまう可能性があります。

すぐに始められる対策としては、タイムレコーダーを出入り口付近などの打刻忘れが発生しにくい場所に設置することが有効です。ポスターなどを使い目に見える形で注意喚起を行うのも良いでしょう。

他にも、テレワークを行う従業員がいる場合なども含めると様々なケースが考えられるため、打刻に関する社内ルールを周知・徹底して、そのルールを浸透させることで、習慣化のための環境構築を図ることが重要です。

正確な打刻の重要性を周知・共有

従業員が打刻を忘れた際には、いきなり「減給処分」や「始末書提出」などの措置を取るのではなく、まずは正確な打刻の重要性を共有した上での教育指導、次に始末書の提出、それでも改善されなければ減給警告など、段階を踏んで対処する企業が一般的です。

打刻忘れが発生する原因には、習慣化の問題以外にも「出張や直行直帰が多い」などの理由が含まれる場合もあります。

上記のように何らかの理由を主張する従業員に対しても、「勤怠管理を行うことは企業の義務であること」「正確な勤怠管理を行わなければ法律違反になってしまうこと」などをしっかりと教育指導することが重要です。

勤怠管理システムの導入

従業員が毎日、出勤・退勤時に各自で手動で打刻する方法は、ヒューマンエラーや忘れなどが起こりがちです。タイムカードの打刻漏れを防ぐ方法の一つが、勤怠管理システムの導入です。

勤怠管理システムを導入すると、タイムカードの押し忘れを防止でき、打刻漏れを根本的に改善することも可能になります。勤怠管理システムは、実際に出勤して働く従業員以外の、在宅勤務者や出張中の従業員にも対応しているなどのメリットがあります。

また、労務担当者が従来行っていた勤怠の確認作業や、訂正するための業務などがなくなり、業務量や負担が大幅に減る点もメリットと言えます。

打刻漏れ対策に勤怠管理システムがおすすめな理由

ここでは、打刻漏れの対策を行う際に、なぜ勤怠管理システムが有効的なのかについて解説していきます。現在、自社で勤務管理している方法と比べて、どの位のメリットや⒦従業員の負担減になるのかなどを確認し、勤務管理システムの導入すべきかを検討しましょう。

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複数デバイスから打刻できる

勤怠管理システムの最大の特徴は、スマートフォンやタブレットなど、複数のデバイスからの打刻が可能なことです。毎日の忙しい始業前の時間帯でも、簡単に打刻処理を行えて打刻漏れが大幅に減る効果も期待できます。

また、近年はGPS機能搭載の勤怠管理システムも登場しています。これは、スマートフォンやタブレットなどのGPS機能を使ってアプリから時刻を打刻します。GPS機能があることで、打刻時の位置情報まで勤怠管理システムへ送信ができます。

このGPS機能を搭載したシステムは、出勤・勤務していないにもかかわらず、打刻がなされるなどの不正打刻が防止できるメリットもあります。

就業形態を問わずに打刻できる

GPS機能を搭載した勤怠管理システムは、在宅勤務や営業・出張などで帰社しないことが多い職種の従業員にも対応しています。各自のデバイスから打刻ができますので、後日に改めて勤務時間の報告をする必要がなくなります。

また、クラウド型の勤怠管理システムを導入すると、スマートフォンなどのデバイスからだけでなく、ICカード・指紋認証など幅広い方法で打刻が可能になります。

複数の打刻方法があるシステムを導入すると、従業員が希望する打刻方法を選べるだけでなく、アプリを自分のデバイスにインストールしたくない人にも対応できます。

アラートによる管理ができる

勤怠管理システムに搭載されている便利な機能の一つに、アラートによる管理が挙げられます。アラート機能は、各自の勤務実態をリアルタイム監視し打刻漏れが発生した際に、システム上で自動検知され、自動的に打刻漏れした本人にアラートを送る仕組みです。

打刻漏れした従業員が所属する部署の上長宛にもアラートが送信されるため、打刻漏れが常習化している場合は、上司が口頭で注意するなどの管理もできるようになります。

システムで打刻漏れを自動検知できると、労務担当者の負担が減り業務効率化にもつながります。

まとめ

勤務実態を会社に正確に報告するために、タイムカードや勤務表へ正しい時間帯で打刻することが求められます。従業員が打刻漏れを起こすことは、本人にとってだけでなく企業側に多くのリスクが伴います。

労働安全衛生法において、企業側は従業員の勤務時間を正確に把握することが義務付けられています。また、従業員が打刻漏れをしたことに気が付かず、訂正を申請しなければ、

給与額にも影響が出てしまいます。

打刻漏れの対応策の一つが、勤怠管理システムの導入です。タイムカードでの打刻とは違い、事務所の決まった場所で各自が手動で打刻することはありません。
自分のデバイス上のアプリから勤務開始と終了時間の打刻ができ、万が一打刻忘れがあった場合は、アラームで知らせる機能も搭載しています。企業と従業員の双方にメリットがあり便利な勤務管理システムを上手に活用してみましょう。

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